原子力規制委員会が作った「新たな原発の安全基準」の骨子案を読み取る

先日、原子力規制委員会が新たな原発の安全基準の骨子案を発表しました。


この安全基準の骨子案について、報道機関はどの様に反応しているのかに注目してみたいと思います。

まず、かねてより原発を推進する立場を取り、原発の再稼働を押し進める立場を取っている読売新聞ですが、この新しい安全基準の骨子案に対し、非常に厳しい基準であり、7月に原発の再稼働が困難であるという評価をしております


<抜粋>

 原子力規制委員会の検討チームは31日、7月から原子力発電所に義務づける新たな安全基準の骨子案をまとめた。

 設計の想定を超える事態に備えた重大事故対策を初めて義務化し、特に放射性物質の除去フィルターを通して格納容器から排気(ベント)する装置は、福島第一原発と同じ「沸騰水型」の原発を再稼働するための必要条件とする。費用や時間のかかる対策が多いため、7月までに対策を終えて再稼働の審査を受けられる原発は、きわめて少なくなる見通しだ。

 新基準は、一昨年の東京電力福島第一原発事故を踏まえ、同様の重大事故が再発するのを防ぐのが主眼。意見公募の後、4月頃に基準案をまとめ、7月までに決定する。津波対策では、科学的に考えうる最大の津波「基準津波」を想定して防潮堤などの整備を求める。地震対策では、敷地直下の地盤を詳しく調べて耐震性を確認させる。活断層の見落としを防ぐため、調査する地層の範囲を必要に応じて過去40万年分まで拡大する。

 また、火災対策として、安全上重要な部分の電気ケーブルを燃えにくい素材にする。1975年以前に国の設置許可を受けた原発は、可燃性のケーブルが多く、交換には多額の費用がかかるため、廃炉の検討を迫られる老朽原発が相次ぐ可能性がある。

 こうした設計基準の見直しと合わせ、設計の想定を超える巨大災害やテロなどに備えた重大事故対策を義務化する。フィルター付きベント設備のほか、事故対応の拠点となる免震構造の「緊急時対策所」、本来の制御室がテロなどで使えなくなった時のための「第2制御室」などの設置を求めた。

続いて、比較的、安易(危険)な原発の再稼働に批判的な立場を取る河北新聞は以下の様に社説を発表しております。


<抜粋>

 国の原子力規制委員会が原発の新たな安全基準(骨子)を示した。福島第1原発事故の反省から、炉心溶融(メルトダウン)に至る過酷事故への対応や最大規模の「基準津波」を設定し、浸水対策を求めたのが特徴だ。
 安全性を高めることはもちろん大切だが、新基準さえ満たせば再稼働が実現するわけではない。安易な再稼働は将来に禍根を残すことになりかねない。原子力が抱えるさまざまな問題を真剣に議論することこそが「基準」となるべきだ。
 規制委が示したのは原発の新たな設計基準と、設計基準を超える過酷事故への対策。水素ガスなどを外部に放出する「ベント」や、メルトダウンした核燃料の冷却などを求めている。
 原発事故で明らかになった対策の不備を、あらかじめ解決しておくという発想だ。
 いわば「対症療法」を決めたわけだが、どうやって事故が起きないようにするかという肝心な点ははっきりしない
 地震や津波はもちろん航空機墜落による衝撃を受けても、メルトダウンなどが起きないような対策を求めるという。
 そこまで追求する意欲はいいとしても、実現可能性には疑問符が付く。結局は中途半端に終わってしまうのではないか。
 規制委は新基準をことし7月から実行に移す方針だが、対策によっては猶予期間を設け、再稼働を容認するケースもあり得るという。
 そうなると何のための新基準か、分からなくなってしまう。規制委は原子力技術を審査する唯一の「番人」なのに、その役割を早々と自ら放棄してしまうようなものだ。
 ただ、実際に再稼働させるかどうかはもはや、規制委の技術的な判断だけでは済まない。
 使用済み核燃料の処分方法に手を付けないまま再稼働に踏み出せば、問題を深刻化させるだけだ。再処理しても、高レベル放射性廃棄物の処分という難しい課題が残る。
 再処理しようがしまいが解決は容易ではないが、せめて使用済み核燃料をできるだけ増やさないことは必要だ。そうした問題点を置き去りにしたら、将来への負担を重くするだけだ。
 さらに原発事故のコストも判断材料にしなければならない。
 福島で起きたメルトダウンと放射性物質の大量放出によって、復旧には一体どれほどのコストがかかるのか。原発事故から2年近くたった今になっても、まだ先は見えないというのが実情だろう。
 再稼働を検討するのなら、中長期的な視野に立って別の選択肢を示すのが望ましい。たとえ事故が起きても、原発のような途方もないリスクをもたらさない新規電源なども考慮すべきだ。そのプランを示すのは規制委ではなく政治の役割になる。
 今後を見据えた議論が不足したままで、いたずらに原発へのブレーキを緩めれば元のもくあみになりかねない。後戻りは容易ではないだろう。その愚はぜひとも避けるべきだ。

