2005年08月15日
なぜナノテク?
今回は、なぜ「ナノ」でなければいけないのかを議論したいと思います。その理由はいろいろあると思うのですが、私の研究に一番関係のある「光の回折限界」についてお話します。
高校の教科書などには、「光はレンズを用いて一点に集光することができる」と書いてありますが、この一点とはどのくらいなんでしょうか。実はその半径は無限に小さいわけではなく理論的に厳しく制限されていて、どんなにいいレンズを使っても光の波長よりも光を絞ることはできないんです。私たちが見ることができるいわゆる可視光の波長は400nm(青色)から750nm(赤色)ほどです。だから、可視光を用いる限り青色の400nmよりも光を絞ることはできないです。これを光の回折限界といいます。
次にこの回折限界というものがどんな問題を生むかお話します。
実は非常に身近なんです。みなさんが普段使っているCDやDVDなどの記憶容量は、この回折限界により決められます。これらの媒体では情報を記憶もしくは読み込むときに、レーザー光という特殊な光を絞って使っています。そのため、情報を記憶できる密度は光の直径により決められてしまい、可視光では青色の400nmが限界です。つまり理論的には、400nm四方に一つの情報が記憶を記録するのが限界で、最近話題になっているブルーレイディスクはこの限界に到達したものなんです。それではその先には何があるのでしょう。実は今までのレーザー光とレンズを用いたこれまでの技術を使うとその先はないんです。もう完全にこれで限界です。もしもっと波長が短いX線レーザーがあればいいのですが、現実的ではありません。もしかしたらもうDVDで十分だ。必要ないって思われるかもしれません。実際はそんなことはありません。小さいことはいいことです。小さければいろんな意味でコストが削減されますし、使うエネルギーも小さくなってエネルギー問題にも一躍買ってくれます。第一、技術立国日本をこれからも継続して、幸せな日本国を維持していくためには、世の役に立つ技術を絶えず生み出していかなければならないんです。そこで、大きな革新的な進歩、ブレークスルーが期待されています。
前置きが長くなってしまいましたが、最後に本題の「なぜナノテク?」です。前述の回折限界を破るブレークスルーを起こす方法として、光の波長よりも小さいナノサイズの穴を作り、この穴に光を通して波長よりも小さく光を絞る技術が提案されています。原理は簡単で、1nmの穴を通せば光の直径は1nmになるんです。ただ、どうやって1nmの穴を作るかが問題です。しかし驚くことにこの技術は実際に研究室レベルでは実用化されていて、実際に分解能10nmほどの超高分解能光学測定が実現されています。この測定法をナノプローブ、または近接場分光法というのですが、この技術を光記憶媒体に応用してブレークスルーを起こそうと、世界中のたくさんの研究者たちが凌ぎあっています。
世の中の科学の技術はすごいもので、驚くほど急激に進歩しています。ですが、私はこの進歩から目をそらすことは日本の将来のためにできないと思っています。なんせ日本は科学技術立国なのですから。
最後に余談ですが、ナノの世界を語るためには、ナノの世界を見ることができる顕微鏡が必要です。これまでにも原子力顕微鏡がありましたが、近接場分光といわれるこの技術もナノテクの代表的な技術だと感じています。
高校の教科書などには、「光はレンズを用いて一点に集光することができる」と書いてありますが、この一点とはどのくらいなんでしょうか。実はその半径は無限に小さいわけではなく理論的に厳しく制限されていて、どんなにいいレンズを使っても光の波長よりも光を絞ることはできないんです。私たちが見ることができるいわゆる可視光の波長は400nm(青色)から750nm(赤色)ほどです。だから、可視光を用いる限り青色の400nmよりも光を絞ることはできないです。これを光の回折限界といいます。
次にこの回折限界というものがどんな問題を生むかお話します。
実は非常に身近なんです。みなさんが普段使っているCDやDVDなどの記憶容量は、この回折限界により決められます。これらの媒体では情報を記憶もしくは読み込むときに、レーザー光という特殊な光を絞って使っています。そのため、情報を記憶できる密度は光の直径により決められてしまい、可視光では青色の400nmが限界です。つまり理論的には、400nm四方に一つの情報が記憶を記録するのが限界で、最近話題になっているブルーレイディスクはこの限界に到達したものなんです。それではその先には何があるのでしょう。実は今までのレーザー光とレンズを用いたこれまでの技術を使うとその先はないんです。もう完全にこれで限界です。もしもっと波長が短いX線レーザーがあればいいのですが、現実的ではありません。もしかしたらもうDVDで十分だ。必要ないって思われるかもしれません。実際はそんなことはありません。小さいことはいいことです。小さければいろんな意味でコストが削減されますし、使うエネルギーも小さくなってエネルギー問題にも一躍買ってくれます。第一、技術立国日本をこれからも継続して、幸せな日本国を維持していくためには、世の役に立つ技術を絶えず生み出していかなければならないんです。そこで、大きな革新的な進歩、ブレークスルーが期待されています。
