問い「“引き寄せの法則”とは」
http://hasunoha.jp/questions/241

【ご質問内容】

簡単に言うと、“考え方や本当に思い込めばその通りになる”ということらしいです。

量子物理学的に「思考は現実化する」という学者もいたりします。

言葉に発するなどはできるのですが、心に思い込むというのはなかなか難しいですし、どうしても悪いことや嫌な事、嫌なニュースに怒りを覚えたり、他人を妬んだりうらやんだり。マインドコントロールでもしない限りそんな人にはなれない気がします。

プラス思考は大事だと思いますが、そんな四六時中プラス思考になることなんてできるのでしょうか。嫌なことから目をそむけ、ある意味思考を停止して単純思考にならないと難しいと考えます。

量子物理学、プラス思考、コントロールとなるとなんとなく胡散臭く感じてしまいます。

そもそも“引き寄せの法則”という考え方は仏教にはあったりしますでしょうか? 

教えて! お坊さん!

【拙回答】

「成功哲学」と「仏教」

川口英俊でございます。問いへの拙生のお答えとなります。

「引き寄せの法則」、あまり聞き慣れない言葉でございますが、「成功哲学」の思想に分類されるのではないかとは存じます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/成功哲学

個人的には、その「引き寄せの法則」を仏教の業(カルマ)論と関連して考えてみることも面白いかもしれないかとは存じましたが、そもそも「成功哲学」の目指す「成功」と仏教が真に目指す「成功」、つまり、「悟り・涅槃」とは目指すところが全く違うものとなります。

成功哲学は、あくまでも世間的価値観からの成功、例えば、お金や権威や利権、名誉・称賛を得たいとするところがあり、利得・享楽事を扱うことから、当然に無明(根本的な無知)・煩悩(悩み煩い、代表としての百八つが有名)・悪業(悪い行為、あるいはその積み重ね)へと繋がるのも必定であり、仏教からは気を付けて扱うべきこととなってしまいます。

但し、例えば、しいてにて、「本当に思い込めばその通りになる(できる)」ということを仏教的に当てはめて考えてみるとするならば、仏教では慈悲・利他行を行うための心の状態を保つことについて、いつでもいかなる時でも、悪い煩悩が出ることなく、慈悲に基づいた言動ができますようにとして、慈悲の瞑想を繰り返し、繰り返し修習することにより、やがて己の損得勘定という計らいを捨てて、煩悩に毒されることもなく、慈悲・利他行を円満に進めることが求められることにはなります。

先日のJR横浜線踏切事故で男性を助けて電車にはねられて亡くなられた村田奈津恵氏は、困っている、苦しんでいる人がいれば、到底見過ごすことのできない優しい温かい慈悲の心を常日頃から保っておられた方であるからこそ、あの場面でも自分の損得勘定を抜きにして、救助行為に出られたのではないかと恐れながらにも推察申し上げます。日々自分の損得勘定にばかりとらわれてしまっている拙生では難しいことであり、恥ずかしく思う次第でございます。村田奈津恵氏の救助行為は誠に菩薩の慈悲・利他行と言っても過言ではないかと存じております。心からのご冥福をお祈り申し上げますと共に、いずれはそのように己の損得勘定という計らいを捨てて、慈悲・利他行を行うことができるように調えて参りたいものでございます。

川口英俊 合掌

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