大阪の橋下市長の話。
非常にどちらの意見もわかるので複雑なところだ。
■橋下氏、「変質」維新に不満 新党10月結成 全国で候補擁立、野党再編加速も
年内をめどに新党を結成するという。現在の維新の党の十数人の議員は、当然橋下氏についていくことだろう。これによって身が軽くなった維新の残留組は、また同じく、年内をめどに民主党との合流を図るはず。
これからの一つの焦点は民主党の内部の話か。私はこのままいくんじゃないか…とも思っているが、あくまで可能性として、細野氏、馬淵氏、長島氏、といった民主党の中でも若手のメンバーが、「民主党を割って出る可能性」がまだ残っている。
もしそうなった場合、維新の残留組と民主の若手たちとで「新党」を作る動きになる可能性がある。来年の参院選をにらめば、個人的にはその方向性のほうがいいのではないか、とみるが、そもそも「新党を作る」という作業も、それ以上に「新党の支部を全国に作り、新たに選挙を戦える体制を整える」ことも大変な作業なので、まだどうなるかわからない。ただ、細野氏が代表となる新党を作れば、かなりの数の議員がついていくことが予想され、うまく調整さえできれば、その「新党」こそが最大野党となる可能性も視野に入る。現在の「一強独裁的に見えてしまう」安倍自民にとっても、そちらのほうがいいのだろうが…。
ってな話は置いといて、話を橋下氏の動きに戻す。
この一連の橋下氏の行動に対して、法政大の水島教授がこんな記事を投稿していた。
■橋下徹市長の新党構想で「政界引退を明言したのに?」というモヤモヤ
だよね、という感じ。
普通の人は、ニュースをサラッと見ている。私はそういった民意のことを「ふわっとした民意」と言っているのだが、この「ふわっとした」ものの見方は今の日本では全く侮れない。なんとなくの印象ってやつだ。
え?もう政界から引退するんじゃないの?
なんで新党とか言ってんの?
まだ政界に未練があるっての?
もう何も信じられない~!
といったところか。いや、今の日本のかなり多くの人が水島教授と同じように感じているだろう。しょうがない。ちょっと、橋下氏、動きが速すぎるのだ。
5・17の住民投票は世紀のサギ投票だった
この動きを解説するためには、例の5月17日のことをしっかりと思い出さなければいけないのだ。
何度もこのブログでも書いたことだが、あの5月17日の住民投票は、大阪市民たちは、
本当にびっくりするくらい真剣に勉強していた
のだ。みんなで住民説明会に足を運び、季節外れの大雨が降っていても、橋下氏や自民の柳本氏が説明する声を聴きに、みんなで努力していたのだ。政治に興味のない、全国の皆様にとっては、その温度感は本当にわからないだろう。大阪市民は、本当に5・17を大切にしていたのだ。
しかし、だ。
例の否決を受けて、維新としては、自民党が対案としてしてきた「大阪会議(正式名称:大阪戦略調整会議)」の出席を受諾し、その第1回が7月に行われたのだが…もう、これがボロボロだったわけだ。
改めて確認する。
現在の大阪市は、破壊的にボロボロなのである。治安は全国最低。教育水準は全国最低。経済は夕張に向かってレッツゴー。もはや
とにかく、何かしなきゃ相当にヤバい!
ことは、大阪市民たちもわかっていた。なのであんなにも真剣に取り組んだのだが…維新が主張していたのが「大阪都構想」なわけで、でも、それには欠点があった。
大阪都をスタートするのに640億円もかかるのだ。
これは正直言って結構不評だった。私も何度も街に出て街頭インタビューをしたのだが、その金額はやはり多くの方のネックになっていた。そこを自民党側としては
「そんなにお金をかけなくても、大阪会議で、話し合いで解決できる!」
と主張していたのだ。これは確かに多くの市民の理解を得た。事実、町でインタビューしていても、賛成派の中で最も大きかった声が「そんな大きなお金をかけんでも、話し合えばええんちゃう?」というものだった。
例の住民投票の結果が0.8%差でしかないことを考えると、大阪市民は
「『大阪会議』で解決できると信じたから」
大阪都構想を否決したと言っても過言ではない部分があるだろう。お金が640億円もかかるから。
で、その大阪会議。前述したようにもはやボロボロ。と、いうかシステムが全然出来上がっていない。できるわけがない規約。なぜだか分からない「年に4回しか開かれない」という意味不明なルールなど、なにがなんだか、わからない惨状となており、カッコ悪いことがバレてしまうからだろうか、言い出しっぺの自民党が欠席して流会になるという、あまりにしょっぱすぎる展開となったのだ。
