「キョルさん、この家で暮らしませんか?」
「え・・・あ・・・・」
キョルは勿論キョルの子供たちもハニも驚いた。
「家の中の事を、このジュリが一人で行っています。この先の私達の生活を考えると、人の助けが必要になって来ると思います。ペク家は漢陽の商人です。このままここに住んでいれば、キョルさんは勿論4人のお子さんたちも仕事に就く事は難しいと思います。キョルさんはここでジュリの仕事を手伝っていただけませんか?」
そうすれば、捨てた事を気にしていたスンリを、いつも見ている事が出来ます・・・・

そう言わなくても、その気持ちはキョルには伝わっていた。
スンジョの考えに『ありがたい』とそう思う反面、スンリをここまで育ててくれたハニには『申し訳ない』という気持ちがあった。
スンジョの考えに返事をどうしたらいいのか迷っていると、笑顔を見せず何かに不貞腐れたような表所をしていたキョルの娘キョンが、スンジョを信頼しているようには聞こえないような言い方で聞いて来た。

「商人って・・・儲かるの?」
「キョン・・何という事を聞くの・・・」
「だって、ずっと私たちお腹をいつも空かせていたし、服だってあのくそ親父の服を私は着ているんだよ。新しい服が欲しいよ。」
キョンがそう言えば、弟や妹たちも『自分も』と続けて言った。
「儲かるかどうかは、その時によるよ。その時期に何をどう買うか、買値売値の駆け引きがすべてを決める。人の心を見るにはとても面白い仕事だと思うよ。」
「ふぅ~ん・・でも私は、文字も読めなければ計算も出来ない。」
「これから勉強をすればいいよ。もし、その気になったらいつでも私が教えてあげます。」

母親の苦労を知っているから、顔の表情や言葉とは違う形で親を楽させたいのだろう。
母を苦しめ自分たち姉弟が食べる物も満足に食べられず、産まれたばかりの弟を捨てた事を知っているのかは別として、今の状況から脱したいと思う事は、まだ子供であっても大人と同じくらいそう思っているのだろう。

ところでこの部屋に入ってから何も言わないハニは、自分の提案にどう思っているのだろう。
この先の事を考えると、ハニはスンリの世話を熱心に行う事は分かっているが、いずれ自分たちの子供が授かった時に、スンリの世話と自分たちの子供の世話を一人で行う事は難しいし、いつまでもこの町で過ごすわけにはいかず、漢陽に帰る事になれば好きな事をやっていればよかった生活から、商談の仕事も妻としてやらなければいけなくなる。

先王が望んだ自分との結婚で苦労を掛ける事は、自分を評価してくださった先王に申し訳ない。
まだキョルとその子供たちには、ハニの立場の話をするつもりはないが、漢陽に帰ったら自分たちが話さなくても知る事になる。
そうなった時に、苦労をして生きてきたキョルたち親子がそばにいるだけでも何かの力になる事は違いない。



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