2010年05月16日
クマに出会った新緑の黒沢峠
※「葉っぱ塾」では募集中の企画があります。右の「カテゴリー(Categories)」の「只今募集中の企画」というところをクリックしてご覧ください。
<トチの木も多い、黒沢峠>
参加者がないかと思われた「新緑の黒沢峠」に、山の講座を受講してくださっているSさんから「友人と二人で参加します」と連絡があったのは締め切り直前のことでした。15日は、朝まではまだ寒気が残っていましたが、しだいに高気圧に覆われて晴れてくるとの予報で、しかもようやく気温も上昇傾向になるとのことでした。
峠の入り口の駐車場の八重桜の下に車を駐め、歩き始めたのが9時半。今回参加のお二人は、地元の公立の病院に4月から新規に採用された同期とのことで、さまざまなストレスを解消したいという思いもあったようでした。次第に雲が切れてゆくにつれて、新緑のブナやトチの葉がステンドグラスのようになり、深く呼吸をしながらゆっくりゆっくり歩いてゆきました。
<間もなく峠を登り切る>
途中で休憩をとり、また藪に分け入ってコシアブラを採取し、峠の頂上に着いたのが11時ごろでした。今は高い木があって眺望はききませんが、昔、人がこの道を行き交っていたころはどうだったのでしょうか。それほど大きな峠ではありませんが、きっと登りきったあたりで一休みしたのではないでしょうか。
峠の反対側へ下ると、30分ほどで横川ダム湖畔に着きます。今では水底に沈んでしまっていますが「市野々」という集落がこのあたりにあったのです。ダム湖を見ながら昼食。家の庭から取ってきたタケノコと、途中で採取したコシアブラを入れて味噌汁を作り、しばし歓談。
<新緑と新芽の微妙な色のモザイク模様>
来た道を戻るのもまた、風景は違って見えるものです。山肌は新緑と新芽の様々な色合いが競い合い、この時期にしか見られない色合いを見せてくれました。
「古屋敷」という茶店跡までもう少しというところまできたときに、前方の斜面の下から黒いものが登ってくるのが目に入りました。その先は少し開けたところで、いろいろな山菜が採れる場所でもありますし、沢も流れています。クマの食事中を私たちが邪魔をしてしまったのかもしれません。
クマから目を離さず少し後ろに下がったのはよかったのですが、道を踏み外し、斜面を滑り落ちてしまいました。二人に手を引いてもらって道に復帰し、クマが登っていった斜面の方向をじっと見ましたが、もう遠ざかって見えませんでした。持っていた笛を吹き、大きな声をあげてからまた歩き始めました。距離にして30mほどで見たことになります。何度も山に登っていますが、クマに出会ったのはこれで2回目のことでした。
新緑よりも山菜よりも、「クマに出会った」ということが思い出になりそうな黒沢峠ハイキングでした。山に入るとき、時々音を出しながら、というのがクマに対してはやはりいいのだと思います。出会わない工夫ができるのは私たちの側ですから。
<トチの木も多い、黒沢峠>
参加者がないかと思われた「新緑の黒沢峠」に、山の講座を受講してくださっているSさんから「友人と二人で参加します」と連絡があったのは締め切り直前のことでした。15日は、朝まではまだ寒気が残っていましたが、しだいに高気圧に覆われて晴れてくるとの予報で、しかもようやく気温も上昇傾向になるとのことでした。
峠の入り口の駐車場の八重桜の下に車を駐め、歩き始めたのが9時半。今回参加のお二人は、地元の公立の病院に4月から新規に採用された同期とのことで、さまざまなストレスを解消したいという思いもあったようでした。次第に雲が切れてゆくにつれて、新緑のブナやトチの葉がステンドグラスのようになり、深く呼吸をしながらゆっくりゆっくり歩いてゆきました。
<間もなく峠を登り切る>
途中で休憩をとり、また藪に分け入ってコシアブラを採取し、峠の頂上に着いたのが11時ごろでした。今は高い木があって眺望はききませんが、昔、人がこの道を行き交っていたころはどうだったのでしょうか。それほど大きな峠ではありませんが、きっと登りきったあたりで一休みしたのではないでしょうか。
峠の反対側へ下ると、30分ほどで横川ダム湖畔に着きます。今では水底に沈んでしまっていますが「市野々」という集落がこのあたりにあったのです。ダム湖を見ながら昼食。家の庭から取ってきたタケノコと、途中で採取したコシアブラを入れて味噌汁を作り、しばし歓談。
<新緑と新芽の微妙な色のモザイク模様>
来た道を戻るのもまた、風景は違って見えるものです。山肌は新緑と新芽の様々な色合いが競い合い、この時期にしか見られない色合いを見せてくれました。
「古屋敷」という茶店跡までもう少しというところまできたときに、前方の斜面の下から黒いものが登ってくるのが目に入りました。その先は少し開けたところで、いろいろな山菜が採れる場所でもありますし、沢も流れています。クマの食事中を私たちが邪魔をしてしまったのかもしれません。