非常に興味深いのですが、河北新聞では、原子力規制委員会は新しい安全基準において時間がかかる対策については、なんと猶予期間が設けられ、対策が不十分であっても再稼働が容認される可能性が示されております。

私が、新しい安全基準の骨子案に一通り目を通した限りですが、河北新聞が指摘している猶予期間については文章の中から見つけることはできませんでした。

どちらの新聞の報道が正しいのか判断がつきませんが、改めて原発に対する立場の違い報道の印象を大きく変えてしまっている良い例なのでしょう。


ここで、私がこの骨子案を読んで直ぐに気が付いた問題点を明示しておきたいと思います。

<1.地震及び津波に対する設計の基本方針>

【基本的要求事項】<設置許可基準> 
1 施設は全体として高い安全性を有する必要があるため、次に示す基本的な設計方針を満足すること。
一 重要な安全機能を有する施設は、施設の供用期間中に極めてまれてはあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれかある地震動(以下「基準地震動」 という。)による地震力に対して、その安全機能を損なわない設計てあること。さらに施設は、地震により発生する可能性のある安全機能の喪失及びそれに続く環境への放射線による影響の観点から考えられる重要度に応じて、適切と考えられる地震力に十分耐える設計てあること。 

施設は、想定される地震力に対して十分な支持性能をもつ地盤に設置すること。特に、重要な安全機能を有する施設は、将来も活動する可能性のある断層等の露頭か無いことを確認した地盤に設置すること。 

重要な安全機能を有する施設は、施設の供用期間中に極めてまれてはあるが発生する可能性かあり、施設に大きな影響を与えるおそれがある津波(以下「基準津波」という。)に対して、その安全機能を損なわない設計であること。 

2 基準地震動及び基準津波の策定等に当たっての調査については、目的に応した調査手法を選定するとともに、調査手法の適用条件及び精度等に配慮することによって、調査結果の信頼性と精度を確保しなければならない。

骨子案の中には地震に関し、想定という表現が随所に記述されております。

この事には、想定外」という言葉で逃げた福島第一原発事故の教訓を本当に得たのかという疑問が浮かびます。

この想定という言葉が残っている限り、万が一もう一度過酷事故が起きても想定外」という免責を認めることになると私は危惧しております。

基準地震動の算出については、複数の地震の同時発生までを考慮すると書かれており、やや厳しい表現の様にも感じますが、それでも想定という枠に違いはありませんし、原発の事業者が「想定」を矮小化する可能性が残っているようにも感じます。

あくまでも私の理想ではありますが、想定の範囲は原発毎では無く、「日本で過去起きた最大の揺れに対応する」ぐらいの基準はできないものでしょうか。

私が原子力規制委員会原子力規制庁に期待していた新しい安全基準は、想定外を無くすことが大前提でした。

新しい原発の安全基準は、たとえ都市部でも立地できる基準にするべきなのでは無いかとも感じております。

私はそのため、原子力規制委員会に対して、想定外を止めるべき」という意見具申「この骨子案で東京に原発を立地できるのか」を質問しております。(無価値かもしれませんが、善意ある官僚に届くことを期待しております)。



原子力規制委員会のホームページ上では、様々な意見公募(パブリックコメント)が公開されております。しかしながら、多くの人にはどの様なパブリックコメントが公募されているのかすら知られていないのだと思います。

<原子力規制委員会>意見公募(パブリックコメント) 

次回は、最新の原子力災害対策指針のパブリックコメントについて、私なりの意見を書いてみたいと考えております。


 ← Tweet頂いた方には全てフォローしています。

武田邦彦 教授がお勧めする「放射線測定器」!武田邦彦 教授の解説付き!(20万円の測定器と同レベルの高精度の測定器が何と約7千円!)

数日は持ちこたえられる『非常食セット』はこちらから

一家に最低一つ、『防災セット』はこちらから

部屋に閉じ込められた時に役立つ「バール」はこちらから

家族の安全・安心を守りたい。放射能測定器専門店 GEIGER-JP

原発事故直後から話題になりました
最近よく見るレスベラトロール

浄水器の粉末活性炭が、放射性ヨウ素を吸着除去



hardthink at 19:30コメント(0)トラックバック(0)震災/原発 | 政治 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索
広告
プロフィール

そふたん

QRコード
QRコード
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: