HaruharaPのブログ

アイマスMADを作りたい人。メインツールはParaDrawとParaFlaです。

花粉症で痒い眠いつらい
(2017/03/13)

睡眠用ヘッドホンを新調した件

 ここ数年、寝しなにSomaFMでアンビエントなどを聞きながら入眠することにしているのである。その際、没入感を高めるよう、スピーカーではなくヘッドホンで聞いている。だからヘッドホンに必要な要件は、ワイヤレスであることと、イヤホンではなくヘッドホンであること、なのだ。睡眠用ヘッドホンと言ってもなにか特別な機械のことではなく、本当にただのヘッドホンのことなのだが、それを買い換えたよ、という話である。
 
買い換えたのはこの5年で3回目であり、結構な頻度である。その理由は簡単に言ってしまえば、壊れたからである。
しかもすべて、同じ壊れ方。
ここの部分の破損である。
2017041601
あぁもう、ポッキリ逝ってますね

 以前のエントリで通勤用ヘッドホンが壊れたことも書いたこともあったな。なんでか知らんが、壊れるのである。俺の頭がでかいのか、使い方が悪いのか。眠ったあと、(知らぬうちに)手で払いのけるように外してしまうせいか。
 つまりは、取り扱いが雑なせいだ。
 というわけで、新規に購入したのはこちら。

 もう少し待てば青や赤も発売されるようだが、我慢できなかった。
 今回の購入要件は、上述のとおりワイヤレスであることとヘッドホンであること。それに加えてコーデックはaptX対応にも対応すること。そしてなにより、壊れにくいことである。
 というわけで今回、この部分は金属だ。
 2017041602
パッと見、頑丈そうである

 肝心の音だが、ハイレゾ音源を聴くわけでもなし、そもそもプレイヤーがスマホという時点でお察しなのでさして追求はしていない。だから特段の不満は無い。音漏れもなく満足である。PC用の有線ヘッドホンは以前からオーディオテクニカを使用しており、安心感はある。わけのわからないアジア製ヘッドホンよりは信頼できるだろう(と思いたい)。
 オーバーイヤーではなくオンイヤーなのは少し没入感をそがれる。が、さほど締め付け感は無いので、寝苦しい思いをすることはない。
 問題があると言えば、スマホとのNFC接続がなんだか上手くいかないこと。結局、設定の方からbluetooth接続で済ませた。 ま、このスマホも夏には買い換えようと思っているので気にはならない、ということにしておこう。

 しかしこのあたりが弱そうなので、いずれ破損することになるだろうのだろうなぁ。何年持つだろう。
 2017041603

追伸:充電中はbluetooth接続はできないようだ。

2017年冬アニメの感想

 今年の桜は雨で台無しなのである。
 
 とかゆーといて、じゃあ毎年桜を見に行ってんのかよ、と問われると答えに窮してしまう。
 要は、冒頭の言はこのエントリの枕であって、さして意味は無いのだ。
 あるとすれば、こんなクソブログですらそれなりに文章に気を使っているんだぜ、という宣言か。せいぜいそんな程度だ。
 市井の一般人でさえ表現とはそのように気を使うものなのだから、金を取って放送されるアニメ作品なら、一定水準の「文法」を使うべきであろうと思って何が悪いか。ところが昨今では批評する点が「文法」以前の作品が多い。
 要は「仕事をこなしている」といった態度が赤裸々なアニメがある、ということだ。
 どこぞの銭ゲバが組んだ製作委員会が、いい加減なマーケティングで見つけてきたラノベや小説のアニメ化作品に、なにか志があるのだろうか。
 そうした焼畑ロジックが展開されて幾星霜、もはや界隈ではぺんぺん草も生えない。
 放送されるラインナップでオリジナルアニメは一体何本か。あったとしても、かなり製作に苦労している様子がうかがわれ、痛々しい。
 
 苦い花見なのだ。

---------------------------------------------------------------
 
視聴完遂

  • 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
 最近テレビで放送されるガンダムに足りないのはミリタリズムであることは周知の事実であろう。ストーリーとミリタリズムのミックスこそがガンダムをして従来のロボットアニメから上部レベルへシフトさせた原動力なのであるから、制作者サイドが新作のたびに放言するマイ哲学の披露だけでは、話し半分なのである。
 ミリタリズムを廃してガンダム世界にヤクザやマフィアの論理を持ち込んだのは新機軸だったかもしれない。それが果たして2クール50話で語るべき内容であったかは謎だったが。
 そうしてミリタリズムを排除した結果、要所に起きる戦闘はただの能力バトルになってしまっていて、ウォー!だのドリャー!だの叫んでいるうちになんだか決してしまうのだ。無論、最前線の兵士にまつわるのであればそうしたよくわからない状況自体が物語性を持つ。だが、オルガ・イツカの語る未来はシンプル過ぎて深みがなく、戦場の霧があってもなくても前に突き進むだけであった。シンプルでわかりやすくはあったが、それが50話を費やして語る話だろうか。
 ネットで言われるように、登場人物のどいつもこいつもが頭がパーなのは本当に残念であって、だからそんな人物たちがもっともらしく語る理想やら理念やらは全然響いてこず、空虚で鼻白む。もっとマシな解決策は山ほどあるはずなのに、それを無視して(制作者サイドだけが満足する)エンディングへと突き進むのだ。誰か止める人はいなかったのか。
 恥ずかしげも無くぬけぬけと披露される他人(制作者)のオナニーほど幻滅させられるものはない。それも何故か当人たちは誇らしげなのだ。
 ガンダムというコンテンツですらこの体たらくとあっては、アニメ業界の明日は暗いと言わざるを得ない(ユニコーンもサンダーボルトも、小説界や漫画界からの越境だ)。
 三日月のクールなキャラクターはガンダム史上屈指の造形であった。要所要所の作画もハイレベルだったし、少年兵というテーマも斬新だった。これだけの素材があったのだから、もっとなんとかなったのではないか。残念でならないのである。
 まぁ、アトラさんは可愛いんですけどね。



---------------------------------------------------------------
  • ろんぐらいだぁす!
 物語としても絵としてもそれなりの水準にありながら、ほぼ誰からも見放された悲しい作品。原因は制作スタジオの制御不全であって、要は人的ミスである。原作ファンはもとより原作者に対しても礼を失する態度であろう。猛省を求める。
 
ろんぐらいだぁす! 第1巻〈イベント優先販売申込券付き初回限定版〉 [Blu-ray]
東山奈央
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2016-12-21


