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朝からテレビは大騒ぎ。久しぶりにこするだけこすっても文句も言われない「おめでたいニュース」だと大はしゃぎで、大村教授のノーベル賞受賞のニュースを報じています。

こんなにも素晴らしい人だったのです!
こんなにも人格者なのです!
去年に続いて2年連続の受賞!

素晴らしニュースだとは思いますよ?それは私も喜ばしいと思います。ただ、ニュースを見るたびに、2つのことが頭をよぎり、素直に万歳三唱をできない自分がいることもまた確かです。

一つはテレビが繰り返し
「去年の中村教授らに続いて日本人23人目の受賞で…」
と報じている点。
これらについては、ちょうど1年前にブログで何度か指摘しましたが、青色発光ダイオードの発見というとんでもないことを成し遂げた中村教授は、日本のシステムや日本の司法制度に絶望し、アメリカに渡った方です。現在は明確にアメリカのシチズンシップ(国籍)を取得しており、誰がどう見ても「アメリカ人」です。もともと日本人ですが、彼がアメリカに渡った経緯を見ても、一概に「日本人が受賞!」というのは、中村教授に対しては失礼に当たる気がしてならないのです。
詳しい話はこちらのブログに書いてありますので、1年も前のブログだけれど、よろしければ。
ノーベル賞のニュースに狂喜する報道に感じる違和感

そしてもう一つが、こちらも何度も繰り返しこのブログで指摘している「日本経済の低迷の根幹の理由」を、昨日からの大村教授の言葉や会見、それを報じるメディアの姿勢に感じるからです。

「微生物のおかげ」は美談でも何でもない

昨日のNHKニュース7は皆さん見ていたでしょう。大村教授の前に、3年前に同じくノーベル医学・生理学賞を受賞した京大の山中教授と電話がつながり。山中教授がこんな衝撃の話をしたのです。

「私は、とても恥ずかしいことに、大村教授のことを1年ほど前まで全く存じていなかったのです」

去年、別の方から大村教授の伝記本を渡され、それを読んで初めて「え?日本人にこんなとんでもない人がいるの?」と知ったというのです。大村教授ほどの実績を持っていたにもかかわらず。

世界で数億人の命を救う発明をした人よ??

日本以外だったら、テレビもメディアも、ノーベルがどうのこうの…という前に、かなりの大騒ぎになっている人物のはず。なんでこれほどの実績をお持ちの方が、誰にも知られず、普通の人だけではなく、同じ研究分野の山中教授まで知らなかったのか?直後に行われた大村教授ご本人の電話インタビューでその理由は判明します。

NHK武田キャスター「おめでとうございます!」
大村教授「ありがとうございます!」

その後、武田キャスターの「お気持ちは?」の質問に対して大村教授が答えたのが…

「いや…なぜ自分ごときが…私は何もしていません。微生物が頑張ってくれたので、彼らに賞を与えてやってほしいです」

控えめな性格、実直で誠実な人柄が見え隠れするような、実にいいインタビューでした。私はこれを聞きながら「あぁ、これはマスコミがしばらくオモチャにするだろうな、と直感。そして、今朝からのあの報道に次ぐ報道です。
お願いだから、どこかのメディアでいいから、一局でも、一番組でもいいから、誰か言ってくれないでしょうか…。

こんなコメント、美談でも何でもない、と。

日本経済の成長をつぶしているのは「天才に対する集団リンチ」だ!

どうか感じてほしいのですが、あれほどの実績を残した方です。今回のノーベル賞の受賞はあくまでアフリカの伝染病に対する特効薬の開発でしかないわけですが、大村教授はほかにも本当にたくさんの開発をなされています。はっきりいって

超人的な天才

です。世界中で何億人が命を救われているのでしょう。「病気を治しました」程度まで含めてしまうと、何十億人が恩を受けているでしょう?
ものすごい人です。
とんでもない人です。
でも、これほどの人が、「謙虚に」「いや、自分なんて、自分ごときは…」という姿勢を見せることを、日本人は大好きです。もはや病的に好きです。

