ハト豆エッセイ

 「どうして日本人は緑色のゴーヤを食べるんですか」とベトナムの留学生が言います。

正式名称はツルレイシ。早い話が一般名称はニガウリ、ゴーヤ。ゴーヤの名称が一番なじみ深いでしょうか。日本では沖縄や奄美などがゴーヤのふるさとであることは皆さん、よくご存じのことです。沖縄出身ではありませんが、九州南部の出身なので、熊本県の南部や鹿児島県では、ゴーヤは幼い頃から身近にあった食品でした。ゴーヤの料理というと、ゴーヤチャンプルーが有名ですが、母がよく作ってくれたのはゴーヤの味噌炒めでした。その頃はご近所に沖縄出身の人たちも多く住んでいたし、ゴーヤという名称よりもニガウリと言っていました。母のゴーヤの手料理は子供心にも少々苦みを伴ったゴーヤの味とともに、故郷の懐かしい思い出の一部となっています。個人的にはゴーヤはマイ・ソウルフードの一つとも言えそうです。

ゴーヤが沖縄や九州のローカルなソウルフードから日本全国的になったのは2001年からだと言われています。沖縄県の小浜島や沖縄本島を舞台にしたその年のNHK朝ドラ「ちゅらさん」から火が付き、番組でも登場した擬人化マスコット「ゴーヤマン」がゴーヤを全国区にしたと。今でこそ本州でもゴーヤが栽培されるようになり、夏バテに効く健康野菜、ダイエット食品などと人気を呼び、夏場の日々の食卓をにぎわしています。

昨今は地球温暖化、環境問題、省エネルギーの見地から日よけ、グリーンカーテンにヘチマ、キュウリやアサガオなどと並んで、ゴーヤが利用され、夏の間、窓を緑陰豊かに縁取り、日差しを和らげてくれています。実ったゴーヤは緑色のうちに採集され、ゴーヤチャンプルーなどに料理されて皆さんを喜ばせています。環境にもやさしく食用ともなり、一挙両得となると、ゴーヤはシナジー効果に・・・。

ゴーヤは熱帯アジアが原産地と言われますが、日本だけではなく、中国、台湾、ベトナム、タイ、インド、マレーやスリランカなどでもアジアの広範囲にわたって食されています。炒め物、蒸し物、スープ、揚げ物、カレーの副菜やお茶など多彩な利用法で歴史的・伝統的に食されてきました。ゴーヤを緑色のうちに収穫して調理する国々もあるのでしょうが、ベトナムの留学生たちは「ゴーヤの食べごろは黄色く熟してからでしょ。日本人は何で完熟していないまずい時期にゴーヤを食べるんですか」と怪訝(けげん)な顔をしています。

はて、日本の皆さんたちはいかがでしょうか。日本では緑色の時期の利用が多いのでしょうが、ゴーヤが黄色く完熟して赤くなった実がダイエット食品としても利用法に。この赤い実にリノール酸の1種が含まれていて、サラダやジュースに入れて美容や健康、ダイエットに効果が期待できるとやら。はて、いかがでしょうか。
(みえこ)

本業の仕事で専門職として留学生に日本語を教えていますが、先日、上級クラスの授業で「猛獣」という語彙が出てきました。猛獣とは性質の荒い肉食獣と一般に定義されています。例えば、学生からライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、クマなどが猛獣として挙げられます。ゾウが挙がった時、首をかしげる学生も。ゾウは穏やかな気質も持っているし、運送、観光などに役に立っているから猛獣扱いはおかしいというのです。さらに、パンダが猛獣かという問いに、中国の学生たちが「猛獣ではない」と言います。しかし、他の国の学生たちが「確かにぬいぐるみみたいにかわいいけど、野生のパンダは猛獣じゃないの」という反応を示すと、中国の学生たちが俄然反発し出します。

パンダと言っても、この話題の対象となっているパンダはもちろんレッサーパンダ(熊猫)ではなく、ジャイアントパンダ(大熊猫)のこと。レッサーパンダが猛獣ということはないでしょう。今は亡くなりましたが、レッサーパンダも日本でもあの立ちポーズで一躍人気者となった風太くんの例などアイドル並みの扱いです。ジャイアントパンダはさらにそれを上回るアイドル級の人気で、中国政府は国際親善や外交にパンダを活用しています。日本ではとりわけ上野動物園のジャイアントパンダの動向は常に国民的関心事になっているほどです。最近などメスのジャイアントパンダ「シンシン」に赤ちゃんが誕生したニュースがメディアをにぎわしています。

