HaruharaPのブログ

アイマスMADを作りたい人。メインツールはParaDrawとParaFlaです。

今年も夏が来た
(2016/07/02)

【映画】 浪人街 (監督 黒木和雄 1990)

 Huluに来てたので久々に見た。いつのまにか出演俳優の物故者が多いことになっており、彼らの活躍を偲びながらの視聴となったのは大変残念であるのだが。
 戦前の無声映画の四度目の、それもセルフリメイクになる。が、オリジナルは現存せず、他のリメイクも見られる機会はそうそう無い。
 というわけで俺にとってはこの作品こそが映画「浪人街」であり、マキノ映画なのである。さらに言うと、戦前から戦後に至る剣舞のようなチャンバラ劇の醍醐味を知らない俺にとって、一連の黒澤映画と、この「浪人街」こそが本邦における剣戟映画のスタンダードだ。
 従って、原田芳雄の酔拳のごとき変態剣舞と、石橋蓮司の決死の居合剣とは、今でも俺の中の「あるべきチャンバラ」の姿なのである。
 いやぁ、かっこいいなぁ。
 無論、ただのチャンバラ映画ではない。
 血飛沫を浴び「おしん!おしーん!」と愛人を呼びながらメチャクチャに剣を振るう荒牧源内(原田芳雄)、心底好いた人が助けに来てくれたことに少女のような笑顔を見せるお新(樋口可南子←若いw)、お新をプラトニックに愛するが故に死に装束で駆けつける母衣権兵衛(石橋蓮司)、武士階級に恋い焦がれようやく立った場所で成すべき本懐を見つけてしまった赤牛弥五右衛門(勝新太郎)、それら登場人物たちがクライマックスに収斂してゆく人間関係の物語もまた、見事なのである。あれ? 誰か忘れてるか?w
 特筆すべきは映画出演としては遺作となってしまった勝新太郎の演技であろう。地のままの関西弁でうなるようなしゃべりははっきり言えば字幕が必要なほどなのだが、その圧倒的な存在感によってそんな事はとても瑣末なことのように思わせる勢いがある。とても60歳には見えない(正確には59歳か)。升酒をグイッとあおり、それをぱっと空に放つと、肩をいからせ、力をこめてと腰の刀をガッと引き寄せる。その一連の所作は、今の俳優にはとても真似できないレベルにあり、美しい。演技は泥臭い。とても泥臭いのだが美しい。その塩梅が絶妙なのである。
 舞台は江戸であると思われる一方、登場人物たちの方言から察するに彼らの出自はバラバラだ。江戸後期の人品の流れを言外に示すようでもあり、近代社会の幕開けのようにも思われる。すなわち、侍の時代の終焉なのであり、だから終幕には唐突に雨が降る。
 ボロボロの長屋、汗臭そうな着物という薄汚い絵ヅラなのにも関わらず、なんだか清々しい映画なのである。

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【映画】 LUCY(監督リュック・ベッソン 2014)

 上手い。話の運び方が上手いので、ずるずる見てしまった(huluで視聴)。
 スカーレット・ヨハンソン演じるルーシーを軸に話が進むのだが、モーガン・フリーマンによって時折挟まれる「解説」がナショジオのドキュメンタリーみたいになっている。それが煩くなく、それどころか一層理解を深めるという作りになっている。次々と切り替わる映像はテンポよく自然で、すっとお話に入り込める。
 本筋の方は、なぜルーシーが中国に居るのかとか、謎の麻薬は誰がどうやって作ったのかだとか、コリアンマフィアがそれにどう関わっているのかとか、そういう枝葉は全部刈り取って、エッセンスだけが抽出してある。調味料はベッソンらしいガンアクションやSF的映像演出で、とても美味しく仕上がっているが、一方で、基本プロットは、人類の意識の拡張だとか、脳機能による現実世界への「アクセス」だとか、かなり考察に値するプロットが満載である。ストーリーを咀嚼しつつ考えるのに忙しく、しかもその脳内作業が楽しいので、約90分という上映時間はとても短く感じる。
 ステープルドン「創星記」、コリン・ウィルソン「賢者の石」、寺沢武一「ゴクウ」、大友克洋「AKIRA」そして「攻殻機動隊」といったSFストーリーに耐性があり、且つ、存分に楽しめるという御仁には、本作を強くお勧めしたいと思う。「過去のルーシー」への「タッチ」の場面などは、キューブリック「2001年宇宙の旅」を想起させられたりもした。時空を超えた大風呂敷、これをセンス・オブ・ワンダーと言わずしてなんと言おう。
 そういえば、スカーレット・ヨハンソンは実写版「攻殻機動隊」の少佐役になっていましたな。本作に出演したという経験があれば、我々が期待する素子を演じてくれるはずだと期待してしまいます。
 一つ危惧するのは、(これはどのSF映画にも共通する問題なのだが)SF映画の映像表現は必ず時代に追い越される、ということだ。
 電磁的な「ハッキング」の様子(手でスワイプしたりしてる)は2014年時点では最新の映像表現なのかもしれないが、数年後にはスマートフォンはもしかしたら完全にウェアラブルな身体ツールになっているかもしれないし、「ハンドルを握ってカーアクション」というのも10年後にはありえないシチュエーションになってしまうかもしれない。後年の視聴に耐えられるか、という意味では、SF映画は公開された瞬間から陳腐化が始まってしまう、悲しいジャンルなのかもしれない。だから、SF映画を見るのに「時期」があるのだとすれば、それは常に「今」なのである。
 ところで、神がかりな演算能力をもっているのであれば、中国からパリへの移動は飛行機などではなく、量子テレポーテーションをやってほしかったなぁ、などと思ったりもしたのだが、久しぶりに濃密な90分を存分に楽しんだということで、余は満足なのである。

