HaruharaPのブログ

アイマスMADを作りたい人。メインツールはParaDrawとParaFlaです。

突発性難聴、無事完治しました。
(2017/07/15)

俺的に子供に薦めたい本2017

 下の子が読書に目覚めた嬉しさに本を薦めまくってウザがられている昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。一方、上の子はついに読書に関心を持たないまま、子供を卒業しようとしております。ダメだこいつ。TwitterやLineより長い文章読めない体になってやがる。

 私はわりと早い時期に本が好きになり、昼間はアホみたいに外で跳ね回って遊びまわりつつ、夜はベッドで深夜ラジオを聴きながら読書、という夏休みを過ごした記憶があります。あのころはジュヴナイルとか、こども向けに翻案されたミステリやSFなんてのが多数ありまして、図書館から借りてきては読んでおりました。無論、夏休みの図書館通いの真の目的は児童図書コーナーになどはなく、大人向けの百科事典で人体の神秘を探り、大人向けの官能小説を渉猟するためだったのですが。
 大人向けはともかく、あの当時夢中になって読んだ児童書はたいていどれもこれも絶版ということになっており、特に、いわゆる古典とか名作とか言われるジャンル以外の図書は入手不可能。以前、古書店の主に相談したことがあるのですがその際、子供は本の取り扱いがとても雑なので痛みが激しく、古書として引き取れる美本は稀で、ほとんど廃棄される、と聞いたことがあります。
あぁそれにしてもこのまま埋もれさすのは悲しい。というか、俺が忘れそうだw
こんな地の果てのブログではありますが、そうした図書を記録に残しておかねば、そう思ってここに書き記しておく次第。文科省は推薦しないかもしれんが、HaruharaP的な推薦課題図書なのであります。
 なお、ひとことずつコメントを記載しますが、記憶が曖昧なところもあるため、信頼してはいけませんw
 一部の悪辣な古書店を儲けさせるのはイヤなので、amazonリンクは貼らん。

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◆小学生向け

・ゲバネコ大行進(瀬川昌男)
時間旅行のパラドクスをちゃんと子供向けエンタテインメントにしているのが凄い。シリーズに「スーパーネコ大作戦」など数冊あり、微妙に設定が違う。お亡くなりになる前の公式HPでは、無料で読むことができました。

・宇宙船ドクター(ハリー・ハリスン)
次から次へふりかかるトラブルを身をとして解決する少年船医の活躍。豊富なSFアイディアに驚嘆します。作者は「人間がいっぱい」のハリー・ハリスン。

・ラルフ124C41+(ヒューゴー・ガーンズバック)
ヒューゴー賞にその名を残すヒューゴー・ガーンズバックの古典SF。俺が読んだのは多分、岩崎書店版「27世紀の発明王」だったと思う。真鍋博の挿絵イラストが楽しかった。

・とらえられたスクールバス(眉村卓)
萩尾望都キャラデザで映画化までされたというのにあまり語られない本作、と思ったら、「時空の旅人」と改題され比較的入手しやすくなっておった。前・中・後編と分かれておりますが一冊一冊の分量は少なく、すぐ読めます。歴史改変SFに燃えない男の子はいない。今思えば、子供向け「戦国自衛隊」だったのかもしれない。

・少年のブルース(那須正幹)
クラスの本好きの女子から薦められたのは良い思い出。「ズッコケシリーズ」で有名な那須先生のSFショートショート集。センチメンタルな話もある一方、トンでもSFもあって、バラエティに富んでいます。今でも簡単に入手できます。先日、子供にも買い与えました。

・アルファベット群島(庄野英二)
で、そのクラスの女子に薦めたのがこちら。サンデーとかマンデーとか、曜日の名前がついた部下たちと不思議な島々を巡る冒険譚。だいぶ記憶が薄れているが、続編があったような記憶もある。

・SOS地底より(伊東信・横山明)
ご近所ミステリ・ホラー・SFかと思ったら、しっかり足を地につけた昭和の悲しい物語。ネタバレになるので詳しく記せませんが、今のご時勢、なかなか正面から取り組みづらいテーマだったりします。

・トム・スイフトの宇宙冒険(ビクター・アップルトン)
子供向けのくせにガチガチのハードSF。宇宙船とかスペースコロニーとかロボットとか、表紙の加藤直之のイラストがめちゃくちゃかっこいい! 「アリストテレス」という名前は、本作で覚えました。ビクター・アップルトンは複数の作家達による共作用の名前で、この「トム・スイフトシリーズ」は「ペリー・ローダン」のように書き連ねているSF小説群。実に100年の歴史があったりするのです。

・八十日間世界一周(ジュール・ヴェルヌ)
私が読んだのは旺文社版。原著オリジナルの(?)、エッチングみたいなイラストがなんというか、エキゾチックな世界風俗が描かれていて、大変惹かれます。雰囲気があって、一枚の絵としても良いです。主人公一行の冒険、それを追う探偵、世界各地の風俗、文明と大自然。いまでも色あせない物語。ジュール・ヴェルヌ、実は「宇宙戦争」より「海底2万マイル」よりも先に本作を読みました。

