誰が為の警鐘【Blog】

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小説

ビアンカ・オーバースタディ (筒井康隆ラノベ)

ビアンカ・オーバースタディ [ 筒井康隆 ]
ビアンカ・オーバースタディ [ 筒井康隆 ]

太田が悪い。
日本全国の狂気を支える筒井康隆ファンが首を長くして待っていた70歳作家によるラノベである。一体何人のファンが待ちきれずに腎虚で死んだだろうか。一概に太田が悪い。

作品の内容については深く語るまでもないだろう。ラノベなのだから。巨匠がラノベを書くとこうなるのか、ということがある意味予想通りに体現された作品であった。彼の描く「萌え」については少々議論の余地があるが、脈絡のないセクハラなど相変わらずぶっ飛んでいるところが堪らない。

あとがきによると、氏はこの作品について「正直自分の他の本作へ新しいファンを引き入れるための呼び水」というような表現をしていた。自分もそうなってくれると良いなと思っている。若い世代が、ある意味騙されて(?)この作品を手に取り、「うわ、何この変態作家!?他の作品も読んでみよう」となったら万々歳なわけだ。そういう意味ではエロ、グロ、スプラッタ、SF、狂気、狂喜とひと通り筒井康隆という作家のエッセンスが詰まっている作品であるため適っていると思う。さぞ優秀なツツイストを生産してくれることだろう。

ロッサ「やめれー」

皇国の守護者(1) (佐藤大輔)

皇国の守護者(1)
皇国の守護者(1)

タイトルからファンタジーものかと思っていたら、近世的な戦記ものだった。と思ってたら、やっぱりファンタジーだった。というような作品。

フリントロックガンの兵隊を軸とした戦争の戦略、戦術が描かれており、この手の戦争にあまり興味がなかった自分としては新鮮なものに映った。そもそも銃を用いた戦争が好きではない。AOCでもコンキスタやイェニチェリには興味が湧かないし、オスマンとイスパニアは使う気が起こらない。弓こそ至高。剣と槍と騎兵こそ戦争の華。投石機や破城槌にはロマンを感じずにいられない。銃なんて冒涜にして外道。

そんな自分ではあったが、本書を読んでいると銃には銃の事情や戦術があることを知り楽しむことができた。また特筆すべきは剣虎兵だろう。虎を連れた兵士という特殊な存在がテーマのひとつなっている。ヴァナディールで獣使いを生業としていた自分としてはそそられるものがある。クァールのメウルルを生涯の友としたウィンダスの英雄ルンゴナンゴを彷彿とさせられる。
Lungo-Nango/FF11用語辞典

新城直衛とルンゴナンゴの類似性を指摘している人はいないのかな。

木枯し紋次郎〈9〉三途の川は独りで渡れ (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈9〉三途の川は独りで渡れ (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
著者:笹沢 左保
販売元:光文社
(1997-09)
販売元:Amazon.co.jp
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何だろう。この紋次郎の圧倒的な魅力は。
巻を追うごとに拍車をかけて人助けを避ける紋次郎。相も変わらず救われない登場人物たち。徹底してハッピーエンドは訪れず、カタルシスをどこに求めて良いかも分からない。それでも最後に楊枝が飛んでいった時、また紋次郎の背中を追いたくなってしまう。何度関わりが無いといわれようとも。

あとがきに紋次郎のルールという面白いものが記載されていたので記載していおく。
‖衞召砲六代小説を思わせるような語を入れ、末尾に現代的な動詞または形容詞を用いなければいけない。
∋代背景になるような事柄を、できるだけ専門的に調べなければいけない。
L羲]困郎埜紊飽象的な楊枝の使い方をしなければいけない。
ぞ説は意外性をもって終わらなければいけない。
ゾ説の終わりに、記録の引用を持ってこなければいけない。

思わずうんうんと唸ってしまう。これでこそ紋次郎。
付け加えるならば
κ玄]困療仂譽掘璽鵑砲脇暫羚膠、手甲脚絆、三度笠、長脇差そして楊枝の詳細な描写がなければいけない。
これで完璧!
明日から君も紋次郎作家だ。同人作成へGO!