LUCY/ルーシー [Blu-ray]
スカーレット・ヨハンソン
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2015-07-23

 

【映画】 地球が静止する日(監督スコット・デリクソン 2008)

旧作のリメイクということであるが、そこにあった説教臭さが無くなってしまったことは、果たして良かったのか悪かったのか・・・。
説教臭さが無いおかげでアクション・ディザスタームービーとしてギリギリ成立しているとは思うが、本編にはさして目を惹くSF要素はなく、加えて、取り立てて歴史に残る演出も無く、つまり、大物俳優キアヌ・リーブスが出演しているわりに、どうでもいい映画となってしまっている。いや、キアヌ自身はわりとどうしようもない映画にしょっちゅう出演しているので、それに連なる作品となってしまった、という表現がより適切か。
じゃあ、人類の危機を訴えるアジテーションがあれば良かったのかというと、あれはああいう米ソ核対立時代だったからこそ切実なメッセージとなって響いたわけで、人類の意見など集約できない混沌した現在においては、それはそれで間の抜けた、胡散臭い筋立てになってしまう。サイコフィールドの共鳴を見て人類覚醒する方がまだ説得力あるわ。
というわけで、制作意図が全然時代にそぐわなくなってしまったおかげで、万人が納得し難いオチになっている悲しいリメイクになってしまった。オリジナルを超えるリメイクなど無いのかもしれない。
心底ウザかったのは話を進めるためにやたらトラブルを引き起こす連れ子のガキなのだが、ジェニファー・コネリーは相変らず美しいのでそれに免じて許してしまいましょうか。

地球が静止する日<劇場版&オリジナル版>ブルーレイ・コンプリートBOX [Blu-ray]
キアヌ・リーブス
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2009-05-02

 

2016年春アニメの感想

 ゆえあってこの文章はiPad Airで書いているわけだがね、もうね、パッドのキーボードの打ちづらさったらないわけよ。液晶をヌメヌメっと叩いたりなぞったりの手応えの無さが、心底気持ち悪い。ホームポジションなんてないから、いちいち目で手元を見なければならないのも億劫だし、文字の変換候補は所定の位置から選ばないかん(「インライン変換」なんて、25年前のPC雑誌の話題だぞおい)。いや、なんかアプリでも入れれば改善するのかもしれないが、やっぱ文字を書くというの作業は、あと30年くらいはリアルな手に、フィードバックを感じながら打つのが快適なのに違いないと思うわけだ。
 考えてみると、脳で作られたアイディアを文章化しても、それをこの世に現出させるには有史以来、人間の身体を通じたフィードバックがあってこそなのだということに気付く。つまり、創造とは身体の文化でもあるのだ。
 しかるに、iPadをはじめとするタブレットの手応えの無さったらどうだ。いちいち目で入力デバイスを確認しなければならない隔靴掻痒。身体感覚もなく連ねられる文章は、人間の文化ではないと断言できる。
 見てみろ、この意味を為さない文章。
 え、それはお前の頭が悪いせいだって?
 うむ、確かにそうかもしらん。
 だが、この世の森羅万象は入力と出力という単純な機構で成り立っている以上、あながち間違った理屈ではないと思うのだ。
 アニメの感想だってそうだ。
 見た人のなんらかの反応があってこそ、そのアニメは存在する意義があるのだ。賞賛であれ批判であれ、反応が無ければ存在しないのと同義なのだ。こうして俺みたいなアホが記録することで初めて血肉を得るのだ。文句あるか。
 よし、iPadへの不平を振り出しに話がきれいにつながったので、2016年春アニメの感想をいってみようか。

