この熱狂を外へ

「やる気がない」と言えば、ここ数年の『レジャー白書』です。2016年の「少子化時代のキッズレジャー」を最後に特別レポートは姿を消し、ページ数も2017年以降は2/3に激減したにもかかわらず、お値段は据え置き7,700円。そのやる気のなさが伝染したせいで(責任転嫁)、ずいぶん遅くなりましたが、公刊から半年後の今さら『レジャー白書』のデータを元に、あーだこーだ言っていきたいと思います。

2019年8月公刊の『レジャー白書 2019』から、麻雀の市場規模データを更新しました。
雀荘数については、警察庁のホームページにある統計から、「平成30年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」を参照しています。


1.麻雀の市場規模データを更新しました

2.社会に許容される存在として

3.熱狂は外へ向かっているのか?

4.Bリーグ・Tリーグとの比較



1.麻雀の市場規模データを更新しました

『レジャー白書 2019』によれば、2018年のデータは以下でした(調査時期は2019年1〜2月)。

前年に比べると、参加人口は近年になく20%近い伸びをみせていますが、雀荘の市場規模は490億円に微減しています。Mリーグ創設で参加人口は増えたものの、ゼロギャンブル宣言により、まだまだオンレートが多いリアル雀荘の収益には結びつかなかった、というのが一般的な見方だと思います。

データピーク時前年
(2017年)
現在
(2018年)
麻雀ゲーム料3,590億円(1985年)500億円490億円
雀荘数36,173軒(1978年)※8,736軒8,276軒
参加人口※2,140万人(1982年)500万人580万人
年間平均費用35,700円(1986年)8,200円8,100円

※2015年の麻雀フェスタさんの記事によると、この数値には、実際には廃業して
 いるが、廃業届を出していないので営業扱いにされている店舗も含まれている
 ため、実際の店舗数は5000~6000軒ではないかということでした。
 麻雀フェスタさんの記事が書かれた当時から、警察庁発表の雀荘数は2,000軒以上
 減っているので、実際の店舗も相当数減少していると考えられます。
 なお、2020年2月3日現在、麻雀王国のカウンターでは掲載雀荘数は3,854軒
 でした。

※麻雀の参加人口が正式に記載されるようになったのは『レジャー白書 1983』から
 なので(それ以前に「1979年の麻雀の参加人口は1620万人」という記載あり)、
 1981年以前に参加人口のピークがあった可能性があります。


以下は、各データの推移を示すグラフです。

  • 麻雀ゲーム料の市場規模の推移(単位:億円)
麻雀ゲーム料市場データ

  • 全国の雀荘数の推移(単位:軒)
雀荘数

  • 麻雀の参加人口の推移(単位:万人)
麻雀参加人口

  • 麻雀の年間平均費用の推移(単位:円)
麻雀年間平均費用

※2009年から、調査手法が訪問留置法からインターネット調査に変わっています。
 これにより、従来見逃されてきたネット麻雀しかしない層(ほとんど費用を
 使わない層)等がフォローできるようになったと考えられます。
 2009年に年間平均費用が急減したわけではありません。



2.社会に許容される存在として

カレーめん
(『ゆるキャン△』第1話)

  • 各種ゲーム・ギャンブルの参加人口/市場規模
レジャー2012201320142015201620172018
麻雀760650870600500500580(万人)
580560510520490500490(億円)
囲碁400280310250200190210(万人)
将棋850670850530530700680(万人)
ゲーム
センター
1,8601,5401,9201,4801,4501,3401,530(万人)
4,6004,4304,2404,0504,2104,4204,550(億円)
家庭用
ゲーム
3,0802,5302,6802,1701,9802,0002,130(万人)
4,8704,4303,9903,4803,2304,0303,920(億円)
オンライン
ゲーム
1,1601,1401,6401,5001,2701,2701,300(万人)
7,0608,4209,31011,04012,10012,45012,530(億円)
パチンコ1,1109701,1501,070940900950(万人)
256,720250,050245,040232,290227,000214,000207,000(億円)
中央競馬960840890790750760850(万人)
23,94024,05024,94025,83026,71027,69028,160(億円)
データ2012201320142015201620172018
総実労働時間
(正社員)
201119971998200920062026(時間)
総実労働時間
(労働者全体)
1808179217881784178317211,708(時間)
余暇時間
ゆとり感指数
-2.2-3.6-2.0-2.1-2.8-3.3-0.4
消費支出314,229318,707318,650315,428310,389312,926315,314(円)
教養娯楽費30,57430,86430,51430,41930,26930,56029,838(円)
余暇支出
ゆとり感指数
-5.1-2.6-3.0-2.2-0.1-1.00.3


