三日目は、それぞれが関心のある新聞記事を持ってきて、
グループでそれをもとに芝居作りが中心のワークショップだった。

自分は朝日新聞の「公共事業は『宝』を破壊する」という特集記事を持っていった。
広島県福山市の鞆の浦港に公共事業でバイパスの道路が作られようとしており、
それに反対する住民が主体となって、
歴史的な建造物や港の保全運動がされているという記事である。
立石の再開発の問題とも重なってくる。
集団で演劇にするには視覚的で具体的な情報が少なすぎるとは思ったが、
それ以外のものは持っていく気になれなかった。
みんなは興味を持ってくれたけど、案の定演劇にしづらい。
というわけで、自分たちのグループは
「子育て支援ドットコム」という記事をもとに芝居作りをすることになった。
その記事の内容はというと。
現在、子育てをする若い母親を支えるような地域のつながりがなく、
それを支援するインターネット環境の整備がすすんできたというもの。
最初、全員で相談なしに記事から受けた印象をもとにひとりずつポーズをとり、
一枚の静止画を作る。
ひとりの人が思いついたイメージをもとに、
次の人が立体的な構成と物語を考えて、順番に絵に加わっていく。
最後に全体で記事の内容が伝わるようにするのだ。
みんなはネット環境でつながっている人たちを演じたので、
逆に自分はネット環境から取り残された人を演じた。
記事は肯定的に書かれていたけれど、パソコンを使えない人は現実にいるし、
その人たちはどうするのだろうと自然に思ったからだ。
当然、その後のグループの作業では、つながれない人のことが問題になった。

ディディから段階をおって具体的な注文が入る。
「だれを対象に劇を見せたいか考えてください」
「観客を劇の中に組み込んでください」
劇を単なる劇で終わらせないための注文。
アウグスト・ボワールの「『観客』は悪い言葉だ」という言葉が頭に浮かぶ。