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視聴完遂

  • ハイスクール・フリート(はいふり)
 期待値が高かった分、その反動も大きくなってしまった。4話目くらいまでは一部演出(特に音楽にタイミング)の不安定さが気になったくらいで、非力な駆逐艦で巡洋艦と対峙したり、お約束の対潜水艦戦闘があったりしてとても面白かった。「(小声で)聴音、聞き逃すな」とか、ちょっとグッとくるシチュエーションもあった。
 が。中盤は完全に中だるみしており、謎のネズミは謎のまま、妙な水着カットだけはやたら連発するという、安定のオタ舐めアニメに堕してしまっていた。オタクはどいつもこいつもチョロいと思ったら大間違いだぞコラ。濡れ手に粟の商売など俺が許さん。
 舐められてるといえば、だ。
 ガルパンのように危険な武器に関するエクスキューズがないくせに、あれだけの戦闘をやっておいて死人が出ないのはどうしたって違和感がある。フィクションなのかリアルなのか、設定と物語展開に乖離があり、見ているこちらが不安になる。「これはごっご遊びでのゲームですよ」という了解があるうえでの緊張感と、「怪我人が出るかもしれない」などと嘯きながらも安定して難局を切り抜けてしまう作られた緊張感とでは、その性質・クオリティに雲泥の差がある。本作においては、そうした緊張感、物語のテンションを齟齬にしてしまいかねない脱力コントが戦闘中のブリッジで展開されるとあっては、見ているこちらは混乱するばかりなのである。この舞台設定・世界観においては、人死を出すか、トイレ回のような艦船日常アニメに特化するか、どちらかしかなかったように思う。だから、「戦車道」というアイディアは本当に秀逸なのだ。落とし所はそこなのかよ。



 

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  • ふらいんぐうぃっち
 魔女がフィーチャーされているのに全く血生臭くない(いや、魔女が血なまぐさいというのもステロタイプなものの見方だが)、まったり日常系アニメ。漫画はたまーに雑誌で読んでおったが、終始こんな感じ。だから、アニメは漫画の雰囲気をよく醸し出していると思う。パンチのあるオチがあるでもなく、奇想天外な物語があるでもなく、淡々と淡々と。首尾一貫したまったりっぷりもここまでくると一つの芸ではありますが、どうだろう、そのせいか突き抜けた何かがこのアニメにあるとは思えなかった。それにしても使い魔のキャストが豪華なのが謎です。ニャーとかしか言わないのになw



 

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  • 坂本ですが?
 作画が残念なのですが、なにか? やれやれ。それにしてもこれまた声優陣が妙に豪華なのですが、予算をそっちで使い果たしてしまったのか・・・。ネタが30分持たないので、回によってはかなり間延びした印象もありますなぁ。話の空白に間が持たないのです。見てるこちらがハラハラするわ。10分アニメで丁度良いと思う。
リソースと成果物がアンバランスなのである。制作サイドの差配がいまひとつだったのが原因か。残念ではあるが、子供たちはゲラゲラ笑って見てました。

坂本ですが? 1(Blu-ray)
緑川 光
キングレコード
2016-06-22

坂本ですが? 1 (ビームコミックス)
佐野 菜見
エンターブレイン
2013-01-15

 

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  • ジョーカー・ゲーム
 キャラデザは気に入らんし、最初のエピソードを2話分割にしたのも気にくわん。なによりOPのブラスの緊張感の欠如にはがっかりしたが、原作にあったスパイの本分についての説明(荒唐無稽なヒーローモノのうなスパイではなく、情報戦のエキスパートとしてのスパイ)はきっちり描写されていたので満足であった。物語は原作エピソードの面白いところをピックアップしているので、ミステリとしても好事家の観賞に耐えられる出来になっている。「柩」のエピソードでのドイツ軍の軍装や、「あじあ号」の内装が示すように設定も頑張っていて楽しめたし、ベテラン声優の堂の入った演技も良かった。まだ原作ストックはたくさんあるし、いくらでも続編が作れるよな!


ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
柳 広司
KADOKAWA/角川書店
2011-06-23

ちなみに文庫版はアニメとのコラボで表紙イラストが変わっています。元に戻したほうがいいと思うよ(このイラストがオリジナル)。 

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  • 迷家
 どの回を見ても、何言ってんだお前ら?という感想しか出てこない。すっとこどっこいな登場人物たち、ふわふわ地に足がついていない設定、バカバカしい真相、心底どうでもいい終幕。心の傷が具現化、対象者に襲い掛かるったって、単純に走るだけで脱出可能なのでハラハラ感まるで無し。
 わかってる。そう、わかっているのだ。
 絶海の孤島系本格ミステリを期待した俺が間違っていたということはよくわかっている。だから、胸に去来する猛烈なガッカリ感は誰のせいでもなく、徹頭徹尾俺のせいなのである。
 しかしそれを承知のうえで言を重ね問い詰めるとするならば、だ。このアニメの送り手はこのお話を心底面白いと思っているのか、という疑問なのである。この御時世にオリジナルアニメを作ろうという気概は褒め称えられるべきであり、そのためにヒトモノカネを手配したのは大変だったでしょう。ただし、お前これ面白いと思って作ったんか、とは問いたい。


 

