大好き!<イタズラなKiss>

韓国版イタズラなKissが大好きです。 切ないお話しか書いていないので、お好みではない方はスルーしてください。

2014年05月

君だけを消せなくて・・・・・・思いは遠く離れていても 7

「カバンもないし全身を強く打っているから手を動かせない、声も出ないじゃ連絡も付けられないね。」
そう言えばスンジョ君がポケットに、航空券の半券を入れてくれていた。
何とか伝えないと・・・私の名前が分かるもの・・・・・・でも、手が動かせない。
「あっ・・・・・ぅうう・・・・」
声を絞り出すようにして、おばさんとミンという女医さんに気が付いてもらうしか方法はない。
「おばさん、明日の朝私は町まで下りて行くから、もしかして行方指不明者の中で分かるものがあるかもしれないからそれまでそっとしてあげよう。」
「そうだね。」
「で、私のいない間、硬直しないように少しづつ彼女の指や足とか、そっと動かせてあげて。」
ミンさんは、休暇を利用しておばさんの山菜や薬草取りに付いて来ていたの。


「ミンさんがいなかったら、私はきっとあの川の水の中で・・・・・・・・」
「ミン医師はオレ達の命の恩人だな。ハニを何もない山小屋で診てくれて、オレの治療を担当してくれて。彼女の恩に報いるためにはオレはこんな風にいつまでもベッドで休んでいないで早く通常の生活に戻らないとな。」
スンジョだけが身体の回復が遅れているわけでもなく、ハニの細くなった腕や身体を見ると、たった数分の時間が現実であったことが判る。
ハニも痩せてしまって、体力がかなり落ちているから、学校と家事だけでも夜は疲れて早い時間に眠っている。


私の声が出るようになるのは、おばさんとミンさんに助けられて一週間ほどたったころ。
声を出せると言っても、口はあまり動かないから、 字を書く事で会話をしていた。
字を書くと言っても硬直しているから、小学生よりも字が下手だった。
「あんたの服から半券やら何かのメモが有ったけど、名前って・・・・・・・はっきり読み取れないけど、ペ・・・・・・・ペク・・・・なんだか読みにくいな・・・・・ア・・・ニ?」
違うと言えばすぐに私が生きていることが判って良かったのかもしれないけど、スンジョ君が助かっていなかったのなら、生きている意味もないと思ったの。
それならオ・ハニとしてこれからの人生を生きて行きたくない。
これからは、ペク・アニとして生きて助けてもらったおばさんのお手伝いをして行こうと思った。
きっと、パパは私は助かっていないと思っているはずだから。
「アニ、声が出なくても口を動かしてみてご覧。アニ・・・・・って・・・・・。」
「あ・・・ぅぁ・・・・・・ぃ・・・・あ・・・」
「いいさ、そのうちに話が出来るから。ペンは持てそうかい?」
おばさんが、私のために持ち手が太いペンを渡してくれた。

____おばさんの名前は?
「おばさんの名前かい?おばさんは、ホン・バンスンだよ。字が書けるようになったから、筆談が出来るな。」
おばさんは優しい顔でハニの一つの進歩を喜んでくれた。
__鏡・・・・鏡が見たい。
バンスンおばさんは、ハニが鏡を見たいと書いたことに、顔を曇らせた。
__鏡はないのですか?
「あるけど・・・・・アニ、鏡を見ても驚くといけないから、話しておくよ。顔に痣があって目がルビーのように赤いんだ。でも、ミンが必ず綺麗に治るから気にするなと言っていた。」
バンスンおばさんは、埃のついた鏡をハッと息を吹きかけてタオルで鏡の面を拭いてハニに渡した。

「!!」
声も出せないうえに顔に醜いほどの痣、目がルビーのように本当に赤かった。
でも、顔が腫れているせいもあるのだろう、目がかすんでよく見えなかったのが幸いした。
多分知らない人は、ハニの昔の写真を見て別人だと思うくらいに腫れていた。
事故後の顔を初めて見たハニは、声を出して泣きたくても出るのは涙だけだった。





 
人気ブログランキングへ

君だけを消せなくて・・・・・・思いは遠く離れていても 6

機体がガクンとしたと同時に、乗客の悲鳴が響き渡った。
「ハニ、大丈夫か?」
スンジョが手を伸ばすと、しっかりとハニはその手を握った。
「怖い・・・・怖い・・・・・・」
「すぐに座席に座ってベルトをするんだ。」
スンジョがそう言うものの、ハニは恐怖で立ち上がることが出来なかった。
助け起こそうとスンジョがベルトに手を掛けるが、すぐ近くにいたCAが外さないようにと指示を出した。
「お客様はそのままで、私が奥様の体を起こしますから。」
CAに体を起こされたハニは、スンジョの前を通って座席に付いたが安全ベルトが片方椅子の隙間に挟まって留めることが出来なかった。 
「何をしているんだよ、早く留めろ。」
「出来ない・・・・出来ない・・・・・挟まって出来ない・・・・。」
ハニが必死に隙間から引っ張り出そうとするが、どこが引っ掛かっているのか判らなかった。
「ハニ、オレの膝に頭を乗せて・・・・・・手をしっかりと離さないで繋いでいるんだ。」
もうダメ・・・・・・私がスンジョ君を困らせたから・・・・・・・
「スンジョ君・・・・・・ありがとう。生まれ変わってもスンジョ君の奥さんになるから。」
「バカなことを言うな。大丈夫だから、家に帰れるから。絶対に家に帰るから!」
二人の会話は悲鳴と轟音で消された。
何か飛んできたものがスンジョの頭に当たり、呻き声を上げたかと思ったらそのままハニの上に覆いかぶさりスンジョは意識を無くした。
「スンジョ君、スンジョ君・・・・・・・・・。」
何度ハニが呼んでもスンジョは動かなかった。
それでもハニはスンジョの身体からすり抜けて、スンジョを庇うように抱きしめて落ちて行く恐怖に必死に耐えた。


機内は物が飛び、スンジョの膝の上に頭を乗せハニを庇うように覆いかぶさっているスンジョの背中に飛んできた鞄やら物が当たっていた。
大きな音とともに、飛行機が山中に墜落したことが分かったが、急降下している最中にハニの意識は恐怖で薄れていた。 
身体に大きな衝撃を感じ、宙に浮いたかと思とどこか遠くに飛ばされた事までハニは覚えていた。



妙に静かな夢の中で、身体が冷えて寒さを感じ始めた時、誰かがハニに声を掛けた。
「大丈夫かい? あんた・・・・・・・・・飛行機に乗っていた人か?」
水の流れている場所にいるのか、一人の年老いた女性がハニを抱き起し、そのそばに近寄る人の気配が水の中を歩いている音と共に近づいて来た 。
「おばさん、頭を打っているかもしれないから、あまり動かさない方がいいわ。」
「でも、このまま放っておくわけにはいかないだろう?警察かどこかに報告した方がいいんじゃないか?」
「とりあえずおばさんの山小屋に連れて行こう。そこで暫く様子を見てから、ヘリを呼べばいいから。」
女性二人でハニは抱えられて、すぐ近くの山小屋まで連れて行かれた。

スンジョ君・・・・スンジョ君・・・・・手を離さないで
手を離さないで・・・・・
起きて
起きて
揺すってもスンジョ君は起きてくれない
あちらこちらで聞こえる悲鳴
覆いかぶさるようにしているスンジョの隙間から頭を抜いて、気を失っているスンジョの頬を触る。

まだ温かい、さっきまで私に声を掛けていてくれたのに・・・・・・・・・
スンジョ君・・・・・・スンジョ君・・・・・・・
声を掛けて身体を揺すっても、スンジョ君の閉じた目は開かない。
私を置いて死んじゃったの?
スンジョ君起きて・・・・・

