2006年09月21日

小泉劇場の検証12

小泉劇場の検証12

検証 構造改革 第4部 当事者たちの証言(朝日新聞の特集)

前財務省財務官 溝口善兵衛氏060919(聞き手・益満雄一郎)

大見出:巨額介入、異常時ゆえ/首相、具体的支持なし
小見出:デフレ下の円高、欧米も理解示す

キーワード為替介入:為替相場を安定的に保つために、財務省の指示を受けた日本銀行が、世界の為替市場で円を売り、外貨買いをする、或いは逆に外貨を売り、円を買うこと。為替相場の変動は市場の需給関係に委ねるのが原則だが、相場の乱高下、経済の基礎的条件から乖離していると判断した場合に介入。
03年1月〜04年4月の溝口財務官時代の約35.3兆円の介入額は、前任の黒田東彦氏の13.6兆円、その前の榊原英資氏の7.8兆円を引き離して歴代財務官でトップ。

・主な主張:巨額の為替介入当事、日経平均株価は一時8千円を切り、デフレスパイラル寸前の状況だった。日本銀行は量的緩和政策をとっていて、金利を下げる余地を失っており、財政悪化の折り財政出動も困難だった。アメリカはイラク戦争間近で、円安圧力がかかり、デフレ下の円高という異常事態に直面していた。欧米の当局者は、世界経済の安定のために、日本経済の健全化のための為替介入に理解を示してくれた。小泉首相とブッシュ大統領の良好な関係も背景にあった。外国為替資金特別会計の累積運用益は約35兆円に達し、約20兆円を一般会計に繰り入れた。長い目でみれば損はしない。

→為替も株も、私には縁がない。しかしその世界市場によって、日本は、そして日本人は振り回された。株価の底値はバブル崩壊後の失われた10年の後にやってきた。当事デフレスパイラルという記事が新聞を賑わせた。グローバリゼーションという言葉は、デフレ終焉を宣言した最近では、好ましい響きで語られる。

5年の長きに及んだ小泉政権が終わりを告げ、小泉改革の継承、憲法改正と教育改革を公約に掲げた阿部政権に引き継がれることが決まった。
最後の特集は、小泉改革、小泉政権の財政再建、経済財政諮問会議、不良債権処理、郵政民営化、道路関係4公団民営化、規制改革、骨太の方針、産業再生機構、為替介入の構造改革に関する10のキーワードのもとで、当事者たちの証言が取り上げられた。
21世紀初頭のこの5年間、様々なことがあったが、私には、失われた10年が喧伝され、経済破綻寸前の閉塞感漂う中で生じた異様なほどの小泉への幻想、ブッシュとの関係の優先と経済回復のために過去の価値観をあっさりと棄てたイラク派兵と規制緩和、そして勝ち組による経済回復の下での日本社会を覆った格差の受容の記憶が強い。ブッシュの戦争は泥沼的に続き、景気回復の原動力になった規制緩和や格差は基調になった。また、歴史認識の差を盾に靖国参拝を繰り返した小泉首相が招いた東アジアでの孤立という状況も忘れ難い。小泉前と後とでは、日本は大きく変わった。
同じ時期に経済の自由化の促進により経済回復をなしたタイで、軍のクーデターがあった。首相一族の疑惑が原因とされるが、日本では関係者が多く、不透明になっている。槍玉に上がったのは、ライブドアにとどまる。
人口減少、高齢社会に突入し、年金問題、医療・保険問題、少子問題、いずれも、店ざらし状況にある。小泉を支持した人々に、自己責任という言葉は重い筈だった。
さて、掲載された当事者たちの証言は、直面した人たちにとって正の遺産としての評価であったが、各々の政策に付随した負の遺産として、競争を是とする格差社会が進行する二極化の姿が結果した。規制緩和は、過去とは違うルールの導入のはずだったが、ただただ市場経済が優先され、共有すべき公共もどこかに置いていかれた。この間に平等という言葉は消え、二極化の結果、競争の場から外され、自己責任を負わされた人たち、地方に対する安全網という言葉に置き換わった。その中で、自殺者との関係を取り沙汰された消費者金融は生き延びていく。
地方の時代の幕開けといわれた地方分権は、市町村合併の流れに飲み込まれ、今年7月の夕張市を初めとして、今までの野放図な投資の付けで地方の財政破綻の危機が喧伝される中で、先が見えない。他方、頑張っている地方も耳にする。二極化において、明を見るか、暗を見るか。いつもぶれる。



haotakaban at 11:43│Comments(0)TrackBack(0)

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