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  • くまみこ
 まちの可愛さは輿水幸子の可愛さに通ずるものがあるのだと思う。イジリ甲斐があるというか、Mっ気があるというか。しかも本人がそれを認識していないあたりがなお良い。一つの優れたキャラデザインなのである。
 ただ、話が進むにつれなんだか病的に見えてくる不安定さは、どうしたものか。いわゆるコミュ障とかいわゆるメンタルとかいう、あれ。部分部分で妙に気合が入った作画も良いし、お話も前半は比較的原作に忠実に作られていた。しかし冷静に考えると、田舎少女のコンプレックスというちょっと重めのテーマは全く解決していなかったりするのである。仕舞いの方になると彼女のコンプレックスは「病的」を通り越して、ホラーの様相を呈してくる。どうあがいても村の因習から逃れられない予定調和。ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」とか映画「ドッグヴィル」のごとき不穏な空気。そこで熊と戯れる彼女の笑顔は、まるで壊れてしまったカミーユのように屈託がない。したがって、後半の展開を面白いと思うかどうかはかなり視聴者を選ぶことになると思う。ま、ギャグアニメなのでそれはそれで構わないのかもしれんが。ただ、終盤の作画レベルが不安定だったのはいただけん。
 なんにしても、いろいろコントロールできてんのか? ネットでもいろいろあったが、大丈夫かKADOKAWA。


くまみこ 1 (MFコミックス)
吉元 ますめ
KADOKAWA/メディアファクトリー
2013-10-18

 

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  • キズナイーバー
 今期の拾い物。放送前はぶっちゃけ、期待していなかったw
 OPからオーラ漂う物語は設定の奇っ怪ささえ納得しさえすれば、たいへん楽しめた。作画も手抜きはなく、クオリティは安定のtrigger、非常に高い。話は心のATフィールドがどうたらこうたら、人間が理解しあえれば時が見えるうんたらかんたら、ま、手垢にまみれてはいるのだが、本作のシンジ君やアムロ君は徹底的に傍観者であり、いじめられる保護対象者でありながら、右往左往するサブキャラたちを高見から眺める立場でもある。そして物語終盤、彼が人の目線まで降りてくるのか、それとも皆が上がってくるのか、そなあたりはなかなか読ませる展開になっているように思った。で、実は答えはそのどちらでもなく、非常に平凡なオチに落ち着くのだが、平凡だからこそのホッとした安心感もある不思議。暖かい終わり方だった。今思うと、彼が救うのか、彼を救うのか、物語の焦点はずっとそこだったのかもしれない。
 それにしても、心の有り様、人の繋がりを同じように描きながら、なんで「迷家」とこんなに差が付いてしまったのか。これは俺の予想だが、その差は監督や脚本にあるのではなく、プロデューサーのせいなのだと思う。ヒトモノカネを集めて何を作りたいのか。それがわかっているアニメとそうでないアニメとの差なのだと思う。
 ともあれ「キズナイーバー」は、オリジナルアニメとしてもっと語られるべき作品であると言って良いだろう。



OPが大変イカス。エレクトロポップな感じが少し懐かしい。ちなみに、BOOM BOOM SATELLITESはこの曲をもって活動を停止するそうだ。お疲れ様でした。 

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  • 甲鉄城のカバネリ
 作画、というかキャラデザのクオリティ・完成度は今期、いや、ここ数年で図抜けたレベルにあり、いわゆる「仕上」と呼ばれる部署の方々の確かな力量・スキルはインフレ過ぎて見ているこちらは嬉しい悲鳴なのであった。一部の回の作画はアクションを中心に鬼がかった良い仕事をしている。一番嬉しかったのは美樹本晴彦の画風は今でもしっかり耐用できるということかな。デジタルな製作環境にしっくりしていなかったように見受けられたので、心配だったのだw
 物語の方は、まぁ、なんですか、ゾンビっすね、要は。うーん、そちらのほうは特段、語らねばならぬ点は無かったかなwww それに、第1話は録画を失敗していて見てないしな。あんまりゆーてもな。でも最終話のガンダム「脱出」はちょっと笑ってしまったw
 そうそう、アニメ嫌いの嫁さんもこれは全話見ていて、なぜなのか聞いたところ、無名ちゃんが可愛いから、だそうだ。へぇ。


 

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  • とんかつDJあげ太郎
 Chill Out...
 肩肘張らずにリラックスして見られるアニメでした。そこそこ笑えたし、良かったんじゃないでしょうか。声ゲストのチョイスがB系過ぎて一般人は置いてけぼりだけどなw 作画的に何か新機軸があればもっと良かったけどね。10分アニメなんだからさ。もっとチャレンジしようよ。


 

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  • 宇宙パトロールルル子
 5分アニメなのに今季で一番好きだったりする。
 フリクリ〜トップ2〜グレンラガン〜キルラキルといった、一連の旧ガイナックス傍流に連なる(と思われる)一作で、パロディ・SF・アクション・ナンセンス・スラップスティックてんこ盛り、「トリガー」がキーワードとなっている本作は、スタジオTRIGGERの逸品。序盤から終幕まで熱量は全く下がらずにヒートアップ、壮大稀有なオチはグレンラガンという既視感はあるものの、問答無用の熱さにこちらの体温も上がります。もう、たった5分に詰め込むだけ詰め込まれたあれやこれやなので、本作を120%楽しむためには、それらに対する広くて浅い知識と、なによりアニメに対する愛情が必要なのです。そう、おそるべきは、バカな中学生の思いとパワーを余すところ無く描き出すという作品を作ってしまった、TRIGGERのおっさんどもの底知れぬパワーなのであります。ついてこれるのか、ゆとり連中は。いや、ついて来い。おっさんと中学生の間の、空白の世代にこそこのアニメは響いて欲しい。