でも考えてください。

彼の実績はちょっと、異常なほどにとんでもなくすごい。人類の歴史を変えてしまっているほどでしょう。そんな人は、本来はもう少し堂々としていいし、堂々とするべきです。

もし、大村教授がアメリカ人だった場合「微生物に賞をあげたい」とおっしゃったら、その瞬間い笑いが起き「オームラはなんてウィットに富んでユーモアのあるやつなんだ!」と非常に好意的に受け入れられたことでしょうが、大村教授のは冗談でも何でもなく

日本人特有の「必要以上にへりくだり」「そうでもしなければ周りから叩きのめされる文化」が産んだコメント

でしかないのです。ここを真剣に考えたいのです。
冒頭でも書いたとおり、日本では昔から青色発光ダイオードの中村教授のように、自分の発明をアピールし、自分の権利を主張すると、周囲からは『異なるもの』として見られ、叩かれる文化が根強く残っています。

中村教授って、裁判をした時、会社に1200億円以上の純利益をもたらしたんですよ?なのに、特別ボーナスが2万円だったんです。
「ちょっとおかしくない?」
と裁判を起こしたら、世間から、当時どれだけ叩かれたと思います?どう聞いても普通のことしか言ってないのに、どれだけバッシングされたと思います?
「こんなことする社員、裁判に勝ってもどうせ会社になんていづらいよwwwww」
みたいな書き込み、どれだけあったか。

東京キー局に今年入社したある女性アナウンサーも同じ。
昔、数回したことがあるだけのホステスのバイトでいきなり一方的に内定を取り消されて、いや、ちょっとそれは…と。いくらなんでもそれは…と。裁判所に調停に入ってもらったら、まぁ当たり前なんだけれど和解できて。で、そんな当たり前のことしか言っていない彼女に対し、入社してもする前も、ネット上では彼女を
「こんなやつ、使いにくいだろ!」
「心臓、毛が生えてるわwww!」
と、口汚く罵るコメントの嵐。そういう書き込みしているバカ者たちに聞きたいのだけれど

頭おかしいんですか?と。

いや、誰がどう聞いても普通のことしか言ってないじゃん?しかも、まだ22歳のお嬢さんに、何、攻撃とかしてんの?恥ずかしい。中村教授やその女性アナでも分かるように、日本人の大多数って

「大本営(おかみ)が一度決めちゃったことに逆らったり口答えすると、みんなで叩きのめす」

文化が根付いているんです。誰が正しいとか関係ないんです。おかみが「こうするんだ!」って決めたら、頭真っ白にして従わないとダメなんです。戦争するんだ!っておかみに言われたら「天皇陛下、ばんじゃーい!」って言いながら死ななきゃ、何故か全員から怒られるんです。ほんと、日本人って70年かけて全然成長していない。

なので、とんでもない天才は「自分は天才じゃありませ~ん」と言わなければいけないし、自分の実績でも「いや微生物が頑張っただけです~」と言わなければいけない。そういっていれば、みんなで絶賛するし、みんなで褒め称えるんです。素晴らしい実績を残してもアピールなんてしちゃいけない。何億人の命を救ってもアピールしちゃいけない。なので、全く同じ医学・生理学の分野にいる山中教授が「名前すら知らない」状態になるんです。

で、世界が評価した途端に、みんな大騒ぎして祭り上げるわけ。

だってノーベル賞さま(おかみ)が褒めてんだから。



もうね、私は、この日本文化を引きづっている間は、日本の経済成長ってないと思ってるんですよね。アメリカがなんでこれだけ成長しているか?よく見てください。

ユーチューブ、作ったの誰よ?
マイクロソフト作ったの、誰よ?
アイフォン作ったの、誰よ?
グーグル作ったの、誰よ?
フェイスブック、作ったの誰よ?
古くは、エジソンは?ライト兄弟は?グラハム・ベルは?ヘンリー・フォードは?

