大阪W選挙の結果を受けて、一番辟易としたメディア報道が
「橋下氏は政界に戻ってくるのか?」
というものだ。ナンセンスもいいところの質問である。もっとちゃんと取材していなければいけない。
一部マスコミでは、「橋下氏が引退宣言」と銘打って記事を発信しているが、橋下氏のことを何にもわかっていない。私はかねてより、「橋下氏はみんなが思っているよりもずっと先を見越して動いている」と言ってきていたが、先にはっきりとお断りをしておく。
橋下徹氏は「引退宣言はしていない」。
マスメディアが勝手に先走って見出しを打ちまくっていたにすぎない。
5月17日の住民投票のおよそ2週間ほど前だったろうか。
私がキャスターを務める番組に橋下徹が生出演してくれた。事前に打ち合わせに行ったときに少し話したが…今、この結果になったので言えることだが、橋下氏ははっきりとこう言っていた。
「住民投票、わずかですが負けると思います。やっぱり組織票は強いです」
そう。あの住民投票、橋下氏は2週間前の段階で負けることを実は見越していたのだ。しかし、ここで負けないのが橋下徹という男だ。その段階で、今の大阪の置かれている状況はほぼ計算されていたのだと見る。ちょっと専門的な話になるが、解説する。
皆さんは「立論(りつろん)」の訓練を受けたことがあるだろうか?ちょっと解説する。
何かの意見を構築する、としよう。そのために…
・私はこうしたいんだよねー
・だってきっとこうじゃん!
・きっとみんなもそう思ってるじゃん!
なんて話し方をしていたら、誰もついてこないし誰も話を聞いてくれない。そこでまずは…「感情論抜きで語れる事実」を見つけることが大事なのだ。
上記したものだと、
「お前の感情なんて誰も聞いてねーよ」
と言われたらそこで話がおしまいになる。皆さんはまず揺るがない「事実」を見つけよう。すると、その事実をもとに「考察」をすることができる。その「考察」をもとに「結論」を導き出せるのだ。
分かりにくいって?結構わかりやすく書いてるつもりだが…(汗)。
ええと…つまりだ…。
嫁さんに、冬用のセーターを買ってもらいたい、としよう。
「おーい、嫁さん!セーター買ってくれ!」
だと、絶対に買ってもらえないって話だ。いや、買ってくれることもあるかもしれないが、我が家では買ってもらえない。よほど、機嫌がよくないと買ってもらえない。そこで、だ。論を立てるのだ。「立論」するのだ。
事実1の提示=「実は私は冬用のセーターを2着しかもっていない」
事実2の提示=「私の友人や同僚10人にアンケートを取ったところ、平均で4着持っている」
上記2つの事実から導き出せる考察=「私にはセーターがもう1着は必要ではないか?」
結論=「私はセーターをもう1着持つ権利があると考えられる。なので購入したい」
みたいなイメージ。
何?逆に面倒くさい?いやそれは分かるけれど、弁護士さんとか検察はみんなこうやってるんだってば。要は、感情論はやめてねって話だと思ってほしい。
で、だ。
話が飛んだが、5月17日、夜の投開票の結果を受けて行われた橋下徹氏の会見の内容を思い出してほしいのだ。実は、ここで橋下徹氏は「立論」を行っているのが分かるはずだ。
提示された事実は二つだ。
事実1=政治家・橋下徹の1丁目1番地は「大阪都構想」である。
事実2=本日の住民投票でその「大阪都構想」は否決されるに至った。
そこから導き出せる考察として橋下氏はこう述べた。
「1丁目1番地が否決されたんです。要は、才能がなかったということでしょう」
よくあの中継を見直してほしい。はっきりとそう言っている。
「私は才能がないのでーす。だから辞めます」
と一言でも言っているだろうか?言っていないのだ。橋下氏が言ったのは
「否決された以上はそう結論付けるのが相当」
と言ったに過ぎない。よく、あの日の会見を見直してほしい。そして、それらの「考察」をもとに
「才能がない人間は政治家を辞めるべきでしょう」
という「結論」を導き出したのである。
翌日以降、メディアというメディアは、この「立論」の基本を全部すっ飛ばして「大阪都構想が否決された!」「橋下氏、政治家引退を宣言!!」と見出しを打ち続けた。要は結論部分を導き出した途中がすっ飛ばされているのだ。
もう分ったろう。
橋下氏は、賭けに出たのだ。
自身の政治家引退をメディアに早とちりさせて大きく報道させることによって注目を集め、この11月22日に全てをかける戦略に出たのだ。
大阪の政治に特化するためにも、寄り合いだった「維新の党」を分裂させて「おおさか維新の会」という大阪のためだけの純粋な組織も作って説得力も出した。そして、街頭で言い続けた。
「前に進めるのか!それとも後退させるのか!」と。
もちろん、他にもいろいろと言ってはいるのだが、あの日の会見は入り口に全部「都構想が否決された」という事実をもとに話している。
つまり…ちょっと言い方はアレだが、今回の結果を受けて、橋下氏の「立論」は「論破」されたのだ。大阪市民と府民によって。だってそうだろう。11月22日、松井・吉村両候補ははっきりと言い続けたではないか?