 

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  • ばくおん!
 漫画の方はちらちら読んではおったのですが、どうだろう、漫画に負けてないか、このアニメ。特に絵が。バイクのモデリングで力尽きてしまったのだろうか。それくらい、ちょっと残念な作画だ思いましたなぁ。そもそもが外角低めのギリギリに「けいおん!」を攻めたパロディチックな漫画なのでありますので、遠慮というか、配慮がそこはかとなく漂い、どうにも突き抜けた感じがしません。でも後半、千雨が出てきてからは話運びも演出もテンポが良くなってきたように思う。え、千雨出てきたのって、だいぶ後半じゃねーかw 
 バイクあるあるはバイク乗りじゃない俺にはピンと来ませんでしたが、街の自転車乗りはクソというのには激しく同意した次第です。

ばくおん! ! 第1巻(初回限定版)(イベントチケット優先販売抽選申込券封入) [Blu-ray]
上田麗奈
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
2016-06-21


 

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視聴継続中
  • 機動戦士ガンダムUC(テレビ放送版)
  • ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない
  • RE:ゼロから始まる異世界生活
  • クロムクロ

視聴継続断念
  • 文豪ストレイドッグス
  • あんはぴ♪
  • 三者三葉
  • ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?
  • マクロスΔ

【日記】 ガルパン劇場版を見納めしてきた

DVD/blu-ray版発売直前に、まさかの再拡大ロードショーということで、私も見てきましたよ。
フィルムも配られるということだったしね。

カチューシャの場面で涙腺が決壊したり、エリカ様の一挙手一投足を見守ったりと、まぁなんだ、そのあたりは特に変わらず今まで同様楽しんでまいりました。

観た劇場は、東宝のTCXでした。この上映規格では以前も観たのですが、今回は座席位置を変えて最前列で楽しんできました。
私が映画館で見るときは、劇場の一番最後部が定位置です。普通スロープがかかっていますので、一番上の席ということでもあります。
というのは、背伸びをしても後ろの方の目線を遮ることになりませんし、花粉症の酷いときなどはティッシュを鼻に詰めていたりしても誰にも見られることが無いからです。
もちろんスクリーンは遠方になってしまうのですが、その代わり、視線を画面の中央に固定すれば、眼球や首を動かさなくても、映像の隅々まで一度に脳で捉えることができるからです。
そういうわけで、今まではたとえ大スクリーンのTCXでも最後部で見てきたのですが、今回は趣向を変えて、最前列で見てみた、ということなのです。

それにしても、画面でか過ぎだろ!!!wwww

メガネのフレームに映像がおさまんねぇよ!!www はみ出しちゃうよ!!w 特に映像の上下が、視界から切れちゃうwww

シートのリクライニングが浅くて、首をどんなに上に向けても上の部分が見えねぇよ!!ww 首をかしげるようにして、ようやく上下全部視界に入ったよwww(今度は画面の左右が見切れるww)

あと、スクリーンがでか過ぎるのに映写機の性能が良いので、CGやキャラの主線とかのシャギーが気になるww デジタル過ぎるだろ!ww

それにしてもとにかく、映像の細かいところまでしっかり確認できます。例えば冒頭のミカとアキのやりとりの場面で、ミカの眉毛が帽子に浮いている(レイヤーの上下関係が間違って撮影されている?)ことに気付いてしまうくらいw

ちょっとまじめに考察しますと、ここまででかく表現されるとなると、やはり画面の荒、いや細部が見えすぎてしまうことが、かえって気になります。NHKがハイビジョン放送を始める際、女優がアップを嫌がるという嘘かホントか分からない言説が流布したものですが、冗談抜きで、ちょっといろいろ考慮しなければならない時期なのかもしれません。
アニメは勿論、実写映像もこのあたりの問題は免れるものではなく、女優の顔面の毛穴をクリアに映せてしまう上映設備が普通になってしまっていることを前提に、撮影しなければならないと思います。
むしろ、「いかにピントを合わせるか」 よりも、「いかにフォーカスをぼやかすか」ということに配慮しなければいけない時代なのです。
ですので、被写界深度とか露出とか、カメラマンや撮影さん任せにするのではなく、絵コンテ段階できっちり計算できる技術が、監督や演出家には求められる時代になったということです(このあたりがいい加減なため「CGが浮いて見える」映画が山ほどあって、ウンザリなのです)。
大画面・高精細は今までは手放しで歓迎だったのですが、今後はこれがいいことなのか悪いことなのか、よくよく考える必要がありますなぁ。

とりあえず、(どんな映画館でも言えることですが)座席は真ん中がベストですwwww

今回の戦果。
film20160521-02
 

 

【日記】 若冲展SF

ネットがすなる若冲展SFなるものをわれもしてみむとてするなり

「ジャクチュー」とか「トーハク」とか大声でいうと、アート齧りたて、一皮剥けていない感じがして少し恥ずかしいのですが、twitterのタイムラインで見かけた「#若冲展SF」が面白くて自分でも作ってみたのでした。
「なんぞ?」と思った方は、togetterで確認すべし。
「若冲展に並ぶ凄い行列」というテーマでSFを書いてみようという、いわゆるtwitter大喜利だ(多分w)
140字という制限(タグを入れなきゃいけないので、実質134文字)で書かねばならないのだが、結構すらすら行けたりした。さすがにタイトルまでは書く余地はなかったが。