300万年前には現在のべトナム、ミャンマーから北京に至るまで広範囲にジャイアントパンダが生息していたようです。そんな話に、ベトナムの学生は「うっそー」「聞いたことあるなあ」と言います。中国の学生は「今、パンダは四川省・陝西省など限られたところしかいませんね」と応じます。竹食などの草食傾向が比較的高い雑食性の大型哺乳類のパンダ。大昔から生態を変えず現代まで生き抜いて「生きている化石」とも言われることも。

四川省で野生パンダが民家に侵入し、子羊を盗み食いしたことがあったり、北京動物園や河北省邯鄲市動物園のパンダが来園者を襲った例もあるらしいです。北京動物園の「グーグー」に至っては3人の来園者にかみつき、負傷させています。パンダの目はその模様のために垂れ目に見えますが、実際は小さく上がり気味で鋭い目つきだということです。そうした話に、「やっぱりパンダは猛獣だ」「パンダはクマやトラと同じように猛獣でしょ」と他の国の学生たちは口にします。それでも、中国の学生たちは「パンダは猛獣ではない」「猛獣だったら、国際親善には活用しないよ」と頑張ります。

はて、日本の皆さんたちはいかがでしょうか。報道によると、上野動物園のパンダの赤ちゃんはすくすくと育っており、小池百合子都知事は9月には一般公募で名前を広く募集するとおっしゃっているようですが・・・・。
(みえこ)


本業の仕事で専門職として留学生に日本語を教えていますが、この間、上級クラスで比較的大きなテストが行われました。問題の中に日本語で短作文を作る問題があり、韓国の学生が「蜚蠊」という漢字を使っていました。採点しながら、教師間で「この漢字、何なんでしょうね」「何でまたこんな難しい漢字をテストで使っているんでしょうか」「文法的にはこの文作りの問題はクリヤしていますが、この漢字は・・・・」「マニアックな字を書きますねえ」などさまざまな話が飛び交います。「蜚蠊」は早い話が「ごきぶり」「ゴキブリ」です。

ゴキブリは昆虫とはいえあまり歓迎されていないようで。日本語学校の教室でもたまに小さな茶色いゴキブリの姿が。「あれー」「きゃー」などと女子学生たちが口にします。教師が処理しようとすると、その前に同じクラスの男子学生がティッシュペーパーでさっとゴキブリを捕まえてゴミ箱にポイと。その男子学生はちょいとしたヒーローに。こうした教室の日常のひとこまや留学生たちの反応からも、ゴキブリは日本だけではなく学生たちの母国でも嫌われている事情が垣間見えるようです。

女子学生たちに悲鳴をあげさせたこの茶色い小さなゴキブリはチャバネゴキブリです。東南アジアが原産国と言われ、冬でも冷暖房完備のビルなどで生息し、殺虫剤にも抵抗性を持つとも。飲食店厨房内に多いと言われるのもこのチャバネゴキブリです。この他に、日本には大型の黒くて光沢のあるボディの黒いゴキブリも。クロゴキブリです。一般家庭からゴミ置き場やマンホールのふたまで多様なところでお目にかかります。お目にかかりたくないものですが・・・・。おまけに、ヤマトゴキブリ、ワモンゴキブリ、キョウトゴキブリ、トビイロゴキブリなどまで日本にいらっしゃるようです。

忌み嫌われ、不衛生の象徴ともなり、悪い意味での「しぶとさ」の代名詞となっているゴキブリたち。日本人も多くはゴキブリをよしとしていませんが、調査によると日本人以上にアメリカ人も嫌っているとのデータも出そろっているようです。しかし、世界的には害虫扱いばかりされているわけではなく、ペットや食用にされているところもあるそうな。

ゴキブリは約3億年前、古生代から絶滅せずに生き残った「生きている化石」と言える存在。そうしたことから「人類滅亡後はゴキブリが地球を支配する」とも言われていますが、地球温暖化等、環境問題のさらなる進行で人類の未来、「蜚蠊」(ゴキブリ)さんたちの未来、地球の未来はどうなるんでしょうか。
(みえこ)

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