諸事情により

申し訳ございませんが、
2010年12月号はお休みとさせていただきます。

鳩ヶ谷フェスタとフラメンコ

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 秋のフェスタ的屋も見てるフラメンコ 百鬼




 フラメンコ露店の匂ひかき回し 同




 去る10月16、17日と鳩ヶ谷では秋祭があった。うちの薬局の管理薬剤師、つまりボクのカミさんは、フラメンコの先生でもあって。この町唯一のフラメンコ舞踊団「ボニータス」を率いている。ここ3年、秋になるとオファーがあって舞台に引っ張り出され、4曲ほどを踊る。ついでにボクも司会などやらされてしまうのだが、舞踊団の皆さんもだんだん場慣れがしてきて見られるようになってきた。
 メンバーは町内の居酒屋のママさんもいれば、喫茶店の店主もいる。専業主婦から子育て真っ最中の忙しいお母さんもいて、環境は厳しいものがあるのだが、皆さん熱心で週1回の公民館での練習にはほとんどが出てくる。
 フラメンコという踊りが本来持っている魅力なのだろうが、日本人好みの踊りであるらしい。というのは、フラメンコ人口(踊る人と観る人の総計)は本国のスペインに次いで、ダントツで日本なのである。もとを辿ればフラメンコはジプシーの踊りで、ジプシーの発祥はインドなのだから、同じアジアの血が流れていることになり、西のスペインに流れたものもあれば、東に流れて盆踊りになった、と極論する研究者もいるくらいだ。フラメンコ同祖論だ。そんなわけで3年前に生まれたこのフラメンコ同好会はすこぶる順調に育っている。難を言えば男性と子供がいないことなのだが、これは仕方のないことだろう。
 この16日、秋祭りに踊り手として参加したうちには、入会2週間のMさんがいた。どこで聞きつけてきたのか、突然、薬局に飛び込んできた彼女が、わたしも秋祭りに出たいと申し出て驚いたのだが、聞いてみるともう8年もフラメンコをやっているそうで、カミさんに言わせると型はできているとのことで出てもらった。結果はオーライ。堂々とした踊りっぷりであった。祭りの後、彼女のご主人と子供さんとも食事をしたが、ご主人はペルーの方で、なんとサルサを踊れるのだそうだ。サルサからフラメンコに転向してきたYさんなど、これを聞いて色めきたってしまった。踊りの取り持つ縁だが、馬鹿にしてはいけない。たかがフラメンコ、されどフラメンコだ。
 最初にあげた二句は、その時の句であるが、出来はよくない。五七五のなかに「フラメンコ」というカタカナの五文字を取り入れてしまうと、どうしても残りの部分が窮屈になってしまう。まあ、自分の腕の未熟さの成せる業なのだが。
 日本の祭りにあまり馴染みのないフラメンコだが、各商店会の模擬店や露天商の屋台から流れ出す焼き鳥や焼きそば、焼烏賊の猥雑な匂いと、予想以上にいいコラボレーションを醸していたのには驚いた。

花水木句会

 酷暑の夏の後に急に秋がやってきた。こういう時、気を許すと病が忍び込んでくる。皆さん、くれぐれもご注意のほどを。

 俳句の楽しみのひとつに句会がある。
 この鳩ヶ谷にささやかな薬局を開いたとき、何か地域の健康に寄与できればと考えた。大げさなことは出来ないから、身の丈に合ったことで何かできないか。たまたま俳句を始めていたので、脳の活性化に役立ちそうだと思い、句会を開くことにした。初めはハトポッポ薬局なので、その名をとってハトポッポ句会としたが、一年ほどで花水木句会と変更した。店の前の通りの並木が花水木だったからだ。こっちのほうが句会の名前としては、趣があって好評だった。
 通常の句会は、連衆が蕎麦屋さんや寿司屋さんに集まって、そこで飲食をともにしながら行うのだが、今やネットの時代。ネットを使った句会が手軽でかつ安上がり? ということで、ネット句会の形にした。そのため連衆は遠くは奈良県、宮城県の方も参加した広範囲なものになり、月一回、休むことなく二年あまり続いている。
 句会は難しい約束事があるわけではない。兼題という季語を決めて、一人五句とか七句を期日までに投句する。それを誰の句かわからないようにシャッフルしてしまい、それぞれがこれぞと思う句に投票する。江戸時代から続いているやり方だ。投票後、取りまとめ役が、計算して高得点者を発表するというわけだ。まったくのお遊びである。

