この年になっても・・・!

 この年になるまで・・・どの年だ!と言われると困ってしまうのだが、
私はまだあの「ふかひれの姿煮」を食べたことがない。
食い意地の張っている私を知っている友人たちは
「えーっ、信じられない!」
そういうのも無理はない。
恥ずかしながらこの私、
どこそこの「アレが美味しい」と聞けば「食べたーい!」
「お薦めのレストランのランチ」は「ゼッタイに行かなくっちゃ!」
満面の笑みで「まいう~」を連発する石ちゃんの食レポに踊らされて、
(どこが「まいう~」なんだよ!ってだまされたこはあるけど・・・)
性懲りもなく「テレビでやってたの。評判の店、行こうよ!」
年に何回か集まって、女子会ランチする幼友達4人。
「だから、こうなれば食べに行くっきゃない!」
こうなれば・・・と言われても、
何がどうなったのかよくわからないまま、
来週のランチは「ふかひれの姿煮!」に決まった。
「横浜中華街へいこうよ」
「華正楼新館は店内がゴージャスなの。ふかひれの姿煮は時間をかけてゆっくりもどして、煮込む白湯も専用のものを使い正式な手順で作られてる
からおすすめよ」
「うん、いいね、いいね」
そこまではよかったのだけれど・・・、
私の「長嶋茂雄が食べた店のふかひれの姿煮」発言で話がさきに進まなくなった。
「えっ、えー?」
だから何回もいってるじゃない「あの」って。
「長嶋茂雄が食べたって、いつの話よ」って言われてもなあ。
だいぶマエだけど・・・それがなにか?
もしかして、私がふかひれの姿煮を食べたことがないって思った?
残念でした。食べたことあります(そんなに高級じゃなかったけど・・・)
だから私が言ってるのは、「あの」なんだってば。
「で、その店の名前はなんて言うの?」
「それが思い出せないのよ。なんだったっけなあ?」
「聘珍楼?、重慶飯店?」
「ううん、ちがう、ちがう。銀座?赤坂?・・・だったかなあ?」
「もう、どこでもいいじゃない。わかってもそんな高級なお店で私たちには贅沢すぎて無理!」
と、ちょっぴりイラついた顔のWちゃんに却下された。
そりゃあそうだよなあ。
たしか「あの」お値段、2万円だった(高っ!)
やっぱりちょっと贅沢かもなあ。
でも、それを食べた長嶋茂雄の美味しそうな顔と
「どうだまいったか!」みたいに大皿のなかに鎮座するふかひれの姿が・・・。
「わかった、わかった、そのお店の名前を思い出したら行こう」
なんだかんだと言いながら、
「ねえ、芸能人もお忍びでくる行列のできる店だって。ここどう?」
「いいじゃん、飲茶食べ放題、最高!」
と言うことで身分相応に、
私たちの女子会ランチは中華街の「横浜大飯店」になった。
「こうなれば、ワタリカニの四川風炒めも車海老のチリソースも、食べるぞー」
でもなあ・・・(いつかはあの店のあれを食べたいなあ)
この年になっても・・・
まだ、食い意地とミーハー精神があることがちょっと嬉しく、梅雨の空を眺めた。
(えいこ)

今日が人生最後の日だとしたら!

 なにか面白い本がないかなあーと買い物のついでに立ち寄った本屋。
ベストセラー6万部突破!
『今日が 人生最後の日だと思って生きなさい』(ホスピス医・小澤竹俊)
ああ、彼が言っていたのはこの本のことか。
彼曰く「死を意識して初めて、『大切なものたちと過ごした日々』の価値に気づいた」のだそうだ。
彼は心臓リハビリ仲間の一人で、いつも元気で話好き!
(饒舌過ぎる?のがたまにキズだが)、ともすれば病に沈みがちな人たちの気持ちを元気にしている。
「昨日さあ、よくこの数値で生きていられるねって医者に言われちゃったよ」
まるで人ごと見たいに、アハハハハといつもの明るさだ。
そんな様子だから彼の本当の病状を知る人は少ない。
でも腎臓も心臓もすごく悪いらしいのだ。
本人もその自覚はあるらしいのだが・・・認めたくない(その気持ちは私にも分かる)
「冗談じゃねえよ。このままじゃ年内もつかどうか?なんて脅かすんだよ」
並んでリハビリのバイクを漕ぎながら、強気とも弱音ともとれる声でぶつぶつ。
「今、元気なうちに手術をしましょう」
「もう少し考えさせてくれ」
先日、頑なに拒み続けていた心臓手術をやっとする気になった。
手術の日が決まって、
「これでみんなに会えるのも最後かも・・・ハハハ」
必要以上にテンションあげてあちこちみんなに挨拶をしまくってる。
ああ、彼はきっと怖いんだろうなあと感じながら、
冗談まじりに「あっちの病院の看護師さんにやさしくされて、もっと入院したいなんて言わないようにね。手術の成功をいのってるから」
私だって他人事ではない。
自慢じゃないが循環器、腎臓内科をハシゴしてる売れっ子?患者だ。
「私たち、いつ何が起こっても不思議ではないよね」
そう言う合う相棒のMもジストという難病と闘っている。
二人とも病気ではあるけれど、
友人たちから「病気だとは信じられない」といわれている。
そう、私たちの美点は、「あまり深刻には考えない楽天家」
(前向き思考!と言ってほしいなあ)
私が通っているリハビリセンターで頑張っている60代のおじさんがいる。
その脳梗塞の後遺症で左半身マヒのおじさんの望みは、
「もう一度、自分の足でトイレに行きたい」。
当たり前の日常のどんなに幸せで大切なことかわかったと言う。
私はいま、人生の最終段階の中で「死」というものを意識するときがある。
それなのに『今日が人生最後の日だとしたら、どう生きたいか』と問われたら、
う~ん、??・・・答えが見つからない。
今日が人生最後の日だとしたら、私はどう生きたいだろうか。
毎日年がいもなく能天気に生きている私には、
この課題はあまりにも重い!
『必ず生きている意味があります。
今は、自分の価値に気がついていなくても、
もし、明日が人生の最後の一日だと思えば、果たすべき役割が見えてきます』
「ただいまー!」孫娘のまあやが学校から帰って来た。
「おかえり!」
そうか!私にはこの愛する娘をそだてる役割があったんだ!
命が終わりかけたとき、その人が生きた意味がわかるという。
私の人生「今日が人生最後の日」だとしたら・・・この娘の幸せを祈りながら、
ただただ、ぎゅっーと抱きしめていようと思う。
(えいこ)

