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(2018年3月2日の東京銀座)

日本は時々、幻想にさいなまれているな、と思います。

どんな幻想かと言うと、どんなものでも「日本が一番だ」と言う幻想。確かに、世界一長続きしている国ではあるのですが、人としての誇りはどこへやったやらと感じることしかり。
ことに医療に関しては、耳に聞く限り人間的につたない事ばかりです。

緩和ケアの最期の薬は、命の回転率を上げているだけか

2018年の正月のことです。

プラズマ療法にかかってらっしゃった、患者・Aさんはフェーズ4のB、終末期の癌で一般的な三大療法(抗がん剤・放射線療法・手術)から見放された人でした。余命3か月と切られていましたが、プラズマ療法を選択し1年延命されているところでした。毎月の自分の血液データと三か月に一度のCT検査でなかなか確実に現れる数字で効果を確認しながら、1年間で癌が3分の1まで小さくなっていました。

ところがこのお正月、癌性疼痛が始まりました。
お正月でどこも病院は開いていませんでしたので、外来へ行って、院外処方で薬をもらいました。処方された薬は、体にピッと貼るテープ状の鎮痛剤で、Aさんは帰ってそれを貼り、お正月時期で寒いので、こたつに入って体を温めて眠りました。3時間後、急に体調が悪くなり、3日後、帰らぬ人になりました。

Aさんにその時、何が起こったのでしょう。

緩和ケアセンターで急に行なわれ始めたこと

現在の日本の医療では、癌で余命3か月以内と切られた方には、緩和ケアセンターを勧められます。癌性疼痛が始まるためにこれをどうにか緩和しようとするからです。
緩和ケアセンターでは、癌性疼痛の緩和にモルヒネを投与します。治療指針として、1mgから初めて10mgまで、期間として三ヶ月を目安に量を増やしていきます。モルヒネの怖いところは、日を追うごとに量を上げていかないと効果がなくなることです。モルヒネテープから始まり、服用量が足りなくなったら、内服し癌性疼痛に苦しまないように死を迎えてもらうのです。
治療指針としての三ヶ月は、余命三ヶ月と切られた患者さんですので、緩和ケアセンターというのは元来、死を苦しまずに迎えてもらうところで、致し方ないのですが。

ところが、この2、3か月前くらいから、最初に実施しているのがモルヒネでなく、いきなりオピオイド性鎮痛剤を使い始めたようなのです。これは、モルヒネの100~200倍の作用があり、分類として麻薬に入ります。モルヒネよりも効果の高い鎮痛剤として、開発された麻薬で、別名は合成ヘロインです。

Aさんが院外処方で出された薬は、オピオイド性鎮痛剤(成分名:フェンタニル)で、見た目にはテープ状でそんなに恐ろしい薬だとは思いません。
この薬の使用上の注意には、モルヒネが効かなかった患者のみに使用するように書いてありますが、患者さんは分からないこでしょう。
実は、もう一人プラズマ療法にかかりながらも、緩和ケアセンターに行くことになり、結果的に同じようにオピオイド性鎮痛剤を使われ、ひと月もしないうちに亡くなった患者さんもいました。

院外処方:鎮痛剤テープなど


一般人が確認できないオピオイド性鎮痛剤の薬の使用上の注意

以前、薬箱の中には、必ず使用上の注意を記した添付文書が入れることが義務付けられていました。しかし、2年前の薬機法の改正に伴い、箱の中に添付文書を入れる必要がなくなりました。変わりにインターネットで公開することになり、誰でも確認することができます。ただし、薬の情報を見に行こうとすると、必ず「あなたは、医療従事者か?」と尋ねられ、医療従事者の番号を打たなければ、薬の情報が載ったサイトには到達しないのが現状で、実際には一般の人が処方を受けた薬の情報を見ることができない状態です。

Aさんに処方されたオピオイド性鎮痛剤(成分名:フェンタニル)の使用上の注意には、「体を温めると死に至る」と書いてあります。

薬剤の使用上の注意は、副作用の頻度記載があり、「ときに」「まれに」「ごくまれに」という三段階の言葉を使って副作用の復元状況が表現しています。「ときに」は10人に一人副作用が現れ、「まれに」は100人に一人、「ごくまれに」は1000人に一人副作用が出ることを表します。

Aさんが処方された薬は、頻度記載がなく「体を温めると死に至る」とありますから、10人中10人がそうなると分かっているのです。こんな薬を外来で出しているのです。見た目は貼るテープでわかりませんが、もう少し適切な指導はなかったのでしょうか。

Aさんの死後の病院の対応

Aさんはご自宅で亡くなったので、当然、司法が入りました。オピオイド性鎮痛剤を処方した病院からは、残っている薬を返してくれるように言われたようです。自分で処方しておきながら、回収するというのはどうなのでしょうか。
ちなみに今は、緩和ケアセンターは患者さんがいっぱいで数が足りませんので、三ヶ月では治療しきれていません。

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そういえば、私事ですが、私の父が癌で自宅で診ていて、その後癌性疼痛が出たので病院に行きましたが、自宅での余った薬は回収に来ませんでした。オピオイド性鎮痛剤を処方した病院が、残りの薬を返してくれというのは、よほどのことだったのでしょう。

いずれにしても、人の命。
終わってしまっては、何もやりようがありませんが。



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