---------------------------------------------------------------
  • 幼女戦記
 空戦の作画が素晴らしく、タイトルで拒絶反応を示すと勿体ないです。とはいえ、やっぱ酷いタイトルだよね。自ら市場を閉ざしているのは残念な態度だ。
 軍オタならギリギリ納得できる程度の、要は俺ツエー戦略な架空戦記でありまして、そこをどう乗り越えるのかが興味の的でありました。俺ツエーのままならそこらの異世界転生のしょーもないラノベと大差く、物語に深みもなにもあったものではないのだから。で、神だなんだゆーといて、なんだか浅いというか。舌足らずなのか尺が足りないのか・・・。哲学も思想も、あまり感じられません。
 幼女の口からほとばしるハートマン先任軍曹ばりの罵詈雑言は面白くはあり、作画もかなり高度なのですが、ねぇ。
幼女戦記 1 [Blu-ray]
悠木碧
KADOKAWA メディアファクトリー
2017-04-26

幼女戦記 (1) Deus lo vult
カルロ・ゼン
KADOKAWA/エンターブレイン
2013-10-31


---------------------------------------------------------------
  • 3月のライオン
 ほぼ原作をなぞったストーリーにシャフト新房演出で、なかなか安心の展開でありました。ただ、この先かなり重苦しいエピソードが続くのは周知の事実なのでありまして、その辺りをどうクリアするかでこのアニメの評価が決まるのでしょうなぁ。
 残念ながらウチの子らにとって、将棋というテーマも、主人公と孤独、主人公と社会の折り合いの様子も面白みを感じなかったようで、将棋音頭の前の早々に視聴をやめてしまいましたことを併せて報告いたします。
3月のライオン 1(完全生産限定版) [Blu-ray]
河西健吾
アニプレックス
2017-01-25



---------------------------------------------------------------
  • 昭和元禄落語心中―助六再び編―
 最終回で暗示される「回答」のあり方に、ミステリ愛好者として唸らされるとともに、そういやそのあたりを全く考えずに所与の条件として見ていた己の見識の低さに情け無い思いがしますなぁ。その驚くべき最終回を堪能するがために、2クール24話は絶対に見て損は無い。
 芸事の非情さは三代目助六をもってしても乗り越えるには難儀であるとした物語は、見た目の軽さに比してずしりと重く、こちらにおいては永遠に回答は得られそうもないという結論(最終回「死神」を語る助六の表情を見よ)にいち視聴者としては息苦しさ、重苦しさを感じざるをえない。
 だからこそ役者たち(ベテラン声優たち)の話芸の凄まじさ、そしてその「芸」の深みに目眩を覚えた次第である。

昭和元禄落語心中(1) (KCx)
雲田 はるこ
講談社
2011-07-07


---------------------------------------------------------------
  • 亜人ちゃんは語りたい
 原作に忠実なまま終わってしまった、というか、原作がまだ終わっていないのに終わらねばならないテレビアニメシリーズの宿命か、さほど盛り上がらないまま淡々と淡々とエンディングを迎えます。
 基本、登場人物たちの会話劇でありますし、各デミの習性や人生観もわりと早期に明らかになるので、後半はもて余してる観がある。
 んー、原作に忠実過ぎるのも、だったらコミック読めばいいじゃんという身も蓋もない結論になってしまうのだなぁ。悪くは無い。だが、プラスアルファが無かった。



---------------------------------------------------------------
  • ガヴリールドロップアウト
 第1話のサターニャ様の動きを見て視聴確定。なるほど、動画工房でしたか。
 要はギャグアニメなのだが、全体に漂うまったりとした空気は殺伐とした現実世界で疲れた私の癒しとなりました。いいのよ、その角笛、吹いても。
 ギャグに対するゆるい突っ込みはいささかテンポを外される。でもそのおかげで、なんだかかえってほっこりしてしまったのです。OP曲のサターニャ様、かわいいw

ガヴリールドロップアウト (1) (電撃コミックスNEXT)
うかみ
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
2014-12-19



---------------------------------------------------------------
  • けものフレンズ
 1話切りしておきながらネットで話題になるとぬかりなく録画しておいたストックを一気に消化した不心得者なのですが、じゃあこのアニメが5年先10年先に残るレベルの作品かと言われると、それに賛成するのはなかなか難しいというのが正直な感想である。明らかに小学生を対象とした世界観にどっぷり首まで浸かるには、俺は世の中の酸いも甘いも知りすぎている。どうしてそこまでピュアになれるんだお前らは。見てるこっちが恥ずかしいわ。こちとら「なつみSTEP!」という懐かしいFLASHを思い出し、そんな闇落ちまで覚悟していたのに。
 クローンの自意識やクオリア、生命とは何なのかまで具体的に突っ込んでいれば、素晴らしいSFになっていたかもしれない。うーむ。


---------------------------------------------------------------
視聴継続断念

  • AKIBAS TRIP
  • うらら迷惑帖
  • 正宗くんのリベンジ
  • ハンドシェイカー
  • スクールガールストライカーズ
  • セイレン
  • chaos;child
  • 南鎌倉高校女子自転車部
  • アイドル事変
  • バンドリ!
  • 鬼平

視聴継続中

鉄の夢 ノーマン・スピンラッド

 なんだかんだ言って今日も今日とて70年代SFを読んだのであった。

 非常にあらすじを説明しにくいのは、本作が階層構造になっているから。
 具体的に言うと、このSF小説「鉄の夢」は、「アドルフ・ヒトラーが書いて発売された1954年度ヒューゴ賞受賞作『鉤十字の帝王』の第二版を収めた本」という体で、1974年(日本では1980年)に発売されているのである。

 これだけじゃ、全然衝撃が伝わらないな。
 俺も本書カバー折り返しのあらすじを読んでもなんのこっちゃわからんかった。

 ページをめくると、逆卍をあしらった小説の表紙という体裁になっている。
 続く項にはSF作家アドルフ・ヒトラーの 作品一覧があり、 略歴の記載がある。そして小説「鉤十字の帝王」の本編が始まり、上下二段組みの約250ページを読み終えると、ニューヨーク大学教授による小説解説があり、さらにその次に「鉄の夢」を翻訳した荒俣宏の訳者解説があるのである。
 分かりやすく書くとこんなディレクトリ構造になっている。

  • 現実世界
--------------------------------------------
|小説「鉄の夢」表紙&カバー
|中表紙
|作者ノーマン・スピンラッドによる献辞

  • 虚構世界
--------------------------------------------
|小説「鉤十字の帝王」(アドルフ・ヒトラー)表紙
|本書の経緯
|アドルフ・ヒトラー著作一覧
|アドルフ・ヒトラー紹介

<更なる虚構世界>
-------------------------------------------- 
|小説「鉤十字の帝王」本編
--------------------------------------------

|第二版あとがき(ニューヨーク大学教授ホーマー・フィップルによる解説)
 
--------------------------------------------
 
|訳者(荒俣宏)あとがき
--------------------------------------------


 お分かりいただけたであろうか?