そうだ、脈を見ればいいんだった。
えっと、脈は・・・・・こ・・ここだったよね・・・・・

ハニはドキドキとしながらスンジョの手首を取った。
もし、脈が無かったらどうしよう、このまま家に帰ることが出来なかったら・・・・

そのすぐ後に衝撃があり爆音とともに身体が宙に浮いた感じがした。



額にかかる、ひんやりした間食にハニは目が覚めた。
自分を心配そうに顔を覗き込ませた人は、大好きなスンジョでもなく、ハニを可愛がっているグミでもなく、母が亡くなってからずっと二人で過ごしてきた父でもない、知らない見たことも無いおばさんだった。
「ミン!気が付いたよ。」
ミン?誰?ミンって誰?
「気が付いたみたいね、あなた三日間も眠っていたのよ。」
「スンジョ君は?」
「スンジョ?誰もいなかったわよ、あなた一人が川岸に流れ着いていたわよ。」
暫く何が起こったのか判らなったが、すぐに起きたことに気が付いて飛び起きようとしたけど、身体がいたくて起きることが出来なかったの。

「飛行機の事故の犠牲に遭ったのよね。すぐに家族と航空会社に連絡をするけど、あなたの名前は?そうそう、私は怪しい物じゃないわ。パラン大病院の脳神経外科のコ・ミンで医師よ。」
あっ・・・・わたし・・・・・・
声に出そうとしたけど声が出なかった。
ミン先生の話だと、恐怖で一時的に声が出なくなっただけだから大丈夫だと言う事だったの。
名前を言うことも出来ず、全身を強く打ったから手を動かすのも出来ずに字を書くことも出来なかった。

 
人気ブログランキングへ

君だけを消せなくて・・・・・・思いは遠く離れていても 5

もう帰るんだ・・・・・・
デートらしいデートもしていないし、恋人期間がなかったから、甘い甘い新婚旅行を期待していたのに・・・・・・。
「ほら、チケット。」
スンジョの差し出したチケットを 、奪い取るようにして自分の手に持ったハニにスンジョは呆れた顔をした。
「ハニが怒った顔は不細工だな。」
「・・・・・・・・・」
話なんかしてやんないから。
「寝顔は間抜けな顔をして、ヨダレを垂らしてたなぁ。」 
ヨダレなんてたらさないわよ。 
「おい、いい加減に機嫌を直せよ。オレだってお前に怒りたいよ。」
何よ!言って見なさいよ。ここに来て飛行機に乗るまでにまだ2時間以上あるじゃない。

「それなら言ってやるよ。」
声に出ていたの?
「ああ、声に出ていたよ。独り言なら声に出すなよな。」
ハニはスンジョに聞かれていたことで口を手で隠した。
「スンジョ君が何を怒るのよ。言って見てよ。」
「 すごく期待していた、新婚初夜は、ハニがワインのがぶ飲みで介抱してお預けくらったし・・・・・・・・・・。」
やだ・・・・スンジョ君て、結構エッチだったの?
「ああ操作、オレだって男だからな、あんなこともこんなこともしたいなって・・・・・。」
スンジョはわざとハニの耳元で囁くように話した。
ハニは、耳がくすぐったくてスンジョの顔を睨みつけようと顔を向けると、意地悪な笑みをスンジョは浮かべていた。
「二日目はアフリカ博物館で邪魔が入ったから、夜はその分ハニと楽しもうと思ったら、迷惑な新婚カップルの乱入で、またお預け。三日目は・・・・・・まあ、色々あったけど夜はハニと幸せな時間を過ごしたけど、満足してくれていると思ったのが間違いだったんだな。 」
「ううん・・・・間違いじゃない・・・・・。」 
ニヤッと笑ったスンジョに、またハニは自分がからかわれていると気が付いた。

「そっかぁ・・・・・満足してくれたんだ。」
「満足かどうか私にはわからないよ。スンジョ君が初めてだもん。」
「オレも初めてだから、どういうのがいいのかなんて知らない。ラウンジでケーキでも食べるか。」
「おごってくれるの?」
立ち上がったスンジョがハニの手を引いた。

