haruku666のblog

晴薫という名前でやっていた、雨の日の日曜日は・・・というブログの後継です。 教養書の備忘録、小説、エッセイ、ノンフィクションの読後記録。 映画、スポーツ観戦の感想が主でしたが、最近は安室奈美恵と萌え系のアニメにもはまっています。 オープンスポーツカーも好きで今は981型ボクスターGTSでサーキットを走っています。

ジャコメッティ展に行って来ました@彼が現れた理由、我々が惹かれる訳

国立新美術館で開催されているアルベルト・ジャコメッティ展に行って来ました。

 

ジャコメッティの、人間が灼熱の劫火をくぐり抜けた後に残ったようなフォルムの作品群。

実存主義の彫刻的表現であるとか、シュルレアリスムの影響が残滓となってうかがえるとか、色々言われていますが、芸術を完全に言葉に置き換える事は不可能です。

 

それでもあの異様な風体を繰り返し表現した芸術家は何故、この世に生まれたのか?

そして何故我々はあの彫像に惹かれるのか?

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干からびたような、極限まで身体を削ぎ落された人物像に何を見るのかというと、個人的には不安神経症を読み取ります。

 

一目、セザンヌの影響が見て取れるリンゴの油彩画からは、ジャコメッティが、20世紀絵画の第一ルール。

「対象の厳密な視覚的再現の放棄」を遵守する芸術家である事も分かります。

その上で、何が彼をあの表現に駆り立てのか?

ジャコメッティは1901年10月10日に生まれ、主要な作品は1950年代から、死去する66年までの間に造られています。

 

1945年に終結した第二次大戦が影響したのはモチロンですが、20世紀が科学の時代であり、人権が叫ばれた時代であり、人が諸々の不安から解放されていった時代でもあります。

科学により、それまで何百万年もの間、人々を苦しめていた、飢餓、疫病は駆逐され、国家体制が確立されるに連れ無法な暴力も間遠になると、人々の生活に進出してきたのは、映像やクルマのもたらす娯楽、飛行機や船、鉄道による遠距離旅行の一般化、人権の確立やら権利の拡大などで、人々の平均寿命は延び、豊になって行く半面、人の不安はなくならなかった。

 

不安は人に必要な要素だからです。

人は不安を持つが故に、危険な対象を避けたり、予防処置を講じたりする事ができる。

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ただそれまでの時代とは違って、対象をはっきりと決められないようになった。

何故なら、それまので時代のように、死に直結する不安な事などほとんどなくなってしまったのだから。

存在しない幽霊を指さすようになったが故に、「不安の対象を指差し、実態として手に取れなくなった」が故に、人の精神は削り取られ、あの彫像が出来上がり、我々はそれを何処かで知っているから、ジャコメッティに惹かれるのでは、なんて事を考えました。

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翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 麻耶雄嵩@テメエ、終いにはぶん殴るぞ、と思わせる四番目の奇書

日本ミステリーには三大奇書と呼ばれるモノがありまして、それは

ドグラマグラ 夢野久作

黒死館殺人事件 小栗虫太郎

虚無への供物 中井英夫

というそうそうたる作品群なんですが、この小説は、二番目の黒死館殺人事件に捧げられた麻耶雄嵩のデビュー作です。

 

プロット、文章のレベル、ともに高く、非常に良く出来た作品ですが、読者を選びます。

上記三大奇書を読み終えてから、手に取りなさいとは言いませんが、少なくても島田荘司の本格ミステリー宣言は知ってないと、ある意味「ミステリーの行きついた果て」を語るこの小説の作者の意図は分からないでしょう。

 

島田荘司の本格ミステリー宣言は、美術史的に言うとラファエロ前派宣言と同じです。

ますます分からなくなりましたね。

どうもスミマセン。

教養がありすぎるのも誤解の元ですね。

要するに、島田荘司が言いたかった事は、

「昨今、流行りの(1993年当時)松本清張のような社会派ミステリーってツマンナクない? 追い詰められた凡庸な庶民が、生活苦のあまり起こした事件を、凡庸な刑事が靴底をすり減らして捜査の上解決するなんて地味すぎるっしょ。

