この恋、婚外恋愛につき。

2014年08月



--午後もがんばれ!

 ハルの笑顔も、目が少し細い時も、
 へにゃへにゃの顔もどうしようも
 ならないときの顔も、

 全部好きだよー★


一緒にお昼を食べた後、彼から
LINEが届いた。


この日のランチはパンを買って。

近くの公園で子どもたちを眺めながら食べた。

彼の隣にいる自分が好き。


いつも穏やかで優しくて、
ニコニコと柔らかに笑っていられる。


喜んだり感動したり、飾らない
素直な感情表現ができる。


彼は私のいろんな顔をみようとしてくれる。


私は基本的に愚痴をいったり弱音をはいたり
しないタイプだけど。

「思っていることがあるなら、
無理しないで。

なんでも話して欲しいよ。」


そういって優しく頭を撫でてくれる。

・・・どうしてこんなに優しいんだろう。


美味しいものは一緒に
食べようと誘ってくれて。

楽しそうなことは一緒に
したいと計画してくれて。

キレイな景色は一緒に
みたいと連れ出してくれる。


お礼を言ったときの彼の決まり文句は

「ハルの喜ぶ顔をみられて、
僕も嬉しいんだよ。」


・・・なんでこんなに「デキる男」
なんだろう。


素敵なモノは、私は彼から
与えてもらってばかり。


でも、相手を想う気持ちの強さでは、
絶対に負けてないはず。


どんなときも彼にとって一番
幸せな未来を選択できるように
私もずっと見守っていけたらいいな。


この先、たとえば奥様が妊娠したり。

距離が遠く離れてしまったり。

彼の気持ちが冷めてしまったり。


変化は必ずあるだろうけど。


これまで彼がくれたたくさんのもので、
もう私は充分満たしてもらったから。

いざというときは、一番に
彼の幸せを願うことのできる
女性になりたい。


少し前までは、どうやって傷つかずに
すむかばかり考えていたけど。


もう、傷ついたってかまわない。


最近はそんな風に思えるようになった。


不倫をすると女は強くなると、
某ドラマで言っていた。

確かにそうなのかもしれない。

私は今、たしかに自分のなかにある
この強くて穏やかな愛情を
信じたい。



どんなことがあったって。

負けないんだから。



彼と一緒にいるのがこれほどまでに
心地が良い理由は。

彼が私のことを、「丸ごと」好きで
いてくれるからだと思う。

彼の前で、女でいる私のことだけではなくて。

彼と離れている私。

つまり、母親の私、妻としての私、
キャリアを積む仕事人としての私。

どの私も幸せで穏やかでいられるように
いつも応援して見守っていてくれる。


夫とギクシャクしてしまいそうなとき。

キスをしているかわいいスタンプと一緒に
「イライラしない、おまじないだよ♡」の
メッセージが届いた。

思わずほっこりして、夫の前でも
笑顔でいられた。

自分は食べないくせに、毎日夕食の
メニューを聞いてくれて

「それが食べたいな!」と言ってくれる。

私が思い浮かばず困っているときは
「これはどうかな?」と提案してくれる。


彼がくれる言葉はいつもあたたかくて、
出会ったころ、変にあきらめていて
冷たい女だった私をどんどん変えていった。

私は吹雪のなか、ひとりぼっちで
歩いているようなつもりだったけど。

今は、毎日が春の陽だまりで
うたた寝をしているよう。


何が変わったわけでもないけど。


いつも自分のことを見つめてくれている
存在がいるだけで、こんなにも
幸せでいられるなんて。


--ハルと一緒にいれる旦那さんには
 嫉妬もするけど、仲良くもしてほしいしね。
  
 たぶんハルもまたしかりで、僕のことを
 思ってるんじゃないかなと。


昨晩、夫と仲良くできるようにアドバイスを
くれた後、彼からこんなLINEが来た。

嫉妬も隠さず伝えてくれる、素直さが好きだな。

そう思っていたら続けて。


--おやすみ、好きだよ。


と、メッセージが届いた。


キュンとして、少しだけ泣けた。



幸せだな、ほんと。

今朝、彼が奥様に言われたらしい。


「すごい楽しそうな夢見てた
みたいだけど、誰の夢
見てたの?」


どうやら私と会っているときの
ようなテンションで寝言を
言っていたみたい。


うまくごまかしたと報告
してくれたけど。


本当だろうか。


奥様は本当に感づいて
ないのだろうか。


奥様の言動を聞く限り、
同じ女としてはどうしても
牽制されているようにしか
思えないのだけど。


今の私にどうやってブレーキを
踏むことができるだろう。


どうか杞憂でありますように。


この恋は、婚外恋愛だから。


お互いの配偶者に気づかれて
しまったら、この恋は終わる。


いや、もしかしたら私たちは
終えられないかもしれないけれど。


でも、ある意味では終わって
しまうことはわかっているつもり。


だから、決して知られてはいけない。

そのために私たちが決めている
ルールはひとつだけ。


「無茶はしない。」


どれほど会いたくても、
会うのは不審に思われない程度。


突然外出が増えたり、
帰宅が遅くなったりすれば
怪しまれるのは当然だから。


朝やお昼の都合をつけて
少しだけあったり。


他の予定をキャンセルしたり
出会う前からしていた趣味を
口実にしたりして会っている。


家にいるときは、お互いの
配偶者の前では基本的に
連絡は取り合わない。

特に彼は。

電話なんてもっての他。


こんなのは、W不倫をしている
ならば、基本中の基本だと思う。


でも。

一昨日の夜、酔っぱらった彼から
着信があった。


--家についたよー。


と連絡のあった後だから、
彼も家にいるはずなのに。


深夜1時。

夫は寝ている。

少し悩んだけれど、
寝室から一番遠い部屋で
電話にでた。


「…もしもし?」


「ただいまーーー…
帰ってきたよー。

もうねるよー…」


「うん。早く寝てね。
明日も早いんだから。」


「そだね…

ありがと、お休み。」


「うん、おやすみなさい。」


ヒソヒソ声で話す。


電話を切ってすぐに
彼からのLINE。


--ごめん、ルール違反だね。。


--気にしないで。
ゆっくり休んでね。


--ありがと。おやすみ。


そして翌朝。


--おはよ!
…やっぱり電話かけてた…ごめん。


二日酔いの彼からLINEがはいる。


たしかにルール違反なんだけど。


眠りに落ちる直前の電話は
とても幸せだった。


どんどん溺れていく彼を
感じられるのは嬉しいけど。


でもそれはリスクと
表裏一体でもあるんだな、と
感じている最近。


そのあたりが少し、ジレンマ。


心のバランスを上手にとらなくちゃ。

彼も私も。


月曜日。

お互いの都合を調整し合って
少しだけ会うことができた。

ぎゅー、と私を強く抱きしめながら

「週末・・・ちょっと貸し出してたから
返してもらおう・・・。」

そうささやいて、さらに腕に
力をこめるから、もう私は
それこそ、息もできないほど。


続いて彼は、「・・・渡さないよ。」

小さな声でつぶやいた。


私と夫が仲良く暮らせるように、
いつもにこやかにアドバイスを
くれる彼だけど。

少しはやきもちをやいてくれて
いるのかな。


「・・・ハルは誰の?」


キスを浴びせられながら答える。

「・・・ユウの。ユウのものだよ。」

満足そうに頷いて、優しいキスを
くれる彼に身をあずける。


好きにしてくれていい。

私はあなたのものだから。



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