妙なる技の乙女たち (小川一水)

妙なる技の乙女たち
妙なる技の乙女たち

何度も紹介している今おすすめのSF作家小川一水。本書は近未来が舞台であり、旬のネタである軌道エレベータを中心としてオムニバス形式に物語が綴られていく。どの短編も女性が主人公というのも特徴の一つ。

SF的要素の安定感もさることながら、相変わらずの小川節(?)な展開が非常に爽快で心地よい。あの物語の加速感、人間関係の極大と極小の描き方がこの著者の魅力の一つだと思う。この人が戦記小説書いたら絶対面白いだろうなぁと思う。よく調べてないけれど連載中の長編などはその部類に入るのかな。

因みに本書の中で一番好きな話は「Lift me to the Moon」。

木枯し紋次郎〈8〉命は一度捨てるもの (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈8〉命は一度捨てるもの (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
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「誰かを助けるのに理由がいるかい?」
と言う名言があるが、紋次郎の場合はむしろ
「誰かを助けるために理由を探す!」と言えるかもしれない。

誰も助けず、誰にも助けられずを心情とする紋次郎だが、結局最後には助けちゃう紋次郎。でもやっぱり時既に遅しでバッドエンドを迎えてしまう。もっとはやく助けてやればいいのに!と読者を焦らす紋次郎。紋次郎は探しているのだ。「助ける理由」を。紋次郎は待っているのだ。「助ける理由」が生まれるのを。決して焦る素振りも見せずに助けるタイミングを追い求める、そんな紋次郎の姿に我々は多少の辟易を覚えつつものめりこんでいってしまうのである。

今回収録されている「狐火を六つ数えた」に注目したい。この話では珍しく紋次郎が見ず知らずの人間を「いきなり助ける」。読者は驚く。いきなり助けちゃう紋次郎なんて、楊枝を咥えていない紋次郎である。存在し得ない。有り得ない。紋次郎をよく知る者なら正気を保てなくなるレベルである。しかし見ず知らずの少女を助けたのである。

しかしこれにはちょっと前話がある。この少女を助ける前に、そこまでの道中でひとりの女性を見殺しにしてしまっているのだ。あまりにも非道な話である。助けてとすがる女性に対し、いつものごとく「あっしには関わりのねえことでござんす」よろしく目の前で見殺しにする。「手の届く範囲なら助ける」とか正義を振り回す侍も腰を抜かすレベルの「手の届く範囲をあっさり見殺し」である。しかしこれが紋次郎なのだ。我々はこの紋次郎の姿を見て安心するのである。ところがこの女性、実は赤子持ちだったのである。ここで紋次郎が一言。「赤子が居ると先に言ってくれれば助けたのに(´・ω・`)」。あんまりなセリフに苦笑を禁じ得ない。

結局紋次郎はこのことを負い目に感じ、前述の少女を助けることにした次第である。読んでもらうとわかるが、助ける理由としてはかなりこじつけに感じてしまう。しかし、ここに紋次郎の心中を読み解く鍵があるような気がする。そう、「助けるためにこじつけでもいいから理由を探す」。これもまたひとつの紋次郎の姿なのかもしれない。「さっさと助けてやればいいじゃない」なんて考えてはいけないのだ。

木枯し紋次郎〈7〉木枯しは三度吹く (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈7〉―木枯しは三度吹く (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
木枯し紋次郎〈7〉―木枯しは三度吹く (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
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さて、まだまだ続く渡世人紋次郎の旅。頼みごとをされては断り、誰かが不幸になった挙句、自分も結局巻き込まれて皆アンハッピー!が様式美となりつつある紋次郎。感想も書くのも難しくなってきた。

てなわけで、前々からよく分からなかった紋次郎用語の紹介でも。7巻まで読んできたけど未だによく分からないまま読み進めていた言葉が幾つかあります。それは「月代」「貸元」。読んでりゃなんとなくは分かるけれど、結局これらは何なのか。紋次郎の世界観を今ひとつ掘り下げるためにも調べてみましょう。

