しばらくぶりですが、賢治の『春と修羅』第2集のつづきに戻ります。きょうから「191 風と杉」を読んでいきます。この作品には「1924、9、6」の日付があります。きょうは最初の5行です。

杉のいちいちの緑褐の房に
まばゆい白い空がかぶさり
蜂(すがる)は熱いまぶたをうなり
風が吹けば白い建物
  ……一つの汽笛の Cork-screw ……

杉

「杉」=写真、wiki=は、日本特産の常緑針葉樹で、ふつう細長く直立し高さ50 mに達するものもあるそうです。中生代に登場した起源の古い植物群で、天竜杉、屋久杉、立山杉、吉野杉、北山杉、秋田杉、山武杉など各地に特徴ある杉が自生しています。

葉は基部が枝に密着して、先は針状に尖り、枝全体としては一面に上向きに針を並べたようになります。樹皮は褐色で、成長した幹の樹皮は縦に裂け帯状に剥げ易いのが特徴です。

屋久島の縄文杉は樹高25.3 m、胸高周囲16.4 m、推定樹齢は2000年代~7200年とされ、大王杉は樹高24.7 m、胸高周囲11.1 m、推定樹齢3000年といわれるように、杉は、樹木の中でもっとも長命とされます。

樹皮は外壁や屋根に利用され、葉は乾燥して線香に用いられます。語源は、真直ぐの木「直木」から来ていると言われる(大和本草)ほか、本居宣長は古事記伝神代七之巻で、傍らにはびこらず上へ進み上る木として「進木(ススギ)」によるとしているとか。

「房」のようにしてうっそうと生い茂る、褐色がかった緑の杉林が、「まばゆい白い空」に被さるように見えたのでしょうか。

「すがる」とは、ふつう「蜾蠃(すがる)」ジガバチのことをさしますが、南部方言では蜂、土蜂のことを主にいうようです。

蜂は、腰部が細いのが特色であることから昔からスガルと呼ばれ、腰の細い容姿のよい女性を形容することばでもあったとか。それが東北地方の方言として残ったのでしょう。

「Cork-screw」は、コークスクリュー。コークはコルクの栓、スクリューはくるくる回す意で、栓抜きのこと。ここではそれが「汽笛」の比喩に用いられています。