2006年09月

2006年09月24日

大里(おり)峠と萱野(かやの)峠へ

f173cd6c.JPG この一週間、秋らしい乾いた空気に包まれ、朝は肌寒いほどの、そして日中は快適な日が続きました。今日の午後を逃せば、しばらくゆっくり山歩きもできなくなりそうだったので、前々から行ってみたいと考えていた「大里(おり)峠」に行くことにしました。
 まだ人馬が交通の手段だった頃、上杉の城下町米沢と、日本海航路を経て京や大阪とつながる越後とを結んでいた「越後街道」には、十三の峠があったそうです。そのうちの黒沢峠は、「敷石の峠道」として以前から名が知られていましたが、ここ数年、かつての街道や峠道を復元しようとする動きがあって、藪に覆われていた山道の刈り払いが行われるようになっていたのです。
 大里峠は山形県小国町の玉川の集落と新潟県関川村を結ぶ道にある峠です。県道から林道に入って約1キロ。そこまで車で入り、歩き始めました。はじめは杉の植林地の中ですが、まもなくミズナラやブナの林の中に道は伸びていました。頭上に高圧線や鉄塔があるのが気になりましたが、森の様子はなかなかいいものでした。峠までのちょうど中間点あたりと思われるところに、なだらかな場所があって、見事なブナの大木がありました。まるで「千手さま」のような姿です。幹の直径が1メートルほどもあるものでした。そのあたりは、ほとんどが二次林でしたが、さすがにこのブナの木を切るのがためらわれたのではないでしょうか。
 峠に着くと、反対の新潟側から登ってきた人が一人いました。新潟側の様子などを尋ねているうちに、「この少し上まで行くと海が見えるよ。」とのこと。祠の裏手にあった急な斜面を登ってみました。その先のピークには高圧鉄塔が立っていたのですが、北西の方向に日本海が見えました! 標高は500mもないのですが、黄金色の田んぼや家並みの向こうに青い海が広がっていました。
 いったん下って、こんどは玉川集落の反対側の萱野峠へと向かいました。入り口の民家の前にいたおじさんから「峠の標識にクマの爪あとがあるから気をつけて」と忠告を受けてスタートしました。途中には敷石がところどころに現れていました。もしかしたら、まだまだ埋もれているのかも知れません。この峠は標高が300mたらずでしたので、20分あまりで峠に着きました。ありました、生々しい傷が。ちょっと緊張しながらあたりを見回しましたが、クマの気配はありませんでした。
 沢の水音を聞きながら、また木々の間をすり抜けてゆく風の音に耳をくすぐられながら、山道を歩いてきました。

 


happajuku at 18:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) ブナの森の四季 

2006年09月23日

白いブナの森で「芋煮会」

443ea23d.JPG 台風13号が去ってから急に秋めいて、朝の気温が10℃ぐらいに下がっていました。こんなとき、ここらあたりは、朝霧に包まれます。「白いブナの森で芋煮会」の23日朝もそうでした。
 長井市内に集合し、出発して山道にかかり始めると、霧の上に出ました。頭上には真っ青な秋の空が広がっていました。奥へ奥へと20数キロ。途中から道は未舗装となり、かなりの悪路。1時間あまりかかって「祝瓶山荘」に到着。ここからハイキングの始まりです。
 木々はわずかに色づき始めていましたが、まだまだ緑いっぱいの中をアカハナ尾根のブナの森を目指しました。4歳のハルコちゃんも元気に歩きました。途中にはゆらゆら揺れるつり橋や、崖っぷちに細く切られた登山道があってひやひやしましたが、昼食に予定していた「桑住平」に到着。そこに荷物を置いて、のんびりとアカハナの尾根へ向かいました。
 もともとブナの木肌は灰色ですべすべするのですが、ほとんどの地域では、その表面にコケや地衣類が共生し、まだらの模様になっています。ところがここアカハナのブナ林は木肌が白っぽく、あまりコケなどが生えていないのです。「美人ブナ」と私は勝手に呼んでいます。暑くなく寒くなく、本当に爽やかな風が吹き抜けていました。
 桑住平に戻って、早速芋煮を作りました。サトイモ、コンニャク、キノコ(シメジとマイタケ)、そして肉は牛肉です! しょう油と砂糖と日本酒で味を調えて、最後にネギをいれて出来上がり! 歩いてずいぶんおなかがすいていた子どもたちは、倒木を椅子にして元気に「いただきまあす!」
 山形市から参加してくださったIさんが、「みんなで食べてね」と出してくださったのは、何と葉っぱ型のクッキー! 葉っぱ塾の行事にぴったりの素敵なお菓子のプレゼントでした。
 ちょっと鼻炎のある私の鼻は、森の中にかぎってすうっと通ります。何と気持ちの良いことでしょう。家に帰るとやっぱり元に戻っていましたが・・・。
 子どもたちが楽しそうにしている、歓声が聞こえる。何てすばらしいことなんでしょうね。秋の一日、楽しい時間をありがとう。