さかやき - Wikipedia

普通にいわゆる「ちょんまげ」の事なんですな。「さかやき」ってまず読めない。「月代」という字になんとも言えない趣きがある。伸びきった月代という言葉が印象深く、紋次郎のイメージを深めている。

貸元 - Wikipedia

これはほぼイメージ通りか。言葉通り賭場の経営者ととって問題なさそうだが、広義にとれば要するにヤの親分ということですな。その下が代貸。

日本刀 - Wikipedia

あと、念のため確認したけれど鐺(こじり)は鞘の先っちょで良いようだ。鉄鐺は紋次郎の貴重な武器だしね。

これでまた一歩、渡世人に近づいたかな…?

木枯し紋次郎〈5〉夜泣石は霧に濡れた (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈5〉夜泣石は霧に濡れた (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
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今回は本巻の珠玉である「夜泣石は霧に濡れた」に焦点を当てて紋次郎を語っていくこととしよう。本巻のタイトルにもなっている作品である。

どんなヒーローにも弱点はある(セガールを除く)。どんな厳しい環境でもしぶとく生き、どれだけの敵に囲まれても切り抜ける紋次郎だが、彼にも弱点はある。それが「蒟蒻」である。紋次郎は蒟蒻が食べれないのだ。餓死寸前の状態であっても蒟蒻だけは食べれない。そういえばどこかの泥棒の仲間に蒟蒻が斬れないという人もいたような気がするが、まあそれは置いておく。

紋次郎はご存知のとおり「間引きぞこない」の人間である。生まれてまもなく間引かれそうになるところを、姉の機転で救われ生き延びた人間である。そして紋次郎の地方では、子供を間引くときに蒟蒻を顔に押し当て窒息死させていたのだという。この二つが重なり、紋次郎のトラウマとなっている。蒟蒻が食べれないのも当然と言えるだろう。

ヒーローでも弱点はある。その弱点が紋次郎の場合は、その生涯の過酷さと悲しさを物語るひとつのパーツにもなっていると言えるだろう。またひとつ、紋次郎というキャラクターの深さを垣間見た作品だった。

どうしても許せねえことが二つある。一つはてめえの倅を間引きの手先に使ったこと。もう一つは、おめえさんが平気な面をして蒟蒻を扱えるってことだ。

木枯し紋次郎(6)上州新田郡三日月村

木枯し紋次郎(6)

5巻を飛ばして6巻を読んでしまった…。
しかしそれでも問題がないのが股旅物。
それでも気づかないのが股旅物。
だって主人公には何の変化もないのだから。
物語というものは多少なりとも人間が変化していくものだと思うのだけれど、紋次郎は一貫している。頑なに自分の生き方を変えようとはしない。美人が困っていようと助けない。美人が襲われていようと助けない。美人が苦しんでいようと助けない。それが紋次郎STYLE。でも最後には助けちゃう、テヘッ。それも紋次郎STYLE。

タイトルから分かるとおり、紋次郎は生まれ故郷に辿りつく。旅関連の物語はだいたい故郷に辿りつく。そしてひとつの山を迎える。旅のラゴスもそうだった。キノの旅は…どうだっけ。まあいい。
しかしながら生まれ故郷に戻ろうとも紋次郎にとっては矢張り「ただの通過点」でしか無かった。そして読者にとっても「ただのいち物語」にしかなり得なかった。紋次郎が自分の故郷をどう思っているか、自分の境遇をどう思っているか。それがよくわかる話だったと言えるだろう。

申し訳ござんせん。あっしはただの、通りすがりの者で…

木枯し紋次郎〈4〉無縁仏に明日をみた (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈4〉無縁仏に明日をみた (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
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木枯し紋次郎も四巻目。全巻は十五巻。まだまだ旅は長し。
意外な展開が持ち味のミステリー風味股旅物であるが、「意外な展開」が常なので、流石にだんだんと展開が予想できるようになってきてしまった。それでいても飽きが来ないのがこの作品の不思議なところ。本巻に収められている「女郎蜘蛛が泥に這う」なんかは、短いながらも物語の構成が実に良く出来ており唸らせられる作品だった。