乱歩の時代とかスッゲエ変態が出てきてもっと派手だったじゃん。鬱蒼たる古城で起こる悪魔的な犯罪を、華麗なる天才探偵が、快刀乱麻と解決する。見世物なんだから、こうあるべきしょ」という宣言です。

 

私はこの宣言読んだ時、あんまり賛同出来なくてね。

松本清張は左翼だし、内容は確かに地味だけど、文章は抜群でしょ。

私はどうも音楽にしろスポーツにしろ、基本、技量が優れてないと愛好出来ない質で、だからロックはツェッペリンだし、今は安室奈美恵だし、サッカー観るならバルセロナとかレアルなんだよね。

ともかく圧倒的に巧いこと。

これが愛好する条件だったんですが、島田荘司とか文章、下手だったじゃん。

清張松本先生と比べればさ。

それでもだんだん新本格派も読んで行く訳ですが、それほど熱心な読者ではなかった。

でもこの小説、神様ゲームで感心した麻耶雄嵩だし、いつの間にか2012版では日本ミステリー史上76位に付けてるし、で読了です。

 

内容は、蒼鴉城というヨーロッパの古城を思わせる壮麗な屋敷で起こる連続断首殺人事件の捜査に乗り込む天才探偵と、その語り役(ホームズ&ワトソン、ポワロ&ヘイスティングス)の活躍から始まります。

乱歩っぽいでしょ。

はい、未読な方はここまでにしましょう。

 

後半は、内容に深く食い込みます。

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この程度で安倍政権が支持を失うなら、日本株に投資しなかった私は正しかったと結論

安倍政権が批判されてますが、馬鹿馬鹿しい限りです。

安倍さんほど、「日本の為の外交」に注力し、株高円安で中小企業を救い、雇用環境を改善させた政治家っていますかね。

あのまま民主党政権だったら、今頃、どうなっていたと思うんでしょうか?

灼熱の円高で、中小企業から大企業まで焼け野原になって、街は失業者だらけだったと思いますよ。

今の人手不足なんて夢の夢。

日経8000円だったんですよ。

あのままだったら4000円割っていたでしょうね。

日本企業総倒産です。

安倍さんの改革で先細りが心配される年金にどれほどの含み益をもたらしたのかご存知ですか?

テレビも新聞も一切触れませんが、民主党政権下だったら年金制度も崩壊していたと思います。

トランプとの付き合い、中国や韓国との外交、民主党政権に出来たとお思いですか?

トラストミーの鳩山に、リベラルオバマですらあきれ返って相手にしなくなっていたでしょう。

今はトランプですよ。

蓮舫総理でなんとかなってたと思いますか?

 

民進党があんまりバカなんで、審議を打ち切っただけでしょうが。

世界196カ国で批准されている法案の何が悪いのか。

 

オマエは株をやっているから、安倍応援だろうって?

イヤ、まったく違います。

私は民主党が政権を取った時、熱狂する日本のメディアとリベラルバカにあきれ返って、日本株への投資一切手を引きました。(当選即日売りのIPOと日経先物、OPCFDは別)

同じ理由でJリートも買っていません。

日経先物とOP,CFDは、上下どちらにしろ目先のトレンドを追っかける短期投機だからね。

投資とは言えないけど、民主党政権誕生時に、あれだけの国民が支持するんだから、長期投資なんてする気しないよ。

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天才 石原慎太郎@凡庸な前半部と白熱の後半部。立花隆は嫌な男だったよね

オマエはウヨクだから石原閣下なんて崇拝しているんだろうと思われるかもしれませんが、あまり好きな方ではありません。

 

何故かというと、まずこの人の小説、まったくオモシロいと思った事がない。

小説は結構読む方なんですけどね。

やっぱり感心させてもらわないと、偉い!とは思えない。

 

さらにこの人、変な事、言う時あるでしょう。

フランス人は、数の数え方が云々で、数学が苦手みたいな事ですね。

ホント、理系には疎いのだな、と思いますよね。

あまりイメージじゃなかもしれませんが、フランスは数学大国でポアンカレ、ガロア、パスカル、デカルト、フェルマー、ヴェイユ、ポアソン、ラグランジュ、フーリエ・・・

ざっと思いつくだけで、数学史を彩るそうそうたるメンツが揃います。

 

