2010年08月

東京都中央区立明石小学校解体をめぐる攻防(下)

リノベーション(保存再生)ならば費用は安く、期間も短期で済む。適切な維持管理によって100年でも使い続けることが可能である。それを検討しないまま壊してしまうことは乱暴である。壊してしまったならば台無しになる。立ち止まって考えるべきと主張する。
17日は望む会の呼びかけにより、中央区役所に20名くらいが集まり、区役所に追加署名を提出した。署名数は今回の追加分が520名、累計4237名である。区役所側の対応は非友好的であった。約20名全員で署名の提出に行こうとすると、「(提出に行く人数を)半分くらいにしていただけますか?」と要求し、失笑が起きた。
http://www.janjanblog.com/archives/13407
また、要望書について検討した上での回答を求めたが、「改築を進めさせていただきます」の一点張りであった。これには支援者から「住民の声には耳を傾けないということですか」と抗議の声が出た。また、質問には「今日は署名を受け取るだけ」とし、回答を拒否した。
署名提出後は区役所玄関前で経緯などを改めて支援者に説明した。その後は明石小学校まで徒歩で移動し、玄関前で校舎の保存をアピールした。抗議活動では以下のような文言の書かれたパネルを掲げ、ビラを配布するなどで通行者の関心を集めた。
「明石小学校 重要文化財相当」
「STOP明石小解体」
「壊すのはもったいない」
近隣住民からは「もったいない」などの声が寄せられ、新たな署名も集まっていた。
校舎解体工事が2010年8月24日から本格化した。校舎の顔とも言うべき正面玄関部分躯体1〜3階を工事車両通行用に先行解体する。この24日にも望む会のメンバーらは正門前で抗議行動を行った。この日は午前中に正門防音壁の設置を完了する予定であったが、中央区議らによる正門の座り込みによって、中断を余儀なくさせた。
建築家の日色真帆氏は記録保存するとの中央区の姿勢も疑問視した。記録保存には、それなりの期間が必要である。現在の解体ペースで本当に記録保存するのか疑問である。
明石小学校周辺は明石町と呼ばれ、明治時代に外国人居留地だった場所である。今でも聖路加国際病院やカトリック築地協会など西欧文化が濃厚である。立教学院や明治学院大学、女子聖学院というキリスト教系学園の発祥地にもなっている。明石小学校の校舎は、その明石町の歴史と文化に相応しいデザインである。角度によっては校舎の後ろに聖路加国際病院のチャペルの尖塔を見ることができるが、景観として調和している。
中央区教育委員会発行の「中央区文化財めぐり」によると、明石小学校周辺には様々な史跡・文化財が集中している。指紋研究発祥の地、慶應義塾発祥の地、芥川龍之介生誕の地、浅野内匠頭邸跡などである。そこに重要文化財として明石小学校が加わることは中央区にとって名誉と考えるべきである。
(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)

クリエイティブ・シティは二子玉川ライズの尻拭いか=林田力

【PJニュース 2010年8月30日】三菱総合研究所などは2010年8月4日、クリエイティブ産業集積に必要な都市環境要件を検討する「クリエイティブ・シティ・コンソーシアム」を設立した。これは二子玉川東地区再開発(二子玉川ライズ)の尻拭いの一環と考えられる。
同コンソーシアムでは東京都世田谷区の二子玉川地区を社会実験のモデル地区として、クリエイティブな人材、産業が集積し、創造性を刺激し、自発的に成長を促進する都市環境を整えたビジネス地域の創出を目指すとする。また、会員企業やクリエイティブ産業従事者、行政関係者、投資関係者らの交流拠点として二子玉川地区に「カタリストフロア(仮称)」を開設予定とする。