こんな感じ。

一本目。タイトルは「死者の行列」、とでもしておこうか。
SFなので、なんでもアリなのである。

次、二本目。タイトルは「自爆装置」
「そして胸のボタンを押した」は、眉村卓のショートショートによく出ていたオチ。ナンセンスショートショートでいい感じだ。ほんとか。

次、三本目。タイトル「最終解決」
間違えて、タグを二つ入れてしまった。もったいない。6文字あれば、もっとなんとか出来たかもしれない。

次、四本目。タイトル「初夏の行列」。
少しホラー風味。というか、書いてて思ったのだが、こういうふわふわしたファンタジーな作風、あまり好きではないな、俺。

次、五本目。タイトル「若冲の戦士」。
なにが安全なのか分からんなw 横文字の羅列はSFに対する皮肉のつもり。

次、六本目。タイトル「オブジェクト・ブルー」。
顔料って、調べてみるといろいろ面白かったりします。

次、七本目。タイトル「若冲 I want you」。
タイトルは今これを書きながら考えているのだが、だんだんいい加減になってきたってわけ。何が「わけ」だよw しかも女なのかよw

次、八本目。タイトル「月と若冲」。
このあと、異星人の若者による宇宙冒険活劇が始まります。

会話分はカギカッコで2文字使うのと、改行が無いと読みにくいので、かなり厳しい感じです。
2時間で8本の文章、ざっくり原稿用紙3枚分くらいですか。 プロだともっとガーっと書きあげるのでしょうが、私みたいなド素人では、これが限界ですね。でも、よい暇潰しになりました。SFじゃなくても、とも思ったけど、「若冲展ミステリ」は、twitter140字では、オチまできっちり書けそうもないですね。

それにしても、なかなか楽しかったなw 文章を書くのが面白いと、初めて思ったw


【追記】20160521
8本と言うのもキリが悪かろうということで、もう2本追加してみた。
9本目。「若冲ジャック」

10本目、「量子行列コンピュータ」

以上、おそまつ!



 

【映画】 桐島、部活やめるってよ(監督 吉田大八 2012)

 いろいろ映画賞を獲っているのにまだ見ていないのはいかがなものかということで、Huluでの公開が終わる前に観賞しましたよ。原作未読。監督は「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」を撮った方で、なるほど意地が悪いなぁ、と。

 繰り返されるカットバックが視点を切り替えつつ日常を多面的に切り取るという構造はそれなりに手の込んだもので、タイトルに言及される桐島君が画面に登場しないというミステリもそこそこ成功しているあたり、大変小癪な話作りだと思います。主観と客観とが入り混じった流れるようなカメラワークと、ほとんど無音と言ってよいBGM。静謐の中にも緊張感が漲っています。
 映画の宣伝ではやたらスクールカーストについて言及しておりまして、そこは学校だけじゃなくて人生もそうなんだよ、と言ってあげるちゃんとした大人が全く登場してこないあたり、大変誠意のある物語なのだあと思います。そういう意味では大変残酷な映画です。
 部活に熱中するのも、帰宅部で日常に倦むのも、勉強に取り組むことも、全て完全に平等に無意味なのだと、この映画は冷静に指摘しているのだから。
 スクールカースト最底辺の映画部部長である神木君は、その事を自然に消化しています。とても素晴らしいと思いました。
「映画監督になれるわけないじゃん」
 そうなんです。その現実を受け止めなければいけない時が必ず来ることを、ウェイウェイ言ってるカースト上層部も、趣味だけに生きる底辺も、まだ知らないのです。20年後には上下関係なく、どいつもこいつも間違いなくハゲ散らかしたおっさんになりますし、下腹の突き出たぶよぶよのおばさんになるのです。そして努力や熱中や才能とはおよそ無関係な人生がひたすら続きます。この冷酷なまでの現実認識こそ、まさに21世紀が描くべき正しい青春像なのだと思います。縮小再生産の黄昏の日本社会こそが、彼らが生きざるをえない残された道なのだから。野球部の部長にドラフトのオファーなどあるはずもなく、ブラスバンド部の部長の恋など実るはずも無い。彼ら彼女らには相応の輝ける瞬間はあるのですが、それはあくまでも主観でしかなく、客観的にはなんの価値もないという、心胆寒からしめる虚無的現実。だからこそ、好きな事を好きなだけやっていればいいのです。
 この点にこそ映画のテーマがあると思います。「あるべき青春像」「大人にとって都合の良い若者像」に一石を投じたと言っても良いように思いますが、いかがでしょうか。
 橋本愛が目的で観始めたなんて、口が裂けても言えません。

