2017年11月

民法改正と錯誤

民法の一部を改正する法律案が2017年5月26日に可決された。錯誤についての規定も変更された。現行民法95条は以下のように定める。「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。」

現行民法は「動機の錯誤」について述べていない。動機の錯誤を錯誤に含めるか否かについて一元論と二元論の対立がある。私見は一元説を採る(林田力「動機の錯誤をめぐる二元説と一元説(上)」PJニュース 2010年11月24日、林田力「動機の錯誤をめぐる二元説と一元説(下)」PJニュース 2010年11月25日)。

改正民法は「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」を定めた。また、錯誤の効果を無効から「取り消すことができる」に変更された。

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意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

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民法の錯誤の最大の問題は、詐欺や脅迫とも重なるが、中々認められないことである。そもそも民法は対等な私人間の権利関係を規制することを建前とする。これに対して東急不動産だまし売りなどの消費者問題は消費者と事業者の間に格差がある。民法の前提とは異なる。

このため、消費者問題は消費者契約法の出番が多くなるだろう。消費者契約法第1条は「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み」と異なるものを異なるものとして扱っている。東急不動産だまし売り裁判でも消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)で売買契約取り消しを達成した。

二子玉川駅で白杖事故

#東急田園都市線 #東急不買 #東急不買運動
東京都世田谷区の二子玉川駅で東急田園都市線の電車に視覚障害者の白杖が挟まれる事故が起きた。非常に危険である。日本海賊TV『金八アゴラ』で取り上げる。
東急田園都市線のドアは15ミリで異常を検知するが、番組では粗すぎると批判された。子どもの小指が挟まれてもいいということになる。
東急グループの消費者無視体質は東急不動産だまし売り裁判に現れている(林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』ロゴス社)。東急不動産だまし売り裁判は東急リバブル東急不動産の汚点である。東急不動産係長脅迫電話逮捕事件は東急不動産の汚点である(林田力『東急不動産係長脅迫電話逮捕事件』Amazonキンドル)。心斎橋店過労死は東急ハンズの汚点である(林田力『東急ハンズ問題』Amazonキンドル)。管理費横領は東急コミュニティーの汚点である(林田力『東急コミュニティー解約記』Amazonキンドル)。食材偽装は東急ホテルズの汚点である(林田力『東急ホテルズ食材偽装』Amazonキンドル)。不都合な事実をなかったことのようにしようとしても、ぬぐいとれないものもある。
来週は民法の錯誤の改正がマンションだまし売りに及ぼす影響を述べる。これはコメンテータからの宿題である。東急不動産だまし売り裁判は消費者契約法違反を根拠とした。消費者契約法は消費者と事業者の格差を前提とする。これに対して民法は対等な私人間の権利関係を規制することを建前とする。消費者問題は消費者契約法で対処することが望ましい。

『白竜HADOU(5)』日本企業より韓国企業がまとも

天王寺大著、渡辺みちお画『白竜HADOU(5)』(ニチブンコミックス、2017年)は「神の調合師」編の続きである。「神の調合師」編は日本人技術者の海外企業への引き抜きを扱う。

白竜は韓国企業のエージェントとなり、引き抜きを進める側で動く。日本人技術者の海外流出は「国益」という観点では好ましくないとされるが、個々の技術者にとっての幸福が重要である。滅私奉公を要求するようなものであってはならない。白竜はシノギのために行動するが、正義感を持っており、巨悪を叩く結果になることが本作品の魅力である。

この話に登場する企業経営者や官僚は、この上なく卑劣である。海外企業への引き抜きと正義感は見事に両立する。冤罪をつくる悪徳警官を暴力で脅す白竜が勧善懲悪のヒーローに見える。

企業経営者や官僚の愚かなところは、技術者が人間であることを理解していない。モチベーションによって能力を発揮する。無理やり会社に縛り付けて働かせたところで、業績が上げられるものではない。困難な状況でも頑張って最善の結果を出すという昭和の価値観は時代遅れである。

企業経営者は社内での自己の支配権確立しか頭にないため、刃向うものに容赦しないという強硬姿勢は、まだ理解できる。彼にとっては優れた燃料電池の完成は二の次だろう。しかし、官僚が悪徳警官を使って技術者を傷つけることは愚かである。それでは燃料電池の国際競争に勝てるものも勝てなくなる。

本書の韓国企業は明らかにサムスンをモデルとしているが、白竜に対して真摯に対応している。これまでの話で多くの日本企業の経営者が白竜に無礼な態度をとったこととは対照的である。白竜に無礼な態度をとり、痛い目に遭った経営者もいる。また、本書の韓国企業は日本市場の官僚主導体質も批判している。この点も引き抜きに感情移入したくなる。