 アドルフ・ヒトラーが書いた小説「鉤十字の帝王」自体は――本書の大部分をそれで占めておきながら――ぶっちゃけて言えば退屈の一言である。退屈なのだが、本書「鉄の夢」のセンス・オブ・ワンダーはそんなところには無い。上の表をご覧いただければ理解できるだろう。この構造を楽しむことができるか否か、が、本作を受容できるかどうかの分岐点なのである!!w

 虚構世界では、ヨーロッパからの移民であるアドルフ・ヒトラーは、50年代のSF界隈においては同人活動に熱心なB級SF作家でしか無い。
 だから、なぜアドルフ・ヒトラーなる人物の小説が、現実世界のナチスの勃興から西部電撃戦や独ソ戦といった一連の歴史をなぞっているかのような鉄血グロ小説を書き上げたのか、全く説明が無い。
 虚構世界の人間にはそんな現実世界のことは関係無いのだから。
 だから、現実世界の我々視点では「鉤十字の帝王」が何のメタファーなのか概ね推察できる一方、虚構内にいる「ニューヨーク大学ホーマー・フィップル」氏には、そのこと自体は理解不能なのだ。

 しかし、現実世界のアドルフ・ヒトラーと虚構世界のアドルフ・ヒトラーとの精神構造がなにゆえ似ているのか、そのこと自体の説明を、本作は「あえて」放棄している。別に「なろう小説」ではないので、転生しているわけではないのだ。そんなツマラン構造なら俺はわざわざこんなエントリ書いたりしない。

 以下、ネタバレになるので、それを嫌う場合は、ブラウザをそっと閉じて欲しい。
 ネタバレしますよ?

(虚構の)第二版あとがきの(虚構の)ホーマー・フィップル教授は、(虚構の)SF作家アドルフ・ヒトラーの精神構造と(虚構の)世界情勢との関係を述べている。1974年の視点で、だ。
 ここにおいてようやく本書で最も、そして真に驚嘆すべき記載を読んで我々は驚愕する。
 この虚構世界では、全世界がソヴィエトによって赤化が完了され、米国と大日本帝国のみが細々と、その世界統一に反抗していたのだ! そしてそういう世界だからこそ、「鉤十字の帝王」という血生臭くグロテスクな小説が再評価され復刊されたのだ、と説明されているのである!
 虚構と現実を俯瞰しうる「高い城の男」は本作には登場しない。それはあなた自身なのだから。
 事前の解説など抜きに偶然この「鉄の夢」を手にとってしまった私の混乱を想像してくれたまえ。まさに、センス・オブ・ワンダー。この驚きの一撃を堪能したいがために、退屈極まり無い「鉤十字の帝王」を読み終えた甲斐があったとすら言えよう!

 ところが、この設定・この世界観・本書の構造について、現実世界の作者(ノーマン・スピンラッド)からはひとことの説明もない。
「鉄の夢」が発売された1974年は、一時緊張が緩和されていたとはいえ、冷戦という対立構造こそが地球上の全てを決定していた時代であることをもって、2017年の現実世界に棲む日本人としていろいろ妄想するしか無いのだが、だからこそ面白いのである!

 はっきりいってそうしたメタ構造を楽しめない限り、本書は1ミリの価値も無い小説だ。
 だがあなたが楽しめるかどうかは表紙をめくり訳者荒俣宏の解説を読み終えるまで判断できないという理屈でもある!
 このことは、少し大げさだが「娯楽小説の真のあり方」と言ってさしつかえないかもしれない。
 
 以上のように、読み手を非常に選ぶ小説だとは言えるので万人に薦めることはできないが、ここまで楽しく考察でき、じっさいこうして時間が過ぎるのを忘れて文章を打ったりしている私のような人間がいるのである。はまる人にははまるはず、とだけ言っておこう。そこらにある、歴史改変だとか、異世界転生だとか、一部の例外を除きほとんどしょーもないレベルの有象無象の作品とは、モノが違うことだけは確かである。俺ツエー系ではるけどな!www

 いやそれにしても、「訳者解説荒俣宏」が虚構でないと、誰に言えるだろうか?

ノーマン・スピンラッド
早川書房
1980-04


【映画】 セッション(監督 デミアン・チャゼル 2014)

 怨念と情念の相克の果てにある魂のサウンド。文字通り、正真正銘の血と汗と涙の物語。物語が終わっても互いの憎しみは消えないだろう。だがそれが偉大なアーティストへの道なのだ。

 アカデミー作品賞を獲り損ねた「ラ・ラ・ランド」の監督さんの、2014年の映画です。この映画、サンダンス映画祭で受賞しております。ですので、一筋縄ではいきません。
 音楽教室での教育モノ、自分探しモノ、アーティストの人生モノ、世代間ギャップ、孤独な青春ストーリー、ビルドゥングス、スポコン、師弟モノetc...
 観る人の立ち位置によって、これほど受け止め方や解釈の仕方に差が出る映画はそうは無いのですが、この映画は本当に百人百様の観られ方をする作品かもしれません。
 教師と生徒、どちらの感情移入するのか。そこが一つのポイントで、評価が変わってしまう分水嶺なのは間違いありません。と言っても、どちらもわりとどうしようも無いキャラクターだというのも面白いところで、先生も生徒も頭のネジがかなり外れているタイプ。
 スパルタ上等鉄拳制裁唯我独尊教師と、ドラム以外友達がいないニュータイプワナビーな若者。どっちもまともじゃない。
 私の立ち位置はどちらかというとフレッチャー先生の方に傾いていて、教育者としての氏の思考&志向の大変共感しました。けっしてハートマン先任軍曹ばりの罵倒&毒舌に感心したわけではありません。嘘です。聞く耳持たない分別のつかないガキに手をあげたい気持ちを、フレッチャー先生に託してカタルシスを得ていたのです。
 だって大事なコンテンストの日やろ。前乗り前泊するくらいの気配りせぇや!
 楽譜を無くしたり遅刻したり、挨拶もできなかったり、そのくせ自己主張は激しくプライドは高い。なんつーかこー、主人公の行動言動にイチイチ我慢ならんわけです。
「やればできる子」は、決して自分からやらないから、いつまでも、死ぬまでダメな子なのだという厳然とした真実。そこをあの手この手で何とかしようとする教師。
 やらなきゃいけないことをキチンとやるのも才能なのです。ダメな子に限ってできない理由を言うし、自己分析が甘い(もちろん、子供のスキルに合わせて教える側が準備するのは当然です)。だから、俺は主人公ニーマン君を平手打ちするフレッチャーに共感してしまったのです。
 そういう映画か、これ?ww 違うだろww

 最大の謎は、最後のコンテストにフレッチャー先生が準備した「罠」です。
 純粋な復讐なのか、これも一つのハードルだったのか、あるいはその両方だったのか。
 本作最大の謎について、明確な答えは準備されておりません。まさに見た人の受け止め方次第。

