今回の選挙は明日公示ですね。

僕のもとに入ってきている情報も、すでに多く報じられているものと同じです。
残念ながら、投票率はかなり低そうです。現状では、最低レベルまで下がりそうだ、という話もあるようです。
もう一つは、与党がかなりの数で勝ちそうだ、というもの。僕が予想していたよりもその数は多そうです。僕は個人的に「与党が勝つ」と表現するよりも「野党が負ける」と表現した方がいいような気がしますが、とにかく、2年前と変わらないレベルのかなり極端な数字になるのではないか、という声を聞きました。
もちろん、まだ公示前。所詮、選挙なのでこの後どう動くかはわかりませんが。

さて、先日より報じられているうちの一つが「安倍政権が報道機関に対して圧力をかけたのではないか」という話。

なんでも、テレビ各社に対して、「公平に報道するように」と要請した、というものなのですが…ちょっと、報じられ方、というか、この話に対する世間の声のトーンに疑問を感じます。
まず、状況を整理します。安倍政権が11月20日に報道各社に送った内容は大まかに以下のようです。

1.出演者の発言回数や時間を公平にする
2.ゲスト出演者の選定についても中立公平を期すこと
3.テーマについても特定の出演者への意見が集中しないよう公正を期すこと
4.街角インタビューなどの映像で偏った意見にならないよう公正を期すこと

率直な感想を言うと、確かに安倍政権側としては、このタイミングであんまりこういう「文書」を送らなかった方がよかったと思います。と、いうのも、こういったネガティブキャンペーンに利用されるからです。各局の担当者を呼び、あくまで「口頭で」通達することが本来であれば望ましかったと思います。
しかし、それ以前にはっきり言わなければいけないことは…多くの人も感じているでしょうが…これ…

当たり前のことしか書いてない

ってことです。そうです。こんなもん、「圧力」でも何でもないです。以下に「公共の電波を担うテレビ局」ならば最低限守らなければいけない(と、いうか守らないと違法)放送法の一番有名な条文である第4条を記しますので見てみましょう。



第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一  公安及び善良な風俗を害しないこと。
二  政治的に公平であること。
三  報道は事実をまげないですること。
四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。




…まぁ、この放送法自体が、守らなかったところで罰則も何もないザル法なので、そもそもそこが間違ってるんですけど、とにかく、放送法には上記のように、ちゃんと決められています。
好き勝手に自分の意見を言いたいのであれば「個人発信でやりなさいよ」、と。要はブロゴスでやりなさいよ、ということですね。ブロゴス、万歳。
一方的な偏向報道なら、みんなで税金出し合って作ったスカイツリーの電波使ってんじゃないですよ、と。逆に、スカイツリー使うってんなら、そこは、政治問題などは「公平にやりなさいよ」って言ってるんですね。

これはわかる話です。なんでメディアの一部の人間が、好き放題に一方的な放送をしていいんだっつー話です。
この「放送法4条」ってのは僕らテレビ局に勤める人間が入社して最初に学ぶものであり、常識中の常識です。ほかの条文は知らない人も、テレビ局に勤めてる以上は4条を知らない人、絶対いないです。それくらい大事な条文です。

で、安倍政権が各局に出した要望書なんですが…

ね?当たり前でしょ?普通でしょ?

今回の問題ってのは、強いて言えば、選挙直前のこのタイミングで出すと、なんだか圧力かけてる、みたいに今回みたいな悪意に満ちた歪曲報道がなされるので、どうせなら、普段から言っとけばよかったって話くらいで、むしろこの問題の本質とは…

こんな当たり前のこと言ってるだけなのに、「言論への弾圧だ!」とかいう風潮が出ること

なんです。選挙前に「放送法、守ってよー」って言っただけでしょ?んなもん、なんで批判するのか分からないんです。これによって、テレビ朝日さんの「朝生」で、ある出演者が出演取りやめになった~!、とか言ってるんですけど、テレビ局側が「公平性を保てない」ってなったんでしょ?選挙前に公平性を保てないなら、出演を辞めてもらうのって当たり前なんですけど。

僕、何か変なこと言ってますかね?

僕は放送法4条の中でも、特に4項が大事だと思っていて、放送ってやっぱり「国民の知る権利」のためにあると思っているんですよね。で、あれば、いろんな論点があるものの場合はとにかく、色んな視点を提示することがとっても大事だと思います。
強いて言えば、10日ほど前に安倍さんがTBSさんの「ニュース23」に出演した際に、街頭インタビュー映像を見て、批判的な意見が多かったことを受けて、

「これは恣意的な編集です!」

って言ってましたけど、これは安倍さんが間違ってます。間違ってるのは2点あって、まず、一国の総理が、テレビの映像ごときには、もっと落ち着いて対応した方がいいこと。かっこ悪く見られます。もともと、こんな選挙、どうせ与党が勝つんだから、もっと堂々として、笑顔でも浮かべながら
「これはちょっと…一方的じゃないですか?TBSさん?(笑)」
とでも笑ってた方が良かったはずです。一国の総理たるもの、それくらいの方がいい。
で、もう1点としては根本的なことですが、このスタジオに「自民党総裁」の「安倍総理」が出演してるわけですよね?じゃあ、編集は当然、「批判的に作るのが正解」です。
だって、安倍さん、出てるんでしょ?反論があるならすればいいじゃん?そのために出演してんだから。ヨイショしてほしいなら、出ない方がいいです。僕もテレビやってたのでわかりますが、与党が反論できる立場にあるのだから、テレビの公平性を保つためにも、そう思っていようがいなかろうが、反対意見、厳しい意見をぶつけます。4条の4項に照らし合わせて、「いろんな意見があること」を見せるためです。

なので、あのニュース23」に関してはTBSさんのニュースの作りであっています。もし安倍さんがうまく反論できなかったのなら、それは安倍さんが下手なだけです。そこまでフォローする義務はテレビにはありません。国民に対してうまく説明する能力も、政治家の大切な能力の一つです。




今回の選挙、とにかく、国民の関心は低いので、こういう変な話題ばっかりが取り上げられるんですが、こんな、本来守られてて当たり前の放送法4条に関する話がいまどき出てる段階で、ホントにカッコ悪いのだと思います。
そんな、今回の選挙、僕はあるテレビ局の選挙特番のキャスターとして携わることになりました。
2週間後、テレビの前でお会いしましょう。