欧州特許庁の調査部が出願が単一性の要件を満たしてないと判断した場合は、EESR(拡張調査報告)の発行に先立ってEPC規則64条またはEPC規則164条に従い"partial European search report"(部分ESR)が発行され、出願人に追加調査費用を支払う機会が与えられます。

この部分ESRが発行された場合、

部分ESR

追加調査費用を支払うか否かの判断
(単一性について反論不可)

EESR

EESRに対する応答
(単一性について反論可)

という流れになるのですが、どのような対応をすればどのような結果が得られるのかは複雑で分かりにくいことに定評があります。以下調査部が出願が単一性のないA群の発明とB群の発明を含むと判断し、部分ESRが発行された場合の対応シナリオについてフローチャートを用いながら説明します。

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対応シナリオ①(追加調査費用を支払い、審査部が単一性ありと認めた場合)
この場合EPC規則64条(2)に従い追加調査費用が返還されます。またA群とB群との間の単一性が認められることになりますので分割をせずともA群およびB群の発明について権利化可能です。

対応シナリオ②(追加調査費用を支払い、審査部が単一性を認めなかった場合)

追加調査費用が返還されません。またB群の発明については分割をしなければ権利化ができません。

対応シナリオ③(追加調査費用を支払わず、審査部が単一性ありと認めた場合)
この場合審査部が追加費用なしでB群の発明について調査を行います(ガイドラインC-III, 3.1.1)。またA群とB群との間の単一性が認められることになりますので分割をせずともA群およびB群の発明について権利化可能です。

対応シナリオ④(追加調査費用を支払わず、審査部が単一性を認めなかった場合)
B群の発明については分割をしなければ権利化ができません。

まとめ

対応シナリオ①および③からもわかるように、追加調査費用を払っても払わなくとも調査部が下した単一性無しという判断を審査過程で覆すことができます。さらに対応シナリオ③では対応シナリオ①と比較して、「追加調査費用を支払う」および「返還された費用を受理する」という作業工程が少ないことから通常の場合お客様には対応シナリオ③となるような手続きをお勧めします。つまり追加調査費用を支払わず、EESRに対する応答で単一性の主張をすることをお勧めしています。