2005年08月01日
魚がし日本一〜【立ち食い】
筆者が子供のころ、「握り寿司」といえばご馳走であった。何かのお祝いか、お客様が来たときに食べるものとの印象がある。その後、回転寿司の登場でだいぶん手軽に食べられるようにはなった。
それで寿司の地位が下がったかというと、そうともいえない。従来の「まわらない」寿司店もつぶれずに経営できているからである(数は多少減ったかもしれないが)。むしろ、「高い寿司」と「安い寿司」とに二極分化しながら共存していると見るべきだろう。
筆者は回転寿司でもずいぶんおいしい店を知っているし、それはそれで満足している。だが、そこでは「寿司」という食べ物の持つ「ハレ」の感覚と言おうか、そのイベント性はさすがに薄れてしまう。ただのわがままな話ではあるが、たまにはあの特別な感覚を味わいたいとも思うのである。できれば、筆者の懐具合が許す範囲で。
そんな筆者の身勝手をかなえてくれるのが、この魚がし日本一。前段で「高い寿司」と「安い寿司」と乱暴に論じたが、その中間に位置すると思われる「寿司」である。ここはなんと立ち食いの寿司屋なのだ。筆者が寡聞にして知らないだけかもしれないが、立ち食いといえば蕎麦屋しか浮かばない。まして、「寿司」と「立ち食い」が結びつこうとは。しかも値段はほとんどのネタが一カン75円と安い(月曜なら一カン70円)。もう入るしかないのである。
立ち食いであるから、店内はカウンターのみ。10人も客が入れば手狭に感じることだろう。それでは早速注文。先ほど一カン75円といったが、この店では「一種類につき二カン・一度の注文で二種類」という決まりごとがあるため、四カン注文することになる。この店の様子見にアジとイワシをたのむ。鮮度が命のネタであるから少々心配したのだが、なかなかおいしい。立ち食いとはいえ、目の前で握ってもらった寿司はやはり違う。仕事を終えた自分へのご褒美という気持ちになるのである。追加でやりいかとサーモン。これもなかなか。
ここまでで小腹を満たすには十分すぎる量である。しめて600円(行ったのは木曜だったため。月曜であれば560円)。正直、すばらしくおいしいというほどの味ではない。しかし、筆者はなんとはなしに贅沢をした気分で店を出た。おそらく、また来たいと思うだろう。筆者は満足したのである。
【立ち食い】五.椅子がなく、立ったまま飲み食いする様子。またそういう形式の店。一般に行儀が悪いと言われるが、首都圏は地代が高いため、やむをえない…ような気もする。[類]立ち呑み、立ち読み、立ち話、立ち合い、立ち泳ぎ、立ち往生〜新明解的神保町辞典より