 ですが、ドラムソロを見ているうち、こちらも手や足に力が入り、歯を食いしばったのは確かな事実です。
 画面からほとばしるエネルギーと音の洪水。
 手にじっとり汗をかいてしまう緊張感が、確かにここにある。
 その源泉はなんなのか。怒りなのか、憎しみなのか、プライドなのか、リスペクトなのか。
 やはりサンダンス。分かり易い答えなんか、用意されているわけが無いのでした。 

へびつかい座ホットライン ジョン・ヴァーリィ

 70年代のSFは体質に合わないという話は何度かした。
 はっきり言って面白いと思う作品は過去読んだ中ではほとんど無かったわけだが、なぜだかSF界隈では「必読の書」とされている作品も多い。本書もその一冊で、だから手にとったのだが、実のところ、年配のSFオタにバカにされないため、というかなり消極的な理由が動機の大半を占めているので、尚更面白いと思えないのだ。なぜ俺にとって70年代SFはパッとしないのだろう。音楽なんか最高なのに。
まぁでも、タイトルはかっこいいよな、「へびつかい座ホットライン」。これが「射手座」とか「乙女座」だとメジャー感ありすぎるし、「コップ座」だとユーモア感が出ちゃうし、「エリダヌス座」だと狙い過ぎだ。黄道12星座になりそこねた、というか、ほぼ黄道上にあるというのも、「へびつかい座」の特徴なのだが、そうした点は物語で全く言及されない。冒頭で「Ophiuchusはオヒューカイって発音するんだよ、元々は医者を表現する言葉だったよ」なんてわざわざ注釈してるから、何か意味があるのかと思ってしまった。深読みしすぎ。ともかく、メジャーでもマイナーでもない、微妙な塩梅がかえって良いのかもしれない。
 と、タイトルでいつまでも引っ張るのもアレだし、そろそろ本題に入るが、一読、まず怒りに震えたのはその尻切れトンボっぷりで、ぶっちゃけ何の解決にも至っていないところ。問題だけ提示しといて、解決編は無い。この構造は「スタータイド・ライジング」も同じっちゃあ同じなのだが、ブリン先生の作品はワクワクドキドキの冒険SFだから、十分それだけで満腹なのだ。
 もちろん、「へびつかい座」ホットラインにも感心すべき点はある。
 クローンという設定を駆使して錯綜する物語は、今風で言えばリピート物の先駆けとも言え、特に前半、あっちこっちへ話が飛ぶあたりはドライブ感があって楽しい。楽しい? いや、翻弄された、という表現がより適切か。ブラックホールを介した時空超越などかなりグッとくるアイディアなのに、ほとんど顧みられていないのはかなり贅沢な作りと言える。
 身体文化や性の変容にポジティブなのも70年代ぽいっちゃあ、ぽいかもね。もっとも見方を変えると、生命科学の可能性が無限に広がっている時代だからこそのファンタジーなのかもしれないけれども。それに、そうした身体変化が「攻殻機動隊」ほど「人間性のありよう」に迫ってくるわけでもない。
 へびつかい座からの情報がどのように人間社会に影響を与えたのかいま一つはっきりしないのは少々もどかしい。つまり「人類」全体の問題なのに、主人公周辺はどこまでもインディビジュアルな視点に終始していて、エンタメ感が薄い原因になっている。アホみたいなセカイ系もうんざりだが、主人公に使命感みたいなのが無いのも盛り上がりに欠ける。
 この原因は、社会や政治、経済、歴史にほとんど無関心なまま物語が進むという点にあるかもしれないし、本作の特徴だとも思う。それはそれで良いのだが、主人公達が寄って立つ未来社会の描写がピンと来ないので、主人公らしさ、ヒーロー・ヒロイン像が掴みにくい。

 やっぱり、70年代SFはどーも合わないのだなぁ。あ、あとイーガン。イーガンも何作読んでも面白いと思えんのよ。困ったもんだ。

 

【PC】 自作戦記2

 自作PCの何が良いって、全てを己の意のままにできるということだ。なかなか自分の意のままに行かないことも多い生きづらい世の中だが、これだけは別だ。PCを自分で組むことだけは、誰にも邪魔されない。
 金さえ許せばパーツは選り取りみどりで、好きなようにカスタマイズできる。スペックやデザインに凝るのも良し。インテルやマイクロソフトといった巨大企業に媚びることを是としなければ、そのようなPCを組むこともできる。ふた昔まえのCPUを現役に生かそうという試みも面白い。
 もっとも、故障や不具合への対応も自己責任となるけれども。

 このPCを組んですでに6年。
 スペック的に最新FPSゲームで遊んだりエフェクトバリバリの動画を製作するのは厳しい環境かもしれないが、huluで映画を見たり、簡単なブラウザゲーで時間を潰したり、食事どころを予約したりamazonやヨドバシで通販したり、それに、こうしてテキストを打つ分には、何の問題も無い。
 古いPCでもさして支障が無いのは、世の中がさっぱり進化していない証なのかもしれないし、古いPCでも世の中に溶け込め得るよう企業が配慮してくれているからなのかもしれない。
 だがそうした時流や世間と俺のPCとは全く関係ない。グローリアス・マイ・PCワールド。ネットやPCを満喫するのに、邪魔するものなどなにもない。
 そう思い込んでいた。
 突然、PCが止まるまでは。

 確か、huluで映画を見ながらwikipediaをつらつら眺めていた時だったと思う。
「ブツン」と、突然「落ちた」。
 モニタは通電しているようなので、画面が映らないとか、映像出力のトラブルではない。そんなことより、PCに気配が無い。
 ハードディスクが動いている気配が無いし、ファンも停止している。
 なにかこう「生きている」という感覚、雰囲気が無い。
 瞬間、「マザーボードが逝った」と思った。
 メモリ不良は過去何度か経験しているが、こういう落ち方の経験は無かった。
 ブルースクリーンとかOSが固まったとかではない、この見事な落ちっぷりは、一筋縄ではいかないトラブルを抱え込んでしまった予感がした。
 ともかくその日はもう夜中だったので、復旧作業は翌日から行うことにした。

 まず、原因の分析だ。
 最小構成から起動を確認、というのが自作PC構築の鉄則なので、今回もそうしてみた。
 ところがIEEEカードを外し、グラボやドライブを外してみても、ピクリともしない。
 故障の原因が、川上か川下か分からない。
 パーツやドライブといった、手足ではなく、もっと中枢のような気がしてくる。
 可能性を電気の流れとして川上から列挙すると、次のようになる。

