2011年11月

二子玉川ライズ住民訴訟控訴理由書結論

第9 結論

以上の通り、原判決は、都市計画制度の運用を、行政が大企業の資金的提供を条件に、住民の住環境破壊につながる爆発的な容積率増加を容認して「都内最大の民間再開発事業」として、強行している事実について行政の裁量の範囲内であると認定した。

都市計画基準に定める他の諸計画との矛盾を容認し、再開発要求発生時(S58年)の上位計画になかった「世田谷区広域生活拠点」を事後的に創設して、つぎつぎに容積率緩和率を増大して、東急電鉄等にその開発利益を独占さえた構図は、他に類例を見ない超巨大再開発事業を、風致地区のど真ん中の都市計画公園予定地に出現させるという、都市計画制度の根幹を揺るがす無秩序、無計画の人権侵害事業を可能にし、住民の貴重な血税を投入することを許しているのである。

かかる都市計画行政にはみじんも公共性も認められない。これを乱開発と言わずに何をもって乱開発というかという、典型的な制度濫用事例である。

司法は,毅然として原判決を取消すべきである。今や、地球環境保護の観点から、地域の自然環境の保全は、私たち住民だけでなく地球全体に住む人々にとって、死活問題である。
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まちづくりの方向も、自然を破壊して開発を進めるのではなく、高い建物を低くする、高速道路を川にもどす、コンクリートで固めた河川を野原に囲まれた自然豊かな流れにもどすなどの、自然回帰、保護の方向へと大転換している。そしてそのようなまちづくりを担っているのは、まさに、行政が住民と共にその意見を実現するべき努力しているのである。時代の流れに逆行する本件再開発事業の違法性はもはやだれの目にも明らかである。裁判所の勇断を強く望むものである。
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違法不当な公金の支出:二子玉川ライズ住民訴訟控訴理由書

(2)また,別表番号5の行為についても,単に実績報告書のみの記載に基づき,その補助金の対象となる請負契約が、専門家によって行われる図面作成等を目的としているという理由だけで,その成果物に何らの瑕疵がある可能性があったことを伺わせるに足る事情がなければ違法ではないという短絡的な判断を行っている。

補助金支出行為は,控訴人らが原審で主張してきたとおり,補助金支出行為は,「公益上の必要性がある場合」でなければならず(地方自治法232条の2),「その目的を達成するための必要最小限度をこえて,これを支出してはならない」(地方財政法4条1項)のであり,また,「補助金にかかる予算の執行に当たっては,補助金が法令及び予算の定めるところに従って,公正かつ有効に使用されるように努めなければならない」(世田谷区補助金交付規則3条)のである。

また,「前条の補助金の交付申請があったときは,・・・当該申請にかかる補助金の交付が法令及び予算に定めるところに違反しないかどうか,補助金事業等の目的及び内容が適正であるかどうか,…調査し,…決定しなければならない」(同規則6条),「区長は実績報告書の提出を受けた場合は実績報告書の内容審査及び必要性に応じて現地調査を行い,その報告に係わる補助事業の成果が補助金の交付決定の内容及びこれに付した条件に適合することを認めたときは」に補助金額の確定をするなど,その手続的規制に適合して初めてこれが適法とされるべきものなのである。

別表番号5の行為は、控訴人が都市計画法、都市再開発法のそれぞれの違反を縷々主張するとおり、違法な再開発事業に対する違法不当な支出行為であり、そもそも補助金交付要綱に定める「公益上の必要性」が認められない。

加えて、乙51号証の実績報告書には、後日、公正な支出であったか否かを会計監査をする際には当然に必要とされるはずの、請負契約書、見積書、成果物、請求書、領収書、若しくは振込控等のコピーが全く添附されていない。
しかも、実績報告書の作成者は二子玉川東地区再開発理事長川邊義高であるが、その事務の取扱責任者である同組合事務長は、定年時まで、世田谷区の担当部職員であった岡沢氏が退職翌日に就任したもの、つまり天下りである。
この人的癒着関係をもとに、客観的資料も何も添付されない実績報告書をもとに、平成18年3月22日に世田谷区の都市整備部まちづくり推進課の職員が立ち会って検査したとしても、成果物の瑕疵の有無、必要最小限の支出なのかどうか、実際に支払いがなされたのかどうかについて実質的なチェックは全くできないというべきである。
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しかも、このような運用では、後日住民監査や、会計検査院の監査を受けた場合にも、第三者の事後的監査は基礎資料が存在しないため、不可能である。かかる高額の公金の支出について、会計に関する基礎資料の添附もないのに、専門家が請け負った仕事だから、「瑕疵がある可能性があったことをうかがわせるにたる事情もない」とすること自体不当である。当初からこのような補助金事業については、補助金支出要綱はあるものの、要綱は実質的には世田谷区の職員の能力では、遵守できない形式的なものであることを想定した等しい運用である。

