2 新たな主張

都市再開発法17条の判断の前提として都市再開発法16条違反がある。

東京都知事が、この手続きで出された意見書を採用し、本件再開発事業に対して適正な修正命令を出さずに事業計画、設立認可を下したことは違法である。

(1)都市再開発法17条の平成11年法改正の経緯と法の趣旨について

平成11年改正前までは、都市再開発法第17条の事業認可、設立認可にあたっては、行政の自由裁量が認められていた(甲165)。

その理由は、再開発事業では、まず従前の建物を除去し、土地を一筆の土地にしてそのうえに施設建築物を建築するという手順になるので、工事の途中で事業が挫折したりすると、土地区画整理事業と違って、現状に回復することが著しく困難であり、とりわけ経済的に回復不可能な損失を被ることから知事の心証が十分に固まってから認可していた。それなりの合理性があった。
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しかし、実際は「合意形成基準」である3分の2を遙かに越えた水準の同意率(9割、なるべく全員)を満たさないと認可申請を受け付けないという運用がされていたために、事業推進を望む立場から見ると、かえって一部権利者のゴネ得になっていることもあり、自由裁量から「覊束裁量行為」に改められた。それと同時に、都市再開発法第16条が定める事業計画縦覧に対する意見書による知事の修正命令については「修正命令に従っていることを担保する規定がなく、自由裁量の判断の範囲内で行われていたので、これを認可基準の中に、明確に「事業計画修正命令に対する違反がないこと」を追加したうえで、「認可することができる。」から「認可しなければならない。」に改正された。(甲165号証、逐条解説、都市再開発法解説194頁から196頁)

ある意味、事業遂行者にとっては、合意形成基準が低くても組合の強制設立が可能になり、事業の推進がたやすくなったのである。

しかし、これと同時に都市再開発法17条の事業認可基準に、同16条の事業計画修正命令に違反がないことが要件に加わったことを決して軽視してはならない。
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