・平家物語
子供向けの「古典文学全集」的なシリーズの一冊だったのですが、どの出版社だったかもはや記憶が無い。「祇園精舎の鐘の声」から始まる数々のエピソードはどれをとっても日本人としての基礎教養なのであって、今でも私の血肉になっております。なにより、大学受験まで歴史が大得意科目になったのは本書のおかげ。もっともセンター試験は世界史で受験しましたけどねw

・0011発進せよ!(村上義人)
ネットにほとんど情報が無いのですが、「ほらふき探偵団」シリーズの一冊。荒唐無稽なほのぼの探偵小説でありますが、一家の表現が毒ありまくりで読んでいて楽しかった。オチやストーリーは、残念ながらほとんど覚えていません。


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◆中学生向け

・復活の日(小松左京)
図書館でエロい本を探しに大人向けのコーナーで発見した本作。初めて読んだ小松左京がこれという幸運に、神に感謝せずにおれない。以前このブログで紹介したとおり、子供向けに翻案したラノベがありますが、中学生くらいなら普通に読めます。「マスでもかいてろ!」は射精経験の無かった当時の自分には謎の言葉でした。

・ねらわれた学園(眉村卓)
「ジュヴナイル」の定義って今になってもはっきりしないのですが、俺の中では本作や、「閉ざされた時間割」「なぞの転校生」といった一連の眉村SFがそれに当たると思うのですよ。今時の「ラノベ」に比べたら、もっとずっと子供達に寄り添っていましたな。

・ポケットのABC(眉村卓)
眉村卓のショートショート集。続編もあります。発想の根本はガチSFなのでありましょうが、かなりナンセンス・トンデモ・不条理オチな作品が多く、エキセントリック。バカSFも多く、アイディアの宝庫。本がボロッボロになるまで読み返しました。

・ふたり(赤川次郎)
表紙イラストが大島弓子だったのが印象的で、クソみたいな映画版に比べたらとても美しいお話。胸が苦しくてなかなか読み返せずにいる、大切な小説です。

・夜(赤川次郎)
ホラー小説の体をしながら、その本質はアクションサバイバル小説。本作の「敵」に立ち向かう「普通の人々」の強さに、なんとも言えず熱くなってしまいます。最後の決戦でのギミックも手に汗を握ります。赤川次郎全盛期最良の一冊です。というか、「ふたり」と「夜」だけでいい。しかし子供心には、エロスな描写にドキドキしましたな。

・声の網(星新一)
この小説の新しさにいまこの2017年になって戦慄してしまいます。スティーブ・ジョブズよりもビル・ゲイツよりも、誰よりも正確に未来社会を予想してた星新一。SF作家ここにありといった観があります。そしてそれを子供のころに読んでいたという経験は、密かに誇りに思っています。

・そして誰もいなくなった(アガサ・クリスティ)
ネタバレ無しに本作を読めた幸せ!!! タイトルがかっこよくて買ったのですね(ハヤカワ文庫版)。「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」とか「動く指」とか、あの頃の私はタイトルで買う小説を決めていました。まだ子供の小遣いで文庫を買えた時代で良かったです。

・夏草冬濤(井上靖)
いまなら絶対に腐女子が食いつくはずの小説。とても大らかな青春群像は、時代を現代に翻案しても古びていないように思えます。なんでアニメ化しませんかね。不思議です。かつては入試問題にもたびたび採用されておりましたな。

・旅のラゴス(筒井康隆)
キレイな筒井康隆による連作短編。「王国への道」の文明・歴史ビジョンは今でも俺に影響を与えている。「解放された男」や「銀鉱」における非情な人間観、「着地点」におけるハードSF、最終話「氷の女王」の詩情溢れるエンディングと、とてもバラエティに富んでいる。読み易いが教養溢れる文体は、その辺の「なろう小説」も見習うべきでしょう。

・ラヴクラフト全集2(H・P・ラヴクラフト)
マジで怖くて布団にくるまってションベンちびりそうになりながら読んだ記憶があります。「クトゥルフの呼び声」よりも「チャールズ・ウォードの奇怪な事件」の方がめちゃくちゃに怖かった。

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他にも思い出したら、追加します。

【PV】ACM+17でTHE IDOLM@ASTER【ミリシタ】

 先日のエントリでスマホを買い替えた事をご報告申し上げたのですが、そこでも書いたとおり、ミリシタの画像キャプチャ・録画が楽しすぎてGoogleドライブがお腹一杯になりそうです。

 Xboxからキャプチャカード経由してPCで録画するより、断然楽チン。スマホで録画スタートして、PCに共有するだけなんですもの。
 ただ残念ながら、Androidは「内部音声」を独立して録音する機能は、現在のところ仕様上できません。だからこのP10 liteでアイドル達のダンス(勿論日常風景も)を録画しても、私の荒い鼻息やら近隣を走る救急車の音などの「外部音声」もモロに拾ってしまうのです。ゲーム音楽だけ、アイドルたちの会話「だけ」をスマホに記録することはできないということなのです。