 でもね、そういう乾いた目線で人生を切り取られても、それはそれで一面的な感じもするのです。いやぁ、難しいよなぁ、映画って。



 
 この映画を観て、むかしフジでやってたドラマ「大人はわかってくれない」の一編、「1992年のバタフライ」をふと思い出してしまいました。だからどうしたって言われても、思い出したんだよ、ってだけのことなんですけど。

象牙色の嘲笑(新訳版) ロス・マクドナルド

ロスマクのアーチャー物は、作品の出来栄え、文体、テーマなどから評論などにおいては一般的に「ギャルトン事件」を境に前期と後期に分けらることが多い。
で、本作は前期の真ん中に当たる作品になる。前年に発表された「人の死に行く道」と比較すると、テーマ・文体ともに、錯綜する人間模様を背景に発露する人生描写・人間描写がぐっと濃厚になっています。
うむ、私好み。
一方で、晩年の作品に比べると比喩表現などのレトリックはわりあいあっさりしています。かえって読みやすいくらいです。 タイトルに「新訳版」とあるとおり、故小鷹信光が臨終の床で訳出したものらしい。文体はこなれていて、21世紀の今でも読みやすくなっている。古臭くない。そう、原書は1952年なので、約60年も前の小説なのである。

ところで、本作のキモの一つはトリック(?)だと私は思うのです。
すれっからしのミステリマニアなら、おそらくタイトルから見破れてしまうかもしれません。私の心は心が深山の泉のように澄んでいますので、全く気付きませんでしたがw
そのトリックが、「え? これがロスマク?」と新本格もびっくりの斬新(皮肉です)なシロモノで、この点は私が読んできたロスマク作品群の中ではかなり逸脱しているように思いました。予想の斜め上を行くという意味での逸脱ですけどw らしくないと言えばらしくないし、意外と言えば意外。この時期は一般的にロスマクが己の作風を模索している時代ということになっていますので、なるほどな、と頷いてしまいます。ですが、これが新境地と言えるかは、ちょっと分かりませんw というのも、後年、トリックに注力した作品はほとんど無いからです。ですので、「ロス・マクドナルド」というブランドにおいては、注目すべき異端作品だと思います。

トリックを一旦脇に置くとすれば、新刊で入手しやすく、新訳も違和感無くすっきりしていて(けど、しっかりロスマク節です)、ロスマク入門書としてかなり上位にくる出来映えだと思います。
そうなんですよ、書店店頭では、なかなか見かけなくなっているんですよ、ロスマク・・・。


 

異世界の色彩 ラヴクラフト傑作集 田辺剛

前作「魔犬」に続きが出ていたのですが、やっと読みました。
ラヴクラフトの著作は表記に揺れがあって、本作「The Colour out of Space」も、邦題は「宇宙からの色」とか「異次元の色彩」とかで紹介されるのが普通のように思っていたので、「異世界の色彩」は字面だけだとそれっぽくないというのが第一印象でした。だからポチるの遅れたんだよ!w 
言い訳はさておき。
それにしても黒い。
どのページももの凄い描き込みで、画面が黒い。とにかく脳髄にねっとり絡みつくような黒さで、それなのにベタ塗りの裏に何かが確実に蠢いているのがわかる。息詰まるような緊張感。黒一色でここまで表現できるとは。本書を読み終えたらまずSAN値チェックしなければならないくらい。
「宇宙からの色」は一連のラヴクラフト物の中ではそれなりにメジャーな位置にある作品だと思うのですが、原作小説はぶっちゃけて言えば退屈のひと言。おどろおどろしい形容詞やレトリックは駆使されているものの、どちらかというと陳腐な展開。いやいや、ラヴクラフトは全部そーじゃん!なんて言ってはいけませんw ラヴクラフト作品はホラーとSF、天秤にかければどちらかに大きく振れると思うのです。「異次元の色彩」はSFド直球(この発想はまぎれもなくSFである!)の作品で、それをホラー風味の語彙で語られてもなんだか面白く無いのです。くどいというか、とっとと話を進めろぃ、と思ってしまう。「時間からの影」みたいに、淡々と生物の描写を続けてくれた方が面白い。
閑話休題。
前作の短編集でも「神殿」や「魔犬」等、どちらかというと地味目な話が選ばれていたのですが、これが田辺剛氏の手によって漫画、というよりも、絵画になっていることにまずは感謝ですね。恐ろしいほどの画力と構成力だと思いますな。漫画を見て「グロい」とか「怖い」とか、ついぞ忘れてしまっていたそういう感情を思い起こさせる迫力があります。
ラヴクラフトのコミック化としてはこれ以上のものはそうそう生み出されないと思いますので、本書を手に取る価値はきっとあると思います。だって、もうラヴクラフトの小説は全部読んでしまったのだもの。新しい地平を切り開くことで、新たな発見があるというものです。いや、発見したいのさ。


 
ああああ、あれ? もう新作出てるのか?w 

【映画】 マッドマックス 怒りのデス・ロード (監督ジョージ・ミラー 2015)

すごく楽しみにしていたのにいろいろ忙しくて劇場公開に間に合わなかった粗忽者です。爆音上映にも行けなかった・・・。huluに来るのを待っていたのですが、我慢しきれなくてblu-rayを買ってしまいました。結局来ないかもしれないし。ところでblue-rayじゃなくて、blu-rayなのな。今頃知ったわ。

