はたともこメルマガ-8.集団的自衛権、沖縄、日米地位協定、平和安全法制第22号
マティス国防長官来日/トランプ政権と日本の安全保障政策について
2月3日~5日、トランプ政権のマティス新国防長官が、就任後初の外国訪問として、韓国と日本を訪問しました。
日本では、2月3日午後に横田基地に到着後、米軍ヘリで都心に到着し、首相官邸で午後5時35分から約50分間、安倍総理を表敬(会談)、菅官房長官と約15分間会談、午後7時から約50分間、外務省で岸田外務大臣と会談しました。翌日、2月4日午前9時15分から約85分間、防衛省で稲田防衛大臣と会談しました。
一連の会談で、マティス国防長官は、日米同盟の重要性を強調、「1年前、5年前と同じく、日米安全保障条約第5条(日本国の施設の下にある領域における、いずれかの一方に対する武力先、10年先も変わらないだろう」と述べました。
また、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国による東シナ海・南シナ海の情勢についての認識を共有し、尖閣諸島は日本の施政の下にある領域であり、日米安全保障条約第5条の適用範囲であり、米国は、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動に反対する、と表明しました。
普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策であることを確認した、と安倍総理や稲田防衛大臣は述べましたが、日本側が確認を求めたのではないかと、私は思います。沖縄も熟知しているマティス長官が、辺野古が唯一の解決策と、今更、強調するはずがないと思うからです。翁長知事がワシントンで述べたように、辺野古強行となれば、沖縄の米軍基地全体、米側にとっては特にダイヤモンドのような存在である嘉手納基地までも、批判の矢面に立たされることになるからです。
いずれの会談でも、米軍駐留経費負担は議論にならず、稲田防衛大臣との会談後の共同記者会見で、マティス長官は、「日本はコストや負担の共有に関してモデルとなってきた。他国が見習うべきお手本だと言える」と評価しました。
総じて、日本政府から見れば100点満点の会談に演出できたようです。報道によれば、マティス長官は、安倍総理に対し、「我々は100%、しっかり肩を並べて首相、そして日本国民を支持していく」と語り、安倍総理は、アジア・太平洋地域における米国の関与の重要性を指摘し、その上で、日本も自国の防衛力を強化していくと伝え、「自ら果たしうる役割の拡大を図っていく」と述べた、ということです。
私は、安倍総理が言う、自国の防衛力の強化について、GDP比1%枠を超えて防衛費を増額することと、集団的自衛権の行使には反対です。日本は憲法9条を守り、専守防衛に徹するべきだと思います。
私が提案したいのは、まず第一に、RCEP(東アジア地域包括的経済連携(ASEAN10カ国+6〈日中韓印豪NZ〉)やAPEC(アジア太平洋経済協力)の枠組みで、自由な経済活動の重要な基盤である航行の自由を確保し、中国が東シナ海や南シナ海で国際法違反などのルール違反をすれば、経済制裁することをルール化することです。中国包囲網を作るのではなく、中国も参加する枠組みの中でルール化するのです。
また、日本は、東アジアやインド洋での海賊行為や麻薬取引などの取締り・摘発のために、海上保安庁の能力を充実強化して、国際警察活動を強化し、RCEPの参加国に対しても、沿岸警備力の強化に貢献すべきだと思います。
さらに、ODA活動を強化して、各国の食料自給力の強化、健康医療、貧困対策、森林の保全などに協力すべきだと思います。トランプ大統領が提案するシリア・イエメンでの難民の安全地帯safe zone設置への協力も検討すべきだと思います。
外務省HP
●マティス米国国防長官による安倍総理大臣表敬
http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/st/page3_001984.html
●岸田外務大臣とマティス米国国防長官との会談
http://www.mofa.go.jp/mofaj/na/st/page3_001983.html
防衛省HP 日米防衛相会談の概要
http://www.mod.go.jp/j/press/youjin/2017/02/04_gaiyo.html