世界を作り上げる、超天才はみんなアメリカ人なんです。それは、アメリカ人の教育と風土に由来しているんです。「異なるもの」を受け入れる文化。一部の英雄的な天才を認める文化。必要以上にへりくだる必要なんてなくて、「天才」は「天才」でいいんだって。くだらない嫉妬をしている人間のほうをみんなで恥ずかしいと思える文化。

スティーブ・ジョブズもエジソンも、マーク・ザッカーバーグもかなりの「変人」です。でも、変人だからって叩かない。社会としては受け入れるんです。人は肌の色と同じで色々でいいんです。

なので、アメリカは1%の天才がどんどんイノベーションを起こすんです。社会全体を変えてしまうから、成長するんです。
世の中なんて、平等なわけないじゃん。ごくごく一部の超天才が世界を作るんです。彼らは特別だから。その天才も、所詮は赤ちゃんから生まれてくるんで、その天才たちの芽を摘まないことが大事なんですけれど、日本は天才の芽は…

社会全体で「摘もう、摘もう」とするんです。

「異なるもの」だから。だって子供は平等だから~。だって、教育は平等だから~。現状維持のままのほうが楽だから~。自分の主張するなんて「異なるもの」だから面倒くさいから~。
んなこと言ってるうちに、20年間もGDPがほぼ成長しない、世界で類を見ない恥ずかしい先進国が出来上がったんです。この20年で、世界全体のGDPは3倍になってるのにね。

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大村教授のニュースは素晴らしいニュースだと思いますよ?それは私もそう思っています。やはり、誇らしいし「評価されるべき方が評価された」のはうれしいです。でも、裏を返すと、これほどの実績を残し、これほどの天才を

「今まで」全然評価すらしてこなかった

という現実もとらえたほうがいい気がします。なんで、彼が80歳になるまで気付きもしなかったのか?なぜ、これほどの天才が、謙虚に、控えめにしなければいけなかったのか。大村教授の奥様はもうお亡くなりになってしまっているとのこと。本来であれば、何十年も前に、奥様とご一緒に喜ばれたかったことでしょう。そう出来なかった、日本社会の闇の部分こそが、日本経済の成長を引っ張っている元凶のような気がします。

今年のノーベル物理学賞を「日本人の研究者」3人が受賞した、と報じている。

テレビや新聞では相変わらずの
「日本人が!」
「日本人としての受賞が!!」
と、長々と嬉々とした番組編成が行われている。

もちろん喜ばしいことだし、素晴らしいニュース。

この放送で良いと思うし、全て悪いとも思わないのだが、以前、錦織圭選手のアメリカでの快挙の時に書いたブログと同じ内容をもう一度ここで書きたいと思う(「錦織選手報道に感じる違和感」)。

3人の受賞者のうちの一人。中村修二博士。

彼は日本のメディアが「日本人としての受賞で!」と騒ぎ立てている中、平然と一人、アメリカはカリフォルニアで淡々とインタビューに答えている。もちろん、英語で。

中村裁判。
青色発光ダイオード裁判。

2001年、日本でも当時少し話題になった裁判だ。本当に大きく話題になったのは2002年9月の事であり、このニュースが伝えられた時、多くの日本人はまだ

「中村は変わり者だ」
「日本の企業には日本の企業の倫理とルールがある!」
「実は勤務態度も悪かったらしいぞ!」

と寝ぼけたことをぬかすコメンテーターも少なくなかった。
2001年。中村修二氏は所属していた企業に対し訴訟を行った。いわゆる「中村裁判」だ。
青色発光ダイオードの発明は「100年に一度くらいしかないレベルの発明」と主張。あまりに巨額の利益がもたらされたにもかかわらず、中村氏が所属していた会社は、中村氏に対して…

2万円

の特別ボーナスしか出さなかった。後にノーベル賞を取る、この研究成果について、だ。この青色発光ダイオードの発明は、特許出願中にその市場がなんと1兆円規模にまで膨らむあまりにも大きな発明だった。にもかかわらず、

2万円

だった。あまりにもひどすぎる!と訴える中村氏に対して、会社側は
「研究費用をねん出したのは会社である」
「会社の中で行われた研究の発明で得た成果は、会社に権利が帰属されるという契約がある!」
と主張。一般論ではわからなくはない話だが、中村氏の発明は「時代を動かすレベル」の発明だった。2001年当時、少しだけ報じられたそのニュースは、2002年9月、大きく報じられることとなる。

東京地裁が下した判決は「中村氏の貢献は604億円の価値がある!」という驚きの判決。

そもそも中村氏はお金のために裁判をしていたのではなかった。後々の研究者のために、礎になれれば、という思いから、嫌われ役を買って出ていた部分が大きかった。なので、中村氏は

