「カバンもないし全身を強く打っているから手を動かせない、声も出ないじゃ連絡も付けられないね。」
そう言えばスンジョ君がポケットに、航空券の半券を入れてくれていた。
何とか伝えないと・・・私の名前が分かるもの・・・・・・でも、手が動かせない。
「あっ・・・・・ぅうう・・・・」
声を絞り出すようにして、おばさんとミンという女医さんに気が付いてもらうしか方法はない。
「おばさん、明日の朝私は町まで下りて行くから、もしかして行方指不明者の中で分かるものがあるかもしれないからそれまでそっとしてあげよう。」
「そうだね。」
「で、私のいない間、硬直しないように少しづつ彼女の指や足とか、そっと動かせてあげて。」
ミンさんは、休暇を利用しておばさんの山菜や薬草取りに付いて来ていたの。
「ミンさんがいなかったら、私はきっとあの川の水の中で・・・・・・・・」
「ミン医師はオレ達の命の恩人だな。ハニを何もない山小屋で診てくれて、オレの治療を担当してくれて。彼女の恩に報いるためにはオレはこんな風にいつまでもベッドで休んでいないで早く通常の生活に戻らないとな。」
スンジョだけが身体の回復が遅れているわけでもなく、ハニの細くなった腕や身体を見ると、たった数分の時間が現実であったことが判る。
ハニも痩せてしまって、体力がかなり落ちているから、学校と家事だけでも夜は疲れて早い時間に眠っている。
私の声が出るようになるのは、おばさんとミンさんに助けられて一週間ほどたったころ。
声を出せると言っても、口はあまり動かないから、 字を書く事で会話をしていた。
字を書くと言っても硬直しているから、小学生よりも字が下手だった。
「あんたの服から半券やら何かのメモが有ったけど、名前って・・・・・・・はっきり読み取れないけど、ペ・・・・・・・ペク・・・・なんだか読みにくいな・・・・・ア・・・ニ?」
違うと言えばすぐに私が生きていることが判って良かったのかもしれないけど、スンジョ君が助かっていなかったのなら、生きている意味もないと思ったの。
それならオ・ハニとしてこれからの人生を生きて行きたくない。
これからは、ペク・アニとして生きて助けてもらったおばさんのお手伝いをして行こうと思った。
きっと、パパは私は助かっていないと思っているはずだから。
「アニ、声が出なくても口を動かしてみてご覧。アニ・・・・・って・・・・・。」
「あ・・・ぅぁ・・・・・・ぃ・・・・あ・・・」
「いいさ、そのうちに話が出来るから。ペンは持てそうかい?」
おばさんが、私のために持ち手が太いペンを渡してくれた。
____おばさんの名前は?
「おばさんの名前かい?おばさんは、ホン・バンスンだよ。字が書けるようになったから、筆談が出来るな。」
おばさんは優しい顔でハニの一つの進歩を喜んでくれた。
__鏡・・・・鏡が見たい。
バンスンおばさんは、ハニが鏡を見たいと書いたことに、顔を曇らせた。
__鏡はないのですか?
「あるけど・・・・・アニ、鏡を見ても驚くといけないから、話しておくよ。顔に痣があって目がルビーのように赤いんだ。でも、ミンが必ず綺麗に治るから気にするなと言っていた。」
バンスンおばさんは、埃のついた鏡をハッと息を吹きかけてタオルで鏡の面を拭いてハニに渡した。
「!!」
声も出せないうえに顔に醜いほどの痣、目がルビーのように本当に赤かった。
でも、顔が腫れているせいもあるのだろう、目がかすんでよく見えなかったのが幸いした。
多分知らない人は、ハニの昔の写真を見て別人だと思うくらいに腫れていた。
事故後の顔を初めて見たハニは、声を出して泣きたくても出るのは涙だけだった。
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そう言えばスンジョ君がポケットに、航空券の半券を入れてくれていた。
何とか伝えないと・・・私の名前が分かるもの・・・・・・でも、手が動かせない。
「あっ・・・・・ぅうう・・・・」
声を絞り出すようにして、おばさんとミンという女医さんに気が付いてもらうしか方法はない。
「おばさん、明日の朝私は町まで下りて行くから、もしかして行方指不明者の中で分かるものがあるかもしれないからそれまでそっとしてあげよう。」
「そうだね。」
「で、私のいない間、硬直しないように少しづつ彼女の指や足とか、そっと動かせてあげて。」
ミンさんは、休暇を利用しておばさんの山菜や薬草取りに付いて来ていたの。
「ミンさんがいなかったら、私はきっとあの川の水の中で・・・・・・・・」
「ミン医師はオレ達の命の恩人だな。ハニを何もない山小屋で診てくれて、オレの治療を担当してくれて。彼女の恩に報いるためにはオレはこんな風にいつまでもベッドで休んでいないで早く通常の生活に戻らないとな。」
スンジョだけが身体の回復が遅れているわけでもなく、ハニの細くなった腕や身体を見ると、たった数分の時間が現実であったことが判る。
ハニも痩せてしまって、体力がかなり落ちているから、学校と家事だけでも夜は疲れて早い時間に眠っている。
私の声が出るようになるのは、おばさんとミンさんに助けられて一週間ほどたったころ。
声を出せると言っても、口はあまり動かないから、 字を書く事で会話をしていた。
字を書くと言っても硬直しているから、小学生よりも字が下手だった。
「あんたの服から半券やら何かのメモが有ったけど、名前って・・・・・・・はっきり読み取れないけど、ペ・・・・・・・ペク・・・・なんだか読みにくいな・・・・・ア・・・ニ?」
違うと言えばすぐに私が生きていることが判って良かったのかもしれないけど、スンジョ君が助かっていなかったのなら、生きている意味もないと思ったの。
それならオ・ハニとしてこれからの人生を生きて行きたくない。
これからは、ペク・アニとして生きて助けてもらったおばさんのお手伝いをして行こうと思った。
きっと、パパは私は助かっていないと思っているはずだから。
「アニ、声が出なくても口を動かしてみてご覧。アニ・・・・・って・・・・・。」
「あ・・・ぅぁ・・・・・・ぃ・・・・あ・・・」
「いいさ、そのうちに話が出来るから。ペンは持てそうかい?」
おばさんが、私のために持ち手が太いペンを渡してくれた。
____おばさんの名前は?
「おばさんの名前かい?おばさんは、ホン・バンスンだよ。字が書けるようになったから、筆談が出来るな。」
おばさんは優しい顔でハニの一つの進歩を喜んでくれた。
__鏡・・・・鏡が見たい。
バンスンおばさんは、ハニが鏡を見たいと書いたことに、顔を曇らせた。
__鏡はないのですか?
「あるけど・・・・・アニ、鏡を見ても驚くといけないから、話しておくよ。顔に痣があって目がルビーのように赤いんだ。でも、ミンが必ず綺麗に治るから気にするなと言っていた。」
バンスンおばさんは、埃のついた鏡をハッと息を吹きかけてタオルで鏡の面を拭いてハニに渡した。
「!!」
声も出せないうえに顔に醜いほどの痣、目がルビーのように本当に赤かった。
でも、顔が腫れているせいもあるのだろう、目がかすんでよく見えなかったのが幸いした。
多分知らない人は、ハニの昔の写真を見て別人だと思うくらいに腫れていた。
事故後の顔を初めて見たハニは、声を出して泣きたくても出るのは涙だけだった。
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