立正佼成会附属佼成病院裁判がインターネット記事で報道されました(渋井哲也「母の治療をめぐり兄弟間で食い違い。高齢者の命の尊厳を守る医療裁判は最高裁へ」BLOGOS 2017年08月23日)。立正佼成会附属佼成病院が患者の長男の意向しか確認しなかった問題を取り上げています。記事が以下のように説明するように普通の治療について説明されないことが問題です。

「8月20日、医療記録によると、「長男は延命につながる治療すべて拒否、現在DIVで維持しているのも好ましく思っていない」ため、「本日にてDIV(点滴)終了」と書かれている。つまり、点滴も酸素治療なども中止した。この治療拒否について、林田さんは長男から説明を聞いていない。また27日の、医師記録では「抗生剤変更、増強したいところではあるが、(長男が)高度医療を拒否されている」と書かれている」
http://blogos.com/article/241749/

佼成病院裁判は人工呼吸器などの機械による延命治療をするか否かの問題ではありません。佼成病院が裁判になって初めて「キーパーソン」という言葉を持ち出しました。キーパーソンの意向だけで決められるならばキーパーソン同意殺人事件もできてしまいます。

佼成病院裁判は、患者の家族が勝手に経鼻経管栄養の速度を速めるなど安全管理が杜撰だったこと、治療を中止する手続きが簡単だったこと、死なせ方が残酷であったことなどを問題にしています。無資格者の患者の長男は医師の許可なく経鼻経管栄養の滴下速度を速めました。その後に患者は嘔吐して具合が悪くなりました。

佼成病院では、経鼻経管栄養の開始時間・終了時間を記録していなかった為患者の滴下速度が速められたことに気づきませんでした。嘔吐の原因が分かりませんでした。長男夫婦は具合が悪くなった患者の治療を数々拒否しました。

立正佼成会附属佼成病院がしたことは、ドラッカーの説くプロフェッショナルの倫理に反します。「プロたるものは、医者、弁護士、マネジャーのいずれであろうと、顧客に対して、必ずよい結果をもたらすと約束することはできない。最善を尽くすことしかできない。しかし、知りながら害をなすことはしないとの約束はしなければならない。顧客となるものが、プロたるものが知りながら害をなすことはないと信じられなければならない。これを信じられなければ何も信じられない」(ピーター・F・ドラッカー著、上田惇生訳『マネジメント[エッセンシャル版] 基本と原則』ダイヤモンド社、2001年、113頁)

ドラッカーは以下のように続けます。「プロたるものは自立性を持たなければならない。顧客によって、支配、監督、指揮されてはならない」。患者長男の意向だけで治療をしない佼成病院はプロフェッショナルとしての自立性が欠けています。
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■ 林田力 Hayashida Riki
■■ 『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者
■■◆ http://www.hayariki.net/