前置きが長くなってしまいましたが、最後に本題の「なぜナノテク?」です。前述の回折限界を破るブレークスルーを起こす方法として、光の波長よりも小さいナノサイズの穴を作り、この穴に光を通して波長よりも小さく光を絞る技術が提案されています。原理は簡単で、1nmの穴を通せば光の直径は1nmになるんです。ただ、どうやって1nmの穴を作るかが問題です。しかし驚くことにこの技術は実際に研究室レベルでは実用化されていて、実際に分解能10nmほどの超高分解能光学測定が実現されています。この測定法をナノプローブ、または近接場分光法というのですが、この技術を光記憶媒体に応用してブレークスルーを起こそうと、世界中のたくさんの研究者たちが凌ぎあっています。
世の中の科学の技術はすごいもので、驚くほど急激に進歩しています。ですが、私はこの進歩から目をそらすことは日本の将来のためにできないと思っています。なんせ日本は科学技術立国なのですから。
最後に余談ですが、ナノの世界を語るためには、ナノの世界を見ることができる顕微鏡が必要です。これまでにも原子力顕微鏡がありましたが、近接場分光といわれるこの技術もナノテクの代表的な技術だと感じています。
2005年08月12日
ナノテクノロジーの市場規模
最近は大学でも、お金に結びつく研究でないとやりにくい状況になってきました。そこでまず、ナノテクノロジーが生み出すお金、市場規模について紹介したいと思います。
NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、2010年、つまり5年後には、ナノテクノロジーの国内市場規模は20兆円から30兆円にに膨れ上がると試算されています。現在の日本国内の自動車産業の市場規模は約40兆円であることを考えると、いかに大きなインパクトがあるか理解していただけると思います。
内訳としては(参考文献1)、IT・エレクトロニクス関係が半分強の50.7%、材料・プロセス技術が32.6%とこれらの二つが主です。DNAなど、バイオ関係でのナノテクノロジーが注目されることがよくありますが、実現までにはまだ少し時間がかかるということでしょう。ちなみに私は、IT・エレクトロニクスに革命をもたらすと期待されている材料のカーボンナノチューブについて研究しています。詳細は後ほど。
*参考文献1「ナノテクノロジー」 ナツメ社
参考ホームページ
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol03_08/vol03_8_p20_23.pdf
http://www.aist.go.jp/aist_j/research/honkaku/symposium/nanotech_society/050201/kamei.html
NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)によると、2010年、つまり5年後には、ナノテクノロジーの国内市場規模は20兆円から30兆円にに膨れ上がると試算されています。現在の日本国内の自動車産業の市場規模は約40兆円であることを考えると、いかに大きなインパクトがあるか理解していただけると思います。
内訳としては(参考文献1)、IT・エレクトロニクス関係が半分強の50.7%、材料・プロセス技術が32.6%とこれらの二つが主です。DNAなど、バイオ関係でのナノテクノロジーが注目されることがよくありますが、実現までにはまだ少し時間がかかるということでしょう。ちなみに私は、IT・エレクトロニクスに革命をもたらすと期待されている材料のカーボンナノチューブについて研究しています。詳細は後ほど。
*参考文献1「ナノテクノロジー」 ナツメ社
参考ホームページ
http://www.aist.go.jp/aist_j/aistinfo/aist_today/vol03_08/vol03_8_p20_23.pdf
http://www.aist.go.jp/aist_j/research/honkaku/symposium/nanotech_society/050201/kamei.html
2005年08月11日
「ナノ」って何?