一つ一つの話に痛快なストーリーと計算された展開が含まれ濃密な時間を読者に提供してくれる。一つの話だけでも引き伸ばせそうなポテンシャルがあり、読者としてはまだまだ見たいという気持ちも引き起こされるものがある。しかし、作者は、紋次郎は、潔くそれに背を向け、それを捨てていく。読者は後ろ髪を惹かれつつも新しい物語、新しい旅へと連れていかれるのである。この刹那感。これこそが「木枯し紋次郎」に於ける中毒性の要因なのかもしれない。

あっしは、振り向くことが嫌いな性分なんでござんす。ごめんなすって……

木枯し紋次郎〈3〉六地蔵の影を斬る (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈3〉六地蔵の影を斬る (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
木枯し紋次郎〈3〉六地蔵の影を斬る (光文社文庫―光文社時代小説文庫)
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木枯し紋次郎も3冊目。この作品を読んでいると日本が好きになる。和の良さについて色々と気付かされる。そんな作品であると感じ始めた。

まず紋次郎のカッコよさに付いては改めて指摘するまでもないだろう。和物ヒーローの完成形と言える。言える。大事なことなので何度でも言える。洒落た侍とか、鎧着た武者とか巷にはかっこつけた和物キャラクターが溢れているが、紋次郎の身繕いには遠く及ばない。三度笠に道中合羽、手甲脚絆。この姿の完成度はずば抜けたものがある。紋次郎をモチーフとしたシレンがカッコ良いのも当たり前というわけだ。

あとは日本風俗の勉強になる作品である。一見大雑把な活劇物といったイメージを持たれがちな作品だが、その実はかなりことこまかに江戸時代のことや地方のことが調べあげられている作品である。当時の日本がどのような生活をしていたのか(食べ物や賃金、娯楽)などといったことが色々と説明されている。ストーリー自体ももちろんだがそういった事を知るのも非常にたしめる作品となっている。

まさか…
時代物が好きになるということは、歳ということか…!?

木枯し紋次郎〈2〉女人講の闇を裂く (笹沢左保)

木枯し紋次郎〈2〉女人講の闇を裂く (光文社文庫)
木枯し紋次郎〈2〉女人講の闇を裂く (光文社文庫)
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自分は股旅物が好きだ。
短編的な読み物でありながらも主人公は一貫しているし、世界観も統一されている所が良い。限られた紙面の中で展開し、さっくりと一話完結していくところがなんとも言えない。

紋次郎シリーズもさることながら「キノの旅」も股旅物として好きだ。後者はどちらかというと寓話や風刺的な要素が強くも感じるが…。そんなキノと紋次郎の2作品を比べていたところ、ある共通点に気がついた。キノ好きな人ならキノの作品に於ける「お約束的な言い回し」と言えば何のことだか分かるだろう。毎回毎回キノ登場のたびに必ず登場するモトラドの説明に関する下りである。似たようなものが紋次郎にもある。紋次郎でも一話ごと一話ごとに必ず「楊枝の説明」が入る。楊枝といえば紋次郎の象徴とも言えるものである。

毎回同じ主人公であるにもかかわらずこういったお約束の人物紹介が入るのはいったい何なんなのだろうか。よく分からないが、今ではこれらの一文を見ないと落ち着かないようになってしまった。そろそろか?そろそろか?と思いながら文頭を読んでいる始末である。

時雨沢恵一は紋次郎好きなのだろうか。それとも股旅物ではこういった表現が結構当たり前なのだろうか。ちょっと元出を知りたくなってしまった。

初恋 (ツルゲーネフ)

16歳の主人公ウラジミールはある日隣に越してきた令嬢ジナイーダに一目惚れする。時には燃え上がり、時には落ち込むということを繰り返しウラジミールは恋というものを実感していく。しかしながらジナイーダは別の男性に恋していく。その相手とは…。