私は単純だ。
食べ物で釣られてしまうなんて。
スンジョ君は私に合わせることはこれからも出来ないと言っていたけど、合わせられないのは私の方だ。
でも、最初が肝心。
食べ物に釣られる私も悪いけど、スンジョ君が謝るまで私の方からは謝らないから。


「シートベルトを確認してください。」
CAが一人一人の着席している乗客の安全ベルトを確認して回っていた。 
「何やってんだよ。」
「だって・・・・・ねじれて・・・・・・・・で・・出来たわ。」
もたもたとしたが、安全ベルトをしたことをハニが言うと、スンジョは身体を戻して本を読み始めた。
「おばさんとおじさんにお土産を買ったし、パパにも買ったし・・・・・・・ねえねえ、ウンジョ君、喜んでくれるよね。 」
「さあな・・・民芸品なんてババ臭い物を買って、お前のセンスはお前らしいよ。」
「どういう事よ・・・・・・」
一言づつハニに意地悪なことを言うが、それがスンジョのハニへの愛情表現の一つだと、ハニも最近は判るようになった。
「ほら、前を向いて。離陸するぞ。」
素知らぬ顔でハニに声を掛けたスンジョだが、来る時に初めて飛行機に乗ったハニが不安そうにしていたことを思い出し、そっとハニの手を握った。
「スンジョ君・・・・・・・」
「飛行機が怖いんだろ?着くまで握っていてやるよ。」
見ていなくてもスンジョには判っている。ハニが嬉しそうに笑っていることを。

気流に乗って機体が安定すると、安全ベルトの着用ボタンが消えた。
「外すな、安全でも外さない方がいい。」
「トイレ!」
ハニがトイレに立った瞬間、期待が大きく揺れた。
「ハニが重いから、機体が揺れたぞ。」
その時はスンジョは冗談のつもりで言ったが、窓から見える翼に異変が起きていた。
「スンジョ君・・・・・・翼って・・・・・・ヒビが入ってるけど・・・・」
トイレから戻ったハニが、着席する時に見えた窓の外の翼にヒビが入っているのに気が付いた。
「ヒビ?とにかく早く座ってベルトをしろ!」
「うん・・・・・・・あっ!」
ハニが座ろうとした時、ガクンと機体が横に傾いた。


 
人気ブログランキングへ

君だけを消せなくて・・・・・・思いは遠く離れていても 4

「もう話してくれてもいいんじゃないか?」
まだ時々、後遺症で眩暈がするスンジョ君は 学校に行かない時はベッドで休んでいることがある。
「話すのは・・・・・・・・。」
「怖いのか?大丈夫だ、こっちに来いよ。」
ベッドの上で横になっているスンジョは少し身体を横にずらしてハニを呼んだ。
ハニは掛け布団を上げて、静かにスンジョの横に入った。
「夜は話すのが怖いだろ?明るい昼間なら、それほど怖くないだろうし、ありがたいことにこの家にはオレとお前の二人だけだ。」

スンジョ君の胸に抱かれると温かくて心の奥まで安心できる。
それでも、飛行機が落ちる時の恐怖は忘れることが出来ない。
私は後悔していた。
いつもの勝手な思い込みと、パニックに陥りやすい性格。
きっとハニはあの時の事を気にしているから、事故の話やオレや家族の前に出てこなかったのではないだろうかとスンジョは思っていた。

「オレと搭乗する前にした喧嘩を気にしているのか?」
案の定、ハニは顔をピクッとさせた。
「うん・・・・・・・私が、飛行機に乗る前にあんなことでスンジョ君と喧嘩さえしなければ、自己なんて起きなかったと思ってる。」
そう・・・・・よくパパやおばあちゃんが言っていた。

ハニや、出かける前に喧嘩をしたら事故に遭うから無事に家に帰るまでは心を穏やかに

「ごめんね、スンジョ君。私がわがまま言わなければ、事故にも遭わなかったのに。」
「それはただ気分よく旅行を楽しんで来いと言う、ハニのおばあさんの言葉だ。あの事故は、機体が何らかの異常事態が起きたことの自己だから。」