まず最初に、「ナノテクノロジー」の「ナノ」を説明したいと思います。
ナノという言葉はもともと「小人」を意味するギリシア語で、10のマイナス9乗、つまり、百万分の1ミリメートルを表わす接頭辞として用いられています
ミリ、そしてミクロというのはよく知られていますが、これはそれぞれ、10のマイナス3乗、そして10のマイナス6乗を示します。だから、1ミリメートルは0.001メートル、そして1マイクロメートルは0.000001メートルになります。では1ナノメートルはというと、0.000000001メートルです。
たとえば、髪の毛はだいたい0.1ミリメートルです。だから1ナノメートルはその10万分の1になります。一方、水素原子の大きさはおよそ0.1ナノメートルですから、ナノメートル領域では原子の数が数えられるくらいになります。つまりナノテクノロジーを語るときに考えているのは、このように途方も無く小さな世界なんです。
では、なんでこんなに小さな世界の話をするのか。それは、私たちが普段見ている世界で起こる現象と、この小さな小さな世界で起こる現象は実はまったく違うんです。詳細は省きますが、ナノテクノロジーを研究する研究者たちは、このナノの世界で持つ物質の性質を利用して、新しい製品を作ろう挑戦しています。
*参考文献「ナノテクノロジー」 ナツメ社
ナノという言葉はもともと「小人」を意味するギリシア語で、10のマイナス9乗、つまり、百万分の1ミリメートルを表わす接頭辞として用いられています
ミリ、そしてミクロというのはよく知られていますが、これはそれぞれ、10のマイナス3乗、そして10のマイナス6乗を示します。だから、1ミリメートルは0.001メートル、そして1マイクロメートルは0.000001メートルになります。では1ナノメートルはというと、0.000000001メートルです。
たとえば、髪の毛はだいたい0.1ミリメートルです。だから1ナノメートルはその10万分の1になります。一方、水素原子の大きさはおよそ0.1ナノメートルですから、ナノメートル領域では原子の数が数えられるくらいになります。つまりナノテクノロジーを語るときに考えているのは、このように途方も無く小さな世界なんです。
では、なんでこんなに小さな世界の話をするのか。それは、私たちが普段見ている世界で起こる現象と、この小さな小さな世界で起こる現象は実はまったく違うんです。詳細は省きますが、ナノテクノロジーを研究する研究者たちは、このナノの世界で持つ物質の性質を利用して、新しい製品を作ろう挑戦しています。
*参考文献「ナノテクノロジー」 ナツメ社
2005年08月04日
ナノテクノロジー総合研究所
ナノテクノロジーという言葉がはやりだしてかなりの時間がたち、一時期の異常な熱気は冷めてきた気がします。なかには、「もうナノの時代は終わった」という研究者もいるようです。ところが、ある試算によると、2010年にはナノテクノロジーの市場規模は数十兆円におよび、現在の車市場ほどまで大きくなると言われています。これが本当ならば、技術立国日本の名を守るためにも、ナノテクノロジーを前面に押し出して、全力で研究を進める必要があるのではないでしょうか。
私は今、ナノテクノロジーの象徴とも言うべきカーボンナノチューブについて研究を行っています。そこでこのブログでは、ナノテクノロジーの意義、何が求められ、どのように研究を進めるべきなのか、そして、ゴールはどこにあるのか、そこをじっくり議論したいと考えています。
私は今、ナノテクノロジーの象徴とも言うべきカーボンナノチューブについて研究を行っています。そこでこのブログでは、ナノテクノロジーの意義、何が求められ、どのように研究を進めるべきなのか、そして、ゴールはどこにあるのか、そこをじっくり議論したいと考えています。