さて。

主人公マックスはダークヒーローであり、言ってしまえば勧善懲悪モノと括ってしまうのはわりと簡単だし、実際旧作(2ね)でもそうだったわけで、したがって話の大筋には不満はありません。いい感じのカタルシスだしね、勧善懲悪。
アートワークも非常に凝りまくっていて、むっちゃ金がかかっているのがよく分かる。そう、むちゃくちゃお金かかってますよこれ。 砂漠を疾駆するビッグトレーラーは絵になりますし、追いすがるならず者たちの猛攻も見ものです。砂漠の荒涼さ、乾燥しきった空気、強すぎる陽射し、迫り来る砂嵐、毒の沼地の不気味さ。最高にシビれる絵ヅラになっている。
アクションもちゃんと嵌れるものになっている。爆装した槍や、ところ構わず吹き荒れる火炎放射器、横転しまくる車両群、車にへばりつくウォーボーイズ。素晴らしい、さすがジョージ・ミラー。ベイブとかハッピーフィートとかで誤魔化していましたが、彼の核となる部分は、やはりマッドマックスで出来ているのです。

ただ、いろいろと度が過ぎちゃっているせいで、どうもストンと腑に落ちない部分もある。

アートワークは完全に突き抜けすぎていて、パンクとかアナーキーとかいうより、フリークスとかビザールとか、あらぬ方向にイッちゃっている感じ。「北斗の拳」というよりは、「CYBERブルー」な感じ。ん? 伝わるか? この例えでw 見ていると、迫力よりもキテレツさの方が強烈で、なんだか居心地が悪いのだ。ファッションの必然性が、荒廃した世界観に相容れない感じ。例えるとこうだ。無頼なファッションを身にまといつつも、装飾品はクロームハーツとかブランド品にこだわっていたりする、そういう座りの悪さというか、頓珍漢な印象が拭えない。

一方、無口なヒーロー、マックスは、フェリオサのおかげで単なる狂言回しになってしまったようにも見える。いきなり捕まっちゃって、自力で脱出できないハメに陥った挙句、付けられたマスクのせいで結構中盤に差し掛かるまでご尊顔を拝し奉る機会がない。女子とチェーンデスマッチでくんずほぐれつしてる場合じゃねーんだよ。それでやっと出てきたセリフが「俺の革ジャン返せ!」じゃねーっつーのw ひとことで言って、かっこ悪い。フェリオサは片手が義手ということもあって、完全にキャラが立っている。むしろ、女性版マッドマックスとして製作すれば良かったのに、とすら思ってしまった。

悪役の描き方も中途半端な気がする。 前作ヒューマンガスは、徹底した悪役だった。暴力で仲間を従え、無慈悲に殺す。マッチョな体にフェイスマスクも恐ろしげで、俺の物は俺の物、お前の物は俺の物というジャイアン理論以外、一寸も解釈の余地が無いくらい正真正銘の暴君だった。
翻って、イモータン・ジョーはどうか。設定からして高齢なのは仕方が無いし、奪われた女を取り返し、裏切り者に制裁を加えるという目的はあるものの、言ってしまえば己の帝国の維持に汲々としている中小企業(無論ブラックであるには違いないのだが)のショボいオーナーに見えてしまう。交易品であるミルクを生産するシステムに気を配り、支持者(といっても棄民同然なのだが)を囲うために水を配る。他の暴力組織との協定に気を使う。とんだ気配りオヤジなのである。ファッションやデザインはぶっ飛んでいて確かに悪役然としているが、やってることは中小企業のタコ社長だ。悪役には、そんなセコセコした小市民な描写は不要なのだと、画面に向かって叫びたいくらいだった。
悪役にも悪役の背景があり、物語がある。映像から透けて見えた姿がそんなピエロなんて、ちょっと勘弁願いたい。
旧作「2」のラスト、マックスが命を賭して運んでいた荷の正体が判明したとき、暴走族たちはズタボロになった彼の命を奪わず、その場を静かに去ってゆく。なぜマックスを殺さないのか、彼らはどこへ去ってゆくのか。

これ! 

こういう描写に我々人間は物語を感じるのだが、「怒りのデス・ロード」には、(少なくとも俺には)窺えなかった。

以上、旧作を愛する余り(といっても1は退屈だったし、3はどうでもいい作品だと思っているが)、いささか苦言めいたモノになってしまった。 これは時代も関係あるかもしれない。
うちら世代の男子は、確実にマッドマックス2を見、その迫力に度肝を抜かれているのだ。そしてそれは強烈な刷り込みとなって、今の俺たちを型作っているわけである。 己の根幹となる映画なのだから、妥協してはならないのだ。
だから、「待たされた割には・・・」の、この「・・・」の部分は、今は語らない方が良かったかもしれない。

なお、本作を推す兄弟と悪役の描写について論戦になったという・・・

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ニコマス界隈の、辺境の住人。革命的国家社会主義真派の刺客、ペロリスト。真士。そして、映画と小説とアニメの愛好家。
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