そんな慎太郎先生が、田中角栄を書いて、昨年ベストセラーになったのがこの本ですが、私は手に取りませんでした。

人って自分が凝っている趣味は、その分こだわる傾向がありますよね。

いきなりベストセラーです、とか言われても、次に読む本の予定は常につかえているんでね。

それでも図書館で借りる分なら良いかな、と読了です。

 

読みだせば文字は大きく、文体は田中角栄自身が語っているように、極めて平易に、親しみ易く進んで行く。

田中角栄の人生ですから、それは劇的でドラマに満ち、オモシロいのは当然なんですが、小説としての出来は凡庸で、これは角栄という素材に助けられた一作ですね、と、途中、読むのを止めようかと思ったんですが、後半。

ロッキードがキナ臭くなってくる辺りから俄然オモシロくなって来る。

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魔法少女リリカルなのはThe MOVIE 2ndA’s 4DX@ひゃっほーとか言わないで良かった

リリカルなのは劇場版2nd4DXを観て来ました。

この映画、上映時間が2時間半と長いので、往復を含めると掛かる時間が4時間位になってしまい、正直迷ったんですが、休日だし、グズグズしていても仕方ないので、まずはスマホでチケットのみ予約。

こうなると無精な私も行かない訳に行かなくなる。

 

で、その時、予約したのが自分一人だったので、もしかして貸し切り?と思ったまま、開始直前に入場!

森閑とした客席に人影なし。

いやー、平日にこんな映画観に来る人間なんて、やっぱりいないのかと思いつつ、貸し切りってのも気分が良いなと。

ずっと以前、ホラー映画のレイトショーを一人で観た事があったのですが、今回は昼間だし、なのは、だからね。

やっぱり安心だよ。

映画自体はこの前WOWOWでやった時も観たし、劇場でも観ているので、ストーリーは先刻ご承知。

良く出来た話ですよね。

そしてつくづく凄いなと思えるのは田村ゆかりの声で、萌える。

なんていうか王国民ではないですが、彼女の声は特別だよ。

聴いているだけで、夏に公開される新作への期待が高まります。

 

4DXで揺られながら、一人だと思っているんで、上映中も携帯出して、好き放題。

映画が盛り上がって来ると、ひゃっほーとか言ってみようか、と思いつつ、もしかして、場内を監視されているかもしれないなんて考えてヤメて置く。

 

今回の4DXで一番印象的だったのは、風。

魔導書のページがめくれる時とか、森から吹いてくる風とか、リアリティありました。

艦これと比べて水が掛かる事は少なく、それはOK

空中戦ではゆらんゆらん揺れて、携帯もいじれて居心地最高。

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宙を飛んだ自動車事故の原因は居眠りでは@私も覚えがあるのです&防ぎ方

東名高速で、クルマが宙を舞い、バスの上部に激突した動画は衝撃的でした。

初めて見た時は、あまりの事に唖然茫然。

こんな事が実際に起こるなんて、動画を見せられない限り信じないでしょうね。

 

さて何故、クルマが宙を飛んだのか?というと、

どうやら中央分離帯がジャンプ台の役目を果たしてしまったからのようですが、そもそもその中央分離帯に突っ込んで行ったのは、逆側のガードレールに激突し跳ね返されたからのようです。

 

それではさらに何故、逆側のガードレールにぶつかったか、というと、居眠りではないでしょうか。

ドライバーが医師で、乗っていたクルマがデミオ。

医師という一般に高級車に乗っているイメージから、デミオはオカシイと思われた処に、代車だと判明し、いつもの高級車のつもりでスピードを出したらコントロールを失ったという説も流れていますが、私は違うと思います。

人間の感覚というのは不思議で、いつものクルマほど高速で安定感がないと感じたら、自然に速度は落とされるモノです。

こういう感覚は本当に不思議なんですが、人間にはあるんです。

 

でも居眠りなら・・・実は私も同じような経験があるんです。

私の場合も代車の軽に乗っていて実家に帰る時でした。

少し長めのドライブ中、ふっと意識が遠のいて、タイヤが歩道を区切る段差にバンとぶつかって意識を取り戻した。

ビックリしただけで、何事もなかったのは幸いでしたが、今回の事故との違いは、一般道で速度が出ていなかったってだけですね。

 

前から書いてますが、事故で一番多い原因は居眠り系ではないでしょうか?

