大嶋信頼『「行動できない」自分からの脱出法! あなたを縛る「暗示」にサヨナラ』(清流出版、2017年)は行動できない心の仕組みを明らかにし、そこから簡単に抜け出す方法を提示する。著者は心理カウンセラーである。著者自身もカウンセラーとして働きたいと思いながらも行動できなかった過去がある。そこが本書に説得力を与えている。

面白い点は「菌を増やして見よう」との指摘である。アトピーの子どもが外で泥んこ遊びをするようになったらアトピーが治ったという話がある。それと同じように色々な人に触れて「菌」を付けることで自分を変えていこうという提言である。

無菌状態が逆に健康に悪いという指摘があり、本書の指摘も納得できる。ただ、菌にも良い菌と悪い菌があるだろう。悪い菌はどのようにして避けられるかが気になるところである。それとも、そのような発想自体が完璧主義や呪いの暗示に捉われているのだろうか。

次の「呪いの暗示」の説明は考えさせられる。その人の味方であるべき人々が無意識的に呪いの暗示をかけてくる。その解決策も相手を褒めることという思いもよらない方法であった。この説明は理解できるものであり、否定するつもりはない。

但し、「菌」の話とも共通するが、自分の周りに悪意が存在しないことが前提になる。現実にブラック企業のパワハラで鬱病になった人もいる。告発の逆恨みから誹謗中傷されて心理カウンセラーに相談する人もいる。その手の需要も心理カウンセラーにはあるのではないか。本書が該当するケースとそうでないケースを見極めることが本書の効果的な活用になると感じた。