 つい先月の句会を載せさせていただく。
 兼題は「案山子」「白露」「燕帰る」「萩」が一句ずつ、その他三句が自由で、計七句の投句だった。

新刊の広告多し白露かな 昭
秋萩やあの山裾へ会ひにゆく サンド
はぎすすきききようなでしこ子捨川  百鬼 ○○
白露かな大地に雨の滲みとほり 坐高                    
レアリズムシュールも案山子受けとめて やまもも
暁の四季の移ろい白露かな 涼 ◎昭特選  
鳥威し七色へ空ひらめかす やまもも
この田んぼ守って見せると案山子かな 涼 ◎坐高特選   
忘れじと白き腹見せ帰燕かな 百鬼
隣家の屋根照り返す白露かな サンド
昨夜の雨洗ひし空の帰燕かな 坐高 ◎◎○やまもも・百鬼特選《5点》
燕帰る単身赴任の子は遠く 昭 ○
白露や草に染まらず風の色 やまもも ○○○
遠方へ赴任する子や秋つばめ サンド ○
燕帰る帰る家無き子らの増え 涼 
ちちははと思ひて案山子立てる夕 百鬼
良寛のひらがな萩の花こぼれ 坐高 ○○○
長雨や馬に食わする萩の枝 昭
露の世の朝を白露といふ泪 百鬼
ややこしい話の先の案山子かな サンド ○○
磔刑のごとき案山子でありにけり 坐高
燕帰る人より産土神去れり やまもも
老犬の一瞥ありて初案山子 昭
萩散るや沼辺に憩う番い鴨 涼
朝顔や朝の門扉のさわやかに 涼
浅けれど心をうがつ萩の紅 やまもも ◎涼特選
満月や娼婦のやうなハイヒール サンド ○○
片雲に呼びかく如く紫苑咲く 昭
余命知りしこころのほどや鰯雲 坐高 
秋旅や信州上田のみすゞ飴 百鬼
美鈴なる信濃秋草満ちる夢 百鬼
父と子に淋しき花や吾亦紅 サンド
身に入むや待合室の花籠も 坐高
電線にたわわに群れて去ぬ燕 やまもも
老いてなほ恋句三行西鶴忌 昭 ◎○○サンド特選《4点》
苦きこと忘れ余生や初秋刀魚 涼 ○○
ポン菓子のポンと弾けて秋うらら 涼 ○○○
新涼のすとんと背中降りてくる 坐高 ○
鳥渡る燈下に古りし羽根箒 百鬼
声高の人多かりき敬老日 昭
綿を取る歴史民族資料館 やまもも
あはれさはその名にありて藤袴 サンド 

《5点句》 昨夜の雨洗ひし空の帰燕かな 坐高
《4点句》 老いてなほ恋句三行西鶴忌 
《3点句》 白露や草に染まらず風の色 やまもも
      良寛のひらがな萩の花こぼれ 坐高  
      ポン菓子のポンと弾けて秋うらら 涼 

 さて、あなたならどの句を選びますか。

◎は特選句で二点を貰うことができる。皆さん、俳号を持っているが別に俳人を気取っているわけではない。江戸期に発生した俳諧の句会は階級社会なので、句会には武士も町人も百姓もやってくる。句会では皆平等である。浮世の名前を捨てて、句会を楽しいものにする工夫だったわけだ。ちなみに百鬼は私の俳号である。
 今回は坐高さんの成績がよかったが、いつもそうなるとは限らない。いい時もあれば悪い時もある。得意な兼題もあれば、そうでないときもあるからだ。
 これが花水木句会だが、もしご興味があればご参加は自由。ご連絡いただければご案内をいたします。ただし当句会は、いくら高得点を取っても景品はでません。名誉だけの句会です。悪しからず。

このお盆休みは

 このお盆休みは、那須に逃亡した。
 那須で出来た句。もちろんその出来を期待されては困る。下手な横好きなだけ、自己満足なだけなのだから。
 気が付いたら63歳になっていた。

 うかうかと六十三や法師蝉  百鬼

 那須温泉の奥に鎮座する温泉神社にお参り。ここにはあの那須の余一の奉納した石の鳥居がある。芭蕉の奥の細道の句碑もある。御神籤を引く。大吉出る。

 山みどりに上上吉の神籤かな  百鬼

 曾良の後離れて吾も夏那須野  百鬼

 湯治場の足湯涼しき振るまひ茶  百鬼

 その昔、芭蕉と曾良のふたりは、この那須野から白河の関を越えてみちのくに入っていった。空に浮かぶうろこ雲、二人連れが那須の野をてくてくと歩いてゆく。その後を少し離れて僕がついて行く姿が見えた。勿論、幻想の風景だが、そんな気がする夏の昼だった。
                   ※
 俳句は作るのも楽しいが、他人の句を読むのはもっと楽しい。
 毎日、いい句を探しては句帖に書きとめる。
 夏といえば海であり、水泳である。今日はこんな句を見つけた。

 夫泳ぐ私の中の深い海  上原恒子

 夫は「つま」と読む。句の解説ほどつまらないものはないのだけれど、まったく分からないのもまたつまらない。この方は八十歳半ばにして水泳の達人。水泳は亡くなったご主人に仕込まれた。ご主人は昔、水泳の選手。亡くなった今も、夫は私の中の深い海を泳いでいるというのだ。愛とか夫婦の絆というような浮薄な言葉は使いたくない。深い海という措辞から、豊かでみずみずしい情感があふれてくる。この方のご主人がお亡くなりなった時の一句。

 抱かれし人の骨抱く寒さかな  上原恒子

 こういう句に出会った日は、よかったなあ、としみじみ思う。
プロフィール

昭和二十二年、長野県生まれ。
生後すぐに埼玉県上尾に移転。
学生運動によって大学追放。就職先なくやむを得ず出版界に入る。
編集プロダクションを経て東邦出版を買収。
隠居して現在、会長。
連れ合いの強い要望で、2年前にハトポッポ薬局開設。
同時に俳句にのめり込み、日々のルーティンワークの渇を癒している。


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