政治とは、だまし合いの世界でもある。あの住民投票は大阪自民党の戦略の勝利だったといえば話は早い。しかし、同時に、維新側から見れば、
「あの5月17日は、大阪自民が住民をだましただけのサギ投票だ!」と言いたくなる気持ちも、理解できる範囲だ。事実、大阪会議は機能せずに、今更になって「機能するように多数決の取り方を変えましょう」とか言い始めている。どんな対案だよ。こんな状態では、大阪を改善できるとは、誰も思えないのは当然だろう。
「あえて今、大阪都構想再挑戦についてどう思う?」と問うてみた
例の大阪会議の体たらくを見て、大阪の市民たちも意識を変えているようだ。
先週金曜日のテレビ大阪の「ニュースリアル」で私も報じたところだが、大阪会議は失敗した。それは事実としてある。しかも、提案者の大阪自民党が欠席だ。
そこで街に出て、リアルに調査を行った。
場所は京橋駅近く。時間は先週金曜日の午前10時からおよそ3時間だ。ランダムに選んだ住民たちに
「あえて、もう一度大阪都構想に再挑戦することに賛成か・反対か?」
というシンプルな調査だった。それ以外の質問や誘導は一切行っていないことを約束する。結果は
賛成:70人
反対:30人
という結果だった。やらせなどはやっていない。ちなみに、京橋近くの取材を行った場所は中央区に当たる。中央区は5・17では49%対51%で、わずか賛成が2%しか上回っていなかった地域である。どうやら、大阪会議の欠席という大阪自民党の行動は、やはりあまり受け入れられていないのかもしれない。
橋下氏や松井氏は、この民意をおそらく感じているのだろう。なので、11月22日に「大阪都構想に再挑戦!」と公約で掲げるという。全国的にも「大阪に集中して、大阪の意識を発信できる地域政党を作る!」というのも、そこまで勉強した後であれば理解はできる範囲だ。
しかし同時に、全国ニュースでそこまで丁寧に大阪の事情は伝えられないし、そんなものやっても視聴率は取れない。大半の方々は水島教授と同じように
橋下氏、何がやりたいんだか、全然わからん!
とっとと辞めろよ!
となるだろう。それもまた当然のことと言える。
何気に気づいたら、もう8月が終わろうとしている。11月22日の大阪知事・市長W選挙まで、3か月もなくなってしまった。選挙は何が起こるか、開票までは全く分からない。私もキャスターとして、丁寧に、真剣に、大阪の行く末を見守っていきたいと思う。
非常にどちらの意見もわかるので複雑なところだ。
■橋下氏、「変質」維新に不満 新党10月結成 全国で候補擁立、野党再編加速も
年内をめどに新党を結成するという。現在の維新の党の十数人の議員は、当然橋下氏についていくことだろう。これによって身が軽くなった維新の残留組は、また同じく、年内をめどに民主党との合流を図るはず。
これからの一つの焦点は民主党の内部の話か。私はこのままいくんじゃないか…とも思っているが、あくまで可能性として、細野氏、馬淵氏、長島氏、といった民主党の中でも若手のメンバーが、「民主党を割って出る可能性」がまだ残っている。
もしそうなった場合、維新の残留組と民主の若手たちとで「新党」を作る動きになる可能性がある。来年の参院選をにらめば、個人的にはその方向性のほうがいいのではないか、とみるが、そもそも「新党を作る」という作業も、それ以上に「新党の支部を全国に作り、新たに選挙を戦える体制を整える」ことも大変な作業なので、まだどうなるかわからない。ただ、細野氏が代表となる新党を作れば、かなりの数の議員がついていくことが予想され、うまく調整さえできれば、その「新党」こそが最大野党となる可能性も視野に入る。現在の「一強独裁的に見えてしまう」安倍自民にとっても、そちらのほうがいいのだろうが…。
ってな話は置いといて、話を橋下氏の動きに戻す。
この一連の橋下氏の行動に対して、法政大の水島教授がこんな記事を投稿していた。
■橋下徹市長の新党構想で「政界引退を明言したのに?」というモヤモヤ
だよね、という感じ。
普通の人は、ニュースをサラッと見ている。私はそういった民意のことを「ふわっとした民意」と言っているのだが、この「ふわっとした」ものの見方は今の日本では全く侮れない。なんとなくの印象ってやつだ。
え?もう政界から引退するんじゃないの?
なんで新党とか言ってんの?
まだ政界に未練があるっての?
もう何も信じられない~!
