店舗にクレジットカード支払いOKの掲示があるにもかかわらず、後から現金でないと支払えないと言われたというトラブルがある。「ランチはカード不可」「カード利用は×××円以上」「カード利用は手数料×%」徴収などである。これはキャッシュレス普及の阻害要因である。

店舗がクレジットカード支払いを嫌がる理由は、カード会社に手数料を支払わなければならいからである。これが米国の店舗経営者では店員が現金をくすねるリスクを踏まえ、手数料を支払ってもカード払いの方が安全と考える。また、釣銭計算の手間や間違えをを避けることができるというメリットがある。この点は日本でも当てはまる問題である。これまで日本は末端がそこそこ優秀なために成り立ってきたかもしれないが、それに依存していたら旧日本軍と同じで破綻する。

クレジットカード支払いOKの表示のある店舗がカード支払いを拒否することは、消費者契約法の不実告知や不利益事実の不告知になり得る。但し、カード支払いOKの掲示と共に「ランチでのカード使用NG」などの条件が明示されていれば、不実告知や不利益事実の不告知にはならず、対消費者的には問題にならない。対消費者的には「カードが使えると思うだけの理由を店舗が示しておきながら、実は使えなかった」という騙しが問題である。

これに対してクレジットカード会社としては加盟店が勝手にカードの利用シーンを制限することは加盟店契約違反になる。契約解除もある。消費者はカード支払いを拒否された飲食店をカード会社に通報することができる。

この問題は昔から存在するが、最近注目されるようになった。その背景に訪日外国人による国内消費の増加があり、そのトラブルが増えたと考えられる。このようなところでも外圧がなければ変わりにくい日本の市場が情けない。

クレジットカード会社としては、カードを利用する消費者も顧客であり、加盟店も顧客である。カード会社がエコノミック・アニマルとして動くならば、どちらの声が重要か天秤にかけるのではないか。このために消費者がカード会社に通報しても、加盟店を契約解除しないこともあり得る。この点は日本ブランドと欧米ブランドでカード会社の姿勢の相違があるか分析したいところである。

一方でカード会社が違反加盟店を契約解除する厳格さを持たない事情として、独占禁止法があるかもしれない。消費者が望むならば、いかなる場合もカード支払いを認めなければならないという加盟店契約が、加盟店を拘束する不公正な取引と加盟店から反撃されるかもしれない。とはいえカード会社の立場としても消費者の立場としても、加盟店はカード支払いOKということで得られる客があるのに、都合の悪い場合にカード支払い不可とすることは不公正という思いがある。