『ブラックペアン』は海堂尊原作の同名小説のドラマである。2018年4月22日に放送を開始した。嵐の二宮和也が「オペ室の悪魔」と呼ばれる外科医・渡海征司郎役主演する。「神の手」を持つと称される心臓外科医・佐伯清剛教授(内野聖陽)、研修医の世良雅志(竹内涼真)らが登場する。
渡海は面子にこだわる医者に対して「この患者が死んだら、お前死ね」と言い放つ。医者としての矜持を持っている。渡海は同僚医師から嫌われているが、医療ミスを仲間内でかばいあって隠す仲良しごっこよりも、はるかに素晴らしい。原作イメージの渡海は、二宮よりもワイルドなキャラと感じていたが、これはこれで良い。
手術が上手くいかずに困っている状況の医師に大金を要求する悪徳さも、つべこべ言わずに目の前の火を消すことに駆り出そうとする日本の悪癖のアンチテーゼとして価値がある。緊急性は重要性に優先するという発想が問題を大きくする。終わり良ければ全て良し、結果オーライという発想が日本の無責任体制を作ってきた。
原作は前世紀の話であるが、ドラマではスマホがあるなど現代になっている。原作では阿修羅の異名を持つ高階権太は底が見えている。原作とは別の話と割り切ることが正解だろう。原作では高階が佐伯外科をひっかき回し、対立する思想の持ち主を追い出し、病院長にのしあがった。バチスタシリーズでは主人公側の高階病院長であるが、原作など佐伯外科時代の桜宮サーガを読むと感情移入できなくなる。ドラマでは、もっと感情移入できなくなりそうである。
このドラマは内臓や出血など手術シーンをリアルに映している。これはリアリティーがあると支持されるか。それとも気持ち悪いと視聴者が離れるか。前クールの『アンナチュラル』は法医学のドラマであるが、死体をあまり映さなかった。それが死体を見たくない層にも視聴者を広げた。