先週末、以前の立石のまち歩きで知り合った友人と仕事仲間の女性の三人で山谷に行ってきました。山谷は台東区と荒川区にまたがる通称ドヤ街で、高度経済成長とともに日雇い労働者の供給地となった地域です。

実は自分が大学生のとき、はじめて演劇のワークショップをやったのがこの地域の児童館でした。地図を片手にひとりで児童館を訪ねて行ったときの衝撃はいまでも忘れられません。当時はこの地域がどういう場所かも全く知りませんでした。植え込みでしゃがんでいる人がいたと思ったら排便をしている最中だったり。道路の真ん中で倒れている人もいたので、あわてふためていたら、通りがかった住民から「この人は大丈夫」と言われたり。「変な町だ」と思いながら、記憶の片隅にうっちゃっておきました。いまから考えれば咀嚼するだけの経験がなかったのかもしれません。そして、あるとき、あの町が山谷だったのだと気づいたのです。

今回の目的は下町観光をしている外国人観光客と知り合うこと。
山谷は安宿が多いので、宿泊費にお金をかけない外国人がたくさん利用していると聞いていたのです。あわよくば、立石まで連れて来て(拉致?)、浅草や柴又以上のディープな飲み屋街をご案内してニーズを調べてみようと思いたったわけです。

その日は自分は仕事があったので、18時すぎにまち歩き開始。まずは三人で南千住の町をそぞろ歩きをします。歴史に非常に詳しい友人は江戸時代の小塚原刑場の跡などを解説してくれました。常磐線によって隔てられたこの一画はかなり怖い雰囲気。夜中でほとんど顔が見えない首切り地蔵も見てきました。もちろん、ライトアップもなにもなし。4メートルもあるため、すごい存在感・圧迫感です。

「あしたのジョー」で有名な泪橋の交差点を過ぎて、ひとつ道を入ると、安宿が並ぶエリア。「カラーテレビ完備」とか「冷暖房完備」と書かれた紙が貼られています。だいたい1泊2,200円の宿。通りにはゴミをあさったり、大きな荷物を背負っている中年男性の姿もあり、すれ違うたびに緊張感が漂います。同行していた女性がレトロな雰囲気の宿を撮影しようとしていたので、思わず静止してしまいました。郷に入ったら郷に従え。東京なのに、異国の地に来た旅人の気分です。
日本堤の商店街では半分以上の商店の前が段ボールで埋め尽くされていました。毛布にくるまって寝ている人。集まってぼそぼそと話をしている人たち。そこを買い物袋をカゴに入れた主婦が自転車で通りぬけて行きます。
実際に見てみなければわからないことがたくさんあります。格差社会とか、世界同時不況とか、派遣切りとか、マスコミから流れてくる言葉に収まりきれない現実が肌で伝わってきます。体感以上の寒さを感じました。(つづく)