  • 電源が逝った
  • マザーボードが逝った
  • CPUが逝った
  • メモリが逝った

 こう書くと不吉な文言が並んで少々気が滅入るのだが、実のところさほど精神的ダメージは無い。むしろ、PCを組みなおす好機かもしれないなどと思ったりして、案外余裕である。最新CPUっておいくらかしら、などと算段などする始末。
 だがテスターなんか無いので、そもそも電気が流れているのかどうかすら分からない(そして、テスターなんかあったとしても、電源やマザーボードに電流が流れている・流れていないをどうやって調べれば良いのかわからない。いや、ネットの恩寵に浴すればわかるのかもしれないが、スマートフォンの狭い画面でそういうことを調べるのはたいへん億劫なのだ。そう、我が家にはサブ機なんてものはないのである)。
 だから、今回は川上から交換してみることにした。つまり、まずは電源を交換してみることにしたのだ。これはほとんど勘なのだが、「ブツン」という落ち方が、CPUとかメモリーなんかよりも、もっと源流のトラブルに思えたのだ。
 ちなみに修理前の構成はこちら。ご参考まで。

 今回購入した電源はこちら。tsukumoの通販で買った、Scytheの400W。4,725円。
20170219-01
COREPOWER S PLUG-IN CORES-400P

 元の構成の650Wはオーバースペックだったし、電源が原因でなかった場合はマザーボードやCPUの交換せねばならないので、予算を抑えたいというのもあった。って、あああああれ? 今tukusmoのサイトみたら、売り切れやん!ww 良かったよ、とっとと買っといてw

 発注した翌日には荷物が届いて驚きましたが、ともかく、古い電源を取り外し、交換してみる。
20170219-02
Windowsは立ち上がったが何かがおかしい

 おおっ、動いた動いた!
 って、アレ? 動いてない?
 そう、OSも起動し、CPUケースやグラフィックボードのファンは動いているのに、(奇しくもScytheの)CPUファンクーラーが動いていない。
 クーラーも故障か? いや、クーラーが故障したから電源も不具合を起こしてしまったのか?
 このままでは発熱でCPU回りが逝ってしまうので、取り急ぎシャットダウンする。
 なるほど、これではっきりした。
 電源が先かクーラーが先か、壊れた順序は分からないが、いずれも故障していることがはっきりしたのだ。対策が立てやすくなる。
 電源はもう交換済みなので、つまり、CPUファンも交換すれば良いということだ。幸い、CPUを買ったときに付属してたリテールクーラーは押入れにしまってありました。
20170219-04
ちゃんと取っておいてよかった・・・しかし・・・

 えええええ〜・・・。
 CPUファンの交換て、地味に一番プレッシャーかかります・・・。萎えるわ・・・。

 ネットで「スッポン(グリスが固まったまま無理矢理クーラーを剥がそうとして、CPUを基盤から剥がしてしまうという絶望的な失敗)」というのを見て以来、CPUファンはできれば避けたいところ・・・。
 しかし背に腹は替えられぬ。えぇいままよ、最悪、CPUとマザボも買い換えるつもりで算段していたのだ。ここは行っとけ!
 まずはPCをBIOSで起動し、CPU温度を確認します。ファン無しでも、急激に温度が上がるということは無いと思うが。
 5分ほど待ったが、なかなか温度は上がらない。壊れた(くっついたままの)ファンの放熱フィンを触ってみると、ほんのり暖かい。うーん、この温度で良いのかどうか・・・。決断しなければなりません。電源を落とし、ファンのラッチを外します(AMDチップセットの良い点はファンの取り付けがインテルより簡単ということです)
20170219-03
パカッとな
 
 お、取れた!! って、埃、凄ッ!ww もしかしたら、この埃が原因か・・・? それに、取り付けた時にたっぷり塗りたくったはずのグリスが、ほとんど無い。5〜6年も経つと、グリスって少なくなっちゃうの? まさか、なぁ。

 今回の戦犯。電源とクーラー。長い間、お疲れ様でした。
20170219-05
 

 で、リテールクーラー(小さッ! 放熱大丈夫か?w)を取り付けたところ・・・。
 動いた! 動いたよママン!!
20170219-06
 クーラー、小さッw

 はぁ・・・。
 ヨカッタヨカッタ・・・。

 とまぁ、今回は電源とファンクーラーの交換で済んだのだった。ファンクーラーはCPU付属のリテール品で済ませたので、修理費用は電源代だけだ。
 最悪の場合、マザーボードやCPUまで購入しなければならず、となるとついでにSSDやHDDなんかも欲しいと思ってしまったり、ついでにBRドライブなんかも内蔵したいなどと計画しかねなかった。危ない危ない。

 もっとも、いつまでもPhenomIIでwindows7というわけにもいくまい。
 来月早々には、AMDが対インテル最終兵器、Ryzenを発売する
 このマシンをサブ機とし、そろそろ新しく組む時が来たのかもしれませんなぁ・・・。

【映画】 アルゴ(監督 ベン・アフレック 2012年)

 イラン革命に伴う米国人救出作戦のお話なのですが、当時の世界情勢をよく知らないとちんぷんかんぷんかもしれません。 おそらく日本人の大部分は記憶の彼方、というか、生まれてもいない方も多いくらいの時代の話で、いまや世界史の教科書に載っちゃうような事件だった(らしい)のです。軍オタにはデルタフォースの初陣がとても残念だったことでお馴染み。しかし、裏でこんな救出作戦があったとは。事実は小説より奇なり。クリントン政権時代にようやくオープンになったあらましを、きっとどっかの映画会社のエージェントが買ったのでしょうね。二十年を経てようやく映画化、と。事件のあらましは各自Wikipediaでご確認いただくとして、さて、作品の出来はどうか。
 本当にあったお話を一部脚色してお送りいたします、といった体の映画なのではりますが。
 実際の事件映像と新規に撮り下ろした映像とのシンクロっぷりは大変素晴らしい物ごありました。事件のあらましを知らない人々でも、すぐに映画に入り込める手練手管は完璧。おそらく、衣装や小物など、きっとハリウッド的にこだわっているのかもしれませんが、どうなんすかね、80年代初頭の雰囲気って、あんな感じだったのかな。
 リアルを模そうという試みは、もしかしたら主人公(ベン・アフレック)が いつも憂鬱そうな表情をしている事に重大な影響を及ぼしている可能性がありますが、それで話が面白くなったかというと、どうなんでしょうか。なんだか煮えきれないヒーロー像です。ヒーローなんですよね? だって話に関係無いのに家族愛っぽいシチュも噛ませてますもん。
 つまり、実録ものかスパイ物か、軸足が不安定で見ているこちらもなんだか尻の座りが悪いのですね。
波乱万丈のスパイ物としては、西側先進国がイラン(というか中東)に対して酷いことをしてきたのを既知としている「いまここ」の日本人としましては、素直に快采の声を上げてはいけないようにも思ってしまいます。そうした政治や思想心情を脇に置いたとしても、じゃあ観客をアッと言わせるどんでん返しがあるのかと言うと、決してそうではなく、淡々とした話運び。
 実録物だとしたら、主人公周りのスペシャリズムに富んだ描写が地味過ぎて、スクリーン映えしないことに。 そのうえテブレカメラがほんとうるさくて、カット切り替えも落ち着きないし、そういうところは妙にアクション映画になっている。 エンドロールに挟まれるカーターの肉声でもって、やっと実録っぽい空気が出てきます。