原判決は,上記のような事実を全く無視し,具体的にどのような資料に基づいて,どのような審査を行ったのか等の実質的な判断を行わず,単に実績報告書の記載のみに基づいて全て追認し、これを「違法不当な公金の支出」と認めず、適法としている。住民監査請求によって、地方自治体の財務会計行為の公正を担保する責任を、司法自らが放棄した誤った判断である。
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二子玉川ライズ住民訴訟控訴理由書:二子玉川ライズ都市再開発法17条違反

第7 争点6 都市再開発法17条違反

1 原審での争点

都市再開発法第17条は再開発に関する組合設立認可事業認可の要件について不許可とすべき事実を定めており、控訴人らは3項、4項に違反すると主張した。そもそも既に詳述したとおり、本件再開発事業は再開発の開発要求はあるが、客観的な再開発の必要性はなく、いずれも、開発要求に応じる形で行政が事後的に「開発の必要性」を偽造してきた点で、形式的に都市計画決定がなされていたとしても、「再開発事業の都市計画適合性を欠く」というべきであり、3項に該当する。

さらに、準備組合が昨今の社会経済情勢の変化を理由にいったんは僑甞攻茲了業の中止を決定したことから、4項の事業遂行能力に問題がある点を指摘した。その後2009年秋のリーマンショックを機に、社会の経済情勢は益々悪化しており、バブル崩壊前に計画された本件再開発事業はまさに「その後の諸情勢の変化」によって、時代の趨勢にそぐわない内容になっている。
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判決がいかなる判断を下しても、時の流れにより、事業遂行能力の判断の適否は当然に明らかになる。仮に本件再開発事業が破綻するような事態が生じた場合には、行政は自らの誤りを認め、その破綻の尻ぬぐいのために、これ以上の住民の貴重な血税を注ぎ込むべきではない。

住民提案との比較検討

(3) 意見書採択手続きにおける住民提案との比較検討

この段階で、この都市再開発法16条の制度を十分に活用することによって、早稲田大学 卯月盛夫教授が提案するような、複数提案について現実的な検討を加えるということは、現行法下でも可能である。
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この点は、前述したとおり、卯月教授が、本年5月13日に、二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業に関する都市再開発法16条の口頭意見陳述手続きで述べており、東京都は施設建築物について「実施設計を行う段階で」と先送りすることなく、住民提案との比較検討作業を行い、協議し、必要と認められる部分は設立認可にあたって都市再開発法16条に基づく修正命令を発令すべきであった。
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事業計画修正命令に違反がないこと

2 新たな主張

都市再開発法17条の判断の前提として都市再開発法16条違反がある。

東京都知事が、この手続きで出された意見書を採用し、本件再開発事業に対して適正な修正命令を出さずに事業計画、設立認可を下したことは違法である。

(1)都市再開発法17条の平成11年法改正の経緯と法の趣旨について

平成11年改正前までは、都市再開発法第17条の事業認可、設立認可にあたっては、行政の自由裁量が認められていた(甲165)。

その理由は、再開発事業では、まず従前の建物を除去し、土地を一筆の土地にしてそのうえに施設建築物を建築するという手順になるので、工事の途中で事業が挫折したりすると、土地区画整理事業と違って、現状に回復することが著しく困難であり、とりわけ経済的に回復不可能な損失を被ることから知事の心証が十分に固まってから認可していた。それなりの合理性があった。
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しかし、実際は「合意形成基準」である3分の2を遙かに越えた水準の同意率(9割、なるべく全員)を満たさないと認可申請を受け付けないという運用がされていたために、事業推進を望む立場から見ると、かえって一部権利者のゴネ得になっていることもあり、自由裁量から「覊束裁量行為」に改められた。それと同時に、都市再開発法第16条が定める事業計画縦覧に対する意見書による知事の修正命令については「修正命令に従っていることを担保する規定がなく、自由裁量の判断の範囲内で行われていたので、これを認可基準の中に、明確に「事業計画修正命令に対する違反がないこと」を追加したうえで、「認可することができる。」から「認可しなければならない。」に改正された。(甲165号証、逐条解説、都市再開発法解説194頁から196頁)

ある意味、事業遂行者にとっては、合意形成基準が低くても組合の強制設立が可能になり、事業の推進がたやすくなったのである。

しかし、これと同時に都市再開発法17条の事業認可基準に、同16条の事業計画修正命令に違反がないことが要件に加わったことを決して軽視してはならない。
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