「200億円しか」請求していなかった。

200億しか請求していないにもかかわらず、判決は
「いえいえ、あなたの価値は604億円ですよ」
と言ってのけた。これはとても大きなニュースになった。未来の研究者たちの大きな光になる、と中村氏も喜んだ。

しかし、だ。

会社は不服だった。裁判所の判決にも一切納得せずに、控訴。会社は徹底的に争う姿勢を見せ、裁判は泥沼の様相を呈し始める。

中村氏は

諦めた。

何に諦めたのか?会社か?それはもちろんそうだろう。でも、それだけじゃなかった。当時はテレビもマスコミも、会社側が流すネガティブ情報をそのままコメントするキャスターやコメンテーターも少なくなかった。

中村氏は

日本に呆れてしまった。

中村氏は、わずか6億円という、地裁が認めた600億円から100分の一というあまりにも小さすぎる値段での和解に合意(実際には延滞損害金が発生しているので支払われたのは8億円)。そして…この天才科学者は日本から去っていった。

錦織選手の時にも同じことを書いたが、それが全部悪いとは言わない。悪いとは言わないし、それでもいいのだが…

なんで、マスコミは、中村博士のニュースと共に
「日本人が!」
「ニホンジンの快挙が!!!」
と喜べるんだ?

あの時のブログにも、くだらない僕への批判や悪口を懸命に書いて来た人たちは少なくなかったが、もう一度全く同じことを書きたい。あの時、「素直に喜べ」と書いてきた全ての人にもう一度問う。

わずか13歳で、日本を離れた錦織選手。彼は日本を離れたからあの実力を手に入れた、と僕は指摘した。もちろん「一般の人は喜んでいい」と思う。国籍は日本だし。でも「マスコミはバカ騒ぎしてればいい」のか?サッカーのワールドカップの時と同じように、単に騒げば気が済むのか?その裏側にあるものを全部無視して気持ちいい放送だけをしていていいのか?
中村博士も同じだ。喜んでりゃそれでいいのか?中継繋いで「今のお気持ちは?」でいいのか?

なんで、彼らが日本を捨てたんだ?

日本のシステムが…
日本の教育環境が…
日本的な会社の仕組みが…

天才の力を失わせ、天才の芽を摘み、天才たちのやる気を失わせる仕組みだから…

彼らは日本から出ていったんじゃないのだろうか?
一部の「老害ジジィ」や学校の「先輩」という「単なる年上なだけの人間」たちが、「年功序列」という完全に狂いまくったシステムをかさに、くだらないことを言い続けてくるから、本当に才能のある人間は、出ていくしかないんじゃないだろうか。
会社のシステムもそう。なんで韓国のサムスンやLGがあれだけ急な勢いで勢力を伸ばせたのか…日本の優秀な技術者を引き抜きまくったからだ。裏を返せば、日本の会社は才能があろうがなかろうが、「部下の功績を一部の上司が全部ひとり占めする」システムがありすぎるので、本当に才能のある人間は「自分を正当に認めてくれる国へ」出ていくんじゃないだろうか。

なんでそれを報じないのだろう。マスメディアはもっと日本の会社の「闇」を報じるべきなんじゃないかと、切に思う。

もちろん素晴らしいニュースだ。素晴らしいニュースだから、まずは喜んでもいいとは思う。が、僕は今回のブログでも、喜ぶのと同時に、僕たち日本人は本来は反省すべき点もあるんじゃないか、ともう一度訴える。

何が悪いのか?
何がおかしいのか?

ちなみに多くのアホマスコミが「日本人3人が受賞!」という大バカ報道を繰り返しているが、完全な間違いである、という事をここで指摘しておきたい。
中村博士はすでに「アメリカ国籍を取得」している。正式に日本国籍を放棄はしていないが、しっかりしろよ、大マスコミ、と言いたい。中村博士がどんな思いとともに、日本を捨てたのか、もっと酌んであげるべきだ。

今回のニュースは
「日本人2人と、日本国籍も持つアメリカ人1人」の計3人が受賞したニュース
だと報じるべきだと、少なくとも僕は思っている。

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