初恋がどのような結末を迎えるのか。そういったものを描いた作品ではないような気がする。主人公自体この体験で成長こそすれど何かを失ったということも傷付いたということもない。恋するという心情を美しく描いたそんな作品。

誰が為の警鐘【Blog】 : 白夜 (ドストエフスキー)のナースチェンカといい、ジナイーダといいロシア女性のなまえの響きがいいなぁ。

みずうみ (シュトルム)

みずうみ改版
みずうみ改版

文学少女枠の恋愛名作。
ラインハルトとエリーザベト。二人は愛し合っていたけれど、結ばれることなくお互い違う道を選択し歩んでいく。成就されないせつなき青春の物語。

とまあ読んでみたけれど、さっぱり分からない。お互いの心情が全く伝わって来ない。自分の読み込みが足りないのだろうか。もう一度文学少女を読み返してみたら少しは分かるかもしれない。とにかくカタルシスがなかった。

基本的に成就されない恋愛というテーマは好きだ。愛し合っているのに結ばれない、愛されているけれど置いていく、そういった物語にはなんとも言えないカタルシスがある。風来坊な主人公にこの手の話が多い。ヒストリエのエウメネスとサテュラは言うまでもなく、旅のラゴスのラゴスなんかも恋愛よりは旅を選ぶ。木枯らし紋次郎も自分が居てはいけないという観念から愛されても留まらない。こういったスタイルは好むところである。

しかしならがこの作品ではなぜラインハルトがエリーザベトと結ばれなかったのか。その趣旨が分からなかった。

潮騒 (三島由紀夫)

潮騒改版
潮騒改版

三島由紀夫というと、もう「ぶっとんだ人」というイメージしか無い。壮絶な人生を歩んだ人という印象。そんな人の書く小説というわけだから一般人には理解出来ないだろうと思い三島由紀夫の作品はずっと敬遠していた。しかしながら文学少女の中で本作「潮騒」が紹介されていたので読んでみることにした。

島に生きる海の男新治は見知らぬ少女を島で見かける。彼女の名は初江。金持ちの家の娘であり新治にとっては遠い存在の娘だった。しかしながら二人は恋に落ちる。初江を奪おうとする安夫、新治に恋する千代子の二人が絡み、新治と初江の中は引き裂かれてゆく…。

さてどんな結末が待ち構えているのやら…と思っていたら。驚くほどに大団円だった。ありがちといえばありがちな結末なのだが、それが非常に美しく描かれていることに感服した。またところどころに散りばめられた情景や表現も本当に美しい。三島由紀夫に対する評価がだいぶ変わったかな。

しばらくして、安夫がさりげなくこうきいた。
「汝ももっとるのかれ」
「何をや」
「初江の写真さ」
「ううん、もっとらん」
これがおそらく新治の生まれてはじめてついた嘘であった。

木枯し紋次郎 (一) 赦免花は散った (笹沢左保)

木枯し紋次郎 (一) 赦免花は散った (光文社文庫)
木枯し紋次郎 (一) 赦免花は散った (光文社文庫)
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紋次郎…それは男なら一度は憧れる姿。男なら黙って紋次郎。三度笠に道中合羽、そして手甲脚絆を身につけ今日も旅から旅へと消えてゆく。寡黙で積極的に誰かを助けようともしない。口癖は「あっしにはかかわりのねえこって」。口に加えた長い楊枝がトレードマーク。その姿、寡黙さはシレンのモデルになったといわれるのも納得出来る。

特にシレンつながりというわけでもなく、たまたまTVでドラマを見ていて紋次郎にはまった。紋次郎の良さに付いてはゆくゆく話て行くことにしよう。紋次郎DVDBOXが欲しかったのだが、お金が無くとりあえず小説から読んで行くことにした。

おもしろい。一話完結型の股旅構成になっており、1冊に5話ほど収録されている。一話目から痺れた。表現するならば和ハードボイルド。マカロニウェスタンのカウボーイのポンチョを道中合羽にテンガロンハットを三度笠に銃を長脇差にしたら紋次郎になる。それにミステリー風味を軽く味付けしたのがこのシリーズと言えるだろう。