同コンソーシアムが二子玉川ライズを前提としていると判断する根拠は以下2点である。
第一に同コンソーシアムのニュースリリースで再開発を強調している。「都内最大級の再開発の進む」「現在は二子玉川東地区第一種市街地再開発事業も進捗し、今後も発展可能性のある地区」と述べている。
http://news.livedoor.com/article/detail/4975655/
http://www.pjnews.net/news/794/20100826_9
第二に会員企業に二子玉川ライズを主導した東急グループが名を連ねている。東京急行電鉄が幹事会員、東急不動産、東急エージェンシー、東急レクリエーション、イッツ・コミュニケーションズが法人会員である。二子玉川ライズのコンサルティングを担当したアール・アイ・エーも法人会員である。

一方で二子玉川をクリエイティブ・シティのモデル地区として選択した積極的理由は不明確である。ニュースリリースは以下のように述べる。「二子玉川地区は、世界都市・東京にありながら、緑地や河川などの豊かな自然を残し、渋谷や都心へのアクセスにも高い利便性を有しているハイブリッドな環境であるとともに、創造的文化基盤も有しております」

しかし、「創造的文化基盤」について具体的な説明はなされていない。「緑地や河川などの豊かな自然」は再開発や暫定堤防建設によって急速に失われている。かつて緑地であった二子玉川駅東口の広大な再開発地域はコンクリートで覆われる。さらに「渋谷や都心へのアクセスにも高い利便性」とあるが、これでは渋谷や都心そのものには劣っている。また、アクセスの良さならば二子玉川よりも利便性の高い地域は存在する。

既に世田谷区も二子玉川をデジタル映像コンテンツ関連産業の集積地として打ち出しているが、同じく二子玉川である積極的な理由は不明である。オフィス過剰の状況下で、ビジネス街としては優位性に欠ける「二子玉川ライズ オフィス」などの再開発オフィスビルを埋めるための救済策と考える所以である(林田力「デジタル映像産業誘致は二子玉川再開発の尻拭いか=東京・世田谷」PJニュース2010年4月30日)。
http://news.livedoor.com/article/detail/4746505/

世田谷区のデジタル映像コンテンツ産業誘致集積支援事業の推進事業体には特定非営利活動法人ディジタル・コンテンツ・インスティテュートが選定された。その理事長の金子満・東京工科大学大学院メディア専攻教授は同コンソーシアムの学術会員となっている。住民の知らないところで、二子玉川の産業構造を改変する動きが起きている。

一般に指摘される再開発の問題は再開発地域が既存のコミュニティと摩擦を起こすことである。同コンソーシアムのニュースリリース文からも地域の生活者の存在が見えてこない。地域住民の排除と犠牲の上で成立する再開発は決して成功と評価されることはない。【了】
http://npn.co.jp/article/detail/76346367/
林田力「キム・ヨナのコーチ決別騒動と浅田真央」リアルライブ2010年8月31日
http://npn.co.jp/article/detail/33661303/
林田力「大河ドラマ『龍馬伝』 あっさり過ぎた薩長同盟」リアルライブ2010年8月31日
http://npn.co.jp/article/detail/19764067/

約束を破る悪徳不動産営業

約束を破る悪徳不動産営業
悪徳不動産営業には時間の感覚がない。約束をしても、鶏のように三歩歩けば忘れてしまう。彼にとって街は今日一日を生きる戦場であった。過去の経緯を思い出す時間はない。未来もないくらいだから、過去の出来事を記憶にとどめなくても当然である。

住民発意で区画整理・再開発の法改正を考えるシンポ(下)

【PJニュース 2010年8月27日】第二に渕脇みどり弁護士の「再開発訴訟の中で」である。淵脇弁護士は二子玉川東地区再開発(街の名称:二子玉川ライズ)に関する訴訟の住民側代理人である。二子玉川ライズは風致地区に超高層ビルを乱立する計画である。東急電鉄・東急不動産のビジネスのために周辺住民の生活する権利が侵害されている。

