2012年11月

『自由報道協会が追った3.11』印税疑惑

『自由報道協会が追った3.11』印税使途不明金疑惑が持ち上がっている。木星通信が関係者へのインタビューを掲載している。木星通信は東急電鉄による東急大井町線追い出し問題も報道した。東急電鉄による非情な追い出しは大きな反響を呼んだ。

印税使途不明金疑惑は書籍『自由報道協会が追った3.11』の印税が出版時に掲げられた目的「被災地支援プロジェクト」に使われていないのではないかとの問題である。『自由報道協会が追った3.11』は「自由報道協会初の編纂本」と銘打ち、「本書の印税はすべて『被災地支援プロジェクト』にまわします」と謳っている。

自由報道協会(Free Press Association of Japan)は小沢一郎民主党元代表の記者会見を主催したことを契機に設立された団体で、記者クラブ独占に風穴を開けることに寄与した団体である。東急不動産だまし売り被害者として、スポンサーに遠慮して真実が報道されないマスメディアの実態を知る立場として好意的に評価している。

しかし、木星通信が明らかにしたインタビュー内容は酷いものであった。一言で言えば東急不動産だまし売り裁判における東急リバブル東急不動産のような対応である。説明責任や透明性、納得性というものを考えていない(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』)。
http://hayariki.net/7/9.htm
自由報道協会には設立当初から記者会見の万人への解放ではなく、一部のフリー記者に記者クラブ同等の特権を得られるようにするための第二記者クラブを目指しているだけというシニカルな見方があった。そのような批判者を勢いづかせるような内容である。

「組織内部で説明責任を果たしている。部外者に説明する義務はない」は東急リバブル東急不動産のような消費者や住民から逃げ続ける内向きの組織の発想である。これではジャーナリズムの存在意義がなくなる。ジャーナリズムの自己否定になる。(林田力)

宮部みゆき『火車』林田力wiki書評

宮部みゆき『火車』は多重債務問題を背景にしたミステリー小説である。負傷して休職中の刑事が遠縁の男性の頼みで失踪した女性を探す。
クレジットやキャッシングなどの多重債務問題が債務者個人の自己責任と切り捨てられる問題ではなく、金儲け社会の犠牲者であることが理解できる。真面目な人ほど多重債務で苦しみがちである。
『火車』に登場する多重債務問題に取り組む弁護士は実在の弁護士をモデルとしている。その弁護士は「多重債務者が原発の掃除などの作業をする労働者になる。過去を隠しているから、危険な仕事に就かざるを得なくなる」と発言している。201頁。原子力発電の非人間性への批判的視点が福島第一原発事故以前から存在したことを感じさせる台詞である。
『火車』には東京が機能ばかり便利になったが、人の生活する故郷と呼べなくなったとの記述がある。「現在の東京は、人間が根をおろして生きることのできる土地ではなくなってしまっている」。大都会としての機能は「とっ替えのきく備品みたいなものである。」236頁。
『火車』は平成初年の出来事であるが、国際競争力やら都市再生やらのかけ声によって住民が追い出される街づくりが進められている。東京の街づくりを考え直す時期に来ている。
一方で東京の特徴として都心部でもインテリジェント・ビルと背中合わせに二階建て建築が残っていることを挙げる。379頁。また、伊勢神宮の街としての風情を守るために鉄筋の建物を壊して木造に建て替えている伊勢市の動きを紹介する。437頁。木造住宅や商店街を再開発の名目で破壊するのではなく、住み続けられる街にすることが大切である。人口減少時代の街づくりは高過ぎる高層ビルの減築である。
『火車』には多重債務問題の底流には住宅ローンがあったとの指摘がある。マイホームを持ちたくて無理をしてローンを組み、毎日の生活がきつくなるからサラ金で借りるというパターンである。260頁。物語の中でも住宅ローン破産は重要な意味を持っている。
日本は格差社会になったと言っても、まだまだ中流意識を持つ人々が多い。住宅ローンを借りられる層は貧困問題を対岸の火事のように思いがちであるが、その浅はかさを気付かせてくれる。『火車』でも「マイホームさえ持てば、幸せになれる」という小市民的願望を「錯覚から生じたものではなかったか」と自問する。413頁。貧困問題と持ち家偏重の歪みは近いところにある。

インセクツv林田力wiki書評

インセクツは現代日本を舞台に、人為的に操作されて凶暴・巨大化した昆虫が人間を襲うパニック作品である。
化学会社のミスによるバイオハザードと思われた事件の背後には、生物兵器を作り、実験しようとする国家的陰謀があった。しかし、陰謀の主体が卑称である。昆虫の凶暴・巨大化を制御できておらず、いたずらに被害を拡大させ、最終的には外国の介入を招いてしまう。何をやりたかったのか理解できない。このような卑称な陰謀で殺された人々は浮かばれない。この卑小さは日本のエリートの属性としてリアリティがある。有効な対処をせず、情報隠しだけは徹底する。これは福島第一原発事故対応に重なる。昆虫以上に日本という体制に恐怖と絶望感を覚える作品である。林田力wiki
http://hayariki.net/

