実際にデータを見てみよう⑩日本と世界の電気料金の比較、やはり「高過ぎる日本の電気料金」を是正しましょう!

今回は「実際にデータを見てみよう」シリーズの第10弾として、日本と世界との電気料金の比較データを分析し、考察をしてみたいと思います。

私がニュースなどの二次情報だけでなく、一次情報を参照することを重要と考える理由は、以下をご覧頂ければご理解頂けるかと思います。



今回紹介するデータは、電力中央研究所が発表している論文になります。


不思議なことに2012年4月にまとめられた論文でありながら、2010年までのデータしか掲載されておりませんし、日本の電気料金を中程度として考察されてしまっております。下記のグラフを見れば、日本の電気料金は中程度では無く、明らかに高いことは明白です。

<家庭用の電気料金(電力中央研究所)>
20120701-1

<産業用の電気料金(電力中央研究所)>
20120701-2

さっと見て気付くのは、以下の点だと思います。
家庭用の電気代は、アメリカの2倍韓国の3倍
産業用の電気代は、アメリカ韓国の2.2倍
ドイツの電気代は高いと言うイメージがあったが産業用では日本の方が高い
産業用の電気代では、原発大国フランスドイツスペイン、自然エネルギー大国のデンマークはほぼ横並びで変わらない。
イタリアの産業用の電気代が異常に高いのは、イタリアは産業用と家庭用の電気料金が一緒のため。
原発のシェアが低いアメリカが電気料金が安く原発大国フランスも比較的電気料金が高いことから、世界的に見て原発の発電コストが安いとは言えない
⑦ 日本よりも家庭用÷産業用が高い国は沢山ある。

日本は、電力の自由化がされている産業用については、安く電気を供給し、利益の大半は家庭から取っていることが明らかとされております。


日本の電気料金は、そもそも以下の計算式で成り立っております。

電気料金=基本料金+電力使用料金+燃料調整費+消費税

昨今の東京電力の値上げ問題は、基本料金電力使用料金を値上げするという意味であり、燃料調整費では無いことが分かります。

日本では、1995年から2010年に掛け、家庭用、産業用共に電気料金が下降傾向であるのは、単に円高によって燃料費の輸入金額が下がったことが最も影響しているのかもしれません。

昨今、電気料金の値上げ問題が取り沙汰されておりますが、実際には燃料費の上昇分は燃料調整費としてしっかりと上乗せされており、昨年以降、電気料金は上がり続けております。

何故、東京電力が電気料金を上げなければならないのかと言えば、動かない原発減価償却費保守費賠償費用事故収束費用などが含まれているからに過ぎません。決して、「原発が止まって燃料費が上がったから」などという理由ではありません。もしも燃料費が問題であるのであれば、燃料調整費だけを上げるだけで済む筈です。


先日、東京電力管内では、家庭用の電気料金から9割の利益を得ていたことが判明し、自由化されている産業用の電気料金から利益を得ず、自由化されていない独占事業で大きく利益を受けていることが問題視されておりました。

しかしながら、以下のグラフで家庭用÷産業用のデータを世界との比較で見ると、日本よりも家庭用÷産業用が大きい国があることが分かります。これは、を多く買えば単価が安くなると言う、いわゆる市場原理を示しただけなのかもしれません。

<家庭用料金÷産業用料金(電力中央研究所)>
20120701-3

2010年の時点では原発はフル稼働(定期点検除く)していた中、自由化され、電気料金を安く設定している筈の産業用の電気料金ですら、イタリアに続いて2番目に高いことが分かります。

日本の電気料金は、原発があったとしても極めて高いことを示しており、むしろ原発が電気料金の高騰に影響しているようにも見えます。

更に、日本の電力会社は高値で燃料を買っていることも問題視されており、その中でも東京電力は更に高い金額で仕入れていることが問題視されております。


このニュースによると、東京電力は、調達価格が割高である理由に石炭と石油は環境負担の少ない質の良いものを輸入している。灰の処理費などが減るので、結果として割安になると主張し、電気料金審査専門委員会の委員達から根拠を求められております。

また、東京電力に対し、アメリカからのシェールガスの提案が9社も来ているにも関わらず、契約の締結まで数年かかるとし、電気料金の抑制はできないと主張しているようです。如何に電力会社お役所仕事であるか、体質は民間企業では無く官僚社会であることが理解できます。


電力中央研究所の論文を読むと、日本の電気料金は中程度という表現が繰り返されており、日本の電気料金を下げることの困難さが繰り返し述べられております。

この事から電力事業連合と関わりがあるのかと思いましたが、予想通り、評議員は電力会社の幹部で塗り固められ、電力9社の寄附金で成り立っております。

そのためか、非常に安いアメリカ韓国の電力料金を目指すことは最初から困難であるとし、参考にすべきことは参考にすべきというレベルの表現に留まっております。

韓国の電気料金については、産業用で3分の1家庭用で2.2分の1格段に安い理由としては以下のものが挙げられております。
政府が出資している独占企業体
政府が細かく燃料費の調達コスト制限を掛けている。
燃料調整費の項目が無いため、燃料費が高騰すると電力会社は赤字転落する。
④ ここ数年は政府が赤字補填している。