happajuku at 17:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 葉っぱ塾行事レポート 

2006年09月20日

本格的な秋の訪れ

 台風13号が日本海を北上してゆきました。西日本に大きな被害をもたらしととのニュースに心が痛みます。台風が日本海の西部を通ったために、このあたりは強風域には入ることなく、雨もさほどではありませんでした。
 台風は大きな熱帯低気圧ですが、太陽からのエネルギーをたくさん受け取る熱帯地域と、あまり受け取ることのできない高緯度地域の熱較差(エネルギーの不均衡)を解消しようとするものです。これによって熱が運ばれているというわけです。
 台風が来る前の10日間ほどは北の高気圧圏内で寒いほどの気温でした。セミの声もいつしか聞かれなくなっていましたが、台風の北上に伴って南の暖かい空気が持ち込まれてきました。そして昨日はしばらくぶりに太陽が姿を現しました。そして、ふと気がついてみると、街中でも桜の葉の一部が赤や黄色に変わり始めているのです。いよいよ本格的な秋の訪れですね。
 「葉っぱ塾」の秋の行事は23日の「白いブナの森でいも煮会」です。天候が良くないような予報で心配ですが、4ファミリーが申し込んでくださっています。にぎやかに山形の秋の風物詩である「いも煮会」を楽しめそうです。


happajuku at 04:10|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 葉っぱ塾からのメッセージ 

2006年09月17日

霧にけむる禿(かむろ)岳のブナの森

 9月に入り、秋の長雨になっていました。17日は先日下見にでかけた山形・宮城県境にある「禿岳1261m」のガイドでした。前日からの天気予報では降水確率80%ほどで、あまりいい日和ではないと、半ばあきらめていました。一緒にガイドするYさんと同乗して現地に向かううち、空が心なしか明るくなってきたように思いました。
 しかし、標高800mの花立(はなたち)峠に着くと、霧雨で、周囲はほとんど見ることができない状況でした。風がさほど強くなかったのは幸いでした。
 雨の中、山に登って何が楽しいか、と思う方もおられるかもしれません。しかし、雨のときにしか見られない風景と言うのもあります。しっとりと濡れた木々の葉、幹を流れ落ちる「幹流水」、雨のしずくをたたえた小さな花々などなど。
 今は花の最盛期は過ぎ、紅葉にも少し早いのですが、山にはいつでも「そのとき」しか味わえないものが必ずあるように思うのです。今は、“小さい秋みつけた”といった季節かもしれません。オヤマリンドウの鮮やかな紫色が、今日一番の秋でした。「雨か、いやだなあ」と思いながら来てくださったゲストの皆さんが、「意外とそうでもないね」などと思って帰ってくださったのなら、ガイド冥利に尽きます。
 もしかしたらもうお会いすることはないかもしれない人もおられるのかもしれませんが、一度の出会いで、少しでも山や自然に対する見方が変わった、などと言っていただけたらうれしい限りです。
 登山道の西側に広がるブナの森は、霧雨に煙り、幻想的な様相を見せてくれました。「雨なのによく来たね」とでも言ってもらっているような優しい気品を感じながら下山しました。





happajuku at 19:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 山旅の報告 

2006年09月16日

初めての禿(かむろ)岳

7a0ec540.JPG9月2日、3日は「葉っぱ塾」で大朝日山行の予定でしたが、参加申し込みがなく、ぽっかり空いておりました。皮肉にも天候は良いようでした。そこで、9月中旬にガイドを依頼された、「かむろ岳」に下見に行ってきました。

 「かむろ」と名のつく山は山形県にはいくつかあるのですが、今回の山は、山形県最上町と宮城県の県境にある、標高1261mの山です。自宅から登山口まで、2時間半かかりました。花立峠という登山口がちょうど県境で、宮城県側は鬼首(おにこうべ)リゾートです。登山道はまさに県境に沿って伸びていて、右足が宮城県側、左足が山形県側を歩く、といった感じです。