 もっとも、やりようはいくらでもあるもの。

 映像は普通に録画するとして、音声はスマホのイヤホンジャックからPCへ配線を伸ばし、PC側で録音すれば良いだけ。
 とはいえこのPC、まともなオーディオ入力デバイスを積んでおりませんので、どうしても電源周りからノイズを拾ってしまいます。だからFL StudioやAudacityやらでノイズ低減やらエンハンスやらを頑張る必要があるのです。ま、いろいろ試した結果、Video Studioのノイズカットが一番高品質でしたな。ワンクリック一発でしたし、悩むだけ時間の無駄でした。
 音さえ拾えれば、あとは動画編集ソフトで映像に合わせて配置して、出力するだけです。
そこで、さてエンコード、という段取りなのですが、知らないうちにニコニコ動画の投稿規程が(またも)変更になっていました。なんだかよくわかりませんが、ニコニコ側でエンコードするから、無闇矢鱈にこちらで圧縮したり加工したりする必要は無いっぽい(?)のです。それに伴い、今までお世話になった「つんでれんこ」も、とうとう開発終了だそうです。はぁ、時代は変わりましたなぁ。

 しかし普通にアップロードするよりも、やはり「つんでれんこ」で細々設定する方が、気持ち、画質は良いような感じがします。いろいろテストしたんですけどね。

 そんなわけで、バンナムは早くミリシタでメルヘンメイドを公開してください。録画しまくりますので。

スマホをP10 liteに変更しました

 今月7月から格安スマホに切り替えたわけですよ。auへの料金支払いが家計を圧迫しているのに耐えかねて。
 で、その矢先、auから料金改定のアナウンスがあったじゃないですか。
 もうね、アホかと、バカかと事前に周知しろよ相変わらず不誠実な会社だな・・・と思ったのですが、よくよくプランを検討しますと、我が家のケースではやっぱり格安スマホにした方が安上がりになるわけですね。
 ホッと胸をなでおろした次第なのです。損してないね、と。
 むしろ、莫大な利益を上げながら料金を値下げせずしょーもない通販ビジネスや金融ビジネスに裾野を広げているauとの腐れ縁が切れて、むしろスッキリ。auショップの店員も困り顔だったぞ、地方の特産品をお客様に薦めなきゃいけないんですスミマセンなんて言って。可哀想に。経営陣全員クビにして、料金安くせぇや。

 そういった経緯で15年ほど付き合ったauに別れを告げたのと同時に、4年間近く愛用していたHTL22(HTC22のau仕様)にもお別れいたしました。
 HTL22は高品質なスピーカー、手ごろな画面サイズ、金属削り出し(っぽい)筐体、まぁまぁキビキビした動作、DropBox容量サービス、付属のイヤホンはBeats製、ギリギリandroid4.4.2対応と、現状さほど困ってはおらず、というか、それ以前に使用していたIS12SH(シャープ製)が国産のわりにかなりどうしようもないマシンだったせいもあって、かなり好印象だったのです。起動時にauのロゴが出てくることを除けば。
 ところがHTL22には「紫カメラ」という固有の不具合があって、さすがに我慢できなくなって昨年修理交換(有償)したのですが、その交換機がバッテリーがかなりイマイチ。一日持たないという問題が。さらに春頃から、Bluetoothが再起動を繰り返すという不具合が発生しました(LINE起動時に高確率で「落ちる」ので、おそらくBluetoothのシステム周りとLINEの相性問題だと思います)
 いかに気に入ったスマホとはいえ、なかなか厳しい状況です。

 そこでauから格安キャリアに切り替えると同時に、今回スマホ本体もP10 liteという機種に乗り換えたのでした。

 P10 liteはHuawei社製で、いわゆる中華スマホ。それもガチの。
 HTCは台湾の会社なので、これで2代続けて中華文化圏のスマホになります。
 シャープのIS12SHがクソ過ぎたので、国産よりもむしろ安心感があるのは皮肉というか、時代の趨勢というか。

 このP10lite、動作キビキビパキパキのキレッキレで、4年前のスマホに比べたら亀とウサイン・ボルトくらいの体感差があります。激っパヤ。いや無論、キャリア製高級スマホならビジネスジェットのラグジュアリー感のある素敵速度なのかもしれませんが、個人的にそこまでの速さは求めていない。具体的には、Idolm@sterミリオンスターズシアターデイズがそれなりに動く程度の性能であれば、満足なのです。

 と、いうわけで、実に2年ぶりにニコニコ動画に投稿してみました。もうね、コスチュームの質感とか完璧でしょ! こんだけ動きまくりで全くカクつかないの。買って正解。



 録画(キャプチャ?w)も随分簡単で、ナックルジェスチャーでお手軽です。スクリーンショットもコンコンとノックすればよいだけですので、フォルダにガンガン溜まりまくりで整理が追いつきません。嬉しい悲鳴。
 そんなこんなで、久々にアイマスにはまっている昨今なのでした。