東急田園都市線が視覚障害者の白杖を挟んで発車

東急田園都市線が2017年11月17日、視覚障害のある男性の白杖(はくじょう)をドアに挟んだまま発車した。これによって白杖が破損した。この事故は東京都世田谷区の二子玉川駅ホームで午後4時45分頃に発生した。中央林間行き下り普通電車(10両編成)の先頭10号車のドアに、白杖が挟まれた。
ドアは幅15ミリを超える異物を検知すると再び開く仕組みになっているが今回は作動しなかった。異常を知らせるランプは点灯しなかった。車掌が約200メートル近く後方の最後尾の1号車から目視やモニターで確認していたが、気付かずに出発の合図を出していた。二子玉川駅のモニターはハイビジョン化されておらず、画像が粗いため確認できなかったという(「視覚障害者の白いつえ挟んだまま発車 東急田園都市線」NHK 2017年11月28日)。
電車は白杖を挟んだまま、次の二子新地駅(川崎市)まで運行した。二子新地駅で乗客が通報、一部が壊れている白杖が見つかった。報道ではトラブルと表現するが、事故である。白杖が無くなれば、視覚障害者は身動き出来なくなる。
東急田園都市線では事故が続発している。国交省鉄道局の関係者は「東急はブランドイメージづくりに懸命な印象があり、本来の鉄道事業がおろそかにならないか懸念していた」と明かす(「トラブル多発の東急田園都市線 今日は大丈夫? ブランド路線で何が起きているのか」産経新聞2017年11月27日)。
根本的には東急グループの消費者無視の体質がある。満員電車に人を物のように詰め込む。東急田園都市線のように詰め込まれると同じ人間同士が不快に見えてくる。消費者無視は東急不動産だまし売り裁判と重なる。
実際、Twitterでは東急の体質に言及するものがある。「東急をはじめ関連会社は「自分ファースト」なんですよ。顧客や利用者の意見や苦情はすべてクレーム扱いをしてまったく聴く耳を持たないし改善や処理する時間があるならゼニ稼ぎに忙しんです」
「企業不正と同じで、リーダーが常日頃乗客の安全についてではなく、輸送数や収益にばかり言及しているとこうなるわけよ」
「東急電鉄は、ホームドアが設置されればこの種の事故は防げるようなことを言っているが、ホームドアで杖が挟まる事故が防げるのか?最近東急はおかしいぞ!渋谷の再開発に金を掛け過ぎているんではないのか?」
「謝罪して、白杖を弁償したらチャンチャンか!?東急に安全意識は無いとしか言いようがない」

「ドアに白杖挟んで発車 東急田園都市線」カナロコ2017年11月28日
「<東急田園都市線>白杖挟んだまま発車」毎日新聞2017年11月28日
「東急田園都市線 視覚障害者の杖挟み発車」日本テレビ2017年11月28日
「視覚障害者の白杖、挟んだまま電車出発 東急田園都市線」産経新聞2017年11月28日

『女王のジレンマ』

シャンナ・スウェンドソン著、今泉敦子訳『女王のジレンマ』(創元推理文庫、2017年)はファンタジー小説である。「フェアリーテイル」シリーズの第2弾である。

前作『ニューヨークの妖精物語』では主要登場人物が初めて妖精界に触れた。これに対して本作では最初から主要登場人物は皆、妖精界について分かっている。このために主体的に行動している。前作では刑事の追及を避けるという現実社会の散文的な出来事も描いていた。これに対して、本作は主要登場人物が最初から妖精界の問題と認識しており、ファンタジー色が強まっている。

前作は現代のニューヨークと妖精界という異なる二つの世界を舞台とした物語という色彩であった。これに対して本作では主人公ソフィーが容易に人間界と妖精界を行き来するため、現実世界もファンタジーの延長線上に感じてくる。

主人公らは偽の女王が暗躍する陰謀に立ち向かうが、敵キャラクターが軽い。ソフィーの敵にはなれそうにない。だからこそ、偽の女王という回りくどい陰謀になると言えるが、もっと主人公が追いつめられるハラハラドキドキを期待する向きには物足りない。確かに何度もピンチに陥るが、切り抜けられるだろうという安心感がある。

ところが、その後に重たい人間ドラマが残っていた。主人公にとって御都合主義的な展開であるが、そのような選択がなされることにリアリティーがある。前作では妖精界にさらわれ、そこから帰還する人間を描いた。本作では妖精界からの追放と主体的意思で妖精界に残る人間を描く。奥深い物語である。
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