2014年04月04日

☆★気が重い「特定鳥獣保護管理検討委員会」出席〜これでよいのか山形の野生動物対策

4aeac486fa50c00734bf.JPG

<ナラ枯れの木が目立つ山肌>



※今回のようなクマに関する記事を書きますと、時々、どこのどなたかわからない人からの「誹謗中傷」のようなコメントをいただくことがあります。このブログは、議論をする場とは考えておりません。「自分と考えが違う」と思われた方は、どうぞスルーしてくださるようお願いいたします。ご自身の意見はどうぞ外に向かって堂々と発表なさってください。


  私は山形県の「特定鳥獣保護管理検討委員会」という会合のメンバーに、県内の自然保護団体の代表として入っています。

  各年度、原則2回開催される会合に出席していますが、昨年度の2回目の会合は2月28日に県庁内で開催されました。

  農業県であるこの山形では、野生動物による農作物への被害が多く発生していますし、時に、人身事故が起きる場合もあります。そうした状況を踏まえて、ツキノワグマやニホンザルの個体数を「管理」してゆこうというのが、「特定鳥獣保護管理計画」です。

  この会合に出ることは私にとってはとても重苦しいものがあります。その理由は、ツキノワグマやニホンザルの命が、単なる「数」として取り扱われるということへの違和感に起因しています。

  2月の会合で明らかになった「数」の一部は次のようなものです。

  仝内に生息しているツキノワグマの生息数は2566頭(平成25年度当初)。

  ∧神25年度に捕獲(補殺)されたツキノワグマは131頭。

  8賃凌瑤料加率は12%。

  な神26年度当初の生息数は2730頭。

  ナ神26年度の捕獲数の上限を262頭とする。


  出席するたびに私が述べているのは、生息数の推定があまりにもあいまいなものであることが第一です。

  県の資料に提示されている生息数の推定にはたくさんの「仮定」が含まれています。猟友会の方々の協力で行われる春の調査は、ほんとうにわずかな面積でしか行われてはいないのですが、そこで出されたクマの目撃数から先は、仮定、仮定の連続です。

  私は統計の専門知識がありませんので、いくつもの仮定を積み重ねて算出される生息数に、果たしてどれだけの信頼性があるものなのかわかりません。

  そういう状況の中で、「出たら殺す」ということだけでは、気が付いてみたらクマがいなくなっていた、ということになってしまわないのかを危惧します。


3e1d5f31a0c8d9808f58.JPG

<クマによって枝を折られた果樹>


  もう一つ私が述べてきたのは、野生動物による農業被害に対して、ほんとうに十分な方策がとられているのかということです。

  山地の多い山形では、すぐ近くに山が迫るところでも、田畑や果樹園が作られています。クマの立場から見れば、森だと思って歩いていたら、急に果樹園に出た、などということもあるのかもしれません。

  上の写真の果樹園は南陽市内のものですが、裏手の山と果樹園の境界には防護柵などの設置はしてありませんでした。

  農業者から見れば、県を特徴づける作物を栽培しているのだから、それを守るための対策には行政からの支援が必要だと考えるでしょう。

  そしてそうした方策はあるのですが、私からみれば、自己負担をわずかに減らす程度の不十分なものにしか見えません。もっと手厚い助成が必要だと思うのです。

  県の「計画」は、「野生動物など、害獣だから駆逐してしまえ!」と言っているわけではありません。野生動物との「共存」を謳っています。その方向性に誤りはないと思います。

  山形では古来、野生動物との共存共栄を見事に実現してきた伝統や文化があります。しかし、人間生活の変化に伴って、野生動物たちの置かれた環境も変化しています。

  伝統や文化を大切にしつつ、人間の英知をふりしぼって真の「共存」の方向へ歩んでいかなければ、「クマ絶滅」ということも現実になりかねません。

  なお、こうした問題について、かつて朝日新聞山形版に連続エッセイを寄稿しておりますので、それも参照ください。

  2006年12月 6日掲載

  2007年 4月11日掲載

  日本熊森協会山形県支部は、十分な活動を行ってきてはいないのですが、今年度はナラ枯れ対策の一つとして注目されている、「炭撒き」を実践してみたいと、先進支部にご指導をお願いしています。

  森が豊かになることで、野生動物だけでなく、私たち人間も守られていきます。



☆このブログの History View はこちら

※コメントの書き込みは下の↓Commentsをクリックください。


happajuku at 05:11│Comments(2)TrackBack(0) 日本熊森協会関連 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by きよこ   2014年04月04日 05:27
クマは本当にそんなに数がいるのだろうかと危惧してしまいます。行政の考えることがあまりにも浅く、目先のことだけで本当にがっかりしてしまうのですが、地道にこつこつと、成していくしかないのだな・・・と思います。

2006年12月のブログ、クマの気持ちになっての文章、素晴らしいですね。子どもたちや大人にも、こうして、「クマの気持ち」になって考えてみることで、そこから見えることがないかと思います。農業の盛んな山形ではそのような私の考えは甘いと思われるかもしれません。でも本当に自然と共に農業をなさることを魂で意識しておられる方は、その恵みがどこからきているか、はるかにご存じだと感じています。何を大切にするべきかを良くご存じだと・・・。そんな風に「気づいて」いる方の小さな声を受け止めたいです。
2. Posted by 葉っぱ塾より   2014年04月04日 06:26
 委員会の人選は基本的には県が行います。自然保護団体から入っているのは、「いろいろな意見を聞きましたよ」ということにするための「目くらまし」のようなものかもしれないと思うことがあります。こうした行政主導の会合は、どれでも同じようなものかもしれません。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