「大阪都構想をもう一度やらせてほしい!」
と。そして、明確すぎるほどの票差をつけて、民意は示された。
大前提となる「大阪都構想が否定された」という事実認定が覆ったのだから。結論から言うと、橋下氏は…政治家を引退できなくなったのだ。だって引退する説明がつかなくなったのだから。と、言うよりも、あの日の会見は「都構想が否定された」ことを受けて開かれた会見なので、極論を言えば、そもそもあの日の会見内容自体が、ほぼ意味をなさなくなったと言えるのだ。
まぁ…これは私の個人的な印象でしかないが…橋下氏はそこまで計算していたように見える。この半年間…要所、要所で、彼は言っているのだ。「僕は何があってもマニフェストは実行する」と。あれは気付いている人のために言っていたのではないか?
さて、ここまで言っといてなんだが、橋下氏は、いったん休憩だ。前回のブログにも書いたが、ちょっと消耗しすぎている。体力も気力も削っているが、はたから見ていて思うのは、橋下氏はこの8年、まるで『命を削ってきている』ように見えた。何にも考えない時間を持った方がいい。周囲はほっとかないだろうが…。
橋下徹という男を見ていて感じるのは、誤解されやすい、ということだ。
まるで、ケンカばっかりしているように報じられることもあるが、そもそも、橋下氏は「納得できることを探しているだけ」のようにしか見えない。納得できることがあれば、実はあっさりと前言を撤回することも今までしている。
今回の彼の立論を崩したのは、ほかでもない大阪府民と市民だ。その恩をソデにする男ではないと見る。
またいつの日か、政治家・橋下徹は復活する。が、多くの人が予想するようにその舞台は大阪ではないだろう。大阪の府民も市民も、ちゃんと彼を送り出してあげるべきだ。12月18日、橋下徹という政治家は大阪から引退する。おそらく、次のステージは、中央・永田町となるだろう。
ちなみに、私はそのころには、柳本顕氏も中央にいるのではないかと予想している。彼も大阪に縛り付けておくなどもったいない人物だ。また、あの二人が永田町を舞台にケンカするところをいつの日か見られるかもしれないと思うと少し楽しみになる。
「橋下さん、あなたそんなこと言いますけどね!」
「ふにゃふにゃ言って!ふにゃぎもとさんですよ!」
目に浮かぶようだ(笑)。
「橋下氏は政界に戻ってくるのか?」
というものだ。ナンセンスもいいところの質問である。もっとちゃんと取材していなければいけない。
一部マスコミでは、「橋下氏が引退宣言」と銘打って記事を発信しているが、橋下氏のことを何にもわかっていない。私はかねてより、「橋下氏はみんなが思っているよりもずっと先を見越して動いている」と言ってきていたが、先にはっきりとお断りをしておく。
橋下徹氏は「引退宣言はしていない」。
マスメディアが勝手に先走って見出しを打ちまくっていたにすぎない。
5月17日の住民投票のおよそ2週間ほど前だったろうか。
私がキャスターを務める番組に橋下徹が生出演してくれた。事前に打ち合わせに行ったときに少し話したが…今、この結果になったので言えることだが、橋下氏ははっきりとこう言っていた。
「住民投票、わずかですが負けると思います。やっぱり組織票は強いです」
そう。あの住民投票、橋下氏は2週間前の段階で負けることを実は見越していたのだ。しかし、ここで負けないのが橋下徹という男だ。その段階で、今の大阪の置かれている状況はほぼ計算されていたのだと見る。ちょっと専門的な話になるが、解説する。
皆さんは「立論(りつろん)」の訓練を受けたことがあるだろうか?ちょっと解説する。
何かの意見を構築する、としよう。そのために…
・私はこうしたいんだよねー
・だってきっとこうじゃん!
・きっとみんなもそう思ってるじゃん!
