シャーク・フィーディング

ボラボラ島7  ホテルには様々なアクティビティが用意されていたのだが、とにかく価格が高い。一番高額なのは無人島へのプライベート・ピクニックだったと思うが、残念ながら幾らだったのかは忘れてしまった。
 私が参加したアクティビティは、二つ。別に記したボラボラ島バスツアーと、今回紹介する「シャーク・フィーディング」である。シャーク・フィーディングは、島の周囲のラグーンをボートで回り、泳いだり熱帯魚を見たり鮫の餌付けをしたりするものらしい。アクティビティ・デスクで参加を勧められ、また価格も手頃だったので、申し込んでみた。

 翌日の昼過ぎ、ホテル正面の桟橋から、十数名ほどのゲストとともにボートに乗り込む。ボートの乗員は二人で、うち一人はギターを持っており、移動中、現地のものと思われる歌を聞かせてくれた。また、乗客の半分以上を占めていた日本人を楽しませるために加山雄三など歌ってくれたのだが、ボラボラ島で聞く「君といつまでも」は、正直、ありがた迷惑だった。

 さて、餌付けするのはサメだけかと思っていたら、出港して間もなく、ボートを追いかけるように飛んでいるカモメのような海鳥に、乗員が餌をやり始めた。初めは空に向かって餌を投げ、さらには、手から直接食べさせる。ゲストは皆それを見て大喜びである。無邪気なものだ。当然私も大喜びで何枚か写真を撮ったのだが、残念ながら、うまく写っている写真が無い。これはカモメの飛ぶスピードが速すぎるからであり、決して私の写真撮影の腕が悪いわけではない。

 しばらく船を走らせた後、背が立つぐらいの浅瀬に停泊。ここでゲストは全員海に入り、おそらく餌目当てに無数に集まってくる、巨大なエイと戯れた。空に揚げる凧のようなこの生物の腹側には、人間の顔のような模様がある。ゲシュタルト現象というやつである。

 さらにポイントを移し、水深数mほどの場所で自由時間。ここは、色鮮やかな小さな魚達が群れを成して生息しているスポットのようだった。熱帯魚には詳しくないので正式名称はよくわからないが、黄色いチョウチョウウオや、映画「ファインディング・ニモ」でお馴染みのクマノミなどが珊瑚の間を行き来する様を、ふらふらと泳ぎながら観察する。泳ぎが不得意な人はライフジャケットを着けて海中を見ていた。
 ここでゲストの一人(日本人のオバサン)が溺れかけ、ちょっとした騒ぎになった。人が本気で「助けて!」と叫ぶのを聞くことは、生涯にそう何度もあるまい。私にとっては確か2度目であり、1度目はかなり昔、ある女性と一緒に遊園地のジェットコースターに乗ったときのことである。

 まあハネムーンなのでそんなことは毛ほども気にせずに、次のポイントへ移動。ここでようやくアクティビティの名前になっている、シャークフィーディングが行われた。底が見えないぐらいの深い場所で、ボートの本体の脇に付いている部位に掴まり、足の下方に集まっているサメの群れを鑑賞。おそらく、ツマグロザメという種類のものだ。
 正直なところ、サメの餌付けよりも、その前の熱帯魚鑑賞の方が、強く印象に残っている。サメとの距離が遠かったし、色も地味だし、人も溺れなかったし。まあ、仕方が無い。

 サメの餌付けの後、海から上がったゲストにパイナップルや椰子の実が振舞われ、舌鼓を打っているともう、ホテルは目の前であった。ラグーンを一周して戻ってきたのだ。
 今回の写真は、ボートからラグーンを撮影したものだ。ボートの本体は写真の右端にあり、茶色の横木で、シャークフィーディングの際に掴まっていた白い部位(浮力を得るためのもの。何と呼べばいいのか分からない。)と繋がっている。
 海が濃紺と水色に分かれているのは、深さが違うからだろうか。それにしても境目が鮮やかである。

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この記事へのコメント
トラバありがとうございました。
ボラボラ島行かれたんですね。うらやましい!
他のも読ませて頂きます☆
Posted by みえ at 2005年01月17日 09:58
みえさん、コメントありがとうございます。
行き先を選ぶ参考でもになれば、嬉しいです。
Posted by ヒロ at 2005年01月18日 00:38