「ほらスンリ・・・漢陽の街が見えて来たよ。」
人の往来が少しずつ多くなり、遠くだった賑わう声が近づいて来た。
初めて見る漢陽に期待をしているのはスンリだけじゃなく、シンもミンもリンもワクワクとしていた。
「姉ちゃんに会えるんだ・・・」
シンが首を伸ばして進む方を見ていると、ミンもリンも同じように真似ていた。
一行の中で不安そうにしているのは、子供たちの母親のキョルだ。
漢陽に来れば、もしかしたらキョン以外の子供たちの父親と顔を合わせる事になる。
人口を考えれば顔を合わせるの事はまずないが、万が一の時のことも有りうる。

「キョルさん、大丈夫ですよ。相手の男性も、お互いの体面を考えているでしょうから、何か問題が起きましたら私に話してください。私が話を付けますから。」
「旦那様・・・・」
スンジョには事を収める術がある。
無口で冷静で、表情を面に出さないだけではなく、人を納得させる話術を持っている。
先王の側に付いていた時に、先王が話す言葉を聞いているうちにその話術を学んでいた。
それは商人として商談をする時にも役立っていた。

「ハニ・・・・」
「はい。」
「疲れたでしょう。もう少しですが、そこの茶屋で休みましょう。」
「大丈夫。私は大丈夫です。」
「キョルさんもなれない長旅で疲れたでしょうし、スンハも少し落ち着いて休ませた方がいいでしょう。」

スンジョは一行より速足で近くの茶屋まで行くと、いくつかの指示を出していた。
漢陽でスンジョを知らない人はいないのか、それともスンジョを一目見ただけで従う事を拒まなかっただけなのかはわからない。

ハニたちが茶屋に着くと、その茶屋の女将さんと思われる人が迎えに出て来た。
「いらっしゃいませ。部屋を用意していますので、少しここでお待ちください。」
用意された菓子と茶を置くと、すぐに奥に入って行った。

「スンジョさん、この茶屋を知っていたのですか?」
旅に出る時と帰って来た時に立ち寄る所で、休ませてもらうのは初めてです。特別に親しいわけではないですが、うちの商団が買い付けて来た品を収めているから、無理を聞いてもらえました。」
いくら商団と取引があっても、すぐに休ませてくれるのはそれだけではないはずだ。
ペク商団を信頼しているから無理を聞いてもらえたのだろう。

「キョルさん、緊張していますか?」
「少し・・・大旦那様と大奥様に気に入っていただけるか・・・・」
「大丈夫ですよ。キョンは母がとても可愛がっています。私の弟にもちゃんと自分の意見を言えるので、商団での仕事にも大変助かっています。」
気が強い娘だか・・・とキョルが呟いた声はスンジョにしっかりと聞こえていた。
ウンジョとキョンの掛け合いを見ていると、この先このふたりはお互いがいい関係で行けるのではないかと思うだろうと考えていた。


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