警察が違反金目当てで取りしまる、速度超過とか、一時停止違反とか、実際の事故とはほとんど関係ないと思います。

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職業としての小説家 村上春樹@功成り名を遂げた作家の無残な姿

「風の歌を聴け」という当時でも一昔前のセンスなんじゃない、という題名にも関わらず、読んでみた処、文体が結構気に入って、

文学友達に、「今度出てきた村上春樹ってイイ感じだよね」と言った処、

「あんなのブローディガンの真似だよ」というこれ以上ない適格な指摘で一蹴されたのは、今となっては良い思い出です。

 

この本は、大作家様になりおおせた村上春樹大先生が、「僕もまったく才能がなかった訳じゃない」という極めて謙虚な、というか聞きようによっては嫌味な事をのたまい続ける一冊です。

 

そもそも村上春樹のエッセイは大好きで、その鮮烈なイメージ喚起力に満ちた文体は、変幻自在、ユーモアと詩情の輝きに満ちて魔法さながら、と愛好していたんですが、この本はダメですね。

 

内容はもう何度も読まされた事ばかりだし、マジックが消えうせた文体は凡庸そのもの、退屈でまったく心躍ることもない。

この本、単行本の時は、最近の傾向としてどうせツマラナイとスルーしていたのですが、文庫化され書店で目に付くと、ついつい食指が動き、図書館で借りて読了。

買わないで正解でした。

 

読み終えた後、表紙にドアップで写るモノクロの春樹村上大先生のお写真。

その大文豪然とした大物ぶりは、ただ痛々しく、かつては改革者だった作家が、今や我こそは権威なりと威張りかえる、定番といえばあまりに定番な精神の堕落を映しているようにしか見えませんでした。

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2017-06-02



猫は知っていた 仁木悦子@登場人物と作家の実像。明朗さと情が読みどころ

第一回乱歩賞受賞作であり、1985年度版日本ミステリー史上第35位の作品です。

 

作者の仁木悦子さんのミステリーデビュー作で、それまで乱歩風味の怪奇色が強かった日本の推理小説界に、元気な兄妹探偵の活躍する青春小説的なこの作品の登場は、エポックメイキングなモノであり、後年の日本ミステリーに大きな影響を与えました。

 

ただ書かれたのは1957年。

相当以上に昔であって、時代状況もかなり違う。

そうなると私のように「歴史的な作品は全部読む」というマニア以外、一般人に読みどころはあるのか、という事ですが、あると評して良いと思います。

 

正直、三件起こる殺人のトリックは、大したモノではなく、わざわざ読まんでもなあという水準ですが、三つのトリックが明かされた後の大枠の構成は、やはり悪くない。

これに匹敵する「人間の情」ですね。

描かれた作品、他にあるのか、と問われればないでしょう。

そういう点、非常に後味は良好です。

 

それからコレは純粋に、作品の価値と分けるべきという意見もあるのですが、作者の仁木悦子さんは、腰椎カリエスで、4歳から寝たきりになってしまうのですね。

この作品は、(今の日本と比べれば)相当貧しい状況下、寝ながら、わら半紙に書き付けたという事なんですが、登場する兄妹探偵の妹は同姓同名の仁木悦子なんです。

 

そして小説内に、妹が頼りにするお兄さんが出てくるのですが、現実では寝たきりの仁木さんに、親身に寄り添い、教科書まで使って勉強を教えてくれたのが、実際のお兄さんなんです。

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豪雨のサーキットで赤旗見落とした原因@二つの事を実感する

先週行ったTC2000の走行会は大波乱でした。

走行開始時点ではなんとかもっていた天気。

残念ながら3ラップ目、S字に入ったときに雨がフロントウインドウを叩き始めて、一瞬、ガッカリしたんですが、なあに。

ウエット路面だって、濡れきるまではイケル、イケルとペースを落とさず走る走る。

ウエットったって、びしょ濡れで川ができるような状態と、濡れ始めじゃ全然違いますからね。

ポジティブ・シンキングです。

ところが走れば走るだけ、雨はドンドン激しくなり、ついに8周目!
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滝に突っ込んだような、完全に前が見えなくなるような豪雨になり走行中断。

