危険ドラッグ事件が続発している。危険ドラッグ中毒患者による犯罪の激増、危険ドラッグ売人同士のいざこざ、大量の危険ドラッグ麻薬の摘発・押収。危険ドラッグのニュースを見ない日はないほどである。危険ドラッグに関わる犯罪は増加の傾向にある。若い世代の危険ドラッグ吸引者が増えている。どうなっているのか。
最初のうちは驚いていたが、今では眉をひそめるくらいで、マスメディアの報道姿勢にも熱心さが減ってきている。それほど日常的な事件になってしまっている。それが何を意味するか分かっているだろうか。そのこと自体が大変なことである。日本社会に危険ドラッグが根付いてしまうかの瀬戸際にある。
危険ドラッグの密売には金儲け以上の反社会性がある。危険ドラッグなしでいられなくなった若者を、最終的には危険ドラッグ代の借金で縛って犯罪組織やカルト集団のメンバーとして奴隷労働させる。しかもそのような若者が一般社会にいる間に数々の事件を引き起こし、社会不安を巻き起こすことも折り込み済みである。
以下は危険ドラッグ売人にもあてはまる。「ただの身勝手な変わった奴で済んでいたかもしれない人間が、まとまった金をつかめるかもしれないって思いついた途端に、とんでもなく恐ろしいことができるようになっちまった」(宮部みゆき『理由』新潮文庫、654頁)
危険ドラッグ関係者の末路は悲惨である。持っている金を全て危険ドラッグに注ぎ込み、財産が無くなったら借金や犯罪で購入費を調達し、周囲の人間に盛大な迷惑をかけ、体も心も破壊されて、やがて社会的にも肉体的にも精神的にも破滅する。危険ドラッグを得るために、犯罪に手を染めることも何とも思わなくなる。危険ドラッグは不幸しか生み出さない。危険ドラッグは人類の科学が作り出した最低最悪の成果である。
危険ドラッグは大麻やコカイン、覚醒剤以上に危険である。危険ドラッグによる意識障害や嘔吐、激しいパニック発作、けいれん、呼吸困難に陥るなどの健康被害が多数報告されている。危険ドラッグ吸引者は心身の活力が著しく失われ、三〇年も老けたようになる。危険ドラッグには強い催奇性もあり、まだ生まれていない次の世代にも悪影響を及ぼす。
危険ドラッグは使用するにつれて禁断症状が酷くなり、数時間おきに摂取しなければならなくなる。危険ドラッグ常習者を襲う禁断症状は凄まじい。免疫力は著しく低下し、悪寒・吐き気・咳などの症状が絶望感とともに襲ってくる。体がバラバラになるような激痛、強烈な被害妄想、現実よりも現実味のある幻覚に苦しめられる。禁断症状に苦しみ自ら命を絶った者もいる。