ふっきーの演劇ワークショップ日誌

演劇ワークショップと言ってもいろいろ。自分の考える「演劇」や「ワークショップ」を、現場だけでなく率直な言葉で発信していきたいと思い、このブログを作りました。が、最近は地元葛飾区立石の関係の発信が多くなってきております。

May 2006

大変なところに来ました

水俣に来てから、はや二ヶ月がたとうとしています。
大変な仕事をやりながらも、いろいろな人からかわいがられ、比較的恵まれた環境で過ごせているのではないかなと思っています。「まだ二ヶ月しかいないのに、ずっと前からいるみたいですね」などとうれしいことを言ってもらったりもしました。
現地で「水俣はどうですか?」とか「仕事はどうですか?」などと聞かれることが多いのですが、正直に「大変なところに来ました」と言うと、十中八九笑ってもらえます。と言うのも、ほとんどの人に水俣は大変なところだという自覚があるからなのですが。
でも、この笑いというのがなかなかバカにならなくて。深刻な問題を抱える地域だからこそ、笑いが持つ意味というのも大きい気がするのです。水俣に来てから、怒ったり、いらいらしたりすることも多いのですが、大きな声で笑うことも多いように思います。
いずれにせよ大変なところに来たということだけは事実です。最近、プライベートが貧弱な気がしています。いくら忙しいにしろ、これではいけませんね。

大牟田に行ってきました

昨日から一泊二日で福岡県の大牟田に行ってきました。大牟田と言えば、かの三池闘争の地。らしいのですが、詳しいことはあまり知らずに来てしまいました。恥ずかしい話です。これを機に勉強をしようと思っています。
なぜ来たのかというと。大牟田で『水俣わが故郷』の上映会が開かれ、それに合わせて、映画の主人公であるほっとはうすのメンバーがあいさつをすることなっており、自分も演劇ワークショップの宣伝をするということで同行しました。(これにもいろいろと事情があったのですが)
『水俣わが故郷』は、ほっとはうすに通う胎児性患者や障がい者の人たちが小学校でおこなっている、水俣病を伝えるプログラムの様子を描いたドキュメンタリーです。自分が見るのは二度目だったのですが、二度目だけにいろいろなところに気づくことができました。一番印象的だったのは子どもたちの目です。小さい頃から差別や偏見を受け、現在もなお難しい環境にある胎児性の人たちの言葉を一生懸命に受け止めようとしているたくさんの子どもの目がありました。必ずしも人事ではないと、聞き入る目。この時期に、このような授業を受けている子どもたちが大人になったときに作る地域はどうなるのだろうと、期待を抱かせて余りある目がたくさんありました。水俣に生まれたからこそ、水俣を伝えられるようになりたい。そのために水俣のことをしっかりと知りたい。どの目にもそんな意志が感じられました。やはり子どもはすごい!そういう子どもがいる水俣もすごいです。

昨日はホテルの最上階のバーでカクテルを飲みました。東京を離れてから二ヶ月ぶりのカクテルです。久しぶりに水俣から解放された空気を味わいました。(とは言っても、いっしょにいたのは水俣の人たちだけど。)


読むということ

いろいろな人とのやり取りを経て、本日、ようやく第二回目のワークショップの新聞ができあがりました。たかが新聞、されど新聞。ひとつ新聞を作るにも、単純に自分の思いだけで作れないのがつらいところです。(自分は「ワークショップの楽しさ」を伝えたいと思って書いたのですが。)
今日はできあがった新聞を持って、胎児性患者や障がい者の人たちの施設を中心にいろいろなところへ広報活動に回りました。しかし、途中で大きな失敗に気づかされました。ある人に「なんて書いてあるか、読んでくれんかね」と言われたのです。そう、彼らの中には字が読めない人もいるのです。自分は新聞の内容は気にしましたが、読む人が字を読めるかどうかまでは気にしませんでした。それは新聞に意見を出してくれた何人かの方々も同じです。
そのため、いくつかの場所で実際に声を出して、新聞を読むということをやってきました。ひとつひとつ相手に伝わっているかを確認しながら読んでいく作業。確かに相手に伝えているという実感がありました。
新聞を通じて、ひとつの大切なことを教えてもらった一日でした。