■余暇時間と余暇支出

2019年4月からのいわゆる「働き方改革」以前から、労働時間は、2013年以降、6年連続で減少しています。なお、集計方法の変更により、2018年から総実労働時間(正社員)の統計結果はなくなりました。
「時間的なゆとり感指数」「支出面でのゆとり感指数」はいずれも上昇しており、参加人口・市場規模が増加しているゲームが多いことを裏づけています。

■個々のレジャー

『レジャー白書 2019』には、『ゆるキャン△』の影響でキャンプ用品が売れたという話はあっても、Mリーグ・Tリーグへの言及は一切ありませんでした。盛り上がっているのはごく一部だけで、レジャー市場へのインパクトはほとんどなかったということなのか、レジャー白書にやる気がないのか……。

カジノ導入が現実的となった(最近になって遠のきましたが)影響として、公営ギャンブルの記載の中で、具体的なギャンブル依存症対策についてふれられていたのが印象的でした。また、パチンコ・パチスロの項にあった以下の記載は、

新規顧客の開拓では、業界団体が取り組んでいる「連れパチ」の促進策として、楽しさ追求・楽しさ重視のイベントが開催されたが、現状では散発的な取り組みにとどまっている。しかし、地域との関係では各種の社会貢献活動が積極的におこなわれている。ギャンブル色を弱め、社会に許容される存在として業界の認知度を高めていくことが、さらに重要になってきた。

今さら何言ってンだ、と思わなくもないですが、地方でのMリーグのパブリックビューイング開催等を積極的に推し進めている麻雀にも通じる部分が大きいと感じました。


3.熱狂は外へ向かっているのか?

setsubun_akaoni_mame

麻雀については、これまではレジャー白書以外の統計データがありませんでした。しかし、一昨年のMリーグ発足会見に引き続き、2019年9月にも、全国1万人アンケート調査結果がMリーグから発表されました。レジャー白書のサンプル数は約3,000人(2019年は3,226人)なので、それをしのぐ規模になります。

アンケ結果4

Q4. 「Mリーグ」を見たことがありますか?

「Mリーグ」の視聴者層は、20-40代男性の約3割が「Mリーグ」のリーグ戦や関連コンテンツを認知しており、20代男性の10.9%が「Mリーグ」のリーグ戦や関連コンテンツの視聴経験があると回答いたしました。20代男性の視聴経験率が全世代の中で最も高い結果となり、若い世代を中心に幅広い年代に楽しまれるコンテンツとなっていることが伺えます。

『レジャー白書』の数字でも、若年層の参加人口が増加しています。

  • 麻雀の年代別参加人口(単位:万人)
全年代10代20代30代40代50代60代70代
20127603611913112188116150
201365038103928810013692
201487038116125104102196189
20156003670708751102184
2016500225857905599122
20175004152516471104121
20185804472807153112148
前年比+80+3+20+29+7-18+8+27

  • 男性の年代別参加人口(単位:万人)
男性全体10代20代30代40代50代60代70代
20125963393110976590108
2013491297781647910655
201468825981149087141132
2015482295662764275143
201639717555475497475
201737532313955559174
201842727576459349195
前年比+52-5+26+25+4-21±0+21

  • 女性の年代別参加人口(単位:万人)
女性全体10代20代30代40代50代60代70代
20121643272124232542
20131598261124213038
201418213171114155557
201511871481192741
20161036331562547
2017126921129161347
201815317151612192153
前年比+27+8-6+4+3+3+8+6

  • 麻雀の参加者に占める50代以上の比率
1997200720142015201620172018
29.6%43.8%55.9%56.2%54.9%58.6%53.9%

その結果、2017年には麻雀参加者のシニア化がかつてなく進んでいましたが、2018年には一気に若返りました。


アンケ結果1

Q1. 麻雀・「Mリーグ」市場規模に関して

「Mリーグ」2018シーズンにおける、「Mリーグ」視聴経験者は全人口のうち4%の約500万人、その内2.5%の約300万人は、麻雀を一度もプレイした事が無い方という結果になりました。「Mリーグ」2018シーズンを通して、これまでリアルやゲームでの麻雀には興味がなかった層にも、「Mリーグ」を視聴するという新しい習慣を確立することが出来ており、結果として「麻雀」全体の市場規模が広がりました。