コーナーポストのオフィシャルの姿が、水煙で全然見えなくなるような事態って、想像もしていなかったんですが、そうなりました。

それでも赤旗中断ってわかったのは、各所に取り付けられた信号機が赤く灯ったから。

なるほどね。

信号機って、こんな時のためにあるんですね。

一般道でのドライブでも経験したことのないような激しい雨で、PCでウェザーリポートを見ていた方によると、雨のサインが豪雨の赤を通り越して紫?だったようです。

 

まったく前が見えなくなったサーキットって、もうどこ走って良いのか分からないですね。

建物も街灯もないが故に思い切り走れるんですが、いったん全てが水の世界になると、まったく手掛かりがなくなってしまう。

何が何でも行ったるで~という私、それでも行こうかと思いつつ、赤信号を見てゆっくり走る事に同意いたしました。

なんとか路肩を確認しながら、ピットの戻り、待機して待つ事30分。

その間、帰る人ぽつぽつあり、だったんですが、私は粘る。

もうこのまま終了という可能性が高くても帰らない。

タイヤの空気圧警告灯が点いても帰らない。

雨の勢いが弱まると、いったん脱いだヘルメットをまた付けたりしている。

これは私にとって非常に例外的な事で、私、ちょっと面倒だったり、ツマンナイと思うと、即行帰るんです。

むしろゆっくりしていられない病気というかね。

精神的傾向があるんです。

 

ひたすら待つうちに、それまでは豪雨にかき消されて聞こえなかった放送が、やっと聞こえ始めてミーティング室への集合すると後15分で再開と知らされる。

ただ状況は非常に悪く、最終コーナー出口に川があったり、問題は山積。

こんなとこ突っ込んだら、ギリギリで回って立ち上がり、スピードに乗った状態で、ハイドロ、どこまで飛ばされるやら。

 

結局、筑波オフィシャルの方々の素晴らしいお仕事で、川はなくなり、走行再開。

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恋するソマリア 高野秀行@前作の二番煎じと思ったら・・・

海には海賊が出没し、地上では米軍最強の攻撃ヘリ、ブラックホークすら撃ち落されて、兵士の遺体が裸にされて市街を引きずり回されたというソマリアに、謎の独立国家ソマリランドが出来たから、と見に行く行動力に驚かされた前作。

 

この本は、著者がソマリアの魅力に憑りつかれて再訪の図が描かれるのですが、正直、本の前半の衝撃力は弱い。

なんてったって、前作が凄すぎたからね。

あのソマリアですよ。

我々一般人が考えるなら、生きて帰ってこられたら奇跡というか、入国して何分無事でいられるのかというレベルでしょう。

それをまあ奔放に、正式な政権もない、武装ゲリラが跋扈する国を縦横無尽に飛び回った。

読まされる方は、そのつど報告される意外といえばあまりに意外な現実にただただ驚かされるのみだった。

 

それがこの本では、最初から前作で親しくなったソマリ人との再会で、緊張感は低い。

そうそうこうだったよね~という、読むほうにしてみれば、果たして明日はどうなってしまうのか、というスリル(他人事だから)がなくて、ただの異邦訪問記になっている。

 

それでも現実に、生身で学べる知見は深く、たとえば

「厳格なイスラム主義は、ソマリアの若者たちにはお洒落なアイコンになっている」、なんて件に驚かされる。

真逆でしょ。

厳格なイスラム主義がお洒落って。

それがソマリアではそうじゃない。

何故か、というと、イスラムが盛んなアラビア湾岸諸国は、石油で潤っている=お金持ち=それがソマリアに影響を与えだすと、貧しい国の若者はその富に憧れて、お洒落なイメージになるっていう顛末なのです。

 

さらに「民主主義が守られるとイスラム主義になる」というのにも驚かされた。

これも逆の印象ですよね。

解説すると、西洋的な世俗主義者は選挙に真面目に行かない=どこの国でも宗教を信奉する人は、選挙で頼まれると真面目に投票する=民主的な選挙になるほど、宗教色が強い候補が勝つ!という図式になるようです。

まあ、世の中こんなモノ。

現実は、事前の想定の斜め上を行くんだよね。

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