鍛えられる

きれいは汚い
汚いはきれい

シェイクスピアの「マクベス」の冒頭で魔女が語るセリフだ。

水俣ではこの言葉通りのことがたくさんある。
一日にいろいろな「きれい」と「汚い」を見せられて、
「それでも人間が好きか」と問いかけられているようである。

本当に鍛えられる。

さっそく、次回の参加者が

本日、たまたま、昨日の参加者の方がいる、精神障がいの人を中心とした施設に立ち寄る機会がありました。みなさんは農作業をしている最中だったのですが、昨日いっしょに散歩をした人もいて、「疲れませんでしたか?」と聞くと、首を振って「楽しかった」と一言。すごくいい笑みがこぼれて、こっちまで幸せになりました。
そこでは質問攻めにあい、自分たちがやろうとしていることや昨日やったこと、次回のことなどを簡単に説明すると、何人かの人が興味を持ってくれたようでした。また宣伝に訪れることだけを約束し、その場は去りました。
そして、夕方過ぎに見知らぬ番号から電話が。出てみると、今日はじめて会ったばかりの方が「次に参加したい」ということで、さっそく電話をかけてきてくれました。いきなりだとは思いましたが、その人の参加をしたいという思いが伝わってきて、とてもうれしかったです。水俣で演劇ワークショップをやるのに、いろいろな複雑な状況はあるのですが、参加者のこういうシンプルな思いに支えられて大変な仕事をしています。

第二回ワークショップ終了。参加者のみなさん、協力してくれたみなさんありがとう。

7ef3d5cf.JPG5月21日。なんとか無事にワークショップが終わりました。今回の進行役は花崎さんとふたり。
いろいろな事情で、朝から参加者の麦茶を作り、救急箱を用意し、ふたりだけで会場のセッティングをし、ワークショップまでまわすという、まさに八面六臂の活躍でした。(この件に関しては文句たらたらです。)
でも、やはりワークショップの時間は楽しく、参加者の素直な反応から元気をもらいます。今回は町歩きということで、グループに分かれて、自分の作った地図を片手に会場の公民館のまわりを散策してもらいました。古いものや気になったものをチェックして、できれば近くにいる人に話を聞いてみるということも含めて。
 
自分もひとつのグループについていくことにしました。そのグループには水俣に40年近く住んでいる年配の方がいて、歩きながら「この店はパン屋だった」とか「ここは旅館があった」とか解説をしてくれます。小学生や高校生も混じっていたのですが、とても興味深そうに聞いていました。やはり住んでいる町の情報はおもしろいみたいです。
その方のおかげで自分が着いていったグループはかなりの収穫がありました。
まずはミツヤ菓子店。老舗っぽい作りの建物だなとは思っていたのですが、お店の人にうかがってみると、なんと創業100年、建て替えをしてから50年ということで、まさにチッソの100年の歴史、水俣病50年の歴史と時を同じくします。その日は歴史についての詳しい話を聞くことはできませんでしたが、生活面で色濃く水俣病の影響を受けていることは必至です。このお店自体が物語にもなりうるなと思ってしまいました。

次は民家にある水神さま。幾度となく通っていた道の庭先にもかかわらず、全然気づかず、気づいたとしても入れないようなところにありました。現在は商業地区で交通量の多い、市の中心的な場所なのですが、当時は水俣川の下流域が二手に分かれており水害が多かったところだそうです。そこで、部落の人たちが共同で水神さまを祭り、それがいまも立派に残っているみたいです。最初は突然の訪問に驚き気味だったご主人でしたが、自分たちのやっていることを説明したり、みんなでおもしろがって質問をしたりしているうちに、なにかを思いついたらしく家の中へ。しばらく待っていると、なんと昭和初期に目の前の道に橋がかかっていた写真を持ってきてくれました。この貴重な写真にはみんな大喜び。ご主人の説明を聞き入りました。ご主人もその写真はいつ見たかわからないほどだそうで、偶然の出会いにかなり愉快そうでした。町歩きやワークショップのおもしろさはこんなところにもあります。同行していたマスコミの人たちも、参加者の本当に楽しんでいる空気がわかったようで、帰り際に「(自分たちのやっていることの)取材をさせてほしい」という申し込みがありました。いつものことですが、やはり現場に力をもらいます。

他のグループも町歩きを楽しんでくれたみたいで、いい雰囲気のまま、終わりを迎えられました。疲れたけど、楽しかったワークショップでした。

「演劇」ってどういう字?

ワークショップも間近になると、いろいろなところで領収書を切る回数が増えてきます。今回の自分の仕事の受け先は「演劇デザインギルド」なので、お店の人にそれを伝えるのですが、一回でなかなか書いてもらえません。なにしろ、年配の方も若い人も「演劇」の漢字が書けずに考え込んでしまうのです。頼まれて少々略字にしてしまうと、領収書まで微妙に違う略字になってしまう始末。
東京にいたときも「演劇」と名のつく領収書を切ってもらう機会は少なからずあり、躊躇される場面もしばしばありましたが、水俣の場合はほぼ十中八九なのですよ。なので、ほとんどの場合、自分自身で書くことが多くなりました。こんなところにも「演劇」の普及度、認知度があらわれているのでしょうか。「演劇」ってそんななじみのない言葉なのかな。

