きっかけはひょんなことから。
昨夏、いつもお世話になっている大阪市立自然史博物館で「夏休み体験”タマゴ式”鳥絵塾」をさせていただいきました。
その時の記念撮影を認定NPO法人大阪自然史センタースタッフのM子ちゃんがfacebookに【イラストレーター・谷口高司さんとパチリ☆】と載せてくれたのです。ちょうどお盆の時期だったので、缶バッチをポチ袋に入れた「お年玉」ならぬ「お盆玉」を差し上げたら、その写真を添えて。

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そこへ福島市小鳥の森のレンジャーの五十嵐悟さんが
「うらやまし〜〜〜〜い」
とコメント。
そしたらMちゃんが
「めちゃくちゃフットワークが軽い上に底抜けにいい人たちだから小鳥の森にもって来てくれるんじゃないかしらん…」
と、フットワークは体重の割に軽いけれど、かなり照れるコメントを書いてくれたので
「何でも云ってねん♪」
とお返事したのが私。
もしかしたら五十嵐くんはお盆玉のこともいいなぁっていったのかもだけれど。
 
そのあと11月に、彼は我孫子のジャパン・バードフェスティバルにも、新幹線で駆けつけてくれて、サンコウチョウの”タマゴ式”鳥絵塾も体験。
「具体的に進めますね!」
と約束してくれました。
最初はワークショップだけというお話しでしたが、私たちの方でお願いして会場を確保、20日間ほど個展もさせて頂けることになったのです。
 
3.11以降、何か福島のお役に立ちたいと思いながら、野鳥観察や作品の鑑賞は、残念ながら復興と一番遠いところにあることも理解していて、非力な自分たちを痛感していたので、本当に嬉しいお話しでした。
 
「福島市小鳥の森」は「ウトナイ湖」に続き、日本野鳥の会が日本で二番目に開設した野鳥の聖域:サンクチュアリです。当時の福島市長さんがウトナイ湖のサンクチュアリにいたく感銘を受け、福島市内にもサンクチュアリをと熱く情熱を傾けて開設にこぎつけたものとか。
いまでは日本野鳥の会の管理を離れ、“日本野鳥の会ふくしま”が管理運営にあたっています。
 
WEB上の地図でどんなところかしら?とワクワク妄想をひろげていたのですが、何と!現地は霊園の中を進んでいくと、小高い丘の中にネイチャーセンターが建っているという展開にちょっとびっくり。でも、以前は東京でも谷中や多摩の霊園での野鳥観察会もあったのですから、鳥にとっては安心できる環境に間違いありません。
雑木林がさわさわと風を受けて、新芽を輝かせていて、新芽越しに、福島競馬場のスタンドがみえるという、私的にはまさに絶景な場所でした。

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以前、競走成績:競走馬のレース成績を公式に残す業務の仕事で何度か福島競馬場に来たことがあるのですが、信夫山でウグイスの声を聞いた記憶しかなかったものの、「あぁ、この空気と風だぁ」と懐かしくいろいろなことが蘇ってきたほどでした。
 
ワークショップは黄金連休のおわり7日(土)に開催されました。
福島といえば「キビタキ」のイメージが強くて、サンクチュアリのシンボルバードもキビタキと思い込んでいたのですが、直前になって県の鳥がキビタキ、福島市の鳥と小鳥の森のシンボルバードはシジュウカラとわかり、あたふた。
でも五十嵐さんが
「キビタキの時期ですし、みなさんキビタキの方が描きたいと思いますよ」
といってくださって、小学生の回、大人〜中学生の回の2回、キビタキをポーズを替えて挑戦して頂く事になりました。
 