ミステリガール デイヴィッド・ゴードン

二流小説家」で鮮烈なデビューを飾ったデイヴィッド・ゴードンの第二作なのだが、本作に散りばめられた「自分語り」「映画」「文学」「カルト」といったキーワードへの偏愛振りがどうにも「フリッカー、あるいは映画の魔」を想起させ、そのせいでいまいち新鮮味が足りません。最初にこっち読んでると、逆の感想かもしれませんね。でもオチは「フリッカー」ほどセカイ系でないため、壮大なカタルシスを得る、といった域までは達していないような気がします。
 が、軽やかな話運びとユーモア、そして主人公のダメ人間っぷりが楽しく、読み始めるとずんずんページをめくれます。登場人物たちのネジのハズレっぷりも楽しく、しかもそれらがさして物語の本筋とは関係無いというのも、人間社会の綾を見ているようでなかなか興味深いです。
 そう、登場人物たちはどいつもこいつも長々と自分語りをするのです。起伏に富んだ山あり谷ありの人生。人生の落伍者の烙印を、生まれた時から刻まれてしまっている愛すべきダメ人間たち。シビアな現状から抜け出すために、時に必至に、時に呑気に対処する様子が、悲壮感とおおらかさとを伴って押し寄せる。そうした人間たちの物語を楽しむ小説なのだと思う。
 そうした「語り」を楽しめないと、大著でもありますので、はっきり言って楽しめないでしょう。こうした「小説を小説として楽しめない」現代エンタメ業界への警句も、登場人物たちの口を経由して語られるあたり、一本取られたというか、お前が言うんかと突っ込みたいというか、苦笑いせざるをえないという仕様。作者さん、なかなかへそ曲がりです。「重力の虹」とか「フィネガンズ・ウェイク」とか、ちゃんと読んでる人なんて、あなたの身の回りにいます?
 タイトルの「ミステリガール」がいったい誰を指すのかは、幾層にも重ねられた登場人物たちの物語レイヤーを読み解く努力も必要ですし、そうした努力をしてもはっきり言ってなんの益も無いのでありますが、それこそ、エンタテインメントなのかもしれません。ミステリとしては本格というよりも、サスペンス系ですので、トリックとかロジックとかを期待すると残念なことになるでしょう。
 大人に向けられたディレッタンティズム成分マシマシのラノベ、それが本書の立ち位置なのかもしれませんなぁ。面白かったけどね。

ミステリガール (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
デイヴィッド・ゴードン
早川書房
2013-06-05


2017年春アニメの感想

 嗅覚がおかしい。
 そう気付いたのは数年前で、最近はとくにそれが酷くなってきている。
 喫煙をやめてからわりとすぐに嗅覚が鋭敏になったのは自覚していたのだが、今や、100m先の路上喫煙者のタバコ臭に気付けてしまえるくらいになってしまっている(マジで)。
 とても苦しい。
 イヤな物なら見なければ良いし、聴きたくも無い騒音なら耳を塞げば良い。
 だが、嗅覚になると・・・。
 満員の通勤電車では、他人の体臭は凶器となって俺の鼻腔に襲い掛かってくるのだ。花粉が舞う季節ならマスクをするという手段もあるが、いまは息をとめてこらえるしか無いのである。
そして時節柄、雨具のすえた臭いや、おっさんの脂臭や殺人的なトニック、中高生の汗の臭い、子供の口臭、下品な女の安香水、オタクの髪のフケ臭と、俺は完全に包囲されている現状。白旗あげて降伏したところで、なんの解決にもならないという地獄。
 もうやだ。
 こんなリアル3次元で息なんてしてらんない。
 こんな生きづらい世の中から逃げ出したいのです。
 息だけになッ!
 さて、綺麗に落ちたところで、2017年春アニメの感想、行ってみよう!


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視聴完了

  • 進撃の巨人season2
 金のかかった作画に、雑な原作ストーリーを効率よく織り込むなど、なかなか努力が窺われる作品。そう、皆さん薄々感じていらっしゃるように原作はわりとグダグダなので、アニメでいくら努力しているとはいえ、やはり12話では消化不良気味、というかそもそも二期で完結できるボリュームではない。となると成功するかどうかはやはりこれはお金と時間の問題なのでして、作画云々、ストーリー云々より、プロジェクト全体を俯瞰する立場の人間の力量に大きく左右されてしまう。一期の盛り上がりが完全に実写映画に殺されてしまいまして、全盛期の勢いが無くなってしまったのはやはりとても残念であります。アニメの出来は悪くないのだが、ぶっちゃけ、熱が冷めている感覚があります。
 成功が必然とされてしまったプロジェクトの担当者の苦労は理解できますが、要は、決断する立場の人間が決断を怠り、タイミングを誤った結果なのです。失敗を見極める目、損切りする覚悟も、相応の立場にあるならば必要。だってもう、アニメ業界には余裕が無いのだから。