至福の蘇峰デー

b4ee2bb7.JPG午前中は土砂降りだったのですが、午後は一時雨が上がったので、ここぞとばかりに散歩に行ってきました。今日も意外な出会いがありました。明治から昭和にかけての文化人、徳富蘇峰と蘆花の生家を訪れたのです。生家は無料で入場できるのですが、受付の名前の記入欄を見るに、最近は一日に2,3人しか訪れていないみたいで、自分は贅沢にもひとりで案内を受けました。
案内をしてくれた方はおじさんで、徳富の家のことにとても詳しく(あたりまえですが)、しかも思い入れたっぷりに話してくれ、蘇峰や蘆花、徳富家への畏敬の念みたいなものが伝わってきました。どんな質問にも丁寧に答えてくれ、徳富家に息づく文化の香りを満喫しました。こういうしっかりとした家では、大きく確実な人間が育つのだろうということがうかがわれました。古くなってなお、説得力と存在感を持ち続けている家でした。
徳富蘇峰は明治から昭和にかけてのジャーナリストで、当時の日本の進むべき道を説き続けた人です。大きな事業としては、江戸から明治になるまでの歴史書を100巻記したものがあり、ドラマの歴史考証のもとにもなっている現役の本らしいです。当時、蘇峰は夏目漱石をはるかにしのぐベストセラー作家でした。しかし、一般庶民には読めない内容にもかかわらずベストセラーである所以は、当時の知識人がこぞって蘇峰の本を読んだからなのだそうです。部屋には晩年の蘇峰の豪快な書も飾られており、一人の人間の太くて長い人生を垣間見ることができました。
そのあと、蘇峰夫婦の墓も訪ねました。前から気にはなっていたのですが、偶然も重なり、至福の蘇峰デーとなりました。

音楽と哲学

今日はちょっとおもしろい出会いがありました。
自分たちは50年事業とは別枠でアサヒアートフェスティバルの企画も同時にやることになっています。アサヒの企画では音楽家の港さんの主導で、「50年前の水俣のうたさがし」がテーマになっています。生活の中に、ねづいていた仕事歌、遊び歌、子守唄などを、小中高生とうた探しリーダーが年配の人に聞きにいって、採集して、覚えて、コンサートをやってみようという企画です。人づてにK中学のF先生がうた探しリーダーに適任ではないかということで紹介をしていただいたのです。

F先生が持ってきてくれた合唱曲「みなまた」という本の中には、何十年か前に、水俣に住むおばあさんたちから田植え歌を楽譜に落として残してあるものがありました。おもしろかったのは、F先生のちょっとした講義です。西洋音楽にははじめがあって、終わりがある。でも、その田植え歌にははじめも終わりもない。あっちで歌って、こっちで歌って、同時多発的に好きなときに好きなところで歌われる、というようなことをおっしゃっていました。しかも楽しそうに。また、合唱曲の中にはメロディだけを先につけて、水俣出身の詩人谷川雁が遊びで詩をつけた曲もあるそうです。音楽のいろいろな成り立ちに、自分にとっては哲学を勉強している気がして、とても幸福な時間を過ごすことができました。F先生の音楽好きが伝わってきました。いっしょに仕事ができるようなので、とても楽しみです。

水俣八幡宮の土俵

25ae8eec.JPG今日は地図を片手に散歩をしてきました。21日に開かれるワークショップで町歩きをやることになっており、下調べを兼ねてというかんじです。(ところで、自分は雨男なので、当日の天気は大丈夫なのでしょうか?ちなみに20日は西日本を中心に大雨という記事がのっていました。)いろいろと事情がありまして、散歩の時間が30分になってしまったのですが、やはりどう考えても30分は短いですね。ちょっと立ち止まったりしてしまえば、15分、すぐに引き返す距離に来てしまいます。もう少し散歩をしたいと参加者は絶対に思うだろうなと思いました。
でも、自分は欲を出して、水俣八幡宮まで足を伸ばしました。水俣八幡宮の脇には土俵があって、奉納相撲がおこなわれた世田谷八幡を思い出し、ちょっと懐かしかったので、近くで草むしりをしている人にインタビューをしてみました。それが予想外におもしろい話が聞けたわけで。その人によると、昔は水俣でも相撲が盛んで、祭りのたびに余興で行われていたそうです。しかも相撲を取っていたのは、チッソの相撲部の人たちで、チッソはスポーツ活動にも力を入れていたみたいなのです。しかし、昭和30年代になって水俣病の問題が起こると、体力をそがれたチッソからスポーツ活動も下火になり、相撲も徐々に廃れていったということでした。土俵は隣接している武道館の場所にあった立派なものらしいのですが、武道館が建てられるにあたって、もったいないということで八幡宮のほうに引っ越してきたらしいのです。思わぬ話を発掘してしまいました。これが散歩の醍醐味ですよね。
♪ラブ・ユー立石(先輩&友人柳田さんの人気ブログ)
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