皆様ご無沙汰しております。秦智紀(はたとものり)です。

久々のブログですが、あまりにも衝撃的というか悲しいニュースが飛び込んできました。
K・アロー氏が死去 ノーベル賞経済学者

経済学をほんの少しでも勉強すれば誰でも知っているケネス・アロー氏が2月21日亡くなられました。私が尊敬する経済学者・安田洋祐先生もご自身のブログでもケネス・アロー教授を「20世紀最高の経済学者、超人ケネス・アロー教授」と形容するほどです。

彼が経済学に与えた主要な業績は 計り知れないものがあります。例えば、非線形計画法・線形計画法、社会選択理論、一般均衡理論、内生的成長理論、情報の経済学などです。一分野一専門家というくらい難しく深い内容のものをケネス・アロー教授は業績を上げ、理論的な拡張をしたのです。

特に経済学を勉強した方ならば、ご存知の方も多くいるかと思います。アローの不可能性定理があります。これは厳密な定理を読むと難しいものですが、簡単に説明をしますとアロー教授は、民主主義社会において要求される集合的意思決定ルールが最低限備えるべき条件として4つあると主張しました。

1、定義域の非限定性 (普遍性、広範性):個人の合理的選好順序がどのようなものであっても、これに対応する社会的な選好順序を導き出さねばならない(個人の選択の自由は制限されてはならない。個人の可能なすべての選好順序は受け入れられなくてはならない)。

2、全会一致性 (パレート原則):任意の選択対象、a、bについてすべての個人がa>bであれば、社会的厚生順序はa>bでなければならない(社会の構成メンバーが、a>bという選好と、a=bという選好を持っている場合に、ある個人がa=b という選好から、a>bという選好に変えたときに、社会の厚生水準は減少することはない)。

3、無関係な選択対象からの独立性:2つの選択肢に関して、すべての個人が同じ選好順序であれば、社会的な選好順序も同じでなければならない(社会的な選好順序の決定には、社会を構成する人々によってのみ決定され、集団外の人々が押しつけようとする「公共の目的」に配慮する必要はない)。

4、 非独裁性:集団内には独裁は存在しない。


『少なくとも3つの選択対象があるものとすれば、上記4つの条件をすべて満たす集合的意思決定は存在しない』 と以上のような民主的意思決定ルールにおいて、アロー教授は次の定理を証明しました。

上記のように、明らかに合理的な条件を満たすとしても、個人の選好を集計するとき、集団としての決定に矛盾が生じないことを保証することができない。つまり、投票の手続きが公正ならば、結果はパラドックスとなる可能性があることを論証しました。 

昨年から日本では18歳選挙権が施行され、自由で公正、民主的な選挙と選挙後の政治の行動や言動などがいかに重要なのかアロー教授の死によって考えさせられました。