(2)また,別表番号5の行為についても,単に実績報告書のみの記載に基づき,その補助金の対象となる請負契約が、専門家によって行われる図面作成等を目的としているという理由だけで,その成果物に何らの瑕疵がある可能性があったことを伺わせるに足る事情がなければ違法ではないという短絡的な判断を行っている。

補助金支出行為は,控訴人らが原審で主張してきたとおり,補助金支出行為は,「公益上の必要性がある場合」でなければならず(地方自治法232条の2),「その目的を達成するための必要最小限度をこえて,これを支出してはならない」(地方財政法4条1項)のであり,また,「補助金にかかる予算の執行に当たっては,補助金が法令及び予算の定めるところに従って,公正かつ有効に使用されるように努めなければならない」(世田谷区補助金交付規則3条)のである。

また,「前条の補助金の交付申請があったときは,・・・当該申請にかかる補助金の交付が法令及び予算に定めるところに違反しないかどうか,補助金事業等の目的及び内容が適正であるかどうか,…調査し,…決定しなければならない」(同規則6条),「区長は実績報告書の提出を受けた場合は実績報告書の内容審査及び必要性に応じて現地調査を行い,その報告に係わる補助事業の成果が補助金の交付決定の内容及びこれに付した条件に適合することを認めたときは」に補助金額の確定をするなど,その手続的規制に適合して初めてこれが適法とされるべきものなのである。

別表番号5の行為は、控訴人が都市計画法、都市再開発法のそれぞれの違反を縷々主張するとおり、違法な再開発事業に対する違法不当な支出行為であり、そもそも補助金交付要綱に定める「公益上の必要性」が認められない。

加えて、乙51号証の実績報告書には、後日、公正な支出であったか否かを会計監査をする際には当然に必要とされるはずの、請負契約書、見積書、成果物、請求書、領収書、若しくは振込控等のコピーが全く添附されていない。
しかも、実績報告書の作成者は二子玉川東地区再開発理事長川邊義高であるが、その事務の取扱責任者である同組合事務長は、定年時まで、世田谷区の担当部職員であった岡沢氏が退職翌日に就任したもの、つまり天下りである。
この人的癒着関係をもとに、客観的資料も何も添付されない実績報告書をもとに、平成18年3月22日に世田谷区の都市整備部まちづくり推進課の職員が立ち会って検査したとしても、成果物の瑕疵の有無、必要最小限の支出なのかどうか、実際に支払いがなされたのかどうかについて実質的なチェックは全くできないというべきである。
http://hayariki.net/futako/appeal101111.html
しかも、このような運用では、後日住民監査や、会計検査院の監査を受けた場合にも、第三者の事後的監査は基礎資料が存在しないため、不可能である。かかる高額の公金の支出について、会計に関する基礎資料の添附もないのに、専門家が請け負った仕事だから、「瑕疵がある可能性があったことをうかがわせるにたる事情もない」とすること自体不当である。当初からこのような補助金事業については、補助金支出要綱はあるものの、要綱は実質的には世田谷区の職員の能力では、遵守できない形式的なものであることを想定した等しい運用である。

原判決は,上記のような事実を全く無視し,具体的にどのような資料に基づいて,どのような審査を行ったのか等の実質的な判断を行わず,単に実績報告書の記載のみに基づいて全て追認し、これを「違法不当な公金の支出」と認めず、適法としている。住民監査請求によって、地方自治体の財務会計行為の公正を担保する責任を、司法自らが放棄した誤った判断である。
--
http://hayariki.net/