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  • 武装少女マキャヴェリズム
 第1話のバカバカしさに呆れてしまって、漫画の既刊を全部揃えてしまいました。共学化された学校では男子生徒は迫害を受け、一方、女生徒達は帯剣が許され、外出許可を得るために彼女たちの剣に素手で立ち向かうというバカ設定。が、剣術に関してはあまりネットにも紹介されていない情報があったりして薀蓄の蓄積が進む進む。神は細部とギャップに宿るということを再認識した次第。
 とはいえ、作画は徹頭徹尾不安定で、キャラの顔もカットによって全然雰囲気が違うなど、時間と予算が相当逼迫していた様子が視聴者に伝わってきます。リソースの配分が上手くいっていないのですなぁ。これもまた、業界が病んでいる証かもしれません。



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  • 月がきれい
 このアニメ業界大不況のご時勢に、オリジナルアニメにチャレンジした気概は買わねばなりません。作画も安定しているし、川越という舞台設定もそこここでストーリーに生きている。キャラの輪郭にそってハイライトがあたっているようなデザインも、新鮮です。毎回、EDの後に小話エピソードが来るのも面白い試みだし、声優たちの演技が中学生らしい初々しさと元気さもあってたいへん結構です。サブタイトルも文系諸氏にはモヤモヤ来ますよね?w
 が、中高生の惚れたハレタに全く興味がわきませんので、その点は非常に惜しい。響かない、こんな程度の恋愛では、俺の心にキュンキュン来ないのであります。志望校を彼女と同じにするんですって? 親の立場からすれば、とてもとても「お前の信じる道を行けばいい」なんて言えません。殴ってでも志望校を変えさせますね。そういう意味ではとっても甘々なファンタジー。もっとも、これは俺個人の問題であり、アニメ自体の評価とは全く関係無い。というわけで、良作ですが、俺には響きませんでした。



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  • リトルウィッチアカデミア

 劇場で本作を見た衝撃はいまでも忘れられませんが、ようやくテレビ放送とあいなりました。いま一番イケてるアニメスタジオであるTRIGGERなので、安心の作画。後半クールが物語的に失速したのは、ストーリー的に締めなければならない以上仕方が無かったのかもしれませんけどね。
 見所はやっぱり作画でありまして、ジャパニーズリミッテッドアニメが脈々と息づいているのは大変嬉しく思います。アッコが漫画作画の文法で画面を所狭しとクルクルとテンポ良く動き回るのが小気味良い。その動きに声優の演技がマッチしていて、アツコ・カガリというキャラクターがちゃんと生きている。ドジを踏んでも常に前向き、元気一杯なのも、健康的で良い感じです。彼女に限らず、ルーナノヴァの子供たちは素直で元気で、見ていて安心します。
 海外販促を考慮したせいか洋風の街並みだったり(和室で正座している魔女の卵たちという絵ヅラも良いとは思いますケドね)、こうした高水準アニメを土日の夜に放送できない世知辛い世情にガッカリはしますが、絶対見ておいて損は無い作品です。なお、ゲームの方でも展開されるようですので、今しばらく、アッコたちの生き生きとした活躍を見られるのは喜ばしいですね。
 PS4持ってないけど。



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  • アイドルマスターシンデレラ劇場

アイマスシリーズなのでいちおう見ましたけれども、どうなんでしょうか、この程度のアニメ、ネットで無料で配信できなかったのでしょうか。さんざんカネを貢がれてんだろが!w ま、俺が放っておいても、売れるのでしょうから、さほど心配しておりません。以上。



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  • 冴えない彼女の育てかた♭
 スカート短すぎなキャラデザでお分かりの通り、彼女達のフェティッシュな言動にはぁはぁ言うアニメだと俺は睨んでおりますので、モラトリアムで倦んだ日常から離脱し、有志で協力して、障害を乗り越えつつ一つの目的に向かうという、オネアミスな展開になったのはちょっと意外。さらに加えて、少し泣けた場面があったことは正直に告白せねばなるまいw ラノベ界隈でよく言われる「○○ルート」という言い方が俺には心底理解できませんが、そういうラノベの文脈を理解していないくても楽しめてしまったのは、なんだろう、少しくやしいw
 しかしやはり、アホ高校生が神絵師wやプロ小説家wと組んでゲームを作り、美少女たちをはべらせながらコミケで頒布大成功なんていうファンタジーを、心の底から楽しめてしまっては、いけない気もするのです。
 後述するエロマンガ先生もそうですが、舞台やキャラ設定に依存しまくり、解説セリフでストーリーを進めるという手法、いずれアニメを堕落させると思います。