迷信や噂をスンジョ君は信じないことは知っている。

あの時は・・・・・・
「ねぇ・・・・・飛行機の時間がまだあるから、海辺を二人で歩きたいな・・・・って、思うんだけど。」
「ダメだ。」
「ちょっとだけ。デートらしいデートもしたことがないし、恋人らしいこともしたことがないじゃない。」
ハニのお願いを無視するようにスンジョは、今日の搭乗する飛行機の時間をチェックしていた。
「デートしたじゃないか3回も。」
「3回?」
「オレとヘラが映画に行った時に後を付けただろう。」
「うん」
「その後に公園に行ったじゃないか。それと、結婚指輪を見に行った時とハニのお母さんのお墓参りに行った帰りの公園デートの3回。」
どうせそうなのよね、スンジョ君の考えは。
自分にとって重要じゃないから、デートをしようと言ってくれたことも無かった。

「デートなんてしなくても、同じ家にいるんだからいつも一緒にいられるだろう。」
そうじゃないのに・・・・腕を組んで歩いたり、美味しいものを食べたり、みんなにスンジョ君と歩いている所を見てもらいたかった。 
「済州島でデートしただろう。」
「新婚旅行でしょ!もういい!」
スンジョ君は軽い気持ちで言ったかもしれないけど、私はこの新婚旅行も邪魔なカップルがいて、甘い新婚旅行を夢見ていたのに、本当に良かったのは・・・・・フフ・・・・・昨日の夜だけ。
あっ! こんなことで顔を幸せにしていたら、この先もずっとスンジョ君ペースになっちゃう。
家に帰るまで、ううん・・・・・暫くの間、私の気持ちを判ってもらうために、スンジョ君を無視しよ。
でも・・・・・・出来るかな?スンジョ君を無視することを。

この時にこんなことがなければ、と・・・・・ずっと思っていた。
喧嘩なんてしなくて、「そうだよね。デートなんていつでもできるよね。」なんて、言えばよかった。
スンジョ君が私と結婚してくれたのに、もっともっと一緒にいたくて、他の恋人同士のようにベッタリとくっついていたかった。
スンジョ君が、そういうことを嫌いなのは判っているのに。


 
人気ブログランキングへ

君だけを消せなくて・・・・・・思いは遠く離れていても 3

「スンジョ、歩けるか?病院に着いたぞ。」
スチャンに声を掛けられて、体を起こそうとしても起こすことが出来ない。
「パパ、誰か人を呼んだ方がいいわ。さっきからすごく苦しそうなの。車を降りて人を呼んで来るわ。」

こういう時はグミのフットワークの軽さに、スチャンは信頼をしている。
後部座席のスンジョは、苦しみながらもハニの事を思い出した。
「ハニ・・・・ハニは大丈夫か?」
ハニの事を心配をして聞いたことで、スチャンは、スンジョの記憶が戻ったと思い込んだ。
「スンジョ!思い出したのか?」
「すみません・・・・まだよく思い出せないのですけど・・・・ハニは何処ですか?飛行機が急降下する時は手を繋いでいたのですけれど・・・」

スンジョが思い出したのは、ハニの事と墜落までの事だけだった。

「お父様・お母様。そうガッカリなさらないでください。時間が掛かっても必ず思い出しますから。」
「コ先生、なぜハニちゃんの事だけを思い出したのでしょうか?私達両親の事も思い出さないのですよ?」
コ先生は、まだ若いが優秀な医師だ。
大きな事故の患者を扱うのは初めてだが、自分から担当したいと申し出てくれた。