赦免花は、散ったんでござんすよ

銀河英雄伝説6 飛翔篇 (田中芳樹)

銀河英雄伝説(6(飛翔篇))
銀河英雄伝説(6(飛翔篇))

銀英伝もいよいよ後半に突入。同盟は表向き滅び、ヤンは軍を退役。フレデリカとささやかな新婚生活を営んでいる一方で、オーディンではキュンメル事件が発生。また辺境の惑星である地球でもユリアンが地球教に侵入と舞台がかなり散らばっている期間だった。メルカッツ提督も遠いところで身を隠していらっしゃるし…。

レンネンカンプさんが暴走していざこざが起こり、ヤンが捕えられ果てには殺されそうになる辺りがなかなか盛り上がる。間一髪で救出に来たフレデリカが愛しい。そしてその後のランドカーでのヤンとフレデリカのやりとりが微笑ましい。

あってんぼろー「こいつはピクニックだったのか」
しぇーんこっぷ「いやピクニックってやつは、もっとまじめにやるものだ」

筒井康隆70歳を超えてのラノベ念願の単行本化か!?

誰が為の警鐘【Blog】 : 筒井康隆、73歳のライトノベルで紹介した筒井康隆のライトノベル「ビアンカオーバースタディ」がどうやらついに待ちに待った単行本化となりそうだ。
『ビアンカ・オーバースタディ』のいぢ挿絵の筒井ラノベ、年内に単行本発売 - 主にライトノベルを読むよ^0^/

年内と言うことなのでまだまだ先ではあるが2008年から待望している自分としては嬉しいこと限りないな。相変わらず変態な作品のようだが評判も良かったようなので楽しみでならない。ゲームや漫画ではなく小説の発売を待ちわびるって気持ちは珍しいかな。だいたい小説は古本をあさってたしね。

他に待ちわびている小説といえば
・十二国記
・新本格魔法少女りすか
ぐらいかな。

発売を楽しみにしている漫画ならば
・ヒストリエ
・シグルイ
・ヴィンランド・サガ

ゲームならば
・人喰いの大鷲トリコ

銀河英雄5 風雲篇 (田中芳樹)

銀河英雄伝説(5(風雲篇))
銀河英雄伝説(5(風雲篇))

おそらく銀河英雄伝説の中で最も山場となる期間の話であると思う。ラグナロック作戦開始、フェザーン占領、イゼルローン要塞の放棄、ヤンとラインハルトの正面戦争、そして自由惑星同盟の終焉まで。ヤンのプロポーズ、ヤンとラインハルトの初対面と見所が多すぎて興奮を冷ます暇がなかった。

ヤンのフレデリカへのプロポーズのシーンは実に印象的であるのだが、これは是非ともアニメ版を見てもらいたいと思う。アニメでのこのシーンの声優の演技力が素晴らしい。また表情も心情の機微が見事に表現されており名シーンと言うほかない。

あと、本書では著者のあとがきにて「キルヒアイスを殺してしまった事への後悔」について触れられていた。キルヒアイスを早々に退場させてしまったことを結構後悔していたようだ。これは難しいところだろうなぁ。

イエスですわ、閣下!

銀河英雄4 策謀篇 (田中芳樹)

通勤ラッシュの読書にも幾許か慣れてきた。ひたすら銀英伝を堪能中。本書は幼帝の誘拐からラグナロック作戦開始辺りまで。

ドンパチの少ない期間。どちらかと言うとタイトル通り策謀が蠢く展開だったり政治的な話がメインに進む。

ここではロイエンタールに注目したい。後のロイエンタールの行動はアニメだけ見てると結構唐突にも感じたりするが、小説を読んでいると3巻あたりから4巻にかけて十分に伏線が張られているように感じる。

あとはヘボ詩人ことランズベルクが躍動する期間でもある。彼の描写を見るとそれほど愚劣な人間でもないし、悪人でも無いよなぁ。良いように利用された善人という印象。アニメでの扱いほど無様な人間でも無いような印象を受けた。しっかしエルウィン・ヨーゼフ二世はひどいなw
ついでに紹介された銀河帝国の夏桀殷紂な話は面白かった。