韓国は、逆に政府介入が強く、適正な価格で調達しているかまでも規制しているのです。一方で、燃料の高騰を電気料金に加算できない仕組みであるため、近年は円換算で合わせて400億円規模の赤字補填を政府が行っている事も書かれております。

他の国の分析はかなり深く切り込んでおりますが、何故か、アメリカの電気料金が安い理由については書かれておりません。

私の分析では、アメリカの電気料金が安い理由は、規制がしっかりと効いていることが大きな要因になっており、ここ40年の間に原発を新設しなかったことも大きく影響していると考えております。


<抜粋>
・アメリカの電気料金の認可のシステム
 電気料金の値上げには公益事業委員会の認可が必要。
 極めて厳格な審査の上で電気料金の値上げは認められる仕組み。
 公益事業委員会委員長の発言
 「電力会社の過剰投資のツケを消費者に負担させてはならない
 「原発の過剰投資分の電気料金の値上げは認可できない

アメリカではいわゆる三条委員会厳格に規制しているから電気料金が安いのです。


日本が電気料金が高い理由は、明らかに総括原価方式が原因であり、コストを掛ければ掛ける程、投資コストが大きければ大きい程、電気料金を上げ、利益を大きく上げられるからに過ぎません。

日本における規制機関は、電気料金の一部が経済産業省の特別会計の歳入にもなるため、規制機関である資源エネルギー庁も電気料金を上げることが省益に繋がるため、ある程度高い電気料金である方が規制機関にとっても良いという構造的な問題があります。

日本のように、規制する立場が、規制される側の利益の最大化に貢献してしまう構造的問題を、虜理論(もしくは捕虜理論)」と言い、先進国ではその問題の解決方法が見出され、実施されておりますが、日本では、政治家と官僚機構既得権益を守る為に、全く手が付けられておりません。


<虜理論の例: エネ庁と保安院と電力会社>
20120322-4

電力中央研究所は完全に無視しておりますが、日本の電力会社は、高過ぎる給料、高過ぎる調達コスト、電力中央研究所を始めとするシンクタンクや大学への研究費、自治体への寄附金、大手メディアへの広告費、充実し過ぎた福利厚生、…、こういった余分なコストが全てが電気代に乗っているからこそ、日本は電気料金が高いのです。

電力中央研究所の論文には当然のことながら、こういったことについての指摘は無く、独占事業の問題、産業界や霞ヶ関との癒着の問題には全く触れておりません。

私はかねてより原発を止めて電気料金は下げられると主張しております。


未だに原発が止まるのなら電気代が上がっても良い」などと、問題の本質に迫らずに諦めがちの人が多いのだと思いますが、日本の電力料金の構造的な問題をクリアすれば、電気料金を下げることは十分に可能なのです。

野田佳彦首相は、国民生活を守ると称して大飯原発を再稼働すると苦しい釈明をしておりましたが、霞ヶ関のシロアリ官僚国民の生活を第一に政策を決める筈は無くあくまでも省益を守る事が第一であることは、もう言うまでもありません。

<参考>関西電力が原発を再稼働したい本当の理由 — 結局は「既得権益」を温存したいだけでした!

今回紹介した電力中央研究所の論文と、詳細な世界との比較データを見て、改めて日本の電気料金は高過ぎることを認識できましたので、しつこく原発が止まって電気料金を下げるというあるべき姿を主張し続けていきたいと考えております。


hardthink at 17:50コメント(3)震災/原発 | 政治 

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 家庭用電気料金の値上げ圧縮より電力会社の収益構造の改革が必要・先ず家庭用の比率を40%以下とせよ。90%はひど過ぎる。日本の貧困問題は深刻なのだ。リトアニアに見習い原発の是非を問う国民投票を実施せよ。関連のWeb情報を引用すると、

コメント一覧

1. Posted by らまちゃん   2013年02月24日 11:42
4 なかなか興味深い内容だと思って感心して拝見しました。しかし,引用先の論文を見たところ,論文の意図とこの記事の内容がずれているように感じました。よくわかりませんが,もう少し精査が必要のような気がします。
それから,単純な為替レートの比較だけでなく,GDPあたりで計算するとより公平感が増すようにも思います。それではよろしくお願いします。
2. Posted by 通りすがり   2015年01月17日 12:28
資源大国であるアメリカとは燃料調達のアドバンテージに大差があるので、単純に比較はできないのでは?
韓国の赤字補填額を考慮した実質的な単価が知りたいですね。
3. Posted by 名無しのメモ   2017年01月12日 15:42
一通り読んで思ったことが、※1 ラマちゃん に既に書かれていた。
グラフには為替レートの変動は含まれていないし、金額が何倍などと各国で比較しても意味はない。

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