「テレパシーでも感じたのでしょうかね?」
軽く発した言葉に、スチャンもグミも呆気にとられた。
「テ・・テレパシー・・・ですか?」
茶目っ気ある顔で、スチャンとグミの顔を見た。
コ先生は、プット吹き出した。
「テレパシーというのは冗談ですが、医学でも解明できないものがまだ沢山あるのは事実です。事故の割には怪我もなく、それなのに記憶が消えてしまってました。それが急に思い出し始めてる・・・・それも結婚したばかりの最愛の人だけを・・・どこかでスンジョさんと会ったのではないでしょか・・・」
グミは、目を潤ませながら
「素敵だわ!運命の二人だったのね♪お兄ちゃんとハニちゃんは・・・・・・」
「ママ!」
子供みたいにグミはペロッと舌を出して笑った。
「でもそれはありませんわ。スンジョは、学校以外の外出は通院だけですから。それも私が送迎しているのですから・・・」
「そうですか・・・」
コ・ミンはチラッと、机の上の携帯を見た。

「先生、お忙しそうですね。私達は、スンジョが落ち着いたら帰りますので。」
「ああ、違います。美味しいお弁当を頼んだのでご一緒しませんか?スンジョさんとご両親にぜひ食べていただきたいのです。小さな喫茶店の物ですが、ホッとする懐かしい味なんですよ。会議室に届いていると思うので行きませんか?スンジョさんはきっと点滴も終わった頃なので、処置室に寄って一緒に連れて行きましょう。」

スンジョは点滴が終わり、処置室から廊下に出た時不意に居心地のいい香りを感じた。
パタパタと聞こえる覚えのある足音の方を見ると、数時間前に合ったハニが大きな包みを持って歩いていた。
「君・・・・・アニ?」
スンジョの呼びかけにハニは顔を上げた。
「ス・・・・スンジョ君・・・・・・・。」
事故に遭うまでは堂々としていたスンジョは、記憶が無いからなのかどこか不安そうにしていた。
「逢いたかった・・・・・・何故かな?アニを見ていると、誰かに似ているんだ。」
「誰かって・・・・・・・。」
スンジョ君・・・・・私を本当に忘れたの?スンジョの大きな手がハニのやつれた頬に触れた。
息をするのも忘れてしまいそうなほどに、愛しいスンジョの温もりを頬に感じた。
不意にスンジョがハニを抱きしめた。
「逢いたかった・・・・逢いたかったよ。どうしてたんだ?オレを忘れたのか?」
最初は力なく抱きしめていたスンジョの腕に力が入った。

「スンジョ君・・・・・・。」
最初は戸惑っていたハニも、抑えていたスンジョへの思いが溢れて来た。

「逢いたかった・・・・・私も逢いたかった。逢いたかったよ・・・・・・・。」
スンジョはハニの下げていた包みをそっと受け取り、傍のソファーに乗せた。
ハニの温もりが、ハニの香りが途切れていた記憶を思い出させた。
「ハニ・・・・・・・お前を抱きしめたら・・・思い出したよ。どこにいたんだ?」

ハニは事故に遭った後からソウルに来るまでのいきさつ。
その後、助けてもらったおばさんの喫茶店で住み込みで働いていたことを話した。

「どうして・・・・どうしてすぐに帰ってこなかったんだ?こんなに痩せて・・・・・・・。」
「だって・・・・・こんなひどい顔になったんだもの・・・・スンジョ君に逢えないよ・・・・・。」
赤く充血しているハニの右目から、真珠よりもきれいな涙が流れた。
その赤い右目にそっとスンジョは口づけ、痣のある頬を隠している髪を掃い、いくつも顔にキスをした。
「バカだな・・・・・、どんな姿だってハニだろ?オレが愛した女はハニ以外いないんだ。ハニがいないと、どう過ごしたらいいのか、どう笑ったらいいのかさえも分からないんだ・・・・・・・・」

どれだけキスをしても、この二ヶ月の間会えなかった時間を埋めるには足りない。
どんなに抱きしめても、不安だった思いを埋めるには足りない。
隣りにハニがいて、スンジョがいてそれが二人の本当の幸せ。
二人は自分たちがいる場所が病院だということさえも忘れていた。
ずっと探していた大切な宝物がようやく見つかった。