裁判は現行法の中でもがき苦しみながら、進めてきた。現行法は住民の意見反映の手続きが軽視されている。複数案を比較検討する仕組みにすべきである。再開発は安易な立ち退き手段として悪用され、街壊しや独占を可能にしてしまう。公共性の意味を具体化する必要がある。当事者が法律を変えていく時代の流れにあるとした。
http://news.livedoor.com/article/detail/4970669/
http://www.pjnews.net/news/794/20100824_6
後半は討論である。再開発や区画整理に苦しめられている人々から切実な意見が相次いだ。例えば埼玉県の再開発地域の住民は「裁判官は、公共性について、どのように考えているのか」との辛辣な疑問が提起された。商業ビルを建設するような明らかな営利開発事業が公共性ある再開発とされ、個人を住居から追い出すことを正当化する。これについて裁判官は疑問に思わないのか、と。

これに対し、淵脇弁護士は「二子玉川ライズが同じ」と応じた。再開発には厳しい規制がかけられなければならないのに、逆に緩和されている。残念ながら裁判官には未だ認識が十分ではない。

これに岩見氏が補足した。二子玉川東地区再開発は再開発地域の85パーセントが東急グループの所有地である。東急グループの利益のための再開発に過ぎない。その公共性の説明は抽象的であった。世田谷区が東急グループと再開発地域の方向性を決定した。行政が悪いと住民は大変なことになる。何の説明もないまま、再開発地域の容積率が緩和されてしまった。

また、組合施行と自治体施行の区画整理の相違について質問が出された。羽村駅西口区画整理事業は自治体施行であるが、組合施行ならば地権者が組合員となるため、民主的になるのではないかとの問題意識からであった。

これに対し、神屋敷氏は組合施行では組合と自治体の間でたらい回しにされる危険があると指摘した。自治体施行では行政に回答を求めることができるとする。

その他にも様々な意見が出された。基本構想の段階から住民参加で進めるべきである。初めから全て情報を開示すべきである。住民が嫌だと言えば止めればいい。

現行制度では事業計画縦覧時には全部決まっており、手遅れである。意見書は無視されている。全部が反対意見でも計画が進められる。複数案の検討の義務化と住民投票的なものを検討すべきである。

日本には街づくりの哲学がない。江戸川区のスーパー堤防予定地は先行買収が行われ、地域外の人から戦争で空爆を受けた跡みたいと言われたとする。戸塚駅西口再開発では生活再建、営業再建が無視された。

各地の区画整理組合は破綻寸前の危機的状況にある。行政は住民に負担させようとしている。直接施行(強制執行)を早い時期に行うことが望ましいとの方針も出している。これには会場から悲鳴が生じた。

地方分権が進められ、首長の権限が強まったが、住民自治に結びついていない。中央省庁ならばマスメディアなどの監視があったが、地方の役所に対する監視は弱いため、裁量権の名の下で勝手がまかり通っている。

最後に白藤博行・専修大学法学部教授がコメントした。法律の世界では結果オーライの発想から手続き重視に変わっている。1993年に制定された行政手続法が一例である。しかし、区画整理や再開発で問題になる行政計画の分野では未だ手続き重視の思想が反映されていない。この点で住民発意の法改正を検討する意義は大きいと締め括った。【了】
(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
林田力「スーパーFMWの魅力(3)「外国人選手の活躍」」リアルライブ2010年8月30日
http://npn.co.jp/article/detail/11920419/