クマから目を離さず少し後ろに下がったのはよかったのですが、道を踏み外し、斜面を滑り落ちてしまいました。二人に手を引いてもらって道に復帰し、クマが登っていった斜面の方向をじっと見ましたが、もう遠ざかって見えませんでした。持っていた笛を吹き、大きな声をあげてからまた歩き始めました。距離にして30mほどで見たことになります。何度も山に登っていますが、クマに出会ったのはこれで2回目のことでした。
新緑よりも山菜よりも、「クマに出会った」ということが思い出になりそうな黒沢峠ハイキングでした。山に入るとき、時々音を出しながら、というのがクマに対してはやはりいいのだと思います。出会わない工夫ができるのは私たちの側ですから。
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この記事へのコメント
1. Posted by きよこ 2010年05月16日 04:57
ご無事で何よりでした。やはり新緑の季節、山菜のシーズンということはクマたちにとっても、山の恵みに舌鼓をうつ季節でもあるのですね。道を踏み外されたとのことでドキッとしました。何もなくて本当に良かったです。クマとの出会いが印象的なハイキングとなりましたね。
これからのヤギおじさんの活動が実感をもってなされるようになりますね。自然からのはからいのようにも感じます。
これからのヤギおじさんの活動が実感をもってなされるようになりますね。自然からのはからいのようにも感じます。
2. Posted by 葉っぱ塾より 2010年05月16日 05:01
ゆうべは二人だけの晩餐を楽しまれたでしょうか?
クマが「いる」という自然の中で活動することは、緊張することでもありますが、また、ゆたかな自然に恵まれているということを認識するという面もありますね。ゲストのお二人も初めてということでしたので、きっと印象深かったと思います。
クマが「いる」という自然の中で活動することは、緊張することでもありますが、また、ゆたかな自然に恵まれているということを認識するという面もありますね。ゲストのお二人も初めてということでしたので、きっと印象深かったと思います。
3. Posted by きよこ 2010年05月16日 05:22
ありがとうございます。二人だけの晩餐、けんかもせず?仲良くいただきました。
星野道夫さんはオオカミと出会ったとき、その背景にある大きな自然を感じられ、嬉しさをつづっておられましたが、クマがいる、ということもクマを養う大きな自然がある、ということでやはり喜ばしいことだという気持ちがありますね。星野さんは、クマがいて緊張できる自然の姿が好ましい旨のこともつづっておられましたね。ただ、山自身に食事となるものが少なくなっているためのトラブルが心配ですね。山形は本当に自然が豊かなことが伝わってきます。そうはいっても、何もないことが何よりでした。
星野道夫さんはオオカミと出会ったとき、その背景にある大きな自然を感じられ、嬉しさをつづっておられましたが、クマがいる、ということもクマを養う大きな自然がある、ということでやはり喜ばしいことだという気持ちがありますね。星野さんは、クマがいて緊張できる自然の姿が好ましい旨のこともつづっておられましたね。ただ、山自身に食事となるものが少なくなっているためのトラブルが心配ですね。山形は本当に自然が豊かなことが伝わってきます。そうはいっても、何もないことが何よりでした。
4. Posted by gashun 2010年05月16日 18:51
先週9日に私達夫婦も黒沢峠を往復してきました。駐車場の八重桜はまだ蕾でした。敷石の所々に雪が残っており,かたくりが満開でした。ブナの若葉の中を歩いていると,地元の方と出会い少しお話をさせていただきました。この辺もナラ枯れが進んできて,昨年処置をしたところの様子と進み具合を見回りに来たとのことでした。ここを訪れる方々が安心して通れるようにとの配慮のようです。有り難いことです。
5. Posted by 葉っぱ塾より 2010年05月16日 18:54
野生動物との共生、ということは、それらが身近にいればいるほど、意外に難しいことだということを思います。きよこさんのおっしゃるように、クマの存在を「自然の豊かさ」の結果であると多くの人々が認識してくれるのであればいいのですね。
6. Posted by 葉っぱ塾より 2010年05月16日 18:58
gashunさん、すでに歩いておられたのですね。ナラ枯れの木に巻きつけられた目印のテープが痛々しかったです。今後どのように推移するのか気になっています。