東急不動産だまし売り裁判―こうして勝った
東急不動産だまし売り裁判―こうして勝った [単行本]

永尾俊彦『貧困都政 日本一豊かな自治体の現実』(岩波書店、2011年)は貧困と格差が蔓延した東京都政の寒い実態に迫ったルポタージュである。『貧困都政』は冒頭で貧困ビジネスを取り上げる。築地市場移転問題やオリンピック招致の無駄遣いなど興味深いテーマが続くが、本書評では貧困ビジネスに的を絞る。

貧困ビジネスには貧困者を搾取する極悪非道の連中というイメージがある。この理解は一つの真実である。現実に石原都政でも宅建業法違反で業務停止処分を受けた悪質なゼロゼロ物件業者は存在した(東京都都市整備局「宅地建物取引業者に対する行政処分について」2010年6月8日)。これに対して『貧困都政』では貧困ビジネスが生まれる背景である行政の責任放棄にメスを入れる。資本主義に放任するのではなく、政治に反貧困の意識が求められる。

貧困ビジネスには貧困者を食い物にして暴利を貪るとイメージがある。しかし、『貧困都政』が取り上げた貧困ビジネスは「赤字か黒字かの境界線上をさまよっていたようで、少なくともボロもうけしていた形跡はない」とする(20頁)。ここに貧困ビジネスの救いがたい実態がある。貧困ビジネス自体が赤字か黒字かというギリギリのところにあるために、貧困者を劣悪なゼロゼロ物件に住まわせるという非人道的なことを平然とする。貧困ビジネスは「貧すれば鈍す」が実態である。

そして、この事実は貧困ビジネスとの闘いが不毛でないことを示している。貧困ビジネスは資金が続かなければ破綻するからである。現実に東京都から業務停止処分を受けたゼロゼロ物件業者は姑息にも名前や代表者名、免許番号を変えて営業を続けたが、それから一年で消滅した。さらに名前を変えて新たな営業を始める危険はあるが、貧困ビジネスへの批判を続けることが消費者運動の勝利をもたらす。
http://www.hayariki.net/10/26.htm