福島市はマンホールのふたにまでシジュウカラが美しく刻んであるほど、野鳥に馴染みがあるせいか、どちらの回もみなさんとても活き活きと描いてくださって嬉しかったです。
小学生の回のときには、窓の外にちらりとキビタキの鮮やかな色が飛んで、「みんなキレイに描いて!」と声援を送りに来てくれたのかと思ったほどの絶好の環境でした。
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もちろん「福島市小鳥の森に集う野鳥たち〜野鳥図鑑画家谷口高司作品展〜」も大盛況で嬉しい限り。
今回は24点全部で85羽の福島に縁の野鳥を展示させて頂きました。先日の「ジュンク堂書店池袋本店画業40年の歩み展」で展示しご好評をいただいた「新 山野の鳥 改訂版」「新 水辺の鳥 改訂版」の表紙もお持ちし、お手持ちの本の原画を楽しんで頂きました。
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翌日は日本野鳥の会ふくしま主催の市民探鳥会。
野鳥の会の会員だけでなく、福島市民のみなさまにも広く告知しての探鳥会は、なんと6時に集合。
福島のみなさまとのご来光、晴れの予感に胸弾みます。
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福島市小鳥の森のあるあたりはまさに里山。
棚田があり、林があり、木漏れ日の中を歩く小道がありと、全ての喧騒から解き放たれた別天地でした。
もちろんこのあたりも3.11の影響を受けており、除染が至るところでなされていました。植物もいったん全部抜かれ、どんな植生になるかの調査も丁寧にされていましたが、今年豊作というタケノコは収穫が禁じられていて、イノシシが大喜びで掘り返したあとがいっぱいありました。
一緒に歩いた方のお話しを聞くと、まだまだ、終わっていない部分がいっぱいあるのだなぁと思いました。それでもみなさん、一生懸命頑張っておられる。
代表の方が、始まりのご挨拶を
「福島は元気です!」
という言葉で締めた思いが、痛いほど伝わってくる時間となりました。理不尽な出来事に対し、責任者の謝罪もないままという現状に怒りを覚え、私たちが何かできることを!という思いも一層強くなりました。
 
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サンコウチョウの第一陣も確認されていたのですが、探鳥会では姿は見えずじまい。でも本当に思い出に残る探鳥会に参加させて頂く事ができ、ありがたかったです。
 
福島での個展は完了しましたが、いまだ私たちは熱い思いを抱いたままでいます。
それは体験"タマゴ式"鳥絵塾に参加された方々の、嬉しそうな笑顔にお逢いしたうえに、経験豊かなレンジャーの方々の中身の濃いお話しも楽しく伺うことができたから。
 
もし福島市小鳥の森へはまだ行っていないという方は、ぜひ!足を運んでみていただきたいと思います。
3.11のあとも、福島市がきちんと予算をとって守りたかった自然がそこにはあります。
阿武隈川の支流、荒川沿いには福島市水林自然林もあって、こちらも、ふりそそぐ光りがとても素敵な場所でした。
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福島市小鳥の森はこちらで… →→→http://f-kotorinomori.org/
もれなく写真の五十嵐さんはじめレンジャーさんの笑顔でお出迎えしてくれます。
 
最後に、高司先生、キビタコスプレの図を。
このキビタキマントはMちゃんたちのいる認定NPO法人大阪自然史センターのお仲間が作ったものを、福島の支援に関わっているMちゃんから小鳥の森へプレゼントしたもの。
モデルが悪くて、ペンギンにみえなくもないのですが、羽の模様は完璧に作られていて、ほれぼれするほどの出来栄えです。
実はMちゃんたちもこの4月から大変で…。
なんと、彼女たち認定NPO法人が運営していた、大阪市立自然史博物館内のミュージアムショップでのお仕事が、叶わなくなったのです。幸い彼女たちはネットショップで、今までどおり店頭にあった商品を扱えることになりましたが、これからのことをとても心配しています。
 
鳥に関連するモノの品ぞろえは、もちろん我らがHobby’s Worldがダントツですが、獣や昆虫、恐竜といった鳥以外のモノはぜひ!こちらのサイトもご欄いただければと思います→→→http://omnh-shop.ocnk.net/
 
ということで、福島だけでなく、そんな彼女たちへのエールも込めての一枚です。
あ、一番頑張らないといけないのは来年70歳を迎える高司先生ですけどね。 
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