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2017-07-26



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  • 有頂天家族2
 どうなんでしょう、原作読んでないと理解できない描写が多すぎないか? と心配してしまうくらい、錯綜するストーリーに翻弄されてしまいます。二代目と弁天様の関係もはっきり説明がなく、同様に、赤玉先生と二代目の関係もいまいちわかりにくい。そもそも一期を見ていないと下鴨総一郎がなぜ死んだのか、なんで狸鍋なの?と、見ていて「?」が連発。見ていても、4年前でしょう。饒舌にナレーションが入るわりにそれはさっぱり要領を得ず(いや、下鴨矢三朗というキャラクターの空気感はとてもあるのだが)、初見殺しな作品なのであります。
 しかしリトルウィッチアカデミアでもそうだったように最小の線で最大の効果を得ているキャラクターのデザイン・作画や、現代京都をデジタル取り込みしたようなスタイリッシュでクールな背景など、見所もかなりあります。
 もはやお話を楽しむというよりも、アンビエント効果のある環境アニメとして、ボケーっと眺めていると、トランスできる作品と言って良いかもしれません。



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  • エロマンガ先生
 ラノベご都合主義的ファンタジーと、俺が楽しいと思う作品のフィクション性との違いはいったいなんなのだろう。そんな悩みを覚えてしまうくらい、激しく非現実的な舞台設定。高校生ラノベ作家で、何万部も売れていて、それで引き篭もりの妹を養っていきたいんですって。そして、好きなんだとさ。一方で、兄と体面して赤面する妹。擦り寄ってくるベストセラー美少女小説家たち。モテまくっているのに、さっぱりその当たりを自覚していない主人公。主人公の独りよがりの理屈にねじふせられるのはおろか、頬を染めて見つめる美少女たち。
 なんだこれ。
 俺妹も理解に苦しみましたが、この作品も同じでした。
 基本会話劇な上、家屋内で物語が進むため、たいへん省エネなアニメなうえ、それが一定程度売れるというソロバンがなされているのは確実。しかし残念ながら、歴史に残る映像作品とは、俺にはとうてい思えませんでした。



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  • 正解するカド
 こんなど直球なSF、売れるわけないやろ!!w
 そんな嬉しい悲鳴をあげねばならぬくらい、すがすがしいほどのドSF! ファーストコンタクト、政府の危機対応、高次元の存在、フリーエネルギー、翻弄される地球世界、人類の起源、宇宙の起源、悠久の時間・・・
 90年代冬の時代を乗り越え、ようやく復権しつつあるとはいえ、SFはやっぱりまだまだ売れないんやで・・・。もうね、どんなに面白くて、凄い発想で、気の利いた演出をしたって、SFってレッテルだけで、倉庫行きなんや・・・。
 と、少々愚痴っぽく言わねばならぬくらい、作品の出来と、世評とのギャップが酷い本作。評価って、ほとんど誰も見ていなんじゃなかろうかと思えるくらい、話題になっていない。
 ヤハクィザシュニナ(=カレルレン)の真意が明かされるラス前、その巨視的SF観とスケールの大きさに、震えろ!
 しかし、なんでポリゴンCGやねん! 





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視聴継続断念
  • 王室教師ハイネ
  • フレームアームズ・ガール
  • サクラダリセット
  • ID0
  • 覆面系ノイズ
  • 終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?
  • アリスと蔵六
  • ソウタイセカイ


視聴継続中

サクラクエスト
Re:CREATORS

世界の終わりの七日間 ベン・H. ウィンタース

 と、いうわけでたったいま読了したとこ。
 三部作の最終巻であります。
 迫り繰る巨大隕石はとうとうあと一週間で落着確定という状況下で人間はいったいどういう行動を取るのか、私の興味はその一点にのみあるのでして、もはやミステリがどうとかSFがどうとか、そういうジャンルは問題ではなく、ただ、主人公パレス元刑事の道程遍歴にのみ関心が向くのです。
 世界の状況は、難民がどうとかコミュニティがどうとか、そういう次元をとっくに飛び越えています。
前作で良い塩梅だった先輩刑事は登場すらせず(行方もわからず)、溜まり場だったダイナーもどうなっているかわかりません。テレビ・ラジオやネットなんかはとっくに音信普通のこの終末世界。
ある者は武装し、ある者は暖かく分け与え、ある者は欲得で協力する。
 人類滅亡のラスト七日を、唯一に肉親である妹を追い、結果、そこで遭遇する事件の真相を解き明かすという物語。
 これ以上の感想はどうしたって真相に触れざるを得ないので差し控えますが、どうしたって真実を知りたい主人公の行動に涙を禁じえません。
「なんやこれ、俺妹やエロマンガ先生みたいな、妹萌え小説やろ」なんていったヤツの頭上に、どうか隕石が落ちますように。

 なお、アメリカにおけるアーミッシュの存在感というか文化というのを理解していないと、ちょっととっつきにくいかもしれません。「刑事ジョン・ブック目撃者」観たり、「ゴルゴ13」の某エピソードとか読んでおくと吉。



刑事ジョン・ブック 目撃者 [Blu-ray]
ハリソン・フォード
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
2014-03-26