といったところか。いや、今の日本のかなり多くの人が水島教授と同じように感じているだろう。しょうがない。ちょっと、橋下氏、動きが速すぎるのだ。
5・17の住民投票は世紀のサギ投票だった
この動きを解説するためには、例の5月17日のことをしっかりと思い出さなければいけないのだ。
何度もこのブログでも書いたことだが、あの5月17日の住民投票は、大阪市民たちは、
本当にびっくりするくらい真剣に勉強していた
のだ。みんなで住民説明会に足を運び、季節外れの大雨が降っていても、橋下氏や自民の柳本氏が説明する声を聴きに、みんなで努力していたのだ。政治に興味のない、全国の皆様にとっては、その温度感は本当にわからないだろう。大阪市民は、本当に5・17を大切にしていたのだ。
しかし、だ。
例の否決を受けて、維新としては、自民党が対案としてしてきた「大阪会議(正式名称:大阪戦略調整会議)」の出席を受諾し、その第1回が7月に行われたのだが…もう、これがボロボロだったわけだ。
改めて確認する。
現在の大阪市は、破壊的にボロボロなのである。治安は全国最低。教育水準は全国最低。経済は夕張に向かってレッツゴー。もはや
とにかく、何かしなきゃ相当にヤバい!
ことは、大阪市民たちもわかっていた。なのであんなにも真剣に取り組んだのだが…維新が主張していたのが「大阪都構想」なわけで、でも、それには欠点があった。
大阪都をスタートするのに640億円もかかるのだ。
これは正直言って結構不評だった。私も何度も街に出て街頭インタビューをしたのだが、その金額はやはり多くの方のネックになっていた。そこを自民党側としては
「そんなにお金をかけなくても、大阪会議で、話し合いで解決できる!」
と主張していたのだ。これは確かに多くの市民の理解を得た。事実、町でインタビューしていても、賛成派の中で最も大きかった声が「そんな大きなお金をかけんでも、話し合えばええんちゃう?」というものだった。
例の住民投票の結果が0.8%差でしかないことを考えると、大阪市民は
「『大阪会議』で解決できると信じたから」
大阪都構想を否決したと言っても過言ではない部分があるだろう。お金が640億円もかかるから。
で、その大阪会議。前述したようにもはやボロボロ。と、いうかシステムが全然出来上がっていない。できるわけがない規約。なぜだか分からない「年に4回しか開かれない」という意味不明なルールなど、なにがなんだか、わからない惨状となており、カッコ悪いことがバレてしまうからだろうか、言い出しっぺの自民党が欠席して流会になるという、あまりにしょっぱすぎる展開となったのだ。
政治とは、だまし合いの世界でもある。あの住民投票は大阪自民党の戦略の勝利だったといえば話は早い。しかし、同時に、維新側から見れば、
「あの5月17日は、大阪自民が住民をだましただけのサギ投票だ!」と言いたくなる気持ちも、理解できる範囲だ。事実、大阪会議は機能せずに、今更になって「機能するように多数決の取り方を変えましょう」とか言い始めている。どんな対案だよ。こんな状態では、大阪を改善できるとは、誰も思えないのは当然だろう。
「あえて今、大阪都構想再挑戦についてどう思う?」と問うてみた
例の大阪会議の体たらくを見て、大阪の市民たちも意識を変えているようだ。
先週金曜日のテレビ大阪の「ニュースリアル」で私も報じたところだが、大阪会議は失敗した。それは事実としてある。しかも、提案者の大阪自民党が欠席だ。
そこで街に出て、リアルに調査を行った。
場所は京橋駅近く。時間は先週金曜日の午前10時からおよそ3時間だ。ランダムに選んだ住民たちに
「あえて、もう一度大阪都構想に再挑戦することに賛成か・反対か?」
というシンプルな調査だった。それ以外の質問や誘導は一切行っていないことを約束する。結果は
賛成:70人
反対:30人
という結果だった。やらせなどはやっていない。ちなみに、京橋近くの取材を行った場所は中央区に当たる。中央区は5・17では49%対51%で、わずか賛成が2%しか上回っていなかった地域である。どうやら、大阪会議の欠席という大阪自民党の行動は、やはりあまり受け入れられていないのかもしれない。
橋下氏や松井氏は、この民意をおそらく感じているのだろう。なので、11月22日に「大阪都構想に再挑戦!」と公約で掲げるという。全国的にも「大阪に集中して、大阪の意識を発信できる地域政党を作る!」というのも、そこまで勉強した後であれば理解はできる範囲だ。
しかし同時に、全国ニュースでそこまで丁寧に大阪の事情は伝えられないし、そんなものやっても視聴率は取れない。大半の方々は水島教授と同じように
橋下氏、何がやりたいんだか、全然わからん!
とっとと辞めろよ!
となるだろう。それもまた当然のことと言える。
何気に気づいたら、もう8月が終わろうとしている。11月22日の大阪知事・市長W選挙まで、3か月もなくなってしまった。選挙は何が起こるか、開票までは全く分からない。私もキャスターとして、丁寧に、真剣に、大阪の行く末を見守っていきたいと思う。