最近の「組体操」における、エキセントリックで一方的なものの見方しか出来ていない報じ方や一部のコメンテーターに辟易としています。

大阪の八尾市で起きた10段の組体操時における「人間ピラミッド」の事故は、確かに大変痛ましく、原因も究明されるべきものです。そもそも、練習時に一度たりとも成功をしておらず、現場の先生方の暴走が見て取れます。普通に考えて成功を「一度もしていない」以上、「成功しないメカニズム」がそこには存在するわけで、そのまま本番で突き進んだのは、合点がいきません。現場の先生方は、反省すべき部分が多いはずです。

しかし、この映像を見て、エキセントリックに「もう組体操をやめるべきである!」等の少々行き過ぎた報道やコメントが相次いでいることには、苦言を呈したいと思います。もう少し、感情的にならずに実態を正確に把握されたほうがいい気がします。最近のこの流れは、何年か前の

こんにゃくゼリー騒動

を思い出さずにはいられません。

もう7・8年前のことですが、マンナンライフのこんにゃくゼリーをのどに詰まらせて死亡するという、いわゆる「気道異物事故」が繰り返し報道され、政府は「消費者庁」を設置。マンナンライフは一時製造を中止に追い込まれ、製品に注意書きを書くことを義務付けられました。
こんにゃくゼリーのイメージは急降下し、販売数も一時は激減したといいますが、そもそも気道遺物事故はモチが圧倒的に多く、パン屋ご飯でも全国で相次いでおり、なぜこんにゃくゼリーだけが叩かれるのか、理論的にはあまりに不自然なことが多かったことがありました。
その後、マンナンライフのライバル会社から献金を受けている政治家が、そのこんにゃくゼリー叩きの急先鋒だったことから、あぁ、こういうことか、と皆がシラケきったことなどもありましたが…。懐かしい話ですよね。

さて、今回の組体操も同じなんですけれど、もう少し落ち着いて、感情的にならずに現況を把握することが大切ではないかと思います。
子供たちの生活の中で、骨折や事故って、何件起きて、何件がどの原因でって、ちゃんと調査して数字を出しているコメンテーターっているんでしょうか?

もっとも正確に調査が行われ、最も信頼できる数字が下記リンクから飛べる調査結果だと思うのですが、

中学生の骨折とその発生状況 - 慶應義塾大学保健管理センター

小学生の骨折発生状況(1995年度~2004年度)


両結果を見ていただければ一目瞭然なのですが、コメンテーターたちの言っている言葉の数々が、いかに適当なものなのか、よくわかります。先日もあるお昼の情報番組において「最近、子供の数が減ってきているにもかかわらず、こういった骨折などの重篤な事故が起きるケースが増えてきている気がするんですよ!」とおっしゃる女性コメンテーターがいましたが、大間違いです。

上記データから、慶応大学のチームが都内のある小学校で調査した結果、そもそも、10年間の調査の結果、前半5年間の骨折案件発生率(3.9%)よりも、後半5年間の骨折発生率(2,9%)は減少しており、児童たちの骨折の件数は別に増えてはいないようです。

そして、骨折の原因調査の結果ですが、そもそも1番多いのが廊下や階段などでの「転倒・衝突」であることがわかります(18.6%)。「子供たちにけがをさせたくない!」と叫ぶ方々、とりあえず、学校から階段、なくしときましょうか。
そして、大きく分類するなら、ダントツで多いのが「球技」です(全部合わせると過半数越え)。特に授業中の「ラグビー」「サッカー」であることがわかります。重篤な骨折事案もあります。そして、「バスケットボール」。指の骨折が相次いでいます。指はけっこう深刻です。私は原因がバスケではないですが、高校時代に所属していた柔道部時代に小指を骨折し、そのままうまく治癒できず…。現在も私の小指は、右は正常なんですが、左手の小指は、正確に曲げられない後遺症が残っています。骨が細いので、後遺症が残るケースも少なくないのです。

今、盛んに言われている
「組体操は危険!」
「骨折案件が去年4件も!!」
という感情的なニュースに一言申したいのですが、本当にデータに基づいて放送しているんでしょうか?ピラミッドの映像が面白いので、視聴率をとれるように煽って流しているだけではないでしょうか?
上記調査結果のデータでは、そもそも骨折のきっかけで圧倒的に多いのは「クラブの練習中」であり、試合中と合わせて実に過半数がクラブ中です。
そして、続くのが「休み時間」。階段や廊下での転倒ですね。
そして、「体育の授業中」。
「運動会」など案件が少なすぎるようで、「交通事故」などと同じ「その他」に入っていると想定されますが、そもそもデータにも上がらない数の数字のようです。

もう一度聞きますが、ちゃんと調べたんでしょうか?サッカーやバスケなど、球技のほうが、圧倒的に重篤な事故は相次いでいますし、組体操のほうがよほどデータ上は事故件数が少ないんですが、なぜその中で
「組体操だけ」
をスケープゴートにしているんでしょう?子供の安全を守りたいんですよねとにかく、感情的に叫ぶコメンテーターや「自称」専門家たちは子供のケガを防ぎたいんですよね?

じゃあ先に授業中に「強制的にやらせる」サッカーとバスケをやめさせたほうがいいんじゃない?

一応、数字上は論理的にそうなんですけど、ガーガー言ってる方、論理的に反論してほしいのだけれど。

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私はそもそも、行政による「あれはダメ、これはダメ」という風潮に批判的な意見を持っている人間です。私の番組でもプロレスラーの蝶野正洋さんがおっしゃってたんですけれど、
「そもそも、子供のケガなんて怖がってたら、何の教育もできねぇよ」
という言葉は、けっこう芯をついていると思います。上記調査では、一つの中学校だけで過去10年間で、男女合わせて245件の骨折案件が発生しています。子供の生活ってそんなものじゃないのでしょうか?
「そういうのも含めて」成長の過程だと思いますし、現場の先生方の必死の努力も、もっと認めてあげるべきです。

もちろん、今回の大阪の八尾市の件は、先ほど述べたように「一度も成功していない」にもかかわらず本番に突き進みました。これは完全に間違いです。なので、八尾市の件はあくまで「八尾市の件の過失」として考えたほうがいいでしょう。

偶然、そのシーンが撮影出来ていて、それをテレビで見て衝撃を受けて感情論を展開させるのもわからなくもないのですが、現在巻き起こっている「組体操は危険論」は私は、データ上から否定します。

以前書いたことをもう一度書きます。
スポーツはそもそも危険と隣り合わせです。なので、意味があるのです。