三部作の感想
地上最後の刑事
カウウンドダウン・シティ
世界の終わりの七日間

カウントダウン・シティ ベン・H. ウィンタース

 前作はSFを舞台にしたミステリでしたが、シリーズ第二部の本作はミステリをダシにしたSFでした。とうとうデッドエンドが数ヶ月後になってしまいましたので、もはや法執行機関は機能しないのです。
 隕石落下が多少動機に絡むのでその部分がミステリっぽくはあります。しかしやはり、政治経済コミュティが崩壊していく様子を描いたSFでしょう。加速度的に悪化してゆく人間社会は「霊長類南へ」といった無常感があります。一方で、たくましく・あざとく生きてゆく人間性も語られておりまして、SFとして実に楽しめる出来となっております。
 人間絶滅が確定した世界状況で、多生の縁があったというだけで無報酬で人探しをする主人公。食糧配給も滞った喫茶店でジョークを飛ばす仲間たちや、急進的共産コミュニティを樹立する若者たち、いまだ体制側に就く人間、司法機構が停止した検死局で働く医師、押し寄せる難民など、映画にしたらおいしそうなシチュエーションがテンコ盛りです。

 一人称視点のいわゆるハードボイルド形式で話は進むので、世の中の変化はどこまでも主人公目線です。だから文体上、終末世界を俯瞰できないのですが、それが息苦しさを感じさせる効果を上げています。それが良いのですけれども。ハードボイルドらしく、皮肉やパンチの聞いた文体も素敵で、しかもそれがエルロイほど難解でないのがなお宜しかったりします。
 地球滅亡という大状況のなか、主人公が振り返る人生や、唯一の血縁となってしまった妹への感情、顔見知りというだけの子供たちに振り向ける愛情、人生の良き先輩の協力など、泣ける要素もふんだんに盛り込まれ、サービス精神旺盛な本作。
 最終第三部はいよいよ隕石落着一週間が物語の舞台だそうです。これは読まずにおられまい!!
 物語の終着点はどこになるのでしょうか。BOOMSDAY前に終わるのか、その後も生き延びてしまうのか、はたまた妹が身を投じた(とされる)カルト集団が活躍して破滅は回避されるのか、藤子F先生の某作品のようなオチになるのか、無限に予想はできますが、はやる気持ちをおさえつつ、今日は寝ることにしますw


地上最後の刑事 ベン・H・ウィンタース

 シチュエーションミステリ、というジャンルがある(と個人的には思っている)。たいていはSFで、アシモフの「鋼鉄都市」を筆頭にしたロボットシリーズとか、ランドル・ギャレット「魔術師が多すぎる」とか、ハル・クレメント「20億の針」なんかが有名作だが、もっと定義を狭めるとなると、要は本格ミステリの密室・密閉モノはほとんどがそれに該当する、そういうジャンルだ。
「手段」「動機」「機会」の三すくみ関係にそのシチュエーションが絡んでくるのだが、その度合いは作品によって全然違ってくる。トリックとストーリーのどちらの比重にかかってくるかも関係してくるので、作品のベクトルは単純な2軸にプロットすることはできないものの、概ね、いわゆる「新本格」と呼ばれるここ30年の日本ミステリにおいては、「トリック」と「手段」に大きく依存しているように思われる(だから、大人になると物足りなくなる。話が薄っぺらだから)
 本作のシチュエーションは壮大稀有で、「半年後に落下する隕石で地球滅亡が確定」しているという恐るべきそそる状況がその「設定」となる。
 隕石落下が何かトリックに関与するわけではないので(←別にネタバレではないと思う。今のところ)、ジャンルとしては「サスペンス」に当たるとするのが順当なのであるが、やはりこれは「ミステリ」なのである。
 というのは「人類絶滅が確定している世界でなぜ殺人が起こったのか」という「謎」、つまり「動機」の解明がやはり「ミステリ」なのだから。
 その解答に至る道のりにおいて、その殺伐たる世界観が次第に浮かび上がる。結果的に本作の世界観は乾いたハードボイルド(逆説的に、ウェットな話にもなっている)になっていて、実に、実に今の私の気分に「はまっている」。崩壊する世界で職務に忠実であろうとする主人公。私には、多くの日本人の労働者の姿に重なって見えてしまいます。

 ところでこの作品は三部作の第1部になっているようです。
 第2部や最終巻で、地球壊滅という大状況がどうミステリとして消化されるのか、興味が尽きません。
 というわけで、仕事が落ち着いたら続刊に手を出そうと思っております。

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
ベン H ウィンタース
早川書房
2016-06-09





 ところで、私は「ポケミス」で読んだわけだが、いつのまにかフォントサイズは大きくなり、促音「っ」もちゃんと小さく印刷されていた。最近本当に目が悪くなってきたので、たいへん助かりますw

【日記】 「聲の形」ブルーレイが届いたのでまた観てみた

 正規の発売日前に届いてしまったので、また観た次第だ。
 オーディオコメンタリーはとりあえず後日にするとして、普通に本編を一回流してみた。
 今後は、5.1chで観る、DTS Headphone:Xで観る、新録のサントラで観る、オーコメで観る、と、修行僧のように見続ける日々になる予定である。
 
 しかしこの映画、見れば見るほど謎が深まるのでありまして、例えば冒頭とラストのショット、ピンホールカメラで覗いたような黒いアイリスの中に映っている映像はなんなのか、その演出意図は、とか、レンズ撮影のように画面のはしで色収差を見せている演出はなんなのか、とか、なんでエンディングが甘々なJ-POPなのか、とか公式回答が無いのは残念なのだ(そして楽しみでもる。だから、オーディオコメンタリーは最後にする予定)。いや、漫画の方には公式回答はちゃんとある。あくまで映像作品として、ということだ。
 あらゆる物語類型の根源にあるのは、「謎の解明」である。だから尽きることの無い興味で繰り返し見続ける羽目に陥っているという構造。
 そして劇場公開版から何か修正があったのかは、ネットの解析班の発表待ちである(?)。こちらも謎であるなw

 そんなわけで、良い物語と良い謎は不可分一体にあることをも再認識させてくれる映像作品なのである。ラノベアニメや萌えアニメに飽いた日常において、心地よいスパイスなのでした。

映画『聲の形』Blu-ray 通常版
入野自由
ポニーキャニオン
2017-05-17

 





 なお以前にも書いたように、この映画における「障害」は、誰もが必ず持っているディスコミュニケーションの暗喩であり、そしてそれは程度問題として捉えるのが正しい解釈だと思う。だから、その点を腐して本作を低評価にする姿勢は、個人的にはあまり感心しませんね。そして、やはり永束君こそが、この物語の非常に重要なパーツであることを再確認せねばなるまい。


聲の形」の感想もいろいろ溜まっていたので、ここらで整理しておこう。


うーむ。こんなに書いてたかw

百番目の男 ジャック・カーリィ

 たいていのミステリがストーリー中に放つジャブはそれ自体が華麗でなければならないのは(金を取るエンタテインメントなのだから)当然だとして、肝心な点は、優れたミステリにおいては全てのジャブが、綿密に計算された連携を持ち、最後のフィニッシュブローを放つための布石に徹するという役割を、しっかり果たしているということである。だからジャブとは、最後のストレートの為に計画的に放たれなければならず、それと知らない観客を沸かすための小道具に過ぎないのだ。従って目の肥えた観客は、死んでいるパンチと生きているパンチとの見極めが正確で、勝敗が決したあと、どのパンチやフットワークが試合の組み立てに貢献したのかで評価し、選手の才能を見る。俺はその審美眼が欲しい。
 
 で、本書を読み終えて、そうした観点から思い返すと、ずいぶんムダ弾が多く思えたし、みえみえのフェイントには苦笑いするしかなかった。いまさら「羊たちの沈黙」をやられても、なんだか懐かしい感覚すらある。それが偽らざる正直な感想だ。そんなパンチ、蠅が止まって見えるんだぜ。
 フィニッシュも、訳者あとがきで自賛するほどの内容とはとても思えない。手がかりが読者に提示されていない以上、まずもって、本作はミステリではないのだった。そのあたり、ガチンコのボクシングを見に言ったら、学生プロレスの脚本を見せられたような失望も覚えた。ま、これはこちらの準備不足だ。学生プロレスには学生プロレスの面白さがあるのはわかる。学園祭の花形イベントだったりもする。ただ、こちらは後楽園ホールまで見に行ったのに、というハズレ感。つまりはそいうことなのだ。
 真相が明らかになったのちのドタバタは明らかに蛇足で、もっとスマートに試合を締めくくる方法があったのでは、とも言いたくなる。見え透いたタイムリミットサスペンスは、手垢じみていただけない。そのあたりのページはさっくり省いて斜め読みしても、なんら影響がなかったりする。

 しかし新人ボクサーにしては試合運びは軽快で、観客を喜ばせるツボも心得ていることは確かであり、実際に目を引くエピソードやレトリックもあった。
 主人公とそのバディとの掛け合いが最たるもので、ウィットに富みスノッブな会話はなかなか読ませものがある。暗喩隠喩が巧みで、英語の原文で読んだら普通の日本人には理解できなかったかもしれない(うーん、変な日本語だ)
 登場人物達の過去が少しずつ浮かび上がり、それがなんとなく、人生の無情とか愛情とか表現される何かをイメージさせる場面がいくつもあり、興味をそそられる。
 だから繰り返すが、本書は決して本格ミステリではなく、サスペンス小説とかクライムノベルとか言われるジャンルであれば、なかなかの出来栄えであるように思う。
 結論からすれば、読ませる文体、そそる表現には感心したのは確かで、クオリティの高いエンタテインメントになっている。薄っぺらなネットの文章に飽いた我が日常においては、スパイスとパンチが利いた作品であったことは間違いない。
 しかしくれぐれも、ミステリとして読んではいけないと思いました。まる。

百番目の男 (文春文庫)
ジャック カーリイ
文藝春秋
2005-04

 
ニコマス界隈の、辺境の住人。革命的国家社会主義真派の刺客、ペロリスト。真士。そして、映画と小説とアニメの愛好家。
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