 ドキュメンタリーかエンタテインメントかは常に二律背反な面もあるので、仕方ないのかもしれませんが、結局はどっちつかずという印象を抱いてしまいました。
 個人的には、もっともっとリアル寄りにすれば良かったのに、と。

アルゴ <4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組) [Blu-ray]
ベン・アフレック
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
2016-12-21

 

【映画】 傷物語III 冷血編 (監督 尾石達也 2017)

 公開から2週間近くが過ぎ、とっとと観に行かないと公開終わっちゃうということで観に行って参りました。金曜夜だというのに劇場はガラッガラ。どれくらいガラガラかというと、まだ特典小説がもらえるくらいの客の入り。神谷を見に来た乙女たちはどこへ行ってしまったというのか。

 従来のシリーズ同様に劇場版も基本会話劇なのですが、三部目ともなりますとどんなに精緻なCGを組みAEで空気感を出したところで、演出もだいぶ見飽きたというのが正直なところ。濃密な2時間なら満点の演出も、間伸びしてあくびが出てしまいます。
 さらに言えば、後半のキャラデザの崩れが気になって話に没入できません。2部でムラムラしたアララギくんの肉体も、今回はなんだかその後姿、中年っぽい。いやいや、肝心の羽川の裸体も、脂肪ぶよぶよで年増感アップ。二人とも、若々しさが無い。アニメなんだから、そこは虚構でいこうよ。
 ちょっと待て、没入感そがれるのはそんなところじゃなくて、もっと他にあっただろ。
 頭吹っ飛んで体から新しいのが生えてきたとき、え、ゴーストは体なの!? みたいな。突如、心身二元論の哲学的迷宮に入り込んでしまいます。
 忍野がやたら胸ポケットから取り出すハイライト、でか過ぎじゃね!? とか。
 サッカー場のセンターマーク、でか過ぎね!? とか。
 死体、そこでCGかよ!? とか。
 アララギくん、いつの間にズボンはいたの!? とか。
 そんなこんなの違和感が、俺の中の「映画を観よう!」とする気力を阻害するのです。

 愕然としたのが、最後の決戦に臨むアララギくんが、ぶっちゃけて言ってネタバレしてしまうと、何の「策」も用意していなかったということ。前段、羽川とセックス寸前までいっといて、それかよ! 意味あったんか、あのシークエンスは。
 三部待ってこの仕打ち。原作読んでたら続きを読まなかったですね、きっと。
 そう、原作未読なのでこの物語の終わり方が本当にこれで良いのかは分からないんですよ。分からないんですけど、劇場三部作として引っ張るだけ引っ張ってこれでは、腑に落ちないものがありますな。腑に落ちないでは生ぬるいか。納得できませんな。二時間に収まらないのか。せめて、前後編でしょう。舐めたビジネスしやがりますね。

 私としてもさすがにこれで物語シリーズは卒業いたします。今後テレビシリーズで何か始まっても、見るつもりはありませんです。
 シャフトさんにおかれましては是非、「3月のライオン」を最後まで頑張っていただきたい。
 どっとはらい。
傷物語 I 鉄血篇(完全生産限定版) [Blu-ray]
神谷浩史
アニプレックス
2016-07-27



 

【映画】 日本のいちばん長い日 (監督 原田眞人 2015年)

「終戦記念日」は初秋の季語だそうですので、ではどうして季節外れにこの映画を見ているのかというと、正月の一般参賀で皇居、つまり宮城に行った縁ですかね。
 話は半藤一利の著作やリメイク元の岡本喜八版を最大限活用し、補うべきところは補い、捨てるべき箇所は捨てていて、とても見やすい。無論、軍事に疎い一般人には、さっぱりわからんだろうけれども。
 というのは、1945年の国際情勢は歴オタであれば常識だろうが、陸主海従などと言われても軍オタでなければすぐにピンと来ないだろうからだ。
 陸相は陸軍三長官会議の推薦を経るとか、最高戦争指導会議と御前会議、閣議の関係性など、帝国憲法下の行政各法に通暁していないと、いっけん、意味不明だ。
 だがそれでもなお本作を興味深く見られるのは、畳み掛ける情報の渦によって、ある種のトランス感覚が催起させられるからかもしれない。専門用語や時事用語、大仰な昭和語(トーブグンだとか、ヘーカノタイメーだとか)が連発され、かえってそれが心地良いのだ。シンゴジラでも同様の方法論だったように思う。もっとも、それが狙いだとしたら、登場人物にテロップが欲しかったところだ。鑑賞者に情報を与え続けるという意味で。

 物語を時系列に語る演出として、同時進行時はカットの入れ替わりが激しい。また、ほんの数秒のセリフに目まぐるしくカメラが変わる。つまり、今風の演出なのだが、テーマや時代を鑑みると、いささか落ち着かない。一方、オープニングの、扉を開けていきなり東条英機のしかめ面が大写されるなど、面白い表現もあって、映像的に面白い部分もあった。
 ただ、ロケハンには相当苦労したことが偲ばれる。参謀たちが京都御苑を自転車で疾駆している姿は、「らしい」と言えばらしいが、その場所を知る者にとっては強烈な違和感であり、折角の没入感が大幅にそがれてしまった。他、各地の有名な建築物が「それらしい昭和の建物」として登場するが、映像表現として正しくても、なかなか受け入れ難いものがある。余計な知識が邪魔してしまった。こういう時こそ、CGなのだと思うのだが、実写映画で建築物の屋内は、今の技術をもってしても表現できないだろうか。
 一方、劇伴はほとんどないおかげで、人々の行き交う足音や、閣議での囁き声などが印象的に響き、また、ポツダム受諾後の閑散とした陸軍省に響く洋楽が、より映える仕組みになっていて、すばらしい効果を上げていたように思う。映画と音楽は切っても切れない縁なのだが、「静寂も音の一つ」であると再認識した。
 岡本喜八版との最大の違いは、阿南陸相の奥方の描き方だろう。あの部分はもちろんフィクションパートだろう。個人的には良かったと思うが、本作を「史実」と捉える向きには、少々溶け込めないエピソードだったかもしれない。
 ところで、役所広司は連合艦隊司令長官と陸軍大臣を演じたことになるのだが、演技としては、断然こちらの方が良いと思う。和戦両派からの圧力の苦しさと、立場上、けじめとして一切の責を負い死なねばならぬという悲壮感が、しっかり伝わってきた。剣道場の場面など、素晴らしい立ち居振る舞いだし、自決の前に部下と酒を酌み交わす場面では、まるで三船敏郎のように見えた。
 だがしかし特筆すべきはモッくん演じる昭和天皇の方かもしれない。感心したのは外見よりもその立ち居振る舞いであった。とくに話し方は、最大公約数的に想像する昭和天皇の、それそのものであった。「か」や「も」を「くゎ」「まぅ」とする発音、鼻濁音や息の使い方、浮世離れしたような、しかし純粋な日本語の話し方。モッくん、これは相当訓練を積んだと思われる。本当に禁中でそのような話し方だったのかは我々には永遠に知れないことではあるが、「それっぽい」のであった。