自らはプレイせず観戦オンリーの、レジャー白書の統計では見えてこないこの2.5%(約300万人)こそが純粋な「観る雀」であり、Mリーグが作り出したファン層といえます(これまで、モンド杯とかわれポンとかを見ていた人もいるでしょうが)。


また、上記の福地先生の記事では、「観る雀」以外にも、麻雀をプレイしたいライト層がMリーグによって増加したことが述べられています。

2019年のMリーグのスローガンは、「この熱狂を外へ」でした。で、Mリーグの熱狂は外に向かって広がっているかなんですが、本日開催された「Mリーグ プレミアムナイト」含めパブリックビューイングは裾野を広げていますが、ビジネスモデルが確立したと言えるほどの収益化ができているのかは不明です。多くのファンが、AbemaTVでMリーグを喜んで観戦していたとしても、あと数年でなくなってもまったく不思議ではありません。今後のファン層の増加度合いと、そうしたファンからいかにして収益化をはかるのかが見ものだと思います。


4.Bリーグ・Tリーグとの比較

BT2
(『魔少年ビーティー』)

昨年に引き続き、Mリーグ最高顧問である川淵三郎氏が主導し2016年9月に開幕したBリーグ、Mリーグと同時期である2018年10月に開幕したTリーグと、Mリーグを簡単に比較してみます。

■ネット上の人気度

手軽に何かを分析した気になれることで名高いGoogleトレンドで、Mリーグ創設が発表された2018年7月17日から本日までの各リーグの人気度の動向を調べてみると、こうなりました。

Googleトレンド

以下にGoogleトレンド表示用のスクリプトを貼っていますが、ブラウザによっては表示されないようです。



少なくともネット上ではTリーグよりMリーグの方が注目を浴びていますね。

■競技人口

『レジャー白書』の参加人口を「実施人口」とし、これに笹川スポーツ財団の中央競技団体現況調査(隔年)の「競技人口」を加えた表が以下になります。簡単にいうと、エンジョイ勢も含めたのが「実施人口」で、ガチ勢が「競技人口」、ガチ勢のうち各競技団体に登録されているのが「登録人口」になります。

登録人口、競技人口、実施人口の関係

  • 麻雀・バスケ・卓球の実施人口/登録人口(単位:万人)
レジャー2012201320142015201620172018
イベントBリーグ
開始
Mリーグ
Tリーグ
開始
バスケット
ボール
実施人口390310350400410370330
登録人口61.562.063.762.1
麻雀実施人口760650870600500500580
麻雀ゲーム料580560510520490500490
卓球実施人口830660700720780830830
登録人口30.531.732.734.8
卓球・バド用品310310320340350360380

Bリーグは人気・収入とも堅調ですが、実施人口も登録人口も減少しました。とはいえ、バスケの登録人口は、全スポーツの中で野球・サッカーに次ぐ第3位なので、十分なのかもしれません。また、レジャー白書の統計には反映されない「観るバス」の増加も推測されます(全体としてのスポーツ観戦料は、前年(2017年)の1620億円から1640億円に増加しました)。

同時期開幕のMリーグとTリーグについては、昨年、卓球専門サイト「Rallys」で両リーグの比較が行われていました。その中で、Tリーグの方が有利な点として、「麻雀卓や牌の市場に比べて、卓球用具・ウェア販売ビジネスのマーケットははるかに大きい」という指摘がなされています。確かに、リーグの盛り上がりと従来からのビジネスモデルは、麻雀の場合はあまり結びつかないのに対して、卓球の場合は卓球用品の売上や貸卓の回転率等の形で直接反映していることがうかがわれます。もっとも、レジャー白書の記載では、卓球用品はバドミントン用品と同じ項目になっており、また、Tリーグ開幕前から年々売上は増加していたので、影響を見積もりにくいところではあります。また、バスケットボール用品単独の項目は、レジャー白書にはありませんでした。

人気ブログランキング  ← 推しがファイナルいってくれたら死ぬ、って人はクリック!

レジャー白書 ―余暇の現状と産業・市場の動向―
公益財団法人 日本生産性本部
生産性出版
2019-08-07


ゆるキャン△ 1 [Blu-ray]
花守ゆみり
フリュー
2018-03-28