銀河帝国ゴールデンバウム王朝歴代皇帝

銀河英雄伝3雌伏篇 (田中芳樹)

今回の見所は「イゼルローン要塞 VS ガイエスブルグ要塞」。ポイントとなる人物は、壮絶に燃え尽きるケンプさんと歴史に初めて頭角を現し始めるユリアン。

しかし、忘れてはいけないのがイゼルローンの一時指揮官となったキャゼルヌ先輩。帝国にはロイエンタール、オーベルシュタインと好きなキャラクターが多いが同盟側にはあまり好きなキャラクターがいなかった。ところが最近ではキャゼルヌの株が自分の中で上がってきている。戦闘には参加せずかなり地味なキャラではあるが、後方支援能力がずば抜けていると言う点が非常に興味深い。おそらく帝国側にもキャゼルヌほどの事務能力がある人物はいないのではないだろうか。

項羽と劉邦で好きな人物は韓信と蕭何。韓信は戦争で、簫何は内政と後方支援で活躍した傑物である。戦争で重要なのは物資支援である。中国の戦争は桁が違うため、食料調達だけでも気が遠くなるような膨大な仕事となる。簫何はそんな大変な仕事を見事にこなし劉邦の活躍を影で支えた人物と言える。

キャゼルヌは同盟軍の簫何というわけだ。自分が好きになるのも納得である。ヤンの活躍の影にはキャゼルヌの事務や後方支援における辣腕があるということを忘れてはいけないだろう。

余談ではあるが、そんなキャゼルヌをさらに影から支えるのがキャゼルヌ婦人である。何気に此の人も強者である。イゼルローンの真の支配者との呼び声もあり、「イゼルローンの白い魔女」とまで囁かれている…。まあその話はまたいつか。

銀河英雄伝説2野望篇 (田中芳樹)

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銀河英雄伝説(2(野望篇))
銀河英雄伝説(2(野望篇))

帝国内紛「リップシュタット戦役」の始まりから終わりまで。

大きな事件としてはキルヒアイスの死亡。キルヒアイスが生きていたならば銀河の歴史はどのように書き変わっていただろうか…。

キルヒアイスが生きていた場合、銀河帝国はむしろ悪い方向に進んでいたのではないかと自分は考えてしまう。既にラインハルトとキルヒアイスの間には齟齬が生まれて来ていたし、アンネローゼとキルヒアイスの関係に対するラインハルトの嫉妬も懸念される。またキルヒアイス自身のラインハルトにも負けない精悍さ、人気…。一国に二頭はあまり良いこととは言えない。

この点に関して、No.2不要理論を徹底しようとしたオーベルシュタインの考えは正鵠を得ていると思う。オーベルシュタインの理論は誠にブレがなく筋が通っている。小説を読むほどに彼の評価がうなぎ登りな状態。ロイエンタールと並んで好きなキャラだな。

銀河英雄伝説1黎明篇 (田中芳樹)

銀河英雄伝説(1(黎明篇))
銀河英雄伝説(1(黎明篇))

銀河英雄伝説のアニメ誰が為の警鐘【Blog】 : 銀河英雄伝説 (OVA)があまりにも面白かったため予定通り小説を読み始めた。

本書はアスターテ会戦からアムリッツァ会戦そして皇帝の死あたりまで。流れは基本的にアニメと同じようだ。ただアッテンボローさんが見当たらないな。小説での出番はまだまだあとのようだ。

小説の良さはアニメで語られなかった細かい設定などが分かること。銀英伝の物語における細かな背景が読み取れて非常に満足している。冒頭からルドルフの歴史やヤンの生い立ちなどに触れられている。またSF的な設定の解説も楽しみなところである。宇宙に飛び立った人類における日時の解釈や、測量単位系など面白い逸話が多い。これらの設定は、ハードSFとして見るならば少々無理のあるものも多いが、歴史小説としてみるならばその物語を太くする良い肉付けであると言えるだろう。
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