ふわっとスンジョの記憶がまた途切れた。

「・・・・スンジョ・・・・・スンジョ君・・・・スンジョ君?」

心配そうに覗きこむハニが、オレを必死になって呼んでいる。
何日も眠っていたのだろうか、ハニの顔の痣もかなり薄くなり、目の充血が薄くなっていた。
「ハニ・・・・・痣は?」
「不思議ね、スンジョが眠っている間に急に薄くなって来たのよ。」
痣は薄くなっているが、やつれた顔はまだ戻っていない。
オレはお袋がいるのも忘れて、ハニを抱きしめた。
ベッドに横たわっているオレの上に乗るように倒れこんだハニは、恥ずかしそうにしていた。

「お兄ちゃんったら!まだ無理はダメよ。ハニちゃんも家に戻ることになったし、後はお兄ちゃんの記憶が戻ればなんだけど・・・・・・・・。」
お袋の声も記憶がない時は違和感があったが、今はその違和感も薄れていた。

ハニがオレの記憶を取り戻してくれた。
晴れない頭も靄が取れて、多分完全にはまだ戻っていないが、それもすぐにもどるような気がしていた。
細くなったハニの指を一本づつ確かめるように口付けて、抱きしめたハニの髪の香りを嗅いで、一人で急降下した時の恐怖と戦っていたと思うと、守ることも出来ず自分が記憶を無くしてしまっていたことを申し訳なく思った。「ごめん・・・ハニ。守れなくて・・・・怖かっただろ?」
「平気だよ。スンジョ君が生きていてくれたから・・・・・・・。」
怖がりのハニがオレを気遣っているのだろう。
少しでもハニの中に残っている恐怖を取り除いてやるにはどうしたらいいだろう。

ハニの記憶を消せないでいたから、ハニと出逢ってから直ぐに思い出すことが出来たのだろう。
気が付くと、いたはずのお袋の姿が無かった。
いつの間にか、お袋は病室を出て行き二人だけになっていた。

いつまでもいつまでも消せなかったハニの思いを確かめるように、オレ達は何度も何度もベッドの上で抱き合ったままキスを繰り返した。

 
人気ブログランキングへ
ギャラリー
  • お知らせ
アーカイブ
美容室美容院レーシックfx 口座開設美容整形キャッシング
デリヘルデリヘル 求人里親 募集求人情報美容室裏dvd保険出会い出会いエステ美容整形クレジットカード消費者金融
アクセスカウンター
キャッシング社長ブログseothink tank医薬品 買取ブログパーツお見合い結婚相談住宅ローン
アルバイト情報海外サーバー海外サーバーアクセスカウンター無料ブログカウンターオンラインカウンター借金時計ページランクアダルト動画
アダルト動画 比較裏dvd裏dvddvdレンタル 比較有料アダルト動画 比較月額アダルト動画 比較出会い系サイト 比較ライブチャット 比較裏dvd
ブログカウンター無修正dvdフェラチオキャバクラデリヘル風俗
無料カウンターデリヘル 求人高級 デリヘルキャバクラ 求人借金時計プロバイダ 比較ウォーターサーバー 比較レンタルサーバー 比較クレジットカード 比較生命保険 比較
etcカードエステ脱毛インプラントホームページ製作ドメイン取得化粧品 サンプル自動車保険 比較学資保険 比較おまとめローン 比較キャッシング 比較証券会社 比較fx 比較fx口座開設 比較
無料アクセスカウンターフレッツ光 auひかり 比較fx 初心者誕生日 プレゼント
東京 デートスポット消費者金融 一覧銀行 口座開設アクセスカウンター無料カウンターページランククレジットカード ランキング生命保険 ランキング自動車保険 ランキング学資保険 ランキング育毛剤 ランキング証券会社 ランキングプレゼント ランキングクレジットカード おすすめ
bto パソコンエアコン 工事エアコン クリーニング給湯器 交換犬 里親猫 里親エアコン 取り付けエアコン 取り外しガス給湯器 交換ホストクラブ新宿 デリヘル新宿 デリヘル歌舞伎町 キャバクラ渋谷 デリヘル


バラが降るオルゴール


  • ライブドアブログ