幼いへジョン様が亡くなり、母親のヘラは精神状態が不安定になった。
皇位継承順位の事はあまりこだわっていなかったが、子を亡くした母としてショックが大きかった。
夫であるギョンスとは、政略結婚で愛情はなかった。
子を亡くした事で、ヘラはスンジョへの想いだけが大きくなり、頻繁にペク家に表れてはハニに辛くあたっていた。
このままではハニのためにはよくないと思い、スチャンとグミとハニの両親のギドンとハナと話し合って、グミの遠縁の両班が着任している村にハニはジュリと数人の使用人と移り住む事になった。

悪い事は続き、村に移り住み落ち着き始めた頃、漢陽のペク家の屋敷から伝令が来た。

「ジュリ・・・これを若奥様に・・・」
「何かあったのですか?」
「詳しくは、旦那様の手紙の中に書いてあるが、国境付近で小さな戦があって、漢陽に通じる道が封鎖されてしまった。スンジョ様は迂回して他の道を通って帰ってくるはずが・・・・連絡が途絶えて・・・・」
「行方・・不明・・という事ですか?」
ハニが近くにいない事を確認し、さらに聞こえないように小さな声でジュリは聞いた。
「そう言う事になるのか・・・連絡を取る方法が途絶えてしまい・・・旦那様も奥様も、スンジョ様がご結婚され少しずつ商談の仕事を任せようとされていた時なだけに、お二人とも憔悴されています。ジュリ・・・若奥様が衝撃を受けないようになんとか上手くお願いします。」

そんな事は無理だとジュリは言いたかった。
自分の役目は確かに付き人だけではなく、年齢も上で相談相手にもなっていたが、自分の子供とそれほど年が変わらないハニに、どんなふうに伝えたらいいのかなど考えられなかった。
だからと言って、漢陽から届いた手紙を渡さないわけにはいかなかった。

「ジュリ・・・どうしたの?天気もいいから少し散歩がしたいなって思って・・・・」
まだ少女のような顔のハニが、ジュリの暗い表情を見て、よくない事でもあったのではと直感すると、笑顔から青い顔に変わっていた。
「漢陽から伝達の者が来まして・・・スンジョ様と連絡が取れなくなり・・・・・」
手紙をハニに渡すと、ハニは急いで開いた。
大きな瞳がさらに大きくなり、その大きな瞳から大粒の涙が流れ、膝がカクンと折れるとそのまま意識を失ってしまった。



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