 昨今、邦画はアニメやコミック原作(それも、最先端から周回遅れのくたびれた作品)の実写映画化が激烈に増えている。その是非はここでは語らないが、本作のような骨太な邦画がしっかり公開されているのであれば、まだまだ日本映画界も腐っていないな、と思うのであった。

2016年秋アニメの感想

 経済指標の客観的データはもろもろ改善されているはずなのに、私の生活は公私共にテレビアニメの制作スケジュールくらい息苦しい2016年でしたが、皆様いかがお過ごしだったでしょうか。そういえば、劇場アニメが盛況の割りに、テレビアニメは大惨状ですね。
 一部の盛り上がりが、全く全体に波及していない。
 どうも、お金がからむとそうなってしまう経済システムのようです。
 どこかで利益を吸い取っているやつがいるというのは、昨年末、クソまとめサイトの炎上によってようやく一部判明しましたが、ああいう目に見えないモヤモヤっと仕組みが、世の中のあちこちの裏側に、すまし顔で仕込まれているのでしょう。
 そんな世情を横目に見つつ2017年こそは明るい展望を、と思いたいのですが、このまま惰性で突っ走ってもあまり明るい兆しは見えそうもありません。PDCAを回したところで、その考え方自体が世の中の仕組みにマッチしていないとしたら、意味が無いからです。
 この年齢になって「心機一転」とか真顔で言ってしまうと、個人レベルでは要は転職とか離婚結婚とか、そういうことにならなければならないのでしょうが、そこはチキンな俺のこと、もっともっと小規模なカイゼンで人生を少しはマシにしたいと思うのです。
 なんだか奥歯に物が挟まったような言い方になってしまいましたが、少しずつ、少しずつ、努力はしてゆきたいな、そう思っている次第です。
 こんな俺でもそう思うのだから、アニメ業界に生きている人間、特に、プロデューサーなどと言われる立場の人間たちはもう少し、真摯に生きて欲しいのですね、老婆心ながら。
頭が悪ければ業界から去って欲しいし、金を集められなければ実社会に生きて欲しい。これ以上、吸血ヒルを養う能力は、日本社会にも、アニメ社会にも無いのです。
 事実上の新年一発目のエントリにしてはとても辛気臭い書き出しになってしまいました。
 もっと明るく、楽しく、過ごしたいな。
 言いたいことは、それだけですね。
 じゃあ、2016年秋アニメの感想、行ってみよう!(空元気)
 
---------------------------------------------------------------
視聴完遂

  • 響け!ユーフォニアム2

 前半、先輩方同士のゴタゴタで話がもたついたことを除けば、1期からの話がスムースにつながっているのですが、主人公の周囲の方々が物語上ほとんどフェードアウトしているのが少し残念でした。一方で、姉との関係を先輩との関係に重ねて語られた後半4話は、高い絵のクオリティや演出と相まって、なかなかグッとくるものがありますので、視聴を途中で止めなくて良かったと、本気で安堵しました。えぇ話や。
 それにしても絵のクオリティはさすが京アニ、演出も山田さんでしょ? しかも2期通してほとんど乱れが無いという。絵造りに関しては、現在のところテレビアニメについては最高峰の作品になっております。きっと、アニメ制作のマネジメントがしっかりしているのだと思います。
 あと、1期にあった妙に百合百合しいのが少なくなって、見易くなりましたな。ちゃんとした学生物語になっていました。
 追記)1期でモヤモヤした存在だったあすか先輩についてきっちり片がついたのは、良かったと思います。ちゃんと物語になっている。おかげで、サブキャラたちが消えちゃったけど。
響け!ユーフォニアム2 1巻 [Blu-ray]
黒沢ともよ
ポニーキャニオン
2016-12-21



---------------------------------------------------------------

  • 終末のイゼッタ

 登場人物たちは納まるべき場所に納まって、なんとか踏ん張って話にピリオドを打った、という感じ。
 惜しいのは、この物語から特段得るものが無かったということだ。異能者の切なさを説きたかったのか、姫と魔女の友情を描きたかったのか、戦争の悲哀を言いたかったのか、どれも中途半端で焦点がぼやけている。
 一番の瑕疵は、廃城の天井画だ。魔女の秘密を示す天井画を発見したのだから、すぐに出鱈目の龍脈(?)を上描きすれば良かったのに。そこから丁々発止の情報戦があるのなら、少しは納得できたかな。長髪情報部員が無能過ぎて腹がたつ。
 また、イゼッタは全く躊躇無くモブを殺しまくっていることにも戦慄を覚える。というよりも、制作サイドが人の生き死にを真剣に受け止めていないのではないか、という疑念が没入感を殺ぎます。姫様のためなら人殺しをさほど厭わず攻撃するイゼッタの態度は、見方によっては狂気の沙汰なのであって、そしてそれはそれで面白い設定となるはずなのに、話の落としどころはPTA的に無難で綺麗な方向に持っていこうとしている。
 3話や最終回の戦闘シーンなど作画はまぁ頑張っていたし、途中退場した少年兵の最終回の使い方もスパイシーで良かったとは思うのだが・・・。
 なんだかいろいろ惜しい。
 脚本の吉野さんにおかれまして、ここはじっくり腰をすえて、ソラノヲトの2期に取り組んでいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 
--------------------------------------------------------------- 

  • バーナード嬢、曰く

 漫画の方は絵柄がどうも私に合わなかったのですが、アニメになるとなんでしょう、スッキリポンと受け止められました。
 小説について云々というよりは、読書あるあるというか、本好きあるあるというか、そういうのにシンパシーを感じるように作られているのですよね? とにかく、畳み掛けるボケと突っ込みのテンポが良く、アッちゅう間に見られてしまう、なかなかの小品だと思います。
 この「本好きあるある」とか「図書館あるある」はネタの宝庫でありますので、漫画原作とさほどリンクしていないくても、2期3期と、永遠に話を続けることができるのではないでしょうか。
 というわけで、スタッフさん、頑張ってください。
バーナード嬢曰く。 [Blu-ray]
喜多村英梨
ドリームクリエイション
2017-01-20