女の旅は、気の向くままに!

春まさにたけなわ。
ここかしこに吹く風も桜色から若葉色に染まって見える。
ああー気持ちのいい風だなあ~。
グットタイミングで友人からお誘いの電話。
「秩父の羊山公園の芝桜が見ごろだって。行こう!」
この彼女は、自動車教習所でたまたま隣になって
「あの教官は怖いって評判なのよ。なかなかOKくれないんだって」
「うわー、ヤナ奴!」
なんて陰口をきいていた仲間で、かれこれ35年の付き合いになる。
もちろん年下(といっても立派なおばさんだけど)
「お姉さまに運転はさせられません」(もしや、私の運転じゃコワイ?)
早朝8時。快晴。
彼女の運転する車で、羊山公園をめざしてルンルンでGO!。
「見てみて、富士山!」
「ああ、よそ見しないで!脇見運転はあぶないから」
「はいはい、年寄りらしくのんびり行くから」
「『老女の運転で自動車事故!』なんてイヤだからね」
口ではそう言ったけど、実はそんなに心配はしていない。
だって、彼女は免許1発合格。
それに比べて自慢じゃないが私は3回も仮免を落ちた身だ。
弁解させてもらうと、運転がヘタで落ちたんじゃなくて「縦列」が出来なかったからなんだけど・・。
「それが運転がヘタってことだよ。今、免許取れたらその方が心配だよ。まあ、ゆっくりやればいいさ」
そのときの夫の、慰めとも励ましともとれる言葉のうらに、呆れ顔が見え隠れして・・・(くやしいぃ!)
42歳、仮免4回目で無事に運転免許を取得した(今でも縦列は苦手だけど)。
車は快調に関越道へ。
前方に「川越10キロ」の標識が見えてきた。
「私、川越って行ったことがないのよ」と彼女が突然言いだす。
そうか、川越もいいかも。火事で焼けた菓子屋横丁も再建されたと言うし。
「じゃぁ、行く?」
「でも、羊山公園は?」
「いいじゃん、またの機会で。川越も楽しいよ。行こう、行こう」
風の吹くまま、気の向くまま、能天気な女2人に躊躇はない。
「花より団子、芝桜を蔵の街の食べ歩きに、予定変更だ!」
車は急きょ関越道に別れを告げて、川越市街地に向かう。
(あくまで羊山公園に行かそうと必死にルートを検索するナビよ許せ)
喜多院のPに車をとめ、まずは、川越大師喜多院から散策を開始。
シルバー人材センターの観光ガイドさんの案内で、徳川家とのゆかりの深さを知った。
全部で538体あるという五百羅漢。
羅漢さんたちの、表情は慈しみあり、ユーモアもあり、見あきない。
川越には「蔵造りの街並み周辺」「川越城本丸周辺」「喜多院周辺」「川越駅周辺」など4つの観光エリアがあって、それぞれのエリアはどれも魅
力的だ。
「ねえ、お昼はどこで食べるの?」
「じゃぁ、蔵造りの街並み、一番街に行ってそこでご飯をたべよう」
蔵造りの街並み、一番街は、川越の中心にあって現在も20棟の蔵造りが軒を連ねている。
「平成11年に、重要伝統的建造物群保存地区に選定されたんだって」
大正ロマン風の衣装の若い女の子たちや外国の老夫婦などで賑わっていた。
川越初体験の彼女は、趣き深い蔵造りの街並みに感激しきり。
「電柱がないから、空が広いね」
彼女ったら、老舗の亀屋で最中を買い、蔵づくり本舗でまたまた最中を買ってる。
(おいおい、そんなに最中ばかり買ってどうするんだ)
小江戸川越ならではの魅力ある商品がいっぱいあって、あち、こちの店を覘いてたら時間を忘れる。
「あら、もうこんな時間。お昼にしよう」
口コミで人気の「えぷろん亭」で『川越散歩御膳』を食べる。
「川越のうなぎも美味しいのよ」
「じゃぁ、この次は、うなぎを食べよう」
蔵造りの街並みを満喫して、すっかり川越が気にいったようだ。
「また来ようね」
女の旅は、気の向くままに!・・・楽しい春風の一日だった。
(えいこ)
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