林田力・東急プラザ表参道原宿研究

東急不動産の商業施設「東急プラザ 表参道原宿」(渋谷区神宮前)が酷評されている。渡邉正裕氏は「東急不動産には注意したほうがいい。体質がダメ。」とツイートし、マイニュースジャパン記事(佐藤裕一「東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口」)を引用する。これは『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者の林田力へのインタビュー記事である。

インターネット上では東急プラザが消費者のニーズを満たしていないとのコメントが続出した。「金持ちでない私にとってはつまらない。もっと庶民に手の届く、衣、食を提供して欲しい。」「私には用がない」との声がある。この批判は東急電鉄・東急不動産が進める二子玉川ライズにも該当する。「短期間で消えたりする」「夏草や兵どもが夢のあとってことにならないように・・・」と暗い先行きを予言する声もある。

「東急プラザ 表参道原宿」のキーテナントは「Tommy Hilfiger(トミーヒルフィガー)」などのカジュアルブランドである。これに対して「どこにでもある店… それがキー店舗だなんて。」「魅力のない店ばっかり」「もっと個性的なものが良かった」「目新しいものはない」「パッとしたお店がない。もっとアイデアなかったのかね」「わざわざ足を運ぶ魅力ないわ」との意見が寄せられた。

東急不動産のコンセプト「『ここでしか』『ここだから』をカタチに」は的外れである。街の個性喪失を惜しむ声がある。

「原宿・表参道自体が、以前はある種の特異性を売りにしていた」

「原宿に憧れ、原宿で育った私としては、かなりがっかりな店舗展開。どこか郊外のアウトレットかと思いました…。」

「昔みたいな原宿っぽさみたいなのが薄れてきた気がする。あくまでも買い物する場所の一つの選択肢みたいな。」
http://www.hayariki.net/1/11.htm
「東急プラザ 表参道原宿」は原宿の個性を喪失させる。原宿系は「カワイイ」にもオリジナリティや個性を求め主張する。街の個性喪失は東急の街づくりに共通する。二子玉川ライズに対しても世田谷区のパブリックコメントで「個性豊かな街を壊し、日本中画一の街に変えてしまう」との批判が出た。

東急不動産が打ち出したターゲット「高感度で自己編集が好きな人」には「意味不明」と指摘された。「酷すぎる・・・日本はファッションの国ではなくなったな。」との意見まで出た。批判は発表会見の登壇者のファッションにも向けられた。「公式発表の場くらいきちんとスーツ着てボタンやネクタイ締められないのか」とする。さらに東急プラザとの名称にも異論が出た。「東急プラザって名称が古臭い」「東急プラザって響きがもう救いようがない」とする。

ガンダム・サンダーボルトv林田力wiki書評

『機動戦士ガンダム・サンダーボルト』は機動戦士ガンダムの外伝である。一年戦争末期の戦いを描く。戦争の非人間性を色濃く描いた作品である。
主人公サイドはムーア同胞団というジオンに破壊されたコロニーの残存住民からなる地球連邦軍部隊である。ガンダム・シリーズの特徴として地球連邦の腐敗、堕落、無能、官僚制がある。地球連邦こそが悪の組織であると言っても過言ではない。そのような連邦のために主人公達が戦うことは大きな疑問である。それ故に比較的新しい作品であるMS小隊ではシロー・アマダは地球連邦軍を抜けた。21世紀のガンダムであるSEEDでは主人公達は連邦に相当する連合を脱走した。物語のリアリティを高めるためには主人公に連邦を否定させる必要がある。
これに対して『サンダーボルト』ではジオンへの復讐と故郷の復興という連邦軍で戦う明確な目的がある。一方で連邦の腐敗した体質を踏まえればムーア同胞団が利用されるだけ利用されて切り捨てられることは目に見えている。連邦の救い難さが再確認できそうである。
ガンダム・シリーズでは連邦の腐敗を描きながらも、政治体制の面では形式的には連邦は民主主義で、ジオンはナチスドイツや戦前の日本のような軍事独裁と、辛うじて善悪を保てていた。しかし、『サンダーボルト』では連邦側が若者を戦死させるような作戦を明示て英雄に仕立てあげ、戦意高揚のプロパガンダに利用する軍国主義的な企みを有している。連邦のマイナス面を暴くリアリティに期待する。林田力
http://hayariki.net/
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