『スンジョや、人の心はお金では買えないし売ることも出来ない。どんなに辛くても、それだけは心の中にしまっておきなさい』
はっきりとそうだとは室長が言わなく、ても、これは政略結婚を進めなければいけないという事だ。
ユン会長が本当は怖い人だと、改めてそう思う切っ掛けでもあった。
面と向かって言えば、融資を引き換えにしていると分かってしまうから、第三者を通じてそれを伝えるのだから。
断るわけにはいかない。
ひとつの新作が出るために、多額な費用が掛かるのは当たり前。
開発費・デザイン料・著作権・・・・その他諸々の物にかかる費用。
勿論、人件費もかかる。
月々の給料+残業代、事務以外のアルバイトの費用。
その計算も出来なければ、この会社の社長とは言えない。
父が家に仕事を持ち込まない事は立派だが、それがスチャンの身体にストレスを与えていたのだ。
室長から聞かされた『政略的な見合い話』が、頭の中を何も考えられないように真っ黒にしていた。
ガラス越しに見える無邪気なハニの顔が、スンジョの心の中の考えを戒めるように見えた。
構わない。
誰もオレの考えている事を知らないのだから。
誰にも知られないうちに、この思いを封印して行こう。
オレの考えでたくさんの人が救われるのなら、それが一番の考えじゃないだろうか。
スンジョは室長から伝えられた会食を、快くではなく引き受けた事に多少の後ろめたさがあった。
ハニに特別な感情があったわけじゃないが、ハニがいるだけでピンと張った弦が少し緩んで心も気持ちも軽くなっていた。
それが特別な感情じゃないと言えるのは、スンジョ自身がその特別な感情の意味が分からないから。
「社長代理・・・・スンジョ君?」
ハニに呼ばれるまで、考え事をしていた事に気が付いていなかった。
「時間が来たから帰ります。」
「あ・・ぁ・・」
退社する挨拶に来たのに、その場から動かないハニに皮肉っぽい顔を向けた。
「どうぞお帰りください・・・とでも言わないといけないのか?」
「ううん・・・そうじゃなくて・・・」
ハニは企画室の人たちが、こちらを見ていないのを確認をするとスンジョの近づき耳元で囁いた。
「今日の夕食、スンジョ君のために愛情たっぷり入れるね!」
それじゃ・・・と言って、企画室内の社長室から出て行った。
ウンジョが見ていれば『新婚ごっこの新妻になり切っている』と言われるだろう。
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はっきりとそうだとは室長が言わなく、ても、これは政略結婚を進めなければいけないという事だ。
ユン会長が本当は怖い人だと、改めてそう思う切っ掛けでもあった。
面と向かって言えば、融資を引き換えにしていると分かってしまうから、第三者を通じてそれを伝えるのだから。
断るわけにはいかない。
ひとつの新作が出るために、多額な費用が掛かるのは当たり前。
開発費・デザイン料・著作権・・・・その他諸々の物にかかる費用。
勿論、人件費もかかる。
月々の給料+残業代、事務以外のアルバイトの費用。
その計算も出来なければ、この会社の社長とは言えない。
父が家に仕事を持ち込まない事は立派だが、それがスチャンの身体にストレスを与えていたのだ。
室長から聞かされた『政略的な見合い話』が、頭の中を何も考えられないように真っ黒にしていた。
ガラス越しに見える無邪気なハニの顔が、スンジョの心の中の考えを戒めるように見えた。
構わない。
誰もオレの考えている事を知らないのだから。
誰にも知られないうちに、この思いを封印して行こう。
オレの考えでたくさんの人が救われるのなら、それが一番の考えじゃないだろうか。
スンジョは室長から伝えられた会食を、快くではなく引き受けた事に多少の後ろめたさがあった。
ハニに特別な感情があったわけじゃないが、ハニがいるだけでピンと張った弦が少し緩んで心も気持ちも軽くなっていた。
それが特別な感情じゃないと言えるのは、スンジョ自身がその特別な感情の意味が分からないから。
「社長代理・・・・スンジョ君?」
ハニに呼ばれるまで、考え事をしていた事に気が付いていなかった。
「時間が来たから帰ります。」
「あ・・ぁ・・」
退社する挨拶に来たのに、その場から動かないハニに皮肉っぽい顔を向けた。
「どうぞお帰りください・・・とでも言わないといけないのか?」
「ううん・・・そうじゃなくて・・・」
ハニは企画室の人たちが、こちらを見ていないのを確認をするとスンジョの近づき耳元で囁いた。
「今日の夕食、スンジョ君のために愛情たっぷり入れるね!」
それじゃ・・・と言って、企画室内の社長室から出て行った。
ウンジョが見ていれば『新婚ごっこの新妻になり切っている』と言われるだろう。
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