東急不動産だまし売り裁判購入編(14)林田力

宮崎のような悪徳不動産営業にとって嘘をついても良心が咎めることはない。人生そのものが嘘だからである。消費者に嘘をつくことはフランス人相手にフランス語を話すようなものと信じて疑わない。生まれてこのかた己の利己的な欲望のみに熱中してきただけで、一度でも正しい倫理観を持とうと努力したことがあったであろうか。
「隣地所有者は二階と三階の購入者に説明することを約束したと言っています」
宮崎は答えなかった。永久に続くかと思われるくらい、長い間が空いた。水を打ったようにしんと静まり返って、地球の自転の音まで聞こえたくらいである。
http://www.janjanblog.com/archives/13647
「こちらでももっと調べなければならないのかもしれませんが」
「はい」
気まずい沈黙を解消するために原告が付け加えた言葉は宮崎を付け上がらせただけであった。その声はドライアイスのように冷たかった。血管に氷水でも流れていそうな冷血動物めいた不気味さが感じられた。
不誠実な悪徳不動産業者から屑物件を購入してしまったことに対する後悔が原告の全身に潮のように満ちた。社会的に評価されている企業が消費者を食い物にする実態を思い、胸糞が悪くなった。
都合の悪い事実は知らなかったことにしてしまう悪徳不動産営業と熾烈な戦いをしていかなければならない自分を思い、原告は暗澹たる気持ちになった。しかし、そうしなければ未来はない。突き進まないわけにはいかなかった。原告は怖気づくのではなく、戦いを挑むことにした。強気に出なければ打ちのめされてしまう。
「分かりました」
「分かってくださいましたか」
「はい。東急リバブルに誠意がないということがよく分かりました」
言い放つと原告は少しだけ良い気分となった。純粋に原始的な快感である。原告は容易なことでは怒らない性格であった。何事も表情を変えずに受け流してきた。その表面的な印象から東急リバブル営業も、屑物件をだまし売りするカモとして原告が最適と考えた可能性がある。
しかし、容易に怒らないことと悪徳不動産業者の不正に怒れないこととの間には雲泥の差があった。原告は温和であっても、意気地なしではなかった。言いたいことは単刀直入に言う。回りくどい言い方抜きで。それが原告のスタイルであった。宮崎は少し狼狽したようであった。
「こちらも何もしないわけではなく、建設時の事情を知っている東急不動産に確認した上で回答させていただきたいと思います。確認には時間がかかりますので、しばらくお待ちください」
「どれくらいの時間がかかりますか」
「四日くらいです。回答がありましたら、お電話を差し上げます」
「時間がかかるのでしたら、文書を郵送して下さい」
悪徳不動産業者は平気で嘘をつき、後で発言をひっくり返す。都合の悪い約束は「言った、言わない」の話にしてごまかしてしまう。現実に原告と宮崎との口頭での取り決めは全て反故にされてしまった。相手の悪辣さを考慮に入れると、書面を要求するのは正当かつ当然のことである。
「先ずお電話を差し上げて、必要でしたらお手紙を出すということでどうでしょうか」
予想通り、宮崎は難色を示した。原告は本音が透けて見えそうな宮崎の眼差しを思い浮かべた。常に金儲けの方を向いている眼差し、他のものは何も見えていない目であった。そこには国家資格(宅地建物取引主任者)を持つ者としてのプライドや責任をかなぐり捨てての儲け主義しかない。
「電話は必要ありませんので、手紙だけでいいです」
「……」
「手紙は埼玉の実家の方が受け取りやすいので、そちらに郵送お願いします」
「……」
「そもそも日照のないマンションなんて住めたものではないですから」
原告は宮崎に送り先の住所を教えて、電話を切った。
宮崎の不誠実な回答を聞き、何の気苦労もない平凡な生活が幕を閉じたてしまったことを改めて実感した。一旦、この種の悩みを抱いてしまったならば、それきりで止むことはない。
日のあたる部屋でのごろ寝、他人の目を気にしないでの生活は過去のものとなった。自分の体の一部が次々と欠け落ちていくような気がする。体中に枝を張り広げていた精神の樹はざわめきを止めた。
泳ぐように自由にそよいでいた葉は忽ち萎れ、枝々も静かに腕をたたみ、こぼれそうなほど満ちていた樹液はひっそりと引いていく。目の前の全てが色を失い、暗く陰って見えた。これまで感じたことのないような、心もとなく、うら寂しい気持ちになった。
原告は東急に関するものは全て大嫌いになった。両手を強く握り締め、つぶやく。
「絶対に負けるものか。見ているがいい」
原告はやられっぱなしで終わらせるつもりはなかった。不幸を独り占めする趣味もなかった。必ず悪徳不動産業者にも分けてあげるつもりであった。原告は武者震いし、両手を広げて背を思いっきり伸ばした。
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