なんて話し方をしていたら、誰もついてこないし誰も話を聞いてくれない。そこでまずは…「感情論抜きで語れる事実」を見つけることが大事なのだ。
上記したものだと、
「お前の感情なんて誰も聞いてねーよ」
と言われたらそこで話がおしまいになる。皆さんはまず揺るがない「事実」を見つけよう。すると、その事実をもとに「考察」をすることができる。その「考察」をもとに「結論」を導き出せるのだ。
分かりにくいって?結構わかりやすく書いてるつもりだが…(汗)。
ええと…つまりだ…。
嫁さんに、冬用のセーターを買ってもらいたい、としよう。
「おーい、嫁さん!セーター買ってくれ!」
だと、絶対に買ってもらえないって話だ。いや、買ってくれることもあるかもしれないが、我が家では買ってもらえない。よほど、機嫌がよくないと買ってもらえない。そこで、だ。論を立てるのだ。「立論」するのだ。
事実1の提示=「実は私は冬用のセーターを2着しかもっていない」
事実2の提示=「私の友人や同僚10人にアンケートを取ったところ、平均で4着持っている」
上記2つの事実から導き出せる考察=「私にはセーターがもう1着は必要ではないか?」
結論=「私はセーターをもう1着持つ権利があると考えられる。なので購入したい」
みたいなイメージ。
何?逆に面倒くさい?いやそれは分かるけれど、弁護士さんとか検察はみんなこうやってるんだってば。要は、感情論はやめてねって話だと思ってほしい。
で、だ。
話が飛んだが、5月17日、夜の投開票の結果を受けて行われた橋下徹氏の会見の内容を思い出してほしいのだ。実は、ここで橋下徹氏は「立論」を行っているのが分かるはずだ。
提示された事実は二つだ。
事実1=政治家・橋下徹の1丁目1番地は「大阪都構想」である。
事実2=本日の住民投票でその「大阪都構想」は否決されるに至った。
そこから導き出せる考察として橋下氏はこう述べた。
「1丁目1番地が否決されたんです。要は、才能がなかったということでしょう」
よくあの中継を見直してほしい。はっきりとそう言っている。
「私は才能がないのでーす。だから辞めます」
と一言でも言っているだろうか?言っていないのだ。橋下氏が言ったのは
「否決された以上はそう結論付けるのが相当」
と言ったに過ぎない。よく、あの日の会見を見直してほしい。そして、それらの「考察」をもとに
「才能がない人間は政治家を辞めるべきでしょう」
という「結論」を導き出したのである。
翌日以降、メディアというメディアは、この「立論」の基本を全部すっ飛ばして「大阪都構想が否決された!」「橋下氏、政治家引退を宣言!!」と見出しを打ち続けた。要は結論部分を導き出した途中がすっ飛ばされているのだ。
もう分ったろう。
橋下氏は、賭けに出たのだ。
自身の政治家引退をメディアに早とちりさせて大きく報道させることによって注目を集め、この11月22日に全てをかける戦略に出たのだ。
大阪の政治に特化するためにも、寄り合いだった「維新の党」を分裂させて「おおさか維新の会」という大阪のためだけの純粋な組織も作って説得力も出した。そして、街頭で言い続けた。
「前に進めるのか!それとも後退させるのか!」と。
もちろん、他にもいろいろと言ってはいるのだが、あの日の会見は入り口に全部「都構想が否決された」という事実をもとに話している。
つまり…ちょっと言い方はアレだが、今回の結果を受けて、橋下氏の「立論」は「論破」されたのだ。大阪市民と府民によって。だってそうだろう。11月22日、松井・吉村両候補ははっきりと言い続けたではないか?
「大阪都構想をもう一度やらせてほしい!」
と。そして、明確すぎるほどの票差をつけて、民意は示された。
大前提となる「大阪都構想が否定された」という事実認定が覆ったのだから。結論から言うと、橋下氏は…政治家を引退できなくなったのだ。だって引退する説明がつかなくなったのだから。と、言うよりも、あの日の会見は「都構想が否定された」ことを受けて開かれた会見なので、極論を言えば、そもそもあの日の会見内容自体が、ほぼ意味をなさなくなったと言えるのだ。
まぁ…これは私の個人的な印象でしかないが…橋下氏はそこまで計算していたように見える。この半年間…要所、要所で、彼は言っているのだ。「僕は何があってもマニフェストは実行する」と。あれは気付いている人のために言っていたのではないか?
さて、ここまで言っといてなんだが、橋下氏は、いったん休憩だ。前回のブログにも書いたが、ちょっと消耗しすぎている。体力も気力も削っているが、はたから見ていて思うのは、橋下氏はこの8年、まるで『命を削ってきている』ように見えた。何にも考えない時間を持った方がいい。周囲はほっとかないだろうが…。
橋下徹という男を見ていて感じるのは、誤解されやすい、ということだ。
まるで、ケンカばっかりしているように報じられることもあるが、そもそも、橋下氏は「納得できることを探しているだけ」のようにしか見えない。納得できることがあれば、実はあっさりと前言を撤回することも今までしている。
今回の彼の立論を崩したのは、ほかでもない大阪府民と市民だ。その恩をソデにする男ではないと見る。
またいつの日か、政治家・橋下徹は復活する。が、多くの人が予想するようにその舞台は大阪ではないだろう。大阪の府民も市民も、ちゃんと彼を送り出してあげるべきだ。12月18日、橋下徹という政治家は大阪から引退する。おそらく、次のステージは、中央・永田町となるだろう。
ちなみに、私はそのころには、柳本顕氏も中央にいるのではないかと予想している。彼も大阪に縛り付けておくなどもったいない人物だ。また、あの二人が永田町を舞台にケンカするところをいつの日か見られるかもしれないと思うと少し楽しみになる。
「橋下さん、あなたそんなこと言いますけどね!」
「ふにゃふにゃ言って!ふにゃぎもとさんですよ!」
目に浮かぶようだ(笑)。