 花立峠の標高が約800mでしたので、実質標高差は500mたらず。ゆっくり登って1時間半ほどで山頂でした。かすんでいた西の方角はあまり見えませんでしたが、北東の栗駒、南の船形山方面はわりと展望できました。山頂付近にはイワイチョウ、イワショウブなどが咲いていました。花の少ないこの時期には貴重な花々でした。

 道々、「1合目」から「9合目」まで、そのつど標識が立っていました。親切といえないこともないのですが、味気ない面もありますね。帰りには最上町の大堀温泉で汗を流してきました。昼前の温泉は独り占めでした。


happajuku at 16:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 山旅の報告 

2006年09月13日

山また山4時間、絶景に歓声(06年9月13日掲載)

 この夏は梅雨明けが遅れ、葉っぱ塾の「子どもキャンプ」にも影響するのではと気がかりだったが、梅雨明け直後の安定した夏空に恵まれ、無事に終えることができた。
今年は県内はもとより首都圏や宮城からの参加もあり、小学1年から6年までの男女12人でのにぎやかなキャンプとなった。
 長井葉山の麓に、地元の方々が整備してくださった森林公園があって、水量豊富な冷たい沢水がひかれているのが何よりありがたい。加えて人工的な照明が全くなく、野生動物たちの生息域に入り込んだように生活できる点がすばらしい。
 真っ暗な夜、テント場から少し離れたトイレまで、懐中電灯を手にしてドキドキしながら歩くことなど、今の子どもたちにはなかなか経験できないことである。電気炊飯器もないのにどうやってご飯を炊くのかといぶかる子どもたちには、鍋でもご飯が炊けることは驚きだったりする。  
 4日間のキャンプの3日目、全員で長井葉山に登ることにしていた。苦労して頂上をきわめたときに得られる大展望や、山頂近くに湧き出る「鉾立(ほこだて)清水」のあの冷たさを子どもたちにじかに体験させたかったのだ。
暑さの中、4時間もかかる山道を歩き通すことができるか、不安はあった。結果的に、キャンプの前にひいた風邪が完治していなかった1名が途中でリタイアとなったが、残る11名の子どもたちは、励まし合いながら山頂をきわめることができた。水温5度ほどの、手を切るような清水は、暑さの中を登った子どもたちには何よりのご褒美だった。
 山頂にある山荘の前でむさぼるように昼食を食べた子どもたちを、大展望がひらける「奥の院」に案内した。見渡す限り山また山が重なるかなたに向かって、「クマさあん、来たよ! ヤッホー!」と叫ぶなど、子どもたちは彼らなりのやり方で登頂の感激を表現していた。その様子を見ていた私まで胸が熱くなった。
 いつか大人になったときに、素直に感動したこの日のことを思い出してくれたら、どんなにうれしいことだろう。キャンプを終えてしばらくたった今でも、私の心の中で、あの時の子どもたちの歓声がこだましている。(八木文明)


happajuku at 19:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 朝日新聞山形版掲載エッセイ 

2006年09月07日

初めての早池峰山

 9月5日から6日、岩手県の名峰、早池峰山に行ってきました。今回、日本山岳ガイド協会の資格更新研修というものに参加したのです。家から約300キロの道のりでしたが、事前の下調べのおかげで、迷わずに麓の岳集落の宿に着きました。
 5日は、座学と麓での短時間の研修で、本番は6日。心配された天候でしたが、朝4時前に起きて空を見上げると、満天の星空。麓でも標高が1000メートルに近いせいで、空気も澄んで、気温も「寒い!」というくらいでした。準備をして登山口を出発したのは午前5時。東の空が白み始めてきたころでした。
 早池峰は、「花の名山」としても知られています。花の見ごろは6月から7月とのことで、この時期人出はありませんでしたが、一日歩き回る中で20数種類の花をメモしました。ハヤチネウスユキソウやナンブトラノオなどは、この早池峰の固有種として知られています。
 登りは岩だらけの急斜面を、様々な課題をこなしながら登りました。ちょとクライミング気分。山形にはこんな山がないので、ワクワクしてしまいました。1913メートルの山頂からの眺めも素晴らしいものでした。内陸育ちの私には、山から太平洋が見えるなんて感激でした。また、鳥海山も見ることができ、澄んだ空気に感謝しました。
 ぐるっと山を一周して下山したのはもう午後6時になっていました。13時間にわたる研修は、とても意義深いものでした。降りてくるのを待ち構えたように雨が降り出し、今回も「晴れ男」は続きました。

happajuku at 15:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 山旅の報告