平気な振りをしていたって、スンジョさんが安心するように抱きしめてくれたって、本当の私は全然平気じゃない。
スンリを捨てたじゃない。
子供を産んだ事がないから、お腹を空かせたスンリに乳をあげられなくて一緒に泣いていた。
高い熱が出た時は、母親なら眠らないで看病をしなければと思って三日三晩寝ずに見守っていた。
新しい何かが出来るよう、ジュリに聞きながら準備をしていたのに・・・・
絶対に、スンリを渡さない。

独占したいという事を思った事がないハニが、突然現れたスンリの実の母親に強い警戒心が芽生えた。
いくらスンジョが決めた事でも、子供を産んだ事のないハニでも、ここまで育てたスンリに対する愛情は誰にも負けないつもりだった。

スンリの母と姉や兄たちが待っている部屋に入った瞬間、自分が思っていた事がサァーッと消えて行った。
キョルはハニが想像していた人と違っていた。
やつれてはいたが、物静かで清楚な感じの女性だった。
その隣にいる女の子は、少女というよりも少年のような娘だった。
その横に並んで座っている三人の幼い兄弟たちは、全員が本当に兄妹なのかと思うくらい顔や体形が似ていなかった。

スンジョと一緒にハニが入ると、キョルは床に頭をこすりつけるようにしてわびた。
「奥様・・・申し訳ありません・・自分の身勝手で・・・ただ顔が見たかっただけで・・・・」
キョルは『捨てた』とは言わなかった。
その方が、スンリのためにはその方がよかった。
キョルと一緒に来た子供たちは、自分たちとスンリの関係を知っているのだろうか。
何も言わずただ黙って弟を見ていた。

「キョルさん・・・スンリは私が大切に育てます。」
本当は『あなたには渡さない』とそう言いたかったが、スンリの前ではいい母親でいたかった。
スンジョにはスンリの母親が見つかったら、スンリを返すとは言ったが現実にその時が来ると、その場にならなければ分からないというのはこう言う事だったのだ。

「キョルさん、私はこの屋敷の主人のペク・スンジョ。こちらは妻のハニです。」
「キョルです・・・・長女のキョン、長男のシン、次男のミン、次女のリンです。」
母親に名前を呼ばれると、四人の子供たちは頭をペコリと下げていた。
「ぼく、スンリ。」
スンリは大きな声ではっきりと自分の名前を告げた。
こんな風に場を設けた理由を知っているのはヨンファだけだった。


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