 
---------------------------------------------------------------
 
  • ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない

 ジョジョ4部以降はスタンド能力のスペシャリティが先鋭化しすぎて、実はチープトリックの当たりで連載を読むのはやめちゃったんですね。
 ジョジョ第1話をジャンプで読んだときは小学生だったのに、卒業したのは大学生になっていたという。時の流れの速さに嘆息してしまいます。まぁ、その後の話はコミックの方で読んではいたのですが、やはり2部、3部が好きだったのでさほどのめり込めず。
 ですので、こちらのアニメの方もやはりテンションは上がらなかったのですが、スタッフのジョジョ愛はひしひしと伝わってくる作品でしたので、その熱にあてられ、とうとう全話視聴してしまいました。バイツァー・ダストの能力とか漫画ではいち読者として(ご都合主義すぎて)ついていけない部分もありましたが、テレビアニメでこのようにテンポよくポンポンポンと見せられると、それなりに腑に落ちてしまう部分もありました。
 と、なんだか煮え切らない評価なのは、やはり第4部以降がもともと好きではないという私の立ち位置の問題なのです。ですので、この長編を一定のクオリティできっちり漏れなく放送することができたアニメスタッフには最高の評価を与えねばならないでしょう。スケジュール崩壊が頻発する現代テレビアニメにおいて、本作は特にプロデューサーに相当の手腕があったのだと思いますなぁ。


---------------------------------------------------------------

  • ガーリッシュナンバー

ギョーカイ内幕物の評価基準が「SHIROBAKO」になってしまった今、なにかしら新味がないと厳しいことになってしまいます。つまり、ハードルはかなり高い。声優物は「それが声優!」もありましたしなぁ。
本作においては、主役とプロデューサーのゲスッぷりがなかなかスパイシーで香ばしく、また、作画も全編通じて安定しているので、総じてなかなかの出来の作品といえましょう。一方、そうした人物造形上、主人公が成長して真人間になってしまっては物語として破綻していると思うのですが、どうでしょうか。それと、仲間たちの描写の比重、バランス悪いような・・・。もう少し満遍なく、各人の悩みがストーリーにあればなぁ、などと思いました。ちょっとあっさりし過ぎと思いますが、こんなもんなのかなぁ。あまり熱血されても、たしかに受け止めづらいよなぁ。うーむ。
ガーリッシュ ナンバー 第1巻(イベント優先販売申込券付 初回限定版) [Blu-ray]
千本木彩花
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2016-12-21


--------------------------------------------------------------- 

  • レガリア The Three Sacred Stars
 いったい夏アニメなのか秋アニメなのかたよくわからないのだが、とりあえずこちらにしておこう。
 ロボの作画は頑張っていたが、デザインがダサくないっすか。謎パワーも後半になるにつれ案の定インフレ化して、ハーッ!と叫びながら極太ビームを繰り出すだけ。勝敗の行方は理屈とか戦略とか作戦などではなく、要は気合いなのである。現代のスレたアニオタが、それについていけるかどうか。
 このように脱力感満点なのだが、流石に延期しただけあって動画は安定していました。
 しかし、それがために制作費がペイしないのだったら、このアニメのプロデューサーは業界から足を洗った方が良い。ビジネス感覚の欠如は業界を疲弊させるだけだ。


---------------------------------------------------------------

  • 舟を編む

 実写映画は劇場で見ましたが、いまだ原作は未読。
 本作のコンピタンスは、「辞書作りには時間がかかる」ということだと思うのです。だから、登場人物の死に涙するという構造があるのですが、映画もこのアニメも、時の移ろいの描写にさほど力が入っていなかったように思えなかったのは少々残念ではあります(ところどころの季節感はありましたが)。いや、地味にPCが新しくなっていたりとかはありましたけどね。10年20年という歳月は、思ったより時代は変化していたのではなかろうか。だからこそ、辞書作りも人の死も、感動するのだと思うんだけどなぁ。
 アニメ化を聞いてキービジュを最初に見た印象は、「西岡とマジメのBLかよ」と思いましたが、ほとんどその成分は無かったので安心しました。マジメ君も、実写映画ほどコミュ障ではなかったので見易かったですね。
丁寧に作られている本作、では、アニメならではの「何か」があったのかと問われれば、うーんとうならざるをえないですなぁ。つまり、実写映画を超えることはできなかった、というのが、私の正直な印象です(そらくらい、実写の「舟を編む」はよくできた映画です。実写なのに)。
 
舟を編む 通常版 [Blu-ray]
松田龍平
松竹
2013-11-08



---------------------------------------------------------------

  • Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-

 線が細いアニメは作画が大変そうで、別の意味で心配で、見ていてつらいw
 たたみかけるセリフとやたら凝ったカメラワークで視聴者はついていくのに必至ですが、盛大に広げたホラ話を、少々強引とはいえそれなりに納得できるオチまで持っていった豪腕にはうならされたのも事実。
 ヒキニートを自称するガモン君の積極性や、盛り込むだけ盛り込んだデンパ要素に、はぁ?とならなくもないのですが、妙な勢いだけはあったので、見ているこちらも納得せざるを得ないのです。「キルラキル」ほど冒険しているわけではありませんが、それに比肩する勢いは、互するものがあったような気がします。りょーたすの爆乳がさほどネットで話題になっていないあたり、うーん、残念だ。昨年の「キズナイーバー」と同じポジションかなぁ。
 面白いアニメが必ずしも商業的に大成功するわけではない、という事実は寂しいですね。



---------------------------------------------------------------

  • フリップフラッパーズ

 小中学生女児向けの「スペース☆ダンディ」、と言っておけば、当たらずといえども遠からず、だと最後の3話を見るまでは思っていました。
 話数が進むにつれ狂奔する母性と対峙する展開になり、ちょっと前半のアリス・イン・ワンダーランドな物語とはギャップがあるかもしれない。
 また、後半からやけに立ち込めるバトル臭に若干うんざりですが、現代日本社会に偏在する、不公平な「母性リスペクト」(なんたかんだ、日本列島では母性>父性が主流でしょう。父性が強かったのは、江戸後期から昭和前半までだと思う)が叩きのめされるというのは、少し新しい要素だと感心しました。ま、結局、母性が全てを包んで解決するという、いつもの日本のマザコン落ちにはなりましたが。
 最終話Bパート、ピュアイリュージョンから帰還(?)した後の数分間をリアルタッチのキャラデザで話が進んだら、神アニメになっていたと思いますな。俺ならそうする。
 しかしそらよりも本作で注目すべきは作画でしょう。小気味良くクルクル動きまくるココナとパピカに、うっとりしなければオタクとはいえません。フシギ世界を存分に駆け回る2人のアクションは、素晴らしかったです。



---------------------------------------------------------------
 

視聴継続断念
  •  vivid strike!
  • 魔法少女育成計画
  • マジきゅん、ルネッサンス!
  • trickstar
  • 灼熱の卓球娘
  • ユーリ!!! on Ice
  • ナンバカ
  • 装神少女まとい
  • うどんの国の金色毛鞠
  • ブレイブウィッチーズ

視聴継続中
ニコマス界隈の、辺境の住人。革命的国家社会主義真派の刺客、ペロリスト。真士。そして、